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2 英雄達の秘密①(※性描写有り)
「お父さん、お酒一本追加ね。お母さん、バジリスクのレアステーキも一枚追加だって。あと、飛竜のフォアグラのソテーも」
「はぁ、今日の夜は英雄様御一行様の貸し切りにしておいて良かったな。大忙しだ」
「本当に、うちの宿酒場を選んでくれてありがたいわ。いつかドルチェが結婚して子供が生まれたら、語り継いでいくのよ」
「お母さんってば、気が早いよ!」
恋人なんていないし、そんな予定なんて全然ないもん。
まだランスロット様に片思いしていたい。お母さんの言う通り、王都にはたくさんの宿酒場があるから、ここを選んでくれたのは本当に奇跡なの。私、さっきの会話で一生分の運を使い果たしちゃったわ。
この宿場宿を選んだのは、王都の外れにあるからかな。宿が満員になることなんてお祭りの時しかないし、大きすぎないから、あまり他の人の目を気にせずこじんまりと楽しめるのがいいのかも。
私は、家族と自分のお店がとても誇らしく思って鼻歌を歌った。そして今日の最後の注文を、英雄様たちに届ける。
「お待たせしました……!」
✥✥✥
今夜が冒険者の仲間として過ごす、最後の晩餐ということで、御一行様は、この宿で泊まってくれることになったの。
広い一階は、酒場になっていて、カウンターの奥にある扉の向こうには、私達の家族の部屋に続いているの。二階はお客様が泊まる、お部屋になっているわ。
いつもはお仕事に疲れて、ぐっすり眠ってしまうのに、今日に限って私は夜中に目を覚ましてしまった。
ランスロット様に出会えて興奮しているのかしら?
「……ふぁ。喉乾いたなぁ」
腰まであるお母さん譲りの、ホワイトピンクベージュの癖毛を指で梳くと、欠伸をして両親の部屋を通り過ぎ、カウンターまで向かう。
それから、ヤギ乳のミルクを一口飲むと、二階で物音と声が聞こえたような気がして、私は思わず見上げた。もちろん、お客様が宿泊していれば、物音なんて当然聞こえるし、普段なら気にしないのだけど……。
「誰か起きてるのかな……。もしかしてランスロット様?」
普段ならそんな物音なんて、気にしないのにどうしてか分からないけれど、私は客室の方を見に行くことにしたの。お客様が遅くまで起きている時もあるし、就寝前の見回りはお父さんの役割になっているの。一応、『必要なものがありませんか』って寝る前に聞くのよね。
もし、ランスロット様がなにか必要とされていたら……なんて考えると、ドキドキしちゃった。
今日は、英雄様御一行しか宿泊していないけれど、音を立てないようにして階段を登ると、くぐもった女性の声が聞こえた。
フィーネ様の部屋の方だわ。もしかして具合が悪いのかな?
僅かな明かりが漏れていて、不審に思った私は、音を立てないようにして部屋に近付く。
「はっ、んぁぁ、良いっ、あっあっ、ランスロットっ……はぁっ、もっと奥まで、突いて、突いてぇ、はぁっ」
「はぁっ、フィーネ、お前も好きだな」
私は心臓が止まりそうになって自分の口を手で塞いだ。ベットがギシギシと揺れ、全裸のフィーネ様が獣のように四つん這いになり、彼女の両腕を掴みながら、全裸のランスロット様が荒々しく腰を動かしていた。
私は頭が真白になった。石で頭を殴られたみたいに、強い衝撃を感じた。
あの、あの行為って……たぶん、夜の営み……よね? どうして……フィーネ様とランスロット様があんなことをしているの?
だって、ランスロット様は、メヌエット様と婚約されているのに。
ショックで体が震え、私はもうこの場から逃げ出そうとして、踵を返すとそこにはレジェロ様が立っていて、口を塞がれる。
「っ……!」
レジェロ様は、自分の唇に人差し指を当てるとしーーっと声を出して、ニヤリと笑みを浮かべた。もしかして、もしかしなくともこの人に覗いている所を見られたのかしら。
不意に、レジェロ様は私を隠すようにして体を反転させると、フィーネ様の部屋から床を踏みしめる音がした。
「――――そこに、誰か居るのか?」
「あ~~悪ぃ悪ぃ、俺、レジェロ様だよーん。便所行ってたんだわ。俺に構わず楽しんでちょーだい」
「レジェロか。お気遣いどうも」
レジェロ様は肩越しに振り返ると、ヒラヒラと手を振った。私は口を抑えられたまま固まる。彼に促されるままに動くと、隣の部屋へと入っていく。ここは、たしかレジェロ様のお部屋だったはずだわ。
そんなに壁は厚くない宿なものだから、微かにランスロット様と、フィーネ様の営みの声が聞こえて、私は顔が熱くなったの。そ、それに……気まずいわ。
私は振り向くと、扉の前で腕を組んで口角を上げるレジェロ様を見上げる。
「あ、あの、すみません。物音が聞こえたので、覗くつもりはなかったんです。私、お部屋に戻りますね。レジェロ様、助けてくれてありがとうございます」
「うん。あいつに見られてるのバレたらやばいよね♪ なんせお姫様と結婚間近だし、口封じされちゃうかもね~~」
レジェロ様は恐ろしいことを言うと、ウィンクした。ランスロット様がそんなことするわけないわ。お酒が入って……きっと、何か間違いを起こしてしまったの。ニヤニヤ笑うだけで、レジェロ様は、扉から退いてくれない。
どうしよう……、ランスロット様たちが眠るまで、ここに居たほうがいいのかな。
「困るよねぇーー、隣りでおっぱじめちゃってさぁ」
「あ、あの……レジェロ様」
「せっかくだし、俺たちも楽しもっか♡」
「はぁ、今日の夜は英雄様御一行様の貸し切りにしておいて良かったな。大忙しだ」
「本当に、うちの宿酒場を選んでくれてありがたいわ。いつかドルチェが結婚して子供が生まれたら、語り継いでいくのよ」
「お母さんってば、気が早いよ!」
恋人なんていないし、そんな予定なんて全然ないもん。
まだランスロット様に片思いしていたい。お母さんの言う通り、王都にはたくさんの宿酒場があるから、ここを選んでくれたのは本当に奇跡なの。私、さっきの会話で一生分の運を使い果たしちゃったわ。
この宿場宿を選んだのは、王都の外れにあるからかな。宿が満員になることなんてお祭りの時しかないし、大きすぎないから、あまり他の人の目を気にせずこじんまりと楽しめるのがいいのかも。
私は、家族と自分のお店がとても誇らしく思って鼻歌を歌った。そして今日の最後の注文を、英雄様たちに届ける。
「お待たせしました……!」
✥✥✥
今夜が冒険者の仲間として過ごす、最後の晩餐ということで、御一行様は、この宿で泊まってくれることになったの。
広い一階は、酒場になっていて、カウンターの奥にある扉の向こうには、私達の家族の部屋に続いているの。二階はお客様が泊まる、お部屋になっているわ。
いつもはお仕事に疲れて、ぐっすり眠ってしまうのに、今日に限って私は夜中に目を覚ましてしまった。
ランスロット様に出会えて興奮しているのかしら?
「……ふぁ。喉乾いたなぁ」
腰まであるお母さん譲りの、ホワイトピンクベージュの癖毛を指で梳くと、欠伸をして両親の部屋を通り過ぎ、カウンターまで向かう。
それから、ヤギ乳のミルクを一口飲むと、二階で物音と声が聞こえたような気がして、私は思わず見上げた。もちろん、お客様が宿泊していれば、物音なんて当然聞こえるし、普段なら気にしないのだけど……。
「誰か起きてるのかな……。もしかしてランスロット様?」
普段ならそんな物音なんて、気にしないのにどうしてか分からないけれど、私は客室の方を見に行くことにしたの。お客様が遅くまで起きている時もあるし、就寝前の見回りはお父さんの役割になっているの。一応、『必要なものがありませんか』って寝る前に聞くのよね。
もし、ランスロット様がなにか必要とされていたら……なんて考えると、ドキドキしちゃった。
今日は、英雄様御一行しか宿泊していないけれど、音を立てないようにして階段を登ると、くぐもった女性の声が聞こえた。
フィーネ様の部屋の方だわ。もしかして具合が悪いのかな?
僅かな明かりが漏れていて、不審に思った私は、音を立てないようにして部屋に近付く。
「はっ、んぁぁ、良いっ、あっあっ、ランスロットっ……はぁっ、もっと奥まで、突いて、突いてぇ、はぁっ」
「はぁっ、フィーネ、お前も好きだな」
私は心臓が止まりそうになって自分の口を手で塞いだ。ベットがギシギシと揺れ、全裸のフィーネ様が獣のように四つん這いになり、彼女の両腕を掴みながら、全裸のランスロット様が荒々しく腰を動かしていた。
私は頭が真白になった。石で頭を殴られたみたいに、強い衝撃を感じた。
あの、あの行為って……たぶん、夜の営み……よね? どうして……フィーネ様とランスロット様があんなことをしているの?
だって、ランスロット様は、メヌエット様と婚約されているのに。
ショックで体が震え、私はもうこの場から逃げ出そうとして、踵を返すとそこにはレジェロ様が立っていて、口を塞がれる。
「っ……!」
レジェロ様は、自分の唇に人差し指を当てるとしーーっと声を出して、ニヤリと笑みを浮かべた。もしかして、もしかしなくともこの人に覗いている所を見られたのかしら。
不意に、レジェロ様は私を隠すようにして体を反転させると、フィーネ様の部屋から床を踏みしめる音がした。
「――――そこに、誰か居るのか?」
「あ~~悪ぃ悪ぃ、俺、レジェロ様だよーん。便所行ってたんだわ。俺に構わず楽しんでちょーだい」
「レジェロか。お気遣いどうも」
レジェロ様は肩越しに振り返ると、ヒラヒラと手を振った。私は口を抑えられたまま固まる。彼に促されるままに動くと、隣の部屋へと入っていく。ここは、たしかレジェロ様のお部屋だったはずだわ。
そんなに壁は厚くない宿なものだから、微かにランスロット様と、フィーネ様の営みの声が聞こえて、私は顔が熱くなったの。そ、それに……気まずいわ。
私は振り向くと、扉の前で腕を組んで口角を上げるレジェロ様を見上げる。
「あ、あの、すみません。物音が聞こえたので、覗くつもりはなかったんです。私、お部屋に戻りますね。レジェロ様、助けてくれてありがとうございます」
「うん。あいつに見られてるのバレたらやばいよね♪ なんせお姫様と結婚間近だし、口封じされちゃうかもね~~」
レジェロ様は恐ろしいことを言うと、ウィンクした。ランスロット様がそんなことするわけないわ。お酒が入って……きっと、何か間違いを起こしてしまったの。ニヤニヤ笑うだけで、レジェロ様は、扉から退いてくれない。
どうしよう……、ランスロット様たちが眠るまで、ここに居たほうがいいのかな。
「困るよねぇーー、隣りでおっぱじめちゃってさぁ」
「あ、あの……レジェロ様」
「せっかくだし、俺たちも楽しもっか♡」
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