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第3章
海の神子
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ポフンッ!
突然何かが光り出したかと思うと、可愛らしい破裂音がした。強い光はなくなり、代わりに白い煙が二人を覆う。その煙も次第に風に流され、二人は光った所を凝視した。
「キャウ!」
「え? わ!」
光の正体を確認しようと目を凝らしていたシンジュに黒い何かが突進した。高い声で「キュウキュウ」と鳴き、シンジュの周囲を嬉々として飛び回っている。
「どうなってるんだ?」
「えっと、ぼ、僕も何が起こったのか、分からなくて……」
「あり得ない」
シャチが、空中を泳ぐなんて……
黒と白の独特な模様。小さいながらもピンと上に伸びる背鰭に、パタパタと忙しなく動く尾鰭。頭部の左右にある白い楕円形。
「海のギャング」と言う異名を持ち、海洋生物最強と謳われている動物。しかし、シャチは海の生きものであり、本来なら海に生息する生きもの。けれど、目の前に居るシャチは海水の無い空中を泳いでいる。まるで、海の中を泳いでいるかのような仕草で……
「海の、神子様」
「え?」
「海の神子様だ! 神子様が、お戻りになられた!」
「空中を泳ぐ海の生物。これぞ正に神子の証」
「あ、あの……」
二人だけしか居なかった廊下に、強い光が何だったのか確認しに来た人々が集まり騒ぎ始めた。突然現れた空中を泳ぐシャチを見た人々は目を輝かせて「神子様」と「神子の証」だと言って、シンジュに深々と頭を下げている。
「えっと、あの、神子さまって……」
まだ他人と接する事に慣れていないシンジュは、大勢の人々から頭を下げられ、酷く戸惑った。戸惑うシンジュを気にする様子も無く、シャチは嬉しそうに空中を泳いでいる。何時の間にか燕も混ざり、楽しそうに戯れ合っていた。
「よくぞお戻りになられました。海の神子様」
「…………」
「…………」
神子と呼ばれても、どう返せば良いのか分からないシンジュは何も言えず、鈴が着ている服の袖口をキュッと握った。
多くの人が集まり、騒ぎがどんどん大きくなり、鈴もシンジュも戸惑った。「神子様」と口々に言う人々に、シンジュは訳が分からなくなり、涙が浮かぶ。
「何があったのですか?」
人と人の間を縫うようにしてやって来たクラウスに、二人は安堵した。今までの事をクラウスに説明すると彼は暫く黙った後、周囲の人々を落ち着かせ、自分の仕事に戻るよう指示をした。
「シンジュ! 無事か!?」
「リベル、さま……」
「大丈夫か、鈴!」
「夕……」
暫くして、リベルテ、夕、ユリウスも来た。リベルテはシンジュを抱き締め、何度も「もう大丈夫だ」と優しく言う。夕は鈴に近付き「怪我は?」と聞くと、鈴は顔を逸らして「してない」と答えた。ユリウスはクラウスから話を聞き、今の状況を把握しようと頭を働かせた。
「キュ?」
空中を泳ぐシャチ。体は小さいものの、どう見てもシャチだ。居る筈のない動物を目の当たりにし、夕とリベルテは言葉を失い、ユリウスとクラウスは真剣な顔をしてシャチを凝視する。
注目の的になっているシャチは彼等の反応を気にする様子もなく、シンジュの周囲を嬉しそうに泳いでいる。
「シンジュ様が、本当の海の神子だったのですね」
「え?」
「そうか。だから、あの時……」
クラウスとユリウスは驚く様子もなく何かに気付いたのか、二人で顔を見合わせる。そんな二人に夕達が声を掛けると「お話ししてもよろしいですね」とクラウスが呟き、ユリウスはコクリと頷く。
二人だけは理解しているような空気に、夕達は何を知っているのか聞こうとした時、クラウスが口を開いた。
「詳しくご説明します。私に付いて来て下さい」
クラウスからそう言われ夕達はコクリと頷き、歩き出したクラウスに付いて行った。気が付くと燕は何時の間にか鈴の手にちょこんと乗り、シャチは動き過ぎて疲れたのか、シンジュの頭の上に大人しく乗っていた。
夕とリベルテが興味津々に燕とシャチにちょっかいを出そうとすると、キッと睨み付け威嚇する。鈴とシンジュは同時に「苛めるな」と言って二人を制した。苛める気は一切ないのだが、また威嚇されて注意されるのも嫌なので二人は大人しく足を進めた。
「それでは、お話し致します」
辿り着いたのは神殿だった。神殿に入ると、クラウスはゆっくりと振り返り、夕達を見た。
「あの、お話って……」
「神子の存在についてです」
クラウスの言葉を聞き、鈴は驚いた。いくら自分で調べても分からなかった事。神子の存在を、クラウスは全て知っている。クラウスだけでは無く、恐らくユリウスも知っている。
「これからお話しするのは、五人の神子の存在と、神子の証についてです」
誰も何も話さず、静かにクラウスの話に耳を傾けた。
突然何かが光り出したかと思うと、可愛らしい破裂音がした。強い光はなくなり、代わりに白い煙が二人を覆う。その煙も次第に風に流され、二人は光った所を凝視した。
「キャウ!」
「え? わ!」
光の正体を確認しようと目を凝らしていたシンジュに黒い何かが突進した。高い声で「キュウキュウ」と鳴き、シンジュの周囲を嬉々として飛び回っている。
「どうなってるんだ?」
「えっと、ぼ、僕も何が起こったのか、分からなくて……」
「あり得ない」
シャチが、空中を泳ぐなんて……
黒と白の独特な模様。小さいながらもピンと上に伸びる背鰭に、パタパタと忙しなく動く尾鰭。頭部の左右にある白い楕円形。
「海のギャング」と言う異名を持ち、海洋生物最強と謳われている動物。しかし、シャチは海の生きものであり、本来なら海に生息する生きもの。けれど、目の前に居るシャチは海水の無い空中を泳いでいる。まるで、海の中を泳いでいるかのような仕草で……
「海の、神子様」
「え?」
「海の神子様だ! 神子様が、お戻りになられた!」
「空中を泳ぐ海の生物。これぞ正に神子の証」
「あ、あの……」
二人だけしか居なかった廊下に、強い光が何だったのか確認しに来た人々が集まり騒ぎ始めた。突然現れた空中を泳ぐシャチを見た人々は目を輝かせて「神子様」と「神子の証」だと言って、シンジュに深々と頭を下げている。
「えっと、あの、神子さまって……」
まだ他人と接する事に慣れていないシンジュは、大勢の人々から頭を下げられ、酷く戸惑った。戸惑うシンジュを気にする様子も無く、シャチは嬉しそうに空中を泳いでいる。何時の間にか燕も混ざり、楽しそうに戯れ合っていた。
「よくぞお戻りになられました。海の神子様」
「…………」
「…………」
神子と呼ばれても、どう返せば良いのか分からないシンジュは何も言えず、鈴が着ている服の袖口をキュッと握った。
多くの人が集まり、騒ぎがどんどん大きくなり、鈴もシンジュも戸惑った。「神子様」と口々に言う人々に、シンジュは訳が分からなくなり、涙が浮かぶ。
「何があったのですか?」
人と人の間を縫うようにしてやって来たクラウスに、二人は安堵した。今までの事をクラウスに説明すると彼は暫く黙った後、周囲の人々を落ち着かせ、自分の仕事に戻るよう指示をした。
「シンジュ! 無事か!?」
「リベル、さま……」
「大丈夫か、鈴!」
「夕……」
暫くして、リベルテ、夕、ユリウスも来た。リベルテはシンジュを抱き締め、何度も「もう大丈夫だ」と優しく言う。夕は鈴に近付き「怪我は?」と聞くと、鈴は顔を逸らして「してない」と答えた。ユリウスはクラウスから話を聞き、今の状況を把握しようと頭を働かせた。
「キュ?」
空中を泳ぐシャチ。体は小さいものの、どう見てもシャチだ。居る筈のない動物を目の当たりにし、夕とリベルテは言葉を失い、ユリウスとクラウスは真剣な顔をしてシャチを凝視する。
注目の的になっているシャチは彼等の反応を気にする様子もなく、シンジュの周囲を嬉しそうに泳いでいる。
「シンジュ様が、本当の海の神子だったのですね」
「え?」
「そうか。だから、あの時……」
クラウスとユリウスは驚く様子もなく何かに気付いたのか、二人で顔を見合わせる。そんな二人に夕達が声を掛けると「お話ししてもよろしいですね」とクラウスが呟き、ユリウスはコクリと頷く。
二人だけは理解しているような空気に、夕達は何を知っているのか聞こうとした時、クラウスが口を開いた。
「詳しくご説明します。私に付いて来て下さい」
クラウスからそう言われ夕達はコクリと頷き、歩き出したクラウスに付いて行った。気が付くと燕は何時の間にか鈴の手にちょこんと乗り、シャチは動き過ぎて疲れたのか、シンジュの頭の上に大人しく乗っていた。
夕とリベルテが興味津々に燕とシャチにちょっかいを出そうとすると、キッと睨み付け威嚇する。鈴とシンジュは同時に「苛めるな」と言って二人を制した。苛める気は一切ないのだが、また威嚇されて注意されるのも嫌なので二人は大人しく足を進めた。
「それでは、お話し致します」
辿り着いたのは神殿だった。神殿に入ると、クラウスはゆっくりと振り返り、夕達を見た。
「あの、お話って……」
「神子の存在についてです」
クラウスの言葉を聞き、鈴は驚いた。いくら自分で調べても分からなかった事。神子の存在を、クラウスは全て知っている。クラウスだけでは無く、恐らくユリウスも知っている。
「これからお話しするのは、五人の神子の存在と、神子の証についてです」
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