巻き添えで異世界召喚させられた?!世界を救うのは主人公にまかせてモブの俺は全力で逃げたいと思います!

yao

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町に薬を取りに行ってから一週間がたった。
お屋敷から一歩も外に出なかったから平穏な日々を過ごしていた。
(サオマ様の襲来以外は💢)

昨日は皇子勇者御一行が帰還する日だったから、勇者全員が揃って出迎えるため、セプター様は、またまたあの凛々しい正装に身を包み、ハーマンさんを伴って魔法学園に向かわれた。
魔法学園に行って用事が済んだらすぐ戻ってくるはずだったセプター様が珍しくお泊りになってしまった。
そのため馬車も魔法学園に行ったままに………だからジョンさんの薬を俺が歩いて買いに行くことになった。

別に歩くのなんて平気、ちょっと遅くなっても怒られないしね。
だ・か・ら💗ドーナツの新作が出てないかチェックしに行っちゃおー💗

前回の事があるから慎重に薬局の周りをチェックして速攻で買って、ドーナツ屋さんに向かう。
2つのお店は、まるっきり反対方向だから少し距離がある。

でも美味しい物のために人は努力を惜しんじゃいけないのダ💗
何食べようかな💗楽しみ🎶



急いでドーナツ屋さんに着いたけど、徒歩だったからかなり時間がかかってしまって目の前は長蛇の列。

買えるか心配だよ。とほほ。

でもダメ元で列の最後尾女性二人組の後ろに並ぶ。もしかしたら買えるかもしれないじゃん?


「スネアのドーナツ美味しいわよね💗」

「美味しいけどあんた目的がドーナツだけじゃないでしょ。」


ドーナツだけじゃないってなんだろう?

聞くつもりはなかったけど目の前で大声で話していれば嫌でも聞こえてきてしまう。


「あんただってそうじゃないスネアは販売の時以外、ドーナツを作るのに忙しいって会えないんだもん。」

「顔が良くて、仕事熱心で、自分の店も持っている男なんて格好良いわよね💗」

「恋人いるのかしら、奥さんになりたいわ。」

「いても奪い取っちゃう💗」


などと、ずっとぺちゃくちゃスネアって人のことを話している。
多分ドーナツ屋のお兄さんのことだろう。


本当にドーナツを好きじゃない人に買って欲しくないな。
純粋に食べたい人がここにいるんですけどっっ!!


「すみませーん。全部売り切れましたー。」


スネアが列に並んでるお客さんに申し訳無さそうに声をかけた。
列が崩れてスネアの周りに女子が取り囲む。


「ええー、食べたかったなぁ💗」

「すみません。明日また宜しくおねがいします。」

「また明日ね。」

「沢山作っておいてね、また来るから。」


うおー、投げキスしてる。こんなにあからさまにアピールしてから帰るんだ。肉食系女子ってすげー。
そういえば俺、女子にアピられたことないな。
いやいやこんなにガツガツしている女性は嫌だよ。
一度くらいはモテてみたいな。モブ中のモブの俺には無理な話だけど。
しかしドーナツ屋さん、モブなのに成功者になるとこんなにモテるんだなぁ。羨ましい。


「はー⤵」


ため息ついて凹んでいる場合じゃない。早く帰らなくちゃ。
次、来るときはドーナツを先に買ってから薬局に行くことにしよう。


とぼとぼと下を向いて歩いていると前の方から大きな影が見える。


大きい人だな避けなくちゃ。


「………!!」


だんだん近づいてきた大男は以前ここで会った勇者の一人木こりのマーチだ。


ぎゃああっ!!またマーチかよっ!!
一度会っているんだからもう合わなくてもいいだろっっ!!


帰る方向とは逆に走って逃げて脇道の建物の陰に隠れた。


マーチの様子を見ながら移動しよう。
こっちに来て欲しくないなぁ。
あんまり大通りから離れると帰り道がわからなくなるから嫌なんだけど。


マーチの動向をそっと見てみるとスネアさんと話している。


わー、そんな所に止まらないで道草食わないで早く魔法学園に帰ってよぉぉぉ。
あんまり帰りが遅いとマリーさんに怒られちゃう。
あれ?マーチがドーナツ屋さんに入っていったぞ。どうしたんだろう?
まあいいや、今がチャンスだ。早くお屋敷に帰ろう。


大通りに一歩出た瞬間、俺は腕を掴まれて、元いた脇道に連れ込まれてしまった。

 


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