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49、火災の原因究明1
それは、例えて言うのならまるで幽霊でも見たかのような顔、だった。
生徒会室の扉を開けたカルミアとロベリア、そして後についてくるブルーベルの目に映った最初の光景がそれだった。
先に来ていたネリネとその横にいたルドベキアの表情がまさにそれだったのだ。
そんな顔が横に並んでいたものだからカルミア達は一瞬だけ固まった。だが、すぐさま気を取り直す。
「あら、まだあなた達だけですのね」
扇子で口元を隠しながら意地悪く微笑むカルミアを見て、ルドベキアが不愉快そうにする。
あんな簡単に感情を露わにするなんて王国騎士団員が聞いて呆れるわね、とカルミアがロベリアに目配せする。それに気づくとロベリアもまた、ほんとにね、と目配せで返事した。
「……ネリネさん」
ロベリアがそう声をかけると、ネリネの肩がビクッと跳ねた。そんな彼女を見たルドベキアが庇うように割って入ってくる。
「一体何の用だ。貴様らがネリネ嬢に用があるなんて……何を企んでいる???」
無礼な程の態度にカルミアは思わず「これが小説の悪役令嬢だったならキレて喚き散らしているのでしょうね」だなんてことを考えた。
それでも、現実のカルミアがそんな行為に至らないのはやはり取り巻く環境の違いだと言える。ちらっとカルミアが隣に視線を向ければそこにはロベリアがいる。ブルーベルだってそばにいる。だからこそ心に余裕が持てた。
「まぁ、騎士の風上にも置けない態度ですわね?」
カルミアがそう言うと、ルドベキアはビクッと肩を震わせた。身分で言うのならカルミアの方が圧倒的に上なのだ。下手なことをすれば、というよりカルミアの家がルドベキアの家を没落させるように動けばそれはいとも簡単に成功させることが出来るだろう。彼もそれがわかっているからこそ己が吐いた言葉にゾッとした。
何を企んでいるか、など、上流貴族の反感を買うには十分すぎる程の失言だ。
ルドベキアは自身の背に隠れるネリネを気遣いつつ今度はカルミアの様子を窺った。
そして彼はぽかんとした顔で薔薇の六家たる令嬢達を見た。
ふたりとも、こちらを見て笑った。
「そんなに真っ青になるくらいなら最初から喧嘩なんて売らない方がよろしくってよ」
「ジニア殿下には報告しておきますから、後でこってり絞られてくださいね」
ケラケラと笑って生徒会室のソファーに座ったカルミア達をボーゼンとながめたのはルドベキアだけでなく、ネリネもだった。
そんな光景に呆気に取られていたネリネはさらに驚くことになる。
「ああ、そうだ。少々邪魔が入ってしまって話しが頓挫しましたが……。ネリネさん。少し確認しますわね」
そうネリネはカルミアに話しかけられて身構えた。だって彼女は悪役令嬢だから。そうでなければならないから。
けれど、彼女が口にしたのはこんなことだった。
「貴女に花をプレゼントなさったのは、どなたでしたの?」
警戒していたネリネもルドベキアも、キョトンとした顔になるだけだった。
思っていたものと違う展開だったから。
「何故、そのようなことを聞かれるのですか?」
ネリネは警戒しつつも問いかけると、カルミアは驚くべきことを口にした。
「女子寮の火災。あれの原因がネリネさんがプレゼントされたはずの花だから、ですわ」
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