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6、嵐の前の静けさ
極めて少人数のお茶会となって三十分ほど経った頃、彼女達のお茶会に思わぬ賓客がやって来た。
「やぁ、ここにいたんだね」
そう声を掛けてきたのは…。
「え!?ジニア殿下!?!?」
突然、やって来たのはカルミアの婚約者でこの国の第一王子のジニア。まさかそんなことがあるとは思っていなかったので三人は大いに驚いたが、さらに驚いたのは彼の後ろにいた人物のことだった。
「…!ゼ、ゼフィランサス様!?」
「こんにちは、ロベリア嬢。こちらでお茶会を開いていると聞いたので挨拶に来ました」
カルミアもロベリアも声がひっくり返りそうだった。手にしていた菓子や紅茶を取りこぼしそうになるくらいに。慌てて席を立ち、彼らを出迎える。ミモザも開いた口が塞がらない様子だった。
その様子にジニアもゼフィランサスも少し面食らったが、次第に面白くなってきてクスッと笑った。
「せっかく婚約者が入学したのですから、挨拶はしっかりしておかないとと思いまして…もしかしてお邪魔でしたか?」
そうゼフィランサスに聞かれて、ロベリアは大慌てで否定した。
「そんなことはありません。…その、お会いできて嬉しいです。ありがとうございます。ゼフィランサス様」
ロベリアにとって、彼とは仮の婚約関係でありしかもこの学院は件の小説の舞台だ。さらに言うと、小説の主人公が攻略する対象人物の中に「先輩、生徒会執行部、会計、美男子」という肩書きの生徒がいる。それはまさにゼフィランサス・インカローズその人と言える特徴だった。
(まさか、挨拶に来るなんて…仮の婚約者なのに…。マメな人、なのかしら?)
小さい頃は当主同士の会合について行ってはそこに集まった「薔薇の六家」の子供達と遊んだこともあったが、そのほとんどを本を読んで過ごすかしていたからすごく仲が良かったりした訳ではないので、彼の友好的な態度を不思議に思う。
「そういえば、ふたりは婚約したんだったね。急についてくるというから驚いたよ」
「ええ、そうなんです。まだ公にはしていませんでしたので、お知らせするのが遅くなってしまいました。申し訳ありません、殿下。先日、そのような運びとなりました」
ジニアの反応にゼフィランサスは少し申し訳なさを含んだ笑顔で返す。
「この度、私、ゼフィランサス・インカローズとロベリア・カーディナリスは婚約致しました」
ゼフィランサスがロベリアの手を取り、ジニアやカルミア達に簡易的な挨拶をした。
「お互い学生の身であることから正式な発表は卒業後にという話になっておりまして、内々に婚約の手続きだけ済ませた形になりますね」
「ああ、そういうことだったんだね。父上から軽く話を振られただけだったのは。…それにしても…」
ジニアはヴェールを被ったままのロベリアをじっと見てから、
「数多ある令嬢からの求婚を断って手を取った相手がカーディナリスのご令嬢とはね。予想が外れたよ」
と言った。ジニアの視線に気づいたロベリアは慌ててヴェールを外そうとしたが、それを対してゼフィランサスがやんわりと静止を促した。
「殿下、このままでも構いませんか?彼女が顔を隠すのには理由がございます」
ゼフィランサスがフォローに入ってくれたことにロベリアもカルミアもそれからミモザも驚いた。ジニアも少し驚いた顔をしたが、すぐに笑ってそれを了承した。
「ああ、事情はわかってるから大丈夫さ。ロベリア嬢もそのままで構わないよ。カルミアからも話は聞いてるしね」
「お心遣いに感謝します、殿下」
ロベリアは丁寧に頭を下げる。
この柔軟な対応をしてくれる王太子殿下もまた、件の小説で登場する攻略対象と同じ特徴を持つ存在だ。「王太子、公爵家の婚約者がいる、第一王子、生徒会長」といったもの。小説の中でもメインキャラクターにあたる立ち位置のキャラだ。
(そして、悪役令嬢たるカルミアに婚約破棄を突きつけて断罪してくる相手…)
所詮は小説の話だ。だけれど、不安は拭えない。親友を、断罪なんてさせるわけにはいかないのだ。彼女自身は婚約破棄を望んでいる。
けれど、その方法は双方の同意がなければならない。それも穏便な方法で。
(私も、下手すれば殺される)
小説の死神令嬢はその孤独さ故に攻略対象に囲まれる主人公を妬んだ。それに唯一の友であった悪役令嬢の為に一緒になって主人公をいじめた。結果、悪役令嬢と一緒に断罪されるが、その黒き魔法で主人公を殺しかけた死神令嬢は自身の身をもって罪を償うことになる。
(しかも、死神令嬢は攻略対象のうち、誰が主人公と結ばれても断罪後、殺されたとカルミアが話していた)
ただの小説のはずなのに、まるで自分の未来のような気がしてくる。
カルミア達が雑談をしている横でロベリアは言い表せぬ不安に押しつぶされそうになっていた。
(大丈夫。小説とは展開が違うもの。ゼフィランサス様だっているし、ブルーベルだっている。大丈夫、大丈夫よ、きっと)
ヴェールに隠した表情を見抜いたのか、ゼフィランサスが話しかけてきた。
「ロベリア嬢?どうかなさいましたか?」
「え…?」
ふいにそう声をかけられたので思考が止まる。
「顔色が良くありませんね。どこか具合が悪いのでは?医務室に行きますか?」
ゼフィランサスは心配してくれていた。主人公らしき人物とまだ接触していないからだろうか。それとも彼自身の性格か。どちらにせよ、その優しさはロベリアの不安を少しばかり拭ってくれた。
「いえ、大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません」
「そうですか?ならいいのですが…。もし、何か心配事があるようでしたら、いつでも言ってくださいね。貴女は私の幼なじみで婚約者なのですから」
「…ありがとうございます。その際は相談させていただきます」
彼の言葉に救われる。契約婚約とは言えどこう言ってもらえると大切にされている気になる。それに甘んじる訳にはいかないが、頭の隅に留めておくくらいならいいだろう。と、ロベリアが考えていると彼の少し不服そうな視線に気が付く。
「あの、ゼフィランサス様?どうかなさいましたか?」
首を傾げながら尋ねると、ゼフィランサスはロベリアの背後に視線を向けながら聞き返してくる。
「そちらの方は?」
ゼフィランサスの質問に、その問いが聞こえたのかカルミアやジニア達もロベリアの背後に立つ人物とへと目を向ける。
紫の髪色が陽に当たってキラキラと輝く美男子が立っている。カルミアも知っている人物だ。
「あ、そうでした。ご紹介が遅れました。彼の名はブルーベル。私の従者です。これからの学院生活で供をしてくれるんです」
ロベリアがそう紹介するとカルミア以外がなんとも複雑そうな顔をしていた。その表情にロベリアは首を傾げた。
(な、何よ、この反応…)
「あの、何か問題が?」
そう尋ねる。それに答えたのはジニアとゼフィランサス。
「…いや、なんでもないよ。少し驚いてさ。この学院には案外従者付きで通う貴族はあまりいないからね」
「ええ、まぁ、珍しいですから。少し驚きました」
ふたりはそう言ったが、話す時の様子からそれだけのことではないように思えた。
ロベリアとブルーベルはお互い顔を見合わせて首を傾げるしかなかった。
そんな、なんとも言えない空気になったところに、嵐がやって来た。
「ここにいらっしゃったのですね!」
無邪気な春の嵐がふいに訪れる。
視線が自然と声の方へと向けられる。そうして、その視線の先に映し出された人物を見たカルミアとロベリアはヒュっと息を飲んだ。見てはいけないものを見たような、そんな複雑で焦りや恐怖が入り交じったもの。
「呼ばれたので生徒会室に行ったのですが誰もいらっしゃらなくて…」
困ったように笑いながらそう言ったのは、件の小説で言うところの主人公にあたるだろう少女。
ネリネの花を髪飾りにした田舎臭い男爵令嬢。素朴な雰囲気のボブくらいの長さの鮮やかな淡いピンク色の髪を持つ、ネリネ・シトリン男爵令嬢、その人だ。
来てしまった。
カルミアとロベリアはそう思った。周囲に花でも舞いそうな愛らしい笑顔を振りまく少女。如何にも、な小説の主人公だった。ジニアもゼフィランサスもミモザも彼女の笑顔に釘付けだった。そのことは、ふたりの令嬢に衝撃を与えるには充分すぎる程のものだった。
「やぁ、ここにいたんだね」
そう声を掛けてきたのは…。
「え!?ジニア殿下!?!?」
突然、やって来たのはカルミアの婚約者でこの国の第一王子のジニア。まさかそんなことがあるとは思っていなかったので三人は大いに驚いたが、さらに驚いたのは彼の後ろにいた人物のことだった。
「…!ゼ、ゼフィランサス様!?」
「こんにちは、ロベリア嬢。こちらでお茶会を開いていると聞いたので挨拶に来ました」
カルミアもロベリアも声がひっくり返りそうだった。手にしていた菓子や紅茶を取りこぼしそうになるくらいに。慌てて席を立ち、彼らを出迎える。ミモザも開いた口が塞がらない様子だった。
その様子にジニアもゼフィランサスも少し面食らったが、次第に面白くなってきてクスッと笑った。
「せっかく婚約者が入学したのですから、挨拶はしっかりしておかないとと思いまして…もしかしてお邪魔でしたか?」
そうゼフィランサスに聞かれて、ロベリアは大慌てで否定した。
「そんなことはありません。…その、お会いできて嬉しいです。ありがとうございます。ゼフィランサス様」
ロベリアにとって、彼とは仮の婚約関係でありしかもこの学院は件の小説の舞台だ。さらに言うと、小説の主人公が攻略する対象人物の中に「先輩、生徒会執行部、会計、美男子」という肩書きの生徒がいる。それはまさにゼフィランサス・インカローズその人と言える特徴だった。
(まさか、挨拶に来るなんて…仮の婚約者なのに…。マメな人、なのかしら?)
小さい頃は当主同士の会合について行ってはそこに集まった「薔薇の六家」の子供達と遊んだこともあったが、そのほとんどを本を読んで過ごすかしていたからすごく仲が良かったりした訳ではないので、彼の友好的な態度を不思議に思う。
「そういえば、ふたりは婚約したんだったね。急についてくるというから驚いたよ」
「ええ、そうなんです。まだ公にはしていませんでしたので、お知らせするのが遅くなってしまいました。申し訳ありません、殿下。先日、そのような運びとなりました」
ジニアの反応にゼフィランサスは少し申し訳なさを含んだ笑顔で返す。
「この度、私、ゼフィランサス・インカローズとロベリア・カーディナリスは婚約致しました」
ゼフィランサスがロベリアの手を取り、ジニアやカルミア達に簡易的な挨拶をした。
「お互い学生の身であることから正式な発表は卒業後にという話になっておりまして、内々に婚約の手続きだけ済ませた形になりますね」
「ああ、そういうことだったんだね。父上から軽く話を振られただけだったのは。…それにしても…」
ジニアはヴェールを被ったままのロベリアをじっと見てから、
「数多ある令嬢からの求婚を断って手を取った相手がカーディナリスのご令嬢とはね。予想が外れたよ」
と言った。ジニアの視線に気づいたロベリアは慌ててヴェールを外そうとしたが、それを対してゼフィランサスがやんわりと静止を促した。
「殿下、このままでも構いませんか?彼女が顔を隠すのには理由がございます」
ゼフィランサスがフォローに入ってくれたことにロベリアもカルミアもそれからミモザも驚いた。ジニアも少し驚いた顔をしたが、すぐに笑ってそれを了承した。
「ああ、事情はわかってるから大丈夫さ。ロベリア嬢もそのままで構わないよ。カルミアからも話は聞いてるしね」
「お心遣いに感謝します、殿下」
ロベリアは丁寧に頭を下げる。
この柔軟な対応をしてくれる王太子殿下もまた、件の小説で登場する攻略対象と同じ特徴を持つ存在だ。「王太子、公爵家の婚約者がいる、第一王子、生徒会長」といったもの。小説の中でもメインキャラクターにあたる立ち位置のキャラだ。
(そして、悪役令嬢たるカルミアに婚約破棄を突きつけて断罪してくる相手…)
所詮は小説の話だ。だけれど、不安は拭えない。親友を、断罪なんてさせるわけにはいかないのだ。彼女自身は婚約破棄を望んでいる。
けれど、その方法は双方の同意がなければならない。それも穏便な方法で。
(私も、下手すれば殺される)
小説の死神令嬢はその孤独さ故に攻略対象に囲まれる主人公を妬んだ。それに唯一の友であった悪役令嬢の為に一緒になって主人公をいじめた。結果、悪役令嬢と一緒に断罪されるが、その黒き魔法で主人公を殺しかけた死神令嬢は自身の身をもって罪を償うことになる。
(しかも、死神令嬢は攻略対象のうち、誰が主人公と結ばれても断罪後、殺されたとカルミアが話していた)
ただの小説のはずなのに、まるで自分の未来のような気がしてくる。
カルミア達が雑談をしている横でロベリアは言い表せぬ不安に押しつぶされそうになっていた。
(大丈夫。小説とは展開が違うもの。ゼフィランサス様だっているし、ブルーベルだっている。大丈夫、大丈夫よ、きっと)
ヴェールに隠した表情を見抜いたのか、ゼフィランサスが話しかけてきた。
「ロベリア嬢?どうかなさいましたか?」
「え…?」
ふいにそう声をかけられたので思考が止まる。
「顔色が良くありませんね。どこか具合が悪いのでは?医務室に行きますか?」
ゼフィランサスは心配してくれていた。主人公らしき人物とまだ接触していないからだろうか。それとも彼自身の性格か。どちらにせよ、その優しさはロベリアの不安を少しばかり拭ってくれた。
「いえ、大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません」
「そうですか?ならいいのですが…。もし、何か心配事があるようでしたら、いつでも言ってくださいね。貴女は私の幼なじみで婚約者なのですから」
「…ありがとうございます。その際は相談させていただきます」
彼の言葉に救われる。契約婚約とは言えどこう言ってもらえると大切にされている気になる。それに甘んじる訳にはいかないが、頭の隅に留めておくくらいならいいだろう。と、ロベリアが考えていると彼の少し不服そうな視線に気が付く。
「あの、ゼフィランサス様?どうかなさいましたか?」
首を傾げながら尋ねると、ゼフィランサスはロベリアの背後に視線を向けながら聞き返してくる。
「そちらの方は?」
ゼフィランサスの質問に、その問いが聞こえたのかカルミアやジニア達もロベリアの背後に立つ人物とへと目を向ける。
紫の髪色が陽に当たってキラキラと輝く美男子が立っている。カルミアも知っている人物だ。
「あ、そうでした。ご紹介が遅れました。彼の名はブルーベル。私の従者です。これからの学院生活で供をしてくれるんです」
ロベリアがそう紹介するとカルミア以外がなんとも複雑そうな顔をしていた。その表情にロベリアは首を傾げた。
(な、何よ、この反応…)
「あの、何か問題が?」
そう尋ねる。それに答えたのはジニアとゼフィランサス。
「…いや、なんでもないよ。少し驚いてさ。この学院には案外従者付きで通う貴族はあまりいないからね」
「ええ、まぁ、珍しいですから。少し驚きました」
ふたりはそう言ったが、話す時の様子からそれだけのことではないように思えた。
ロベリアとブルーベルはお互い顔を見合わせて首を傾げるしかなかった。
そんな、なんとも言えない空気になったところに、嵐がやって来た。
「ここにいらっしゃったのですね!」
無邪気な春の嵐がふいに訪れる。
視線が自然と声の方へと向けられる。そうして、その視線の先に映し出された人物を見たカルミアとロベリアはヒュっと息を飲んだ。見てはいけないものを見たような、そんな複雑で焦りや恐怖が入り交じったもの。
「呼ばれたので生徒会室に行ったのですが誰もいらっしゃらなくて…」
困ったように笑いながらそう言ったのは、件の小説で言うところの主人公にあたるだろう少女。
ネリネの花を髪飾りにした田舎臭い男爵令嬢。素朴な雰囲気のボブくらいの長さの鮮やかな淡いピンク色の髪を持つ、ネリネ・シトリン男爵令嬢、その人だ。
来てしまった。
カルミアとロベリアはそう思った。周囲に花でも舞いそうな愛らしい笑顔を振りまく少女。如何にも、な小説の主人公だった。ジニアもゼフィランサスもミモザも彼女の笑顔に釘付けだった。そのことは、ふたりの令嬢に衝撃を与えるには充分すぎる程のものだった。
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