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第二部 天魔界編
漆、天と地の暴君―其の壱―
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生まれて始めて訪れた天界は、地上とは比べ物にならないくらい穏やかだった。木花之佐久夜毘売が若菜へと送った桜の花は、どうやら枯れる事の無い万年桜なのだという。
母の葛の葉とじっくり話す時間を設けられた晴明は、交わす言葉は少ないながらも少しずつ己の心が、雪解けしていくのを感じた。自分を捨てた母親を憎みながらも、同じくらい葛の葉の愛情を求めていた事に改めて気付かされる。天帝がこの時間を自分に与えたのは、警戒心を解き、自分に対する忠誠心を誓わせる為だろうか。天帝への絶対的な忠誠とは、すなわち彼の命で、第六天魔王の討伐へ向かう正式な誓いだ。返答の期日は、刻一刻と迫っており決断せねばならない。
それにしても何故、天帝は阿修羅王よりも半神である晴明に、先回りをしろと言ったのだろう。あの傲慢で尊大な性格を思えば、鼻持ちならないのは分からなくも無い、と晴明は苦笑する。
美しい桜を見ていても、思い出すのは最愛の少女の柔らかく優しい笑顔だけだ。
若菜が側にいない天界は何もかも灰色で、心がずっしりと重く感じられる。若菜との何気ない会話でも晴明にとっては何よりも愛しい思い出だ。きっと今頃、あの旅籠屋かそれとも完成した新たな寝殿造で寂しい思いをしているに違いない。
できる事ならば憂いなく二人だけの世界で、最愛の若菜を娶り、毎夜彼女を抱き甘い愛の言葉を囁いて、穏やかな日々を送りたい。
「――――安倍晴明」
鈴音が転がるような美声に突然呼びかけられ、晴明は驚いたように視線を向けた。
漆黒の流れるような美しい長い髪に桜色の唇、そして憂いを秘めた黒い瞳。年齢は若菜より少し年上に見えるその女神は、背後にお付きの天女を連れていた。八百万の女神での中でも位の高く、目の覚めるような美しさを持つ者はただ一人しかいない。
「貴女様は、木花之佐久夜毘売であられるか?」
「ええ。わたくしの事を良く存じているのですね。改めて貴方にご挨拶と思い、お伺い致しました」
「まさか、貴女様から此方においでなさるとは……本来ならば私がご挨拶に伺うべきところだ」
木花之佐久夜毘売は、袖で口元を優雅に抑えると僅かに微笑んだ。彼女の住む神域は女の園で、男子禁制の場所だ。晴明が訪れたところで門前払いを食らうのは目に見えている。そんな彼女がわざわざ異性の晴明の元へ挨拶に訪れたと言う事は、何か用があるのだろうか。
晴明は彼女と付き人の天女達を招き入れる
桜をが見える場所に木花之佐久夜毘売を通し、茶菓子と神茶を持った同じく天女の女房が現れる。
「――――思ったとおりわたくしの桜は、この寝殿造に良く似合いますね」
「ええ。若菜も詩乃の時から桜を愛していたので、喜ぶことでしょう」
「わたくしとあの娘との出会いは、桜の木の下でした。わたくしの祀られた神社で、幼い若菜は桜の木の下で参拝する人間を霊視していた私に事に気付いたのです。紅葉のような可愛らしい手で金平糖を差し出した時の事は、今でも鮮明に覚えていますよ。本当に愛らしい子でした」
木花之佐久夜毘売はそう言うと、目を細めた。霊感が強く無垢な子供だった若菜と出会った女神は、それから彼女を目に掛け加護を授けた。成長した若菜もまた、その記憶を忘れても無意識に木花之佐久夜毘売を信仰するようになった。
「貴女様は、若菜が『神の繭』と存じていたのか?」
「ええ。と言いましても……、若菜の精気が殿方に貪られるようになり、あの娘の失われた精気を、わたくしが補充する為に夢の中で寵愛するようになってからですけれど」
憂いを秘めた女神の瞳が細まり、どこか非難するように晴明を見た。彼女にとっては若菜に関わる全ての男がそう言う存在であるという事だ。居心地の悪さを感じながらも、晴明は表情を崩さずに女神を見つめる。
先に視線をそらしたのは木花之佐久夜毘売で、彼女は手のひらに舞い降りた桜の花びらを包み込むと言葉を続けた。
「わたくしの神通力が、若菜の神性を高め『神の繭』として目立ちやすくなってしまったのは誤算です。そして、若菜は今の、第六天魔王の元に」
「――――っ! 若菜が……第六天魔王の元にだと?」
晴明は形相を変えると、立ち上がり木花之佐久夜毘売を見下ろした。朔の意思が残っているのか、それとも『神の繭』を欲した第六天魔王が若菜を連れ去ったのか。
嫉妬と焦燥感が晴明の心を蝕んだ。女神は静かに晴明を見上げると言う。
「第六天魔王は恐ろしい殿方です。しかし……わたくしは、今の阿修羅王の方が恐ろしく、危険性を感じるのです。若菜を救出するのならば油断されないように。それに……わたくしの視た未来は……晴明、貴方と魔王が手を取り合っておりました」
「朔ならば望みはあれど、私が見た魔王はそのような欠片も無かった。阿修羅王と一時的に手を組む事があったとて、あの男に対して信頼など持ち合わせておらぬ。心配なされるな、魔王を封じて若菜を取り戻す」
光明を殺害した時の朔は、口調も雰囲気も別人だった。もし朔の意識があるというならば、なぜ半年間も若菜を放置してきたのか。
魔王は人界を攻め入る動きはまだ無いものの、天帝の動きを察知し、魔王が『神の繭』である若菜を、利用しようとしている可能性はある。第六天魔王と共闘するなどと有り得ない。そうなれば全面的に天帝に歯向かう事になるのでは無いだろうか。
「お戯れを、木花之佐久夜毘売様。だが、若菜の情報は大変助かりました。若菜は天帝の許しを得て、天界に連れ帰る」
「わたくしも、早う若菜に逢いたい。ですが晴明、愛に溺れて大切なものを見失わぬよう。わたくしも貴方も若菜を大切に思っている事には変わりないのです」
木花之佐久夜毘売はそう言うと、ゆっくりと立ち上がった。付き人の天女達が付き従うように立ち上がると晴明は無言のまま彼女を見送る。天帝への返事にもう迷いはない。朔の器を借りた第六天魔王を封じると心の中で強く誓った。
✤✤✤
由衛と吉良が若菜に強制的に遠く離れた場所に飛ばされ、必死になって主の残り香を探し、ようやく別れたあの街道まで戻ってきた。そこには、無残に殺害された天界人の姿があり二人は戸惑いながら大声で、愛しい主の名前を叫び探し回っていた。
『姫! 何処にいらっしゃるのです!? 私めの名前をお呼びください!』
『若菜! 何処にいる! 返事をしろ!』
何度呼びかけても彼女の返事は無く、二人は落胆したように肩を落とした。式神である自分達が消えていないと言う事は、彼女の命は無事であるという事だ。若菜の一声さえあればどんな場所でも駆け付ける事ができる。
しかし、あの鞍馬天狗に囚われていた時のように術を封じられていれば、彼女の声は二人には届く事は無い。
『……まさか、法眼がお姫さんをまた拐かしたんとちゃうやろうな』
『いや、あいつは晴明にやられちまって部下の数も減ってる。好色な野郎だが、己の組織の立て直しも出来てねェのに嬢ちゃんを狙うほど、馬鹿じゃねェよ。晴明がこいつらを始末して新しい寝殿造に移ったんじゃあるめぇな?』
『せやったら、俺達をおさんか呼び寄せるやろ。吉良、こいつを見てみぃ……羽がもぎ取られてる。いくら晴明様が半神やゆうても、普段は薙刀と術式を使う方が、こんな力技するとは思われへんのや』
由衛が指差した先を見ると、絶命した天界人の背中に、無理矢理手で引き千切られたかのような跡が残っていた。確かに晴明の戦い方とは異なるような気がする。それも、強力な相手である天界人に二人とも絶命させていた。
となると何者かに若菜は助けられ、それから連れ去られた事になるのではないか。その相手が、男か女かは分からないが、式神を呼べないような場所に若菜は連れて行かれたのか、霊力を完全を制御されているように思える。
『なぁ、由衛。まさかと思うが朔じゃねェだろうな。天界人を殺せるような人間や天魔が、そうそういるとは思えねェんだがよ』
『はァ? そないなことあるかぁ! あの青二才は完全に第六天魔王なってたやないか。今さらなんであいつが……。いや待てよ、あの時は俺も、お前も、晴明様もお姫さんの側におらへんかった状況や』
――――第六天魔王が若菜を助けた?
二人の式神の頭の中で同じ答えが浮かんだ。
『おいおい、てめェの感が当たってちまってたら若菜は天魔界にいることになるじゃねェか』
『はぁ~~。もしほんまに俺の言う事が正しいんやったら……えらいことやわ。自慢やないがお姫さんの為やったら地の底まで行く覚悟はある。せやかて、お姫さん、どないしたらええんや……!』
由衛は耳を垂らすと、うぉんうぉんと鳴き始めた。愛しい主人である若菜と離れる事は、一時的であっても死よりも苦しく辛い。愛しい主の為ならば、いくらでもこの命を捧げられるが、上級妖魔とて天魔界の扉を開けるような事は簡単ではない。
『まァ、とりあえず晴明を待つしかねェぞ。どっちにしろ嬢ちゃんがキョウの都を出て、東にいった形跡も無ければ、西にいった形跡も感じようにねェ訳だし……完成間近の寝殿造に行くしかねェな』
由衛は溜息をつくと、珍しく吉良に同意する。自分が存在しているという事は、何より彼女が生きている証拠なのだ。晴明の半神としての神通力を借りるような事になっても、必ずや愛しい主の元へと駆け付ける。
詩乃姫を護れず、最愛の姫が自分の眼の前で命を落としてからずっと、胸に刻み込んでいた誓いだ。
『姫……必ずお側に参りお守り致します』
母の葛の葉とじっくり話す時間を設けられた晴明は、交わす言葉は少ないながらも少しずつ己の心が、雪解けしていくのを感じた。自分を捨てた母親を憎みながらも、同じくらい葛の葉の愛情を求めていた事に改めて気付かされる。天帝がこの時間を自分に与えたのは、警戒心を解き、自分に対する忠誠心を誓わせる為だろうか。天帝への絶対的な忠誠とは、すなわち彼の命で、第六天魔王の討伐へ向かう正式な誓いだ。返答の期日は、刻一刻と迫っており決断せねばならない。
それにしても何故、天帝は阿修羅王よりも半神である晴明に、先回りをしろと言ったのだろう。あの傲慢で尊大な性格を思えば、鼻持ちならないのは分からなくも無い、と晴明は苦笑する。
美しい桜を見ていても、思い出すのは最愛の少女の柔らかく優しい笑顔だけだ。
若菜が側にいない天界は何もかも灰色で、心がずっしりと重く感じられる。若菜との何気ない会話でも晴明にとっては何よりも愛しい思い出だ。きっと今頃、あの旅籠屋かそれとも完成した新たな寝殿造で寂しい思いをしているに違いない。
できる事ならば憂いなく二人だけの世界で、最愛の若菜を娶り、毎夜彼女を抱き甘い愛の言葉を囁いて、穏やかな日々を送りたい。
「――――安倍晴明」
鈴音が転がるような美声に突然呼びかけられ、晴明は驚いたように視線を向けた。
漆黒の流れるような美しい長い髪に桜色の唇、そして憂いを秘めた黒い瞳。年齢は若菜より少し年上に見えるその女神は、背後にお付きの天女を連れていた。八百万の女神での中でも位の高く、目の覚めるような美しさを持つ者はただ一人しかいない。
「貴女様は、木花之佐久夜毘売であられるか?」
「ええ。わたくしの事を良く存じているのですね。改めて貴方にご挨拶と思い、お伺い致しました」
「まさか、貴女様から此方においでなさるとは……本来ならば私がご挨拶に伺うべきところだ」
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晴明は彼女と付き人の天女達を招き入れる
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「――――思ったとおりわたくしの桜は、この寝殿造に良く似合いますね」
「ええ。若菜も詩乃の時から桜を愛していたので、喜ぶことでしょう」
「わたくしとあの娘との出会いは、桜の木の下でした。わたくしの祀られた神社で、幼い若菜は桜の木の下で参拝する人間を霊視していた私に事に気付いたのです。紅葉のような可愛らしい手で金平糖を差し出した時の事は、今でも鮮明に覚えていますよ。本当に愛らしい子でした」
木花之佐久夜毘売はそう言うと、目を細めた。霊感が強く無垢な子供だった若菜と出会った女神は、それから彼女を目に掛け加護を授けた。成長した若菜もまた、その記憶を忘れても無意識に木花之佐久夜毘売を信仰するようになった。
「貴女様は、若菜が『神の繭』と存じていたのか?」
「ええ。と言いましても……、若菜の精気が殿方に貪られるようになり、あの娘の失われた精気を、わたくしが補充する為に夢の中で寵愛するようになってからですけれど」
憂いを秘めた女神の瞳が細まり、どこか非難するように晴明を見た。彼女にとっては若菜に関わる全ての男がそう言う存在であるという事だ。居心地の悪さを感じながらも、晴明は表情を崩さずに女神を見つめる。
先に視線をそらしたのは木花之佐久夜毘売で、彼女は手のひらに舞い降りた桜の花びらを包み込むと言葉を続けた。
「わたくしの神通力が、若菜の神性を高め『神の繭』として目立ちやすくなってしまったのは誤算です。そして、若菜は今の、第六天魔王の元に」
「――――っ! 若菜が……第六天魔王の元にだと?」
晴明は形相を変えると、立ち上がり木花之佐久夜毘売を見下ろした。朔の意思が残っているのか、それとも『神の繭』を欲した第六天魔王が若菜を連れ去ったのか。
嫉妬と焦燥感が晴明の心を蝕んだ。女神は静かに晴明を見上げると言う。
「第六天魔王は恐ろしい殿方です。しかし……わたくしは、今の阿修羅王の方が恐ろしく、危険性を感じるのです。若菜を救出するのならば油断されないように。それに……わたくしの視た未来は……晴明、貴方と魔王が手を取り合っておりました」
「朔ならば望みはあれど、私が見た魔王はそのような欠片も無かった。阿修羅王と一時的に手を組む事があったとて、あの男に対して信頼など持ち合わせておらぬ。心配なされるな、魔王を封じて若菜を取り戻す」
光明を殺害した時の朔は、口調も雰囲気も別人だった。もし朔の意識があるというならば、なぜ半年間も若菜を放置してきたのか。
魔王は人界を攻め入る動きはまだ無いものの、天帝の動きを察知し、魔王が『神の繭』である若菜を、利用しようとしている可能性はある。第六天魔王と共闘するなどと有り得ない。そうなれば全面的に天帝に歯向かう事になるのでは無いだろうか。
「お戯れを、木花之佐久夜毘売様。だが、若菜の情報は大変助かりました。若菜は天帝の許しを得て、天界に連れ帰る」
「わたくしも、早う若菜に逢いたい。ですが晴明、愛に溺れて大切なものを見失わぬよう。わたくしも貴方も若菜を大切に思っている事には変わりないのです」
木花之佐久夜毘売はそう言うと、ゆっくりと立ち上がった。付き人の天女達が付き従うように立ち上がると晴明は無言のまま彼女を見送る。天帝への返事にもう迷いはない。朔の器を借りた第六天魔王を封じると心の中で強く誓った。
✤✤✤
由衛と吉良が若菜に強制的に遠く離れた場所に飛ばされ、必死になって主の残り香を探し、ようやく別れたあの街道まで戻ってきた。そこには、無残に殺害された天界人の姿があり二人は戸惑いながら大声で、愛しい主の名前を叫び探し回っていた。
『姫! 何処にいらっしゃるのです!? 私めの名前をお呼びください!』
『若菜! 何処にいる! 返事をしろ!』
何度呼びかけても彼女の返事は無く、二人は落胆したように肩を落とした。式神である自分達が消えていないと言う事は、彼女の命は無事であるという事だ。若菜の一声さえあればどんな場所でも駆け付ける事ができる。
しかし、あの鞍馬天狗に囚われていた時のように術を封じられていれば、彼女の声は二人には届く事は無い。
『……まさか、法眼がお姫さんをまた拐かしたんとちゃうやろうな』
『いや、あいつは晴明にやられちまって部下の数も減ってる。好色な野郎だが、己の組織の立て直しも出来てねェのに嬢ちゃんを狙うほど、馬鹿じゃねェよ。晴明がこいつらを始末して新しい寝殿造に移ったんじゃあるめぇな?』
『せやったら、俺達をおさんか呼び寄せるやろ。吉良、こいつを見てみぃ……羽がもぎ取られてる。いくら晴明様が半神やゆうても、普段は薙刀と術式を使う方が、こんな力技するとは思われへんのや』
由衛が指差した先を見ると、絶命した天界人の背中に、無理矢理手で引き千切られたかのような跡が残っていた。確かに晴明の戦い方とは異なるような気がする。それも、強力な相手である天界人に二人とも絶命させていた。
となると何者かに若菜は助けられ、それから連れ去られた事になるのではないか。その相手が、男か女かは分からないが、式神を呼べないような場所に若菜は連れて行かれたのか、霊力を完全を制御されているように思える。
『なぁ、由衛。まさかと思うが朔じゃねェだろうな。天界人を殺せるような人間や天魔が、そうそういるとは思えねェんだがよ』
『はァ? そないなことあるかぁ! あの青二才は完全に第六天魔王なってたやないか。今さらなんであいつが……。いや待てよ、あの時は俺も、お前も、晴明様もお姫さんの側におらへんかった状況や』
――――第六天魔王が若菜を助けた?
二人の式神の頭の中で同じ答えが浮かんだ。
『おいおい、てめェの感が当たってちまってたら若菜は天魔界にいることになるじゃねェか』
『はぁ~~。もしほんまに俺の言う事が正しいんやったら……えらいことやわ。自慢やないがお姫さんの為やったら地の底まで行く覚悟はある。せやかて、お姫さん、どないしたらええんや……!』
由衛は耳を垂らすと、うぉんうぉんと鳴き始めた。愛しい主人である若菜と離れる事は、一時的であっても死よりも苦しく辛い。愛しい主の為ならば、いくらでもこの命を捧げられるが、上級妖魔とて天魔界の扉を開けるような事は簡単ではない。
『まァ、とりあえず晴明を待つしかねェぞ。どっちにしろ嬢ちゃんがキョウの都を出て、東にいった形跡も無ければ、西にいった形跡も感じようにねェ訳だし……完成間近の寝殿造に行くしかねェな』
由衛は溜息をつくと、珍しく吉良に同意する。自分が存在しているという事は、何より彼女が生きている証拠なのだ。晴明の半神としての神通力を借りるような事になっても、必ずや愛しい主の元へと駆け付ける。
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