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本編
峯滝氷雨2
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プリンを食べた後、子ども達が日本庭園を見に行きたいと言い出し、子どもだけでは心配だからと紗季江と詩織が一緒に散歩することになった。賢吾と竣介の計画通り、リビングに残ったのは男三人だけ。二人はお互いに顔を見て力強く頷くと、食器の片付けを終えた氷雨に声をかけた。
「峯滝さん、少しいいですか?」
「構いませんよ」
「峯滝さんは、どうして彼を、逢珠真くんを引き取ろうと思ったんですか?」
「あの子が大切だからです。あの子の両親は、言い方は悪いですが毒親で放っておけなかった。あのまま帰したら、あの子の命が失われてしまう。だから私が引き取ったんです。あの子の全てを、守る為に……」
「大人になったばかりの若造が、子育てを舐めるんじゃねえ」
「…………」
「峯滝さん。子どもを育てるのは本当に大変なんですよ。可哀想だったから、放っておけなかったからという軽い気持ちで子どもを引き取るのは間違っています。一人の命を背負うことになるんですよ。貴方は、あの子を一生守り続ける覚悟があるんですか?」
賢吾と竣介が言っていることは正しい。動物でも一生の命を背負えないなら飼うべきじゃないと言われる世の中だ。人の子を引き取ることがどれだけ大変で、どれだけの責任と重圧がのしかかってくるのか、子どもを持つ二人は痛いほど理解している。氷雨の話を聞くと、逢珠真が実の両親から虐待を受けていて放っておけなかったから軽い気持ちで引き取った、という風にしか聞こえなかったのだ。
「ええ、勿論。あの子の笑顔を守る為なら、私はなんだってしますよ。あの子をいじめる輩は徹底的に潰しますし、あの子を利用して私に媚を売る害虫は全て駆除します。私の部下に優秀な弁護士がいますから、法的に裁くことも可能なんですよ」
「…………」
「…………」
「血の繋がりがなくても家族になれます。私は、胸を張って言えますよ。逢珠真は私の大切な家族だと」
まあ、法的に裁けないなら秘密裏に処理すればいいだけだしな。息をするようにボソッと呟いた氷雨に恐怖し、二人はガタガタと体を震わせた。「この人、めちゃくちゃ本気だった!」と思い知らされ、二人は真っ青な顔をして氷雨に無礼な態度をとってしまったことを謝罪する。氷雨は気にした様子もなく顔色が悪い二人を心配して「少し横になった方がいいですよ」と告げるが、それは丁重にお断りした。
日本庭園の見学を終えて戻ってきた逢珠真は洗面所へ直行して手洗いうがいをした。宮下と藤崎も手洗いうがいをし、リビングへと戻る。
「ひさめさん!」
「おかえり。外は寒くなかった?」
「すこしさむかったです。でも、みんなをあんないできて、たのしかったです!」
「そっか。あったかいミルクティーを用意したけど、飲む?」
「のみたい!」
「わ、私も飲みたいです!」
「俺も! あと、お菓子!」
「こら!」
「いで!」
再び藤崎に謝罪させ、紗季江も氷雨に頭を下げた。氷雨は「大丈夫ですよ」と言ってキッチンへ向かい、温かいミルクティーとコーヒーを淹れてテーブルに置いた。クッキーや焼き菓子も用意してくれて、藤崎は「やったー!」と大喜びでお菓子を頬張る。案の定、また紗季江に注意されていた。
『日本一美しい女性、第一位は……今話題の超人気和菓子店、雨之神で働く幻の美女、桜子さんです!』
「桜子さん!?」
「流石は俺の桜子さん!」
暇つぶしに藤崎がテレビをつけると、またまた桜子さんの名前が出てきた。日本一美しい女性第一位に輝いた桜子さんの票数は第二位にランクインした有名女優の約五倍以上の差をつけていた。SNSでは「納得の一位」がトレンド入りしていると紗季江が端末を見て呟き、賢吾と竣介はテレビに釘付けになった。
『いやあ、納得の一位ですね』
『俺も一度でいいから桜子さんに会いたいです』
『桜子さんの素性は一切明かされていなくて、独身なのか、既婚者なのかも不明なんですよね』
『こんな美しい人を妻にできるなんて、本当に羨ましい! 桜子さん! 俺と結婚してください!』
「巫山戯んな! 桜子さんは誰とも結婚しない!」
「俺達の桜子さんは永遠だ! 俺だって桜子さんと結婚……は無理でも、握手はしたい!」
桜子さんに夢中な夫を、紗季江と詩織は冷めた目で眺めていた。賢吾と竣介は桜子の大ファンで、テレビで特集される度に桜子さんへの愛を叫んでいた。それはもう我が子がドン引きするくらい夢中で、妻達は何度も注意した。
「バカね。こういう女に限って裏の顔はえげつないものなのよ」
「まあ、確かに美人なのは認めるわ。私の次にね!」
「母ちゃん、ちゃんと鏡見てから言えよ」
「なんですって!?」
「ほ、本当のことだろう! そんなに怒んなよ!」
「全く。藤崎は乙女心を分かってないわね!」
「そうよ! そうよ! 女は何時だって心は恋する乙女なのよ!」
「峯滝さんもそう思いますよね?」
「…………」
「ひさめさん?」
「あ、ごめん。どうしたの? 逢珠真」
「ひさめさん。やっぱりさくらこさん、きらいなんですか?」
「え?」
「はあ!?」
「ひさめさん、てれびでさくらこさんがしょうかいされると、いつもむごんになるから」
氷雨は桜子さんが嫌い。そう聞いて賢吾と竣介は「桜子さんを嫌いな男はいねえ!」と叫び倒した。その瞬間、妻達から鉄拳をくらい大人しくなる。みんな心配して氷雨に質問するが「嫌いじゃないよ。ごめんね」と返して、食器を片付け始めた。
「峯滝さん、少しいいですか?」
「構いませんよ」
「峯滝さんは、どうして彼を、逢珠真くんを引き取ろうと思ったんですか?」
「あの子が大切だからです。あの子の両親は、言い方は悪いですが毒親で放っておけなかった。あのまま帰したら、あの子の命が失われてしまう。だから私が引き取ったんです。あの子の全てを、守る為に……」
「大人になったばかりの若造が、子育てを舐めるんじゃねえ」
「…………」
「峯滝さん。子どもを育てるのは本当に大変なんですよ。可哀想だったから、放っておけなかったからという軽い気持ちで子どもを引き取るのは間違っています。一人の命を背負うことになるんですよ。貴方は、あの子を一生守り続ける覚悟があるんですか?」
賢吾と竣介が言っていることは正しい。動物でも一生の命を背負えないなら飼うべきじゃないと言われる世の中だ。人の子を引き取ることがどれだけ大変で、どれだけの責任と重圧がのしかかってくるのか、子どもを持つ二人は痛いほど理解している。氷雨の話を聞くと、逢珠真が実の両親から虐待を受けていて放っておけなかったから軽い気持ちで引き取った、という風にしか聞こえなかったのだ。
「ええ、勿論。あの子の笑顔を守る為なら、私はなんだってしますよ。あの子をいじめる輩は徹底的に潰しますし、あの子を利用して私に媚を売る害虫は全て駆除します。私の部下に優秀な弁護士がいますから、法的に裁くことも可能なんですよ」
「…………」
「…………」
「血の繋がりがなくても家族になれます。私は、胸を張って言えますよ。逢珠真は私の大切な家族だと」
まあ、法的に裁けないなら秘密裏に処理すればいいだけだしな。息をするようにボソッと呟いた氷雨に恐怖し、二人はガタガタと体を震わせた。「この人、めちゃくちゃ本気だった!」と思い知らされ、二人は真っ青な顔をして氷雨に無礼な態度をとってしまったことを謝罪する。氷雨は気にした様子もなく顔色が悪い二人を心配して「少し横になった方がいいですよ」と告げるが、それは丁重にお断りした。
日本庭園の見学を終えて戻ってきた逢珠真は洗面所へ直行して手洗いうがいをした。宮下と藤崎も手洗いうがいをし、リビングへと戻る。
「ひさめさん!」
「おかえり。外は寒くなかった?」
「すこしさむかったです。でも、みんなをあんないできて、たのしかったです!」
「そっか。あったかいミルクティーを用意したけど、飲む?」
「のみたい!」
「わ、私も飲みたいです!」
「俺も! あと、お菓子!」
「こら!」
「いで!」
再び藤崎に謝罪させ、紗季江も氷雨に頭を下げた。氷雨は「大丈夫ですよ」と言ってキッチンへ向かい、温かいミルクティーとコーヒーを淹れてテーブルに置いた。クッキーや焼き菓子も用意してくれて、藤崎は「やったー!」と大喜びでお菓子を頬張る。案の定、また紗季江に注意されていた。
『日本一美しい女性、第一位は……今話題の超人気和菓子店、雨之神で働く幻の美女、桜子さんです!』
「桜子さん!?」
「流石は俺の桜子さん!」
暇つぶしに藤崎がテレビをつけると、またまた桜子さんの名前が出てきた。日本一美しい女性第一位に輝いた桜子さんの票数は第二位にランクインした有名女優の約五倍以上の差をつけていた。SNSでは「納得の一位」がトレンド入りしていると紗季江が端末を見て呟き、賢吾と竣介はテレビに釘付けになった。
『いやあ、納得の一位ですね』
『俺も一度でいいから桜子さんに会いたいです』
『桜子さんの素性は一切明かされていなくて、独身なのか、既婚者なのかも不明なんですよね』
『こんな美しい人を妻にできるなんて、本当に羨ましい! 桜子さん! 俺と結婚してください!』
「巫山戯んな! 桜子さんは誰とも結婚しない!」
「俺達の桜子さんは永遠だ! 俺だって桜子さんと結婚……は無理でも、握手はしたい!」
桜子さんに夢中な夫を、紗季江と詩織は冷めた目で眺めていた。賢吾と竣介は桜子の大ファンで、テレビで特集される度に桜子さんへの愛を叫んでいた。それはもう我が子がドン引きするくらい夢中で、妻達は何度も注意した。
「バカね。こういう女に限って裏の顔はえげつないものなのよ」
「まあ、確かに美人なのは認めるわ。私の次にね!」
「母ちゃん、ちゃんと鏡見てから言えよ」
「なんですって!?」
「ほ、本当のことだろう! そんなに怒んなよ!」
「全く。藤崎は乙女心を分かってないわね!」
「そうよ! そうよ! 女は何時だって心は恋する乙女なのよ!」
「峯滝さんもそう思いますよね?」
「…………」
「ひさめさん?」
「あ、ごめん。どうしたの? 逢珠真」
「ひさめさん。やっぱりさくらこさん、きらいなんですか?」
「え?」
「はあ!?」
「ひさめさん、てれびでさくらこさんがしょうかいされると、いつもむごんになるから」
氷雨は桜子さんが嫌い。そう聞いて賢吾と竣介は「桜子さんを嫌いな男はいねえ!」と叫び倒した。その瞬間、妻達から鉄拳をくらい大人しくなる。みんな心配して氷雨に質問するが「嫌いじゃないよ。ごめんね」と返して、食器を片付け始めた。
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