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第4章
婚約者?
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クレープも食べ終わり、街を見て回ろうと4人が移動しようとした時だった。
「ユリウス様!」
誰かがユリウスの名を大声で叫び、その人物は嬉しそうにユリウスに抱きついた。
ユリウスに触れたまま、ゆっくりと顔を上に向けた瞬間、夕達は息を呑んだ。艶やかな藍色の長い髪、雪のように白い肌、エメラルドのような美しい円らな瞳。ユリウスに抱きついた人物は、誰が見ても「美しい」と思うほど、整った顔立ちをしていた。
「ずっと、ずっと会いたかった。ユリウス様。こんな所で会えるなんて……」
頬を赤く染め、うっとりとユリウスを見詰める姿は正に恋する乙女。その健気で愛らしい容姿と仕草に、街の人々は見惚れ、こう思った。
あんな美少女に抱きつかれているユリウス様が羨ましい、と。
しかし、リベルテとシンジュはそう思わなかった。ユリウスが好きな人は夕だと知っているからだ。夕と一緒に居る時のユリウスは本当に嬉しそうで、心から笑っていた。愛おしそうに夕を見詰めるユリウスの姿を何度も見ている二人は、ユリウスの表情が変わった事に直ぐに気付いた。
ユリウスは、凍りつくような冷たい目をして、目の前の人物から距離を取った。
「このような所で、何をなさっているのですか?」
低い声でユリウスが問うと、目の前の人物は大きな目を潤ませ、「寂しかったから」と甘えるような声で言った。
「貴方が此処へ来るのはもう少し後だと伺っているのですが……」
「ごめんなさい。でも、寂しかったんです。ずっと、ずっとユリウス様にお会いしたくて……僕……」
「予定は守って頂けませんか?こちらにも準備と言うものが有ります。予定が早まるのであれば、前もって教えて頂かなければ困ります」
「それは、僕も悪かったと思ってます。でも、僕、すごく心配だったんです。偽物の神子が、ユリウス様を利用しようとしていると言う噂を聞いて……」
「噂は噂です。例え偽物の神子が現れたとしても、私が騙される事はありません」
「ほ、本当、ですか?」
「以前、お話ししたように、私には心に決めた方が居ます。その方以外の者に言い寄られても、何も感じません。ご安心下さい」
「そう、ですか……良かった……でも、その、恥ずかしいです。こ、こんな大勢の人が居る場所で、告白して下さる何て…ユリウス様が、僕の事を心から愛して下さっている事が知れて、とても嬉しいです」
事務的に淡々と言葉を紡ぐユリウスと、頬を赤く染めて嬉しそうに語る藍色の髪の美少女。あまりにもポジティブな美少女を見て、リベルテとシンジュは愕然とした。
「あの人、逞しいですね」
「逞しいと言うより、妄想が激しいだけだと思うんだが……兄上のあんな不機嫌そうな顔、初めて見たぜ」
「た、確かに……嫌悪感丸出しなのが凄く伝わってきます……余程あの方がお嫌いなのですね」
「え? そうなのか? あの子、あんなに可愛いのに?」
「…………」
「…………」
藍色の髪をした美少女のポジティブさも驚きだが、夕の鈍感さに二人は更に驚き、言葉を失った。誰がどう見ても、今のユリウスは機嫌が悪い。容姿が整っているか、いないかはユリウスに取ってはどうでも良い。一番重要なのは、ユリウスの隣に夕が居るか、居ないか。先程ユリウスが話していた「心に決めた方」と言うのは間違いなく夕だ。
「騙される事はない」と言ったのも、目の前の藍色の髪をした美少女に向けて言った言葉。具体的な言葉は一切使わず、曖昧に誤魔化してはいるが、先程のユリウスの台詞を直訳するとこうなるだろう。
俺には夕が居るから、部外者が邪魔しないで頂きたい、と。
「ゆ、ユウ? 悔しくねぇのか?」
「あ、あの人、あんなにユリウス様にベタベタしてるのに、何も思わないんですか? ヤキモチとか、焼かないんですか?」
「え? 何で?」
「…………」
「…………」
放心。鈴が何度も「鈍い」と「鈍感だ」と「苦労している」と言っていた事を思い出し、二人はその意味を漸く正しく理解した。ユリウスがあんなにもアプローチしているのに、夕は気付かない。街中で何度もユリウスに抱き寄せられたり、顔を真っ赤にして夕からユリウスに抱きついたりしていたので、夕もユリウスの事を好きだと思っていた。
少なからずユリウスに対して恋愛感情を抱いていると思っていた為に、先程の夕の台詞は二人に凄まじい衝撃を与えた。
「やっぱり美男美女は絵になるな」
あの子が誰なのか知らないけど……
「リベルさま……」
「何だ?」
「此処に、スズさんが居なくて良かったですね」
「あぁ、そうだな。スズが居たら、きっと……」
蹴り殺されている。
敢えて誰がとは言わない。藍色の髪の美少女のポジティブさと言い、夕の鈍感さと言い、今以上にユリウスは苦労するだろうな、と二人は考え、心の中で同情した。
ユリウスから離れ、夕達の存在に気付いた少女はふわりと微笑み、自己紹介をした。
「初めまして。シェルスと言います。ユリウス様の、婚約者です」
シェルスと名乗った少女が「婚約者」と口にした瞬間、ユリウスの機嫌は更に悪くなった。頬を赤く染め、嬉しそうにシェルスが「そうですよね?」と聞くが、ユリウスは何も答えず視線を逸らす。
「兄上の婚約者?」
「ユリウスさま、婚約者が居たんですか?」
二人がユリウスに質問するが、ユリウスは何も答えない。信じられないと言いたそうな表情をするシンジュとリベルテに、シェルスが声をかけてきた。「貴方達は、ユリウス様のお知り合いですか?」と言う質問に、二人はぎこちなく自己紹介をした。
「あの、そちらの方は……」
リベルテとシンジュの話を聞き終え、シェルスは夕に視線を向けた。その瞬間、3人は不安になった。シェルスは誰が見ても「可愛い」と言われる容姿をしている。夕は可愛いものが大好きだ。ユリウスの前で、夕はシェルスに抱きついて、「可愛い」と連呼するかもしれない。
「俺は朝槻夕です。夕って呼んで下さい」
「ユウさん、ですか?」
「あぁ」
「分かりました。これから宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
ふわりと微笑むシェルスの姿はとても可愛らしく美しい。しかし、夕は普通に自己紹介をするだけで、シンジュの時のように暴走する事は無かった。夕の対応に安堵する反面、リベルテは少し疑問に思った。
「意外だな」
「何が?」
自己紹介も終わり、シェルスは再びユリウスの隣へ行き、楽しそうに話しかけている。ユリウス達から少し離れた場所で、リベルテは夕に話し掛けた。
「お前、可愛いものが大好きだろ? シンジュを紹介した時、『可愛い』って連呼して抱きついて暴走してたじゃねぇか」
「だって、シンジュは可愛いし……」
「な!? こ、こんな所で、突然そんな事言わないでください!」
「やっぱり、シンジュは可愛いよなぁ」
「ぅう」
「あぁ、凄く可愛い」
「り、リベルさままで……」
二人から何度も「可愛い」と言われ、シンジュは恥ずかしさのあまり、涙目になってしまう。顔を真っ赤にして、弱々しく「やめて、ください」と訴えた。
本当、可愛いなぁ。
心の中で思うも、二人とも口には出さなかった。
「あの子、鈴には会わせない方がいいかもな」
「え?」
「スズさん? どうしてですか?」
突然、鈴の名前を出した夕に疑問を抱くと、夕は難しそうな表情をして口を開いた。
「あの子、確かに可愛いけど、自分の容姿にかなり自信があるタイプかなって思ってな」
「自信?」
「あぁ。『可愛い』とか『綺麗』って言われて当然って思ってる感じなんだよなぁ。計算高いって言うか、自分の魅力を熟知してるって言うか……」
「言われてみれば……確かにそうかもしれないな……」
「あの、それがスズさんと、どう繋がるんですか?」
シンジュが問うと夕は難しい顔をして、暫く悩んだ後、渋々口を開いた。
「過去に色々有ったんだ。全くの別人なんだけど、あの子の性格に良く似ている子が居てな。その子、かなりお金持ちの御曹司で、美少女と見間違うくらい綺麗で可愛い容姿をしてたんだ」
「へぇ、それで?」
「容姿は本当に良いんだけど、その子の性格がちょっと気難しくて……自分が一番じゃないと嫌って言うタイプの子でさ、しかも猫かぶりで、相手するのが本当大変だったんだよ」
「そんなに、難しい相手だったんですか?」
「鈴ってさ、見た目が良いだろ?絶世の美少女って言われても違和感が無い程に……」
「確かに、俺も最初見た時は女の子だと思ったが……」
「僕も、同じです。こんなにもキレイな人が居るんだって思いました」
「それが原因で、その子が鈴に対して妙な対抗心を燃やしてさ、色々と大変だったんだ。『自分の方が可愛いのに』とか、『愛されて良いのは僕だけだ』とか、鈴に突っかかるようになってな。それだけなら良かったんだが、日に日にエスカレートして、鈴を悪役に仕立て上げようとしたり、苛めのような嫌がらせを取り巻きにやらせたり、本当、気が滅入ったんだよなぁ」
「そんな事が……」
「スズの場合、あまり気にしなさそうだけどな……」
「あぁ、お前の言う通り、鈴は全く気にしなかったし、相手にすらしなかった。嫌がらせも陰口もどこ吹く風。そんな鈴の態度が更にその子を怒らせちまって…」
大問題になる前に阻止できたから良かったものの、あんな思いは二度とゴメンだな……
苦笑しながら、夕は告げた。そして、前を歩くシェルスの姿を見詰め、再び口を開いた。
「そんな事があったからかなぁ。あの子みたいに凄く可愛くて自信たっぷりな子、苦手なんだよなぁ」
「…………」
「…………」
苦手、と申し訳なさそうに語る夕に、二人は何も言う事が出来なかった。
「ユリウス様!」
誰かがユリウスの名を大声で叫び、その人物は嬉しそうにユリウスに抱きついた。
ユリウスに触れたまま、ゆっくりと顔を上に向けた瞬間、夕達は息を呑んだ。艶やかな藍色の長い髪、雪のように白い肌、エメラルドのような美しい円らな瞳。ユリウスに抱きついた人物は、誰が見ても「美しい」と思うほど、整った顔立ちをしていた。
「ずっと、ずっと会いたかった。ユリウス様。こんな所で会えるなんて……」
頬を赤く染め、うっとりとユリウスを見詰める姿は正に恋する乙女。その健気で愛らしい容姿と仕草に、街の人々は見惚れ、こう思った。
あんな美少女に抱きつかれているユリウス様が羨ましい、と。
しかし、リベルテとシンジュはそう思わなかった。ユリウスが好きな人は夕だと知っているからだ。夕と一緒に居る時のユリウスは本当に嬉しそうで、心から笑っていた。愛おしそうに夕を見詰めるユリウスの姿を何度も見ている二人は、ユリウスの表情が変わった事に直ぐに気付いた。
ユリウスは、凍りつくような冷たい目をして、目の前の人物から距離を取った。
「このような所で、何をなさっているのですか?」
低い声でユリウスが問うと、目の前の人物は大きな目を潤ませ、「寂しかったから」と甘えるような声で言った。
「貴方が此処へ来るのはもう少し後だと伺っているのですが……」
「ごめんなさい。でも、寂しかったんです。ずっと、ずっとユリウス様にお会いしたくて……僕……」
「予定は守って頂けませんか?こちらにも準備と言うものが有ります。予定が早まるのであれば、前もって教えて頂かなければ困ります」
「それは、僕も悪かったと思ってます。でも、僕、すごく心配だったんです。偽物の神子が、ユリウス様を利用しようとしていると言う噂を聞いて……」
「噂は噂です。例え偽物の神子が現れたとしても、私が騙される事はありません」
「ほ、本当、ですか?」
「以前、お話ししたように、私には心に決めた方が居ます。その方以外の者に言い寄られても、何も感じません。ご安心下さい」
「そう、ですか……良かった……でも、その、恥ずかしいです。こ、こんな大勢の人が居る場所で、告白して下さる何て…ユリウス様が、僕の事を心から愛して下さっている事が知れて、とても嬉しいです」
事務的に淡々と言葉を紡ぐユリウスと、頬を赤く染めて嬉しそうに語る藍色の髪の美少女。あまりにもポジティブな美少女を見て、リベルテとシンジュは愕然とした。
「あの人、逞しいですね」
「逞しいと言うより、妄想が激しいだけだと思うんだが……兄上のあんな不機嫌そうな顔、初めて見たぜ」
「た、確かに……嫌悪感丸出しなのが凄く伝わってきます……余程あの方がお嫌いなのですね」
「え? そうなのか? あの子、あんなに可愛いのに?」
「…………」
「…………」
藍色の髪をした美少女のポジティブさも驚きだが、夕の鈍感さに二人は更に驚き、言葉を失った。誰がどう見ても、今のユリウスは機嫌が悪い。容姿が整っているか、いないかはユリウスに取ってはどうでも良い。一番重要なのは、ユリウスの隣に夕が居るか、居ないか。先程ユリウスが話していた「心に決めた方」と言うのは間違いなく夕だ。
「騙される事はない」と言ったのも、目の前の藍色の髪をした美少女に向けて言った言葉。具体的な言葉は一切使わず、曖昧に誤魔化してはいるが、先程のユリウスの台詞を直訳するとこうなるだろう。
俺には夕が居るから、部外者が邪魔しないで頂きたい、と。
「ゆ、ユウ? 悔しくねぇのか?」
「あ、あの人、あんなにユリウス様にベタベタしてるのに、何も思わないんですか? ヤキモチとか、焼かないんですか?」
「え? 何で?」
「…………」
「…………」
放心。鈴が何度も「鈍い」と「鈍感だ」と「苦労している」と言っていた事を思い出し、二人はその意味を漸く正しく理解した。ユリウスがあんなにもアプローチしているのに、夕は気付かない。街中で何度もユリウスに抱き寄せられたり、顔を真っ赤にして夕からユリウスに抱きついたりしていたので、夕もユリウスの事を好きだと思っていた。
少なからずユリウスに対して恋愛感情を抱いていると思っていた為に、先程の夕の台詞は二人に凄まじい衝撃を与えた。
「やっぱり美男美女は絵になるな」
あの子が誰なのか知らないけど……
「リベルさま……」
「何だ?」
「此処に、スズさんが居なくて良かったですね」
「あぁ、そうだな。スズが居たら、きっと……」
蹴り殺されている。
敢えて誰がとは言わない。藍色の髪の美少女のポジティブさと言い、夕の鈍感さと言い、今以上にユリウスは苦労するだろうな、と二人は考え、心の中で同情した。
ユリウスから離れ、夕達の存在に気付いた少女はふわりと微笑み、自己紹介をした。
「初めまして。シェルスと言います。ユリウス様の、婚約者です」
シェルスと名乗った少女が「婚約者」と口にした瞬間、ユリウスの機嫌は更に悪くなった。頬を赤く染め、嬉しそうにシェルスが「そうですよね?」と聞くが、ユリウスは何も答えず視線を逸らす。
「兄上の婚約者?」
「ユリウスさま、婚約者が居たんですか?」
二人がユリウスに質問するが、ユリウスは何も答えない。信じられないと言いたそうな表情をするシンジュとリベルテに、シェルスが声をかけてきた。「貴方達は、ユリウス様のお知り合いですか?」と言う質問に、二人はぎこちなく自己紹介をした。
「あの、そちらの方は……」
リベルテとシンジュの話を聞き終え、シェルスは夕に視線を向けた。その瞬間、3人は不安になった。シェルスは誰が見ても「可愛い」と言われる容姿をしている。夕は可愛いものが大好きだ。ユリウスの前で、夕はシェルスに抱きついて、「可愛い」と連呼するかもしれない。
「俺は朝槻夕です。夕って呼んで下さい」
「ユウさん、ですか?」
「あぁ」
「分かりました。これから宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
ふわりと微笑むシェルスの姿はとても可愛らしく美しい。しかし、夕は普通に自己紹介をするだけで、シンジュの時のように暴走する事は無かった。夕の対応に安堵する反面、リベルテは少し疑問に思った。
「意外だな」
「何が?」
自己紹介も終わり、シェルスは再びユリウスの隣へ行き、楽しそうに話しかけている。ユリウス達から少し離れた場所で、リベルテは夕に話し掛けた。
「お前、可愛いものが大好きだろ? シンジュを紹介した時、『可愛い』って連呼して抱きついて暴走してたじゃねぇか」
「だって、シンジュは可愛いし……」
「な!? こ、こんな所で、突然そんな事言わないでください!」
「やっぱり、シンジュは可愛いよなぁ」
「ぅう」
「あぁ、凄く可愛い」
「り、リベルさままで……」
二人から何度も「可愛い」と言われ、シンジュは恥ずかしさのあまり、涙目になってしまう。顔を真っ赤にして、弱々しく「やめて、ください」と訴えた。
本当、可愛いなぁ。
心の中で思うも、二人とも口には出さなかった。
「あの子、鈴には会わせない方がいいかもな」
「え?」
「スズさん? どうしてですか?」
突然、鈴の名前を出した夕に疑問を抱くと、夕は難しそうな表情をして口を開いた。
「あの子、確かに可愛いけど、自分の容姿にかなり自信があるタイプかなって思ってな」
「自信?」
「あぁ。『可愛い』とか『綺麗』って言われて当然って思ってる感じなんだよなぁ。計算高いって言うか、自分の魅力を熟知してるって言うか……」
「言われてみれば……確かにそうかもしれないな……」
「あの、それがスズさんと、どう繋がるんですか?」
シンジュが問うと夕は難しい顔をして、暫く悩んだ後、渋々口を開いた。
「過去に色々有ったんだ。全くの別人なんだけど、あの子の性格に良く似ている子が居てな。その子、かなりお金持ちの御曹司で、美少女と見間違うくらい綺麗で可愛い容姿をしてたんだ」
「へぇ、それで?」
「容姿は本当に良いんだけど、その子の性格がちょっと気難しくて……自分が一番じゃないと嫌って言うタイプの子でさ、しかも猫かぶりで、相手するのが本当大変だったんだよ」
「そんなに、難しい相手だったんですか?」
「鈴ってさ、見た目が良いだろ?絶世の美少女って言われても違和感が無い程に……」
「確かに、俺も最初見た時は女の子だと思ったが……」
「僕も、同じです。こんなにもキレイな人が居るんだって思いました」
「それが原因で、その子が鈴に対して妙な対抗心を燃やしてさ、色々と大変だったんだ。『自分の方が可愛いのに』とか、『愛されて良いのは僕だけだ』とか、鈴に突っかかるようになってな。それだけなら良かったんだが、日に日にエスカレートして、鈴を悪役に仕立て上げようとしたり、苛めのような嫌がらせを取り巻きにやらせたり、本当、気が滅入ったんだよなぁ」
「そんな事が……」
「スズの場合、あまり気にしなさそうだけどな……」
「あぁ、お前の言う通り、鈴は全く気にしなかったし、相手にすらしなかった。嫌がらせも陰口もどこ吹く風。そんな鈴の態度が更にその子を怒らせちまって…」
大問題になる前に阻止できたから良かったものの、あんな思いは二度とゴメンだな……
苦笑しながら、夕は告げた。そして、前を歩くシェルスの姿を見詰め、再び口を開いた。
「そんな事があったからかなぁ。あの子みたいに凄く可愛くて自信たっぷりな子、苦手なんだよなぁ」
「…………」
「…………」
苦手、と申し訳なさそうに語る夕に、二人は何も言う事が出来なかった。
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