【R18】月に叢雲、花に風。

蒼琉璃

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捌、月蝕は濃く―其の参―

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 その部屋は、やはり野菊程の高給取りではないため、部屋は其ほど大きくなかった。遊郭と変わらず畳には派手な赤の布団が敷かれており、行灯の薄明かりが派手な屏風を照らし、如何にも夜伽をする為の部屋、という様相だったので若菜は僅かに頬を染めた。
 そわそわとしながら、ちょこんと布団の上に正座して座る若菜を見て朔は笑った。

「姉さん……男の格好なんて疲れただろ? 大丈夫か?」

 その何気無い言葉に、緊張が解れて彼を見上げた。どんな場所にいてもこうして二人きりになれると、無条件で安心しきってしまう。

「ううん、何だか変身するのも忍者みたいで楽しいよ」
「忍者? なんだそれ、姉さんらしいな……」

 朔は笑って若菜の隣に座ると寝転がって、若菜の膝に頭をのせた。あまりに自然な事なので、若菜は思わず嬉しくなり彼の頭を撫でてやった。何時も冷静沈着で、表情を崩さず仕事をこなし光明の片腕として評判の良い彼が、こんな風に甘える事が出来るのは、自分だけだからだ。
 こんなに無防備な姿を曝け出してくれるのが嬉しい。ふと、仰向けになって此方に顔を向ける。 

「やっと、二人きりになれたな……逢いたかった」
「……っ、私もだよ、ずっと逢いたかったの」

 素直に義弟に逢いたかったと言われると頬を染めて若菜も答えた。忙しい日々の中で少しでも多く彼と共に時間を過ごしたい。朔は本当に真っ直ぐに自分へ気持ちを伝えてくる。
 だが、自己肯定の低い若菜にとって、その率直な言葉がとても安心が出来て心が温かくなるのだ。
 その事も恐らく、義弟は良く知っているからこそ実直に伝えてくれるのだ。

「……呪煌々が全て揃ったら、休暇を貰える事になっているんだ。姉さん、そうしたら旅行にでも出掛けようか?」
「えっ、本当に? うん、何処がいいかな」
「そうだな、姉さん江戸の芝居を見たがってたろ……エドでもいいし、ヒラトもいいな」

 若菜は不思議そうに首をかしげると、朔の指先が頬に触れ手の平で包んだ。
「ヒラト……どうして?」
「バテレンの物が売ってあるそうだ。異人にも逢える。姉さんのもう1つの故郷が、少し分かるかも知れないだろ?」

 若菜は目を見開いた。今まで考えたことが無かったわけではない。母の話では乱暴され、自分を身籠ったと言う。だから、自分のもう一つの故郷や血の事については考えないようにしてきた。
 一生自分に付いて回るこの忌まわしい髪も目も顔立ちも、呪われたものなのだから、異国の事など知らない方が良いと思っていたのだ。だが、バテレンがどんな所なのか、知りたいという気持ちもあった。

「――――ねぇ、朔ちゃんは、嫌じゃないの?   母様は、異人に乱暴されて……私はこんな……髪の色と目で……どうして朔ちゃんは……こんな私を……」

 目を伏せる若菜の膝から体を起こすと、朔は若菜をじっと見つめ、両頬を大きな手で包み込んだ

「嫌じゃない。覚えてる? 姉さんが昔、兄や姉に酷く言われて、泣きながら墨汁を頭から被った事があったな。
 ――あの時言った事は今も同じだ。俺は姉さんの髪も目も美しいと思う。姉さんが、混血でもそうでなくても、俺は愛してる」

 若菜を華奢な体を優しく包容すると、琥珀の瞳から涙が溢れてきた。若菜の稲穂色の髪を優しく撫でると、義弟の温もりを感じるように抱きついた。

「俺は……姉さんが生まれてきてくれて嬉しい。母上と異人の間に、本当は何があったのかはわからない。
 だが、それが不幸な出来事だったとしても、それは姉さんには関係ない。
 いいか? 姉さんは何も悪くないんだ」

「朔ちゃん………ありがとう、覚えてるよ。そうだね、どんな時だって、あんなに小さかったのに私の事を否定なんてしたことなかった。
 大人にだって歯向かって言い返してくれていたね」

 体を離して若菜の頬を伝う涙を指で拭うと、ゆっくりと唇を重ねた。
 甘い味のするふっくらとした唇を味わうように啄むと、若菜も身を委ねて力を抜いた。
 優しい口付けに蕩けるような甘い吐息が薄桃色の唇から自然に漏れてしまう。互いの呼吸を奪い合うと、二人は唇を離した。
 若菜の鼓動はどくどくと、痛いくらい高鳴っていた。

「んっ……はぁ、はぁ……朔ちゃん……大好き……口付けしちゃうと、もう……私……」

 その、潤んだ蜜色の瞳で見上げられると、体の奥から熱がじわりと煮え立つような欲情と激しい愛しさが湧水のように溢れてくる。そっと義姉の体を押し倒すと、熱っぽい瞳で彼女を見つめた。

「――――そんな顔見せられたら抱きたくなる。抱いていいか、姉さん」
「うん……良いよ」

 若菜は頬を染めながら、頷いた。この世で一番大好きな人と夜伽をしたい。朔と一つになれるだけで心から溢れるような幸せな気持ちになれる。朔は優しく微笑むと、若菜の唇を塞いで隙間から熱い舌先をするりと挿入した。
 若菜を指導するように小さな愛らしい舌先を絡めると、二人の唾液が絡まり合い淫らな蜜音が密室の中で響いた。

「んっ、んっっ、ん……はぁ、はぅ、朔ちゃんの口付け好き」

 酸欠になりながら、若菜は幸せそうに無邪気に微笑んだ。そんな彼女を見ると心の底から愛しさが込み上げてくる。思わず深く彼女に口付け
 、口腔内を巧みな舌使いで舐ると、若菜の眉が切なく歪んだ。腰が抜けてしまう位に気持ちがいい。精神的な部分も大きいが、朔の舌先は性感帯を探り当てる才能でもあるのか、心地良い場所を的確に刺激してくる。

「はぁ………ん、何度でも口付けてやる……はぁ……姉さん……そんな蕩けた顔して…まだ口付けしただけじゃないか」
「はっ、んぅっ……ふぁっ……んんっっ……はぁ、んっっ、だ、だって……はぁ、はぁ」

 頬を染め、惚ける若菜の濡れた唇を親指で撫でると、今度は小さな若菜の耳朶をやんわりと舐め初めビクンッと華奢な体が震えた。その間、空いた指先が若菜の顎を撫で、首筋をゆっくりと伝うと思わずその大きな手に縋るように手を添え、甘い声をあげる。

「あっっ! はぁっ、あ……やぁん……ふぁ、ぁ…耳、ぁっ……やぁん」
 ビクともしない朔の指がしっとりと首筋を伝う度に、若菜の腰が敏感に反り返ってしまう。
 耳が弱点な若菜を追い詰めるように、優しく、耳の後ろから柔らかな耳朶まで舐め、歯を立てないようにして唇で包み込む。

 ――――愛している若菜には時間をかけて気持ち良くなって欲しい。

 若菜は甘ったるい声が、唇から次から次へと漏れるのが恥ずかしくて、朔の肩に顔を埋め抱き付いた。
 若菜の結い上げた髪を撫でて笑い、耳元で囁く。

「若菜の可愛い声聞かせてくれ……。俺で感じてる若菜の声が好きなんだ」

 その言葉に赤面して彼を見ると、するすると少年陰陽師の帯を脱がされサラシに巻かれた豊かな胸が見える。男装をしている義姉を脱がすことに妙な背徳的な興奮を感じていた。
 若菜は彼の言葉と段々と乱れて隙間から見える胸板と首筋に頬を染めてきゅっと布団を握りしめた。

「そのサラシ、苦しくないか? 大丈夫か?」
「う、うん……大丈夫。脱ぐのも大変だから……あっっふぁ、朔ちゃん……なに、して……あっぅっ」

 若菜の腰を抱くと、鎖骨から舌先を這わせてゆっくりとサラシの上を唇で吸い付くと羽毛のような優しい愛撫で若菜の性感帯を刺激し始める。指先が背筋をゆっくりと撫でるとビクビクと腰が波打った。

「あっ! あん! ふぁっ…はぁっ、はうっ、はぁっ、はぁん……朔ちゃ、なんか、きちゃう……ぁっ!」

 局部に感じる快楽とはまた別の、体の奥からじわじわと込み上げてくる快楽は、徐々に若菜の四肢の緊張を解していく。
 大きな手が、背中をあやすように撫でると自分でもこんなに感じるものか、と思うほど甘い声が漏れて響いてしまう。


「ん……姉さん……ほら、乳首が固くなってきた……サラシ越しに膨らんで可愛いな。ん……舐めてやるよ」

 サラシがぷっくらと膨らんで小さな蕾の形が露になると、舌先でそこを優しく舐め取り、背中から腰を指先で撫で、何度も行き来を繰り返す。サラシの下に、義弟の舌先で濡れて固くなった蕾を見ると、若菜は耳まで紅くなった。
 口許に指を寄せて朔を羞恥の表情で見つめる。
 朔は優しく微笑むと、大きな掌であくまで優しく、サラシ越しに乳房を揉み込み、舌先で臍の回りを舐め、空いた手でゆっくりと背中を撫でる。その羽毛のような心地よい快楽に陰間茶屋とは思えないような、鈴音の甘い声が響き渡った。

「はぁっ、んっ、はぁっ、あっ、朔ちゃん……ふぁっ……あっあっ……んんっ」

 若菜が手を伸ばすと、朔はそっと指先を絡めて、安心させるように握ってやる。しっとりとした若菜の肌に、口付けの痕を付けた。
 いよいよ、袴をそっと脱がすと男と同じ様に褌を付けていたので朔は、少し驚いたように目を見開いた。
 白い清潔な褌を身に付けている義姉は、裸体の時よりも妙に艶やかで、間から見える太腿の付け根が、朔を酷く欲情させ煽った。
 義弟の視線に気付いて、若菜は頬を染めると恥ずかしそうに両手を褌に添える。

「あ、あの、褌もつけなさいって……光明様が……変、だよね」
「い、いや、そんなことない。西洋では女の下着があるというしな。――可愛い」
「ほ、本当?」

 朔は、頬を染めて目を逸らし、本当だ、と耳元で囁く。
 先ずは若菜の布越しの整った亀裂を味わうように、中指で撫でながら耳朶を甘く噛んだ。
 盛り上がった恥丘に絡み付く布の感触が心地よく、何時までも触っていたくなる。ピッタリと閉じた亀裂を味わうように上下すると、その柔らかな刺激と、ねっとりと耳朶を愛撫する舌先に若菜の体は打ち震えた。

「やぁんっ…! あっ、はぁっっ、や、や、耳とそこ、だめ、一緒にしたら……あっ、あっ、あっ…はぁん、……はぁっ」

 ぎゅっと朔の着物を握りしめ、潤んだ瞳を閉じた。あまりの快楽に、自分でも恥ずかしい位に淫らな声が出てしまって、僅かに残った理性が足を閉じようとすると、素早く義弟に阻止されてしまう。
 耳朶から舌先を離すと少し笑いながら低く、甘く囁く。

「仕方ないな。じゃ姉さん、女陰に集中して愛部しようっか。もっともっと可愛い声で鳴いて欲しいからな」

 若菜は心臓を高鳴らせながら、朔の指先が器用に布越しに蠢く感触に敏感に体を震わせていた。じんわりと徐々に布が蜜で濡れ始めると、咲くもまた興奮を抑えられず隙間から指を差し入れ、愛液で濡れ始めた亀裂の表面だけを焦らすように、二本の指で撫で、わざと花芯も触れるか否かで愛撫をする。

「あっ……あっあっ……! や、やぁ、あっ…点あぁんっ、ひぁ、あっあっ、朔ちゃん……やぁっ、あっ……あうっ、あん、褌が、濡れちゃ……っっ…はぅ……じ、焦らしちゃ、や、やなの……はぁんっ」

 布と指の間から漏れる淫らな濡れ音、そして焦らすような、それでいて優しい愛撫に、若菜お強請りする事も計算済みだった。
 火照った体を震わせ、悩ましく甘い喘ぎ声は心地良く、異国の蜜色の瞳を快楽の涙で潤ませて、若菜は震える指で彼の程よく鍛えられ花弁を愛撫する腕に震える手で触れた。
 朔は口端で笑みを浮かべると、若菜の額に口付ける。

「もう我慢できない? なぁ、姉さん、夜伽の時の自分の顔が、どれだけ可愛いか知らないだろ。――――姉さんは、男を狂わせるんだ」
「はぁ……はぁっ、はぁん……しら……ない……でも朔ちゃんが……狂ってくれるなら……だめ?」

 自分の口から思わず出た言葉に、若菜は少し戸惑った。愛してる人が、自分に夢中になってくれるのが素直に嬉しい。独占したいなんて、いけない事だと思うのに、ずっと自分だけを永遠に愛して欲しい。朔は頬を染めて若菜の褌に手をかけた。
 恥ずかしがっている義弟は堪らなく可愛い。

「――――安心して、いい。俺は、姉さんの事をこの先もずっと……愛してる」

 するすると褌を外すと、恥毛の無い無垢な亀裂が露になる。既にもう清浄な霊力の蜜の香りが立ち込め、朔を誘っている。
 体を移動させると太股をゆっくりと開かせた。
 間から覗く義姉は濡れた体とは裏腹に恥ずかしそうな表情だ。朔は蠱惑的な黒豹のような笑みを口端に浮かべると言う。

「姉さん凄く濡れてる。今日は、時間もたっぷりあるし、もっともっと濡らせて……気をやらせてやるからな。姉さんは、俺だけのものだ」
「――――私を、朔ちゃんだけのものにして」

 若菜は感情が昂ぶり、潤んだ瞳で無意識にそう呟くと瞬間的に真っ赤になった。朔はその普段ならば義姉が絶対口にしないような言葉に目を見開き、心臓が高鳴って項垂れた。

「――――っ、煽るな……もう、知らないぞ」

 堪らず若菜の花弁を指で開けると、小陰口を尖らせた舌先でゆっくりと舐める。天上の華の上品な香りと、甘い穢れの無い霊力を含んだ蜜を絡ませつつ右指は外陰唇を撫でた。
 じっくりと満遍なく両方のヒダに舌を這わせて吸うように口付けると、若菜は傷一つ無い白い内股を震わせた。

「ひぁっ、はぁっ、やぁっ、はぁっ、あっ、あっあっあっ、朔ちゃん……はぁ……っ……やぁんっ……あっ、あっ、や、まって……あぅっ」

 若菜は堪らず、瞳を見開き彼の頭に手を置いて快楽に逃げそうになったが、制止されさらにニヤリと若菜を見る。
「駄目だ、逃がさない。若菜はここを舐められるのが好きだろ……?」

 水音をさせて舌先を離すと決して獲物を逃す事のない黒豹のように、薄桃色の蜜穴から花弁の花弁まで深く口付けるように舐め、吸い上げる。
 追い詰めるようにしつこくピッタリと吸い付くと、更に上品な香りが立ち込め、蜜がキラキラと光って溢れると甘い声がより一層高くなった。まだ、一番の弱点である花芯を責められている訳では無いのに、若菜の腰が砕けそうになる位に気持ちが良く、ビクビクと体をくねらせていた。
 淫らなちゅぷ、ちゅぷと言う音が部屋に鳴り響いて羞恥と快楽にじんわりと白い肌に玉の汗が滲む。

「はぅぅ、す……きっ、あっあっあっ、あ、やぁ、やん、はぁ、や、こんなの、へん、直ぐに、まだ弱い、とこ、舐めて、ないのに……あっあっあっ!」
 光明が言うように朔の舌と唇は、若年ながら女の体を熟知しているのか、若菜の感じる場所を夜伽の度にしっかりと学習しているのか、最愛の人に愛撫される喜びも相まってか、直ぐに絶頂に達してしまいそうだ。

「ん……はぁ、凄い濡れてきた……感じてるんだな? 直ぐに気をやっても構わないんだぞ、姉さんが満足するまで何度だって……んっ……」

 敢えて一番弱い花芯をずらし、薄桃色の溝と尿道口、そして蜜穴を、舌先で丹念に舐め吸い上げると若菜は太股を大きく震わせ、声も出せずに絶頂に達する。
 トロトロと溢れた天の恵みのような愛液を舐めとるように、下から上へと何度も往復し、遂に小さな薄桃色の花芯を唇に含むように深く口付けた。

「…はぁ、はぁ、…っ、やぁぁっ! あっ、はぁん、やっやっやっ、その舐め方だめ、だめ、やだ、また、直ぐに、いっちゃ、う、の、あぁ、あっ――――ッ!!」

 若菜の両手首を掴み、花芯を深く吸い上げ舌先で器用に根本から転がし、また深く吸い上げる愛撫に、一番そこが敏感な若菜は一気に追い上げられまたしてもガクガクと体を震わせ、背中をそらして眞液を飛び散らせ、頂まで上り詰めた。
 自分の喉仏に若菜の飛び散った眞液を感じて、呼吸を乱し潤んだ瞳で惚けて自分を快楽と涙でぐしゃぐしゃになり、蕩けたような表情で見る若菜を見て、ゾクゾクと興奮が体を駆け巡る。
 この世で一番愛しいと言う気持ちと、それでいて快楽で彼女を壊してしまいたいと言う、自分勝手な気持ちも込み上げてくる。

「姉さん、もう二回も気をやってしまったのか……。
 ゆっくり呼吸して……大丈夫か? これからもっと快楽が激しくなるぞ」
「はぁ……はぁ、ん、大丈夫……だよ……朔ちゃん」

 若菜が目を潤ませ、頬を染めながら痩我慢かも知れないが健気にそう答えると、朔は愛しさに目を細めた。
 ――――例え彼女が無理だと言っても、まだ離す気などない。

 朔は若菜の蜜を十分に絡ませるとそれを潤滑油に中指は菊座を、そして花弁には人差し指を挿入した。ゆっくりと、どちらの花の内部も傷付けないように撫で、花芯を舌先で転がしながら唇で花弁から覆い尽くすように吸い取り、舐める。

「ひっ……っ、やぁぁっっ! あっあっあっあっ、ひぁ、あっあんっ、だめぇ、そんな、お尻まで、全部したら、あっあっあっ、気持ち良くて変になっちゃ……本当にっ本当にっ、気持ちよすぎて、やだぁ許して、あっあっ朔ちゃんっっ」

 自分より1つ年下の朔が此ほどまで女体に詳しいのは少し妬けてしまうけれど、器用な指先は決して痛みを与えず、若菜の気持ちの良い場所を的確に愛撫し、既に前戯だけで翻弄されてしまっている。懇願するように体を捩ろうとするが彼の力の前では無力だ。

「だめ、逃がさない。ん……はぁ、姉さんの蜜……甘いな……水飴みたいだ……はぁ、はぁ……溺れてしまいそうなくらい濡れて……俺の指を締め付けてくる。可愛いな……ほら、ヒクヒク波打ってきた、気をやりそうだろ? ……んっっ」
「ひゃあ、あふっ、あ、いくっ、あっあっあっ、またいっちゃう、やぁ、やぁぁんんん」

 ピンと立ち上がった薄桃色の花芯を少し強めに吸って敏感な赤い実を皮から掘り起こすと、舌先で柔らかく花芯の実を押した。その瞬間、若菜はビクンッと腰を浮かせて可愛い声で絶頂に達する。

 既に朔の陰茎ははちきれんばかりに勃起し、ゆっくりと体を起こすと陰陽師の上着を脱ぎ、帯を緩めた。その仕草に若菜はドキドキと心臓を高鳴らせた。ふと、若菜の頬に大きな手が触れると朔が切ない表情で言う。

「もう、はぁ……我慢できない……若菜の膣内なかに挿れていい? 1つになりたい」

 何時も冷静沈着で自分より大人びた義弟は、こんな時だけ末っ子特有の甘え上手、おねだり上手になる。そんな彼に胸が締め付けられて少し頬を膨らませて言う。

「本当にずるい。そんな顔されたら、はぁ……絶対断れないもん」
「――――嫌か? 辞める?」
「ち、違うの、や、辞めないで……弱い、から……朔ちゃんのその顔……その……もう……えと、大好き」

 もう自分でも何を言っているのか分からなくて真っ赤になって目を瞑る若菜が可愛くて額に口付けると、指を絡めて優しく言う。

「ん。俺も大好きだ。挿れるぞ、若菜」
「うん……ぁっっ」

 そう言うと若菜の体を抱き締めるようにして、根元まで深々と陰茎を挿入する。奥まで吸い寄せるような蛸壺、入口と根元を締め付ける強さ、内側のビダの多さ、そして亀頭を刺激する天上の粒……愛液の質、何度抱いてもきつく、まるで女神のように完璧に設計された名器だ。
 挿入しただけで、思わず精を放ちそうになるのを歯を食いしばり堪えて、動かないまま抱き締める。若菜もまた、硬く少し大きいものの、朔のそれがピッタリと蜜壺に収まって体がうち震えてしまうほど感じている。
 何より愛している恋人のものが、自分の膣内なかにあると思うだけで、幸せ過ぎてぎゅっと彼の背中に抱きつく。

「はぁ……はぁ、朔ちゃん……もっと、ぎゅってして、朔ちゃんの香り安心するの」
「はぁ……はぁ、してやるから……あのさ……無意識なのか……? なんでそんなに可愛いんだ」

 朔は吐息を乱しながら若菜の体を抱き締めると掠れた声で呟いた。今日はやけに素直だ。もしかすると葵の事が原因かもしれない。潤んだ瞳の姉に軽く口付ける。

「姉さん……激しくなったらすまん。はぁ……俺、興奮してるからな……痛かったら言ってくれ」
「はぁ、はぁ、う、うん……沢山して」

 朔は若菜の腰を抱き締め内部を擦るようにゆっくりと動き始めた。蜜を絡めて動く摩羅が、部屋の中で淫らな音色を奏でる。

「あっあっ、あっ、ふぁあっ、あんっっ! ひぁ、あっ、あっ、や、や、そこ、擦っちゃ……ふぁぁあっ!」

 若菜の体が敏感に反応する場所を、ゆっくりと亀頭の先で擦り立てると、若菜はきゅっと目を閉じて口端から銀糸を垂らした。朔は黒豹のようにきゅっと目を細め、さらに深く、少し焦らすように、ゆっくりと腰を動かす速度を落とし、停止すると若菜の蜜壺が、義弟を求めるように物欲しそうに収縮した。

「はぁ……はぁ、じゃ、ここ擦るのやめようか?   姉さんの膣内なかは、随分と俺を求めて物欲しそうだけど?」
「や、や、朔ちゃんのいじわる……そこ、して……ほしいの」
「――了解」

 若菜は真っ赤になって消え入りそうな声でお強請りをする。羞恥と焦らされる快楽に、体が熱くなってしまって理性がどんどんと溶かされていく。
 ――――朔が欲しくてどうしようもない。
 そんな若菜の反応に、朔はニヤリと少し嗜虐的に笑って、唇を奪い淫らに舌先を絡めた。
 若菜の舌先を追いかけ、唾液を流し込みながら、再び腰を動かして己を擦り付けると、ミミズ千匹とも言われる膣壁が、摩羅の表面に絡み付いては引き寄せ、押し退け、腰が溶けしまいそうなくらいの凄まじい快楽が朔の下半身から込み上げてくる。

「んっ、んっ、んぅ、ちゅっ、はぁっ、あっあっあっ、やぁあっ、朔ちゃん、はげしっ、あ、はぁんっ、気持ちいいよぉ、あっ、あはっ、やっやっやっやっ!」
「はぁ、はっ………すまない、凄く気持ちいいんだ、若菜の膣内なか愛してる……誰よりも愛してる」

 愛しさと、希有な天上の華は易々と朔の理性を奪って獣へも変えていく。二人の甘い吐息と若菜の花弁から溢れる蜜音が、徐々に大きく音を響かせ、肌のぶつかり合う音が二人を高めていた。

「はぁぁっ、あっ、やぁんっ、やっやっ、あっ、だめ、わたし、またいっちゃ、はぅ、あっ、一緒にいきたいのに、はぅ、やぁあぁぁ!」

 敏感な若菜は直ぐに組み敷かれた朔の体の下で体を強ばらせ、背中を反らすと絶頂に達する。
 下腹部で眞液が飛び散って潮吹きし、腹が濡れたのを感じると堪らず朔は射精しそうになるのをまだ堪えて、甘い吐息を絞りだすように吐いた。
 そして、若菜を抱き上げ繋がったまま膝に座らせる。驚きつつ彼を朦朧とする意識の中で朔を見つめる。

「はぁ……はぁ、気にするな。俺に……はぁ、それだけ感じてるってことだろ……何時もより早く気をやってるものな……嬉しい、次は一緒にいこうな?」
「はぁ……はぁ、そうなの、嬉しくて幸せで、私」

 涙ぐんで微笑み若菜をまるで、宝物を愛でるように朔は優しく微笑み、頭を優しく撫でた。腰を抱くと下から突き上げるように腰を動かす。満たされた気持ちのせいか何度も絶頂に達しているせいか、先程より膣内は素直にうねり、ブツブツの粒が亀頭や裏筋を刺激してくる。若菜も、奥を突き上げ擦り立てる硬い摩羅に堪らず首元にぎゅっと抱きついた。

「あっあっあっ、あぁっ、朔ちゃん、好き、はぁっ、あぁんっ、やぁっ、はぁ、あっあっ、愛してる」
「はぁ、はぁっ……若菜……好きだ……誰よりも愛してる、ぁあっ、はぁっ」

 更に激しく朔は動き、若菜の首筋に舌先を這わせて口付けて強く痕を付けた。若菜の表情は甘く溶け、額に稲穂の髪が汗で張り付いている。 
 子宮口に向かって突き上げられると、もう快楽でなにも考えられなくなる。

「若菜、はぁ……我慢できない……っ、も、いっていい? 凄く締め付けて……っ、はぁ……一緒に……っっ」
「はぁ、はぁっ、わたしも、あぁん、はぁぁん、だめ、もうだめ、一緒に朔ちゃん…っ、やぁぁんんん!」

 若菜が抱きついた瞬間、激しく膣内なか蠕動ぜんどうし朔から放たれた精液がどくどくと、膣内に放たれ、二人の結合部からこぼれ落ちてくる。
 どうにも若菜と夜伽をすると、いつもより精液が勢いよく出てしまう気がするのは気のせいか。

 ゆっくりと力の抜けた若菜から陰茎を抜くと、とろりと桜色の花弁から白濁した糸を引いた。
 若菜を緋色の布団に横たえると、濡れた手拭いで局部を綺麗にしてやる。そして褌をつけてやった。

「はぁ……はぁ……さ、朔ちゃん……自分でやるから、大丈……」
 申し訳なさそうにしつつ、眠気でふわふわとしている若菜の、頬に口付ける。

「ごめんな、激しかったか? 疲れただろ姉さん。今日は朝まで貸切りだといっていたし、寝ていい。俺も久し振りにゆっくり眠れる」

 若菜の横に体を横たえると、肘をついて優しい眼差しで自分を見る彼の開いた胸板に額をつけて抱きついた。

「ううん、大丈夫だよ」

 白蓮の香りが若菜を包み込んでこの世で一番安心できる人の腕が背中にまわり抱き締められと、深く息をついた。朔は優しく大きな手のひらで何度も姉の頭を撫でてやっていた。

「朔ちゃん、今日はゆっくり休んで。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ、若菜」

 この瞬間だけは誰にも邪魔されない二人だけの幸せな空間だった。永遠にこの時間が続けば良いのに、と共に同じ願いを胸に抱きながら、二人は深い眠りに落ちた。

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