余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~

藤森フクロウ

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救出

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 結局、最初にレニが提案した通りの案を採用した。
 リヒターはもともと積極的に先陣を切るつもりだったし、作戦を考えるのが苦手な脳筋タイプである。レニやシンの意見に反対はなかった。

「とりあえず真っ先に突っ込んでごろつきを倒した後、ジャニスもぶっ飛ばせばいいんだな」

 勢いあまって殺さないといいが、まあコキャッとやってしまってもそれほど怒られないだろう。
 一番訴えそうなジャニスの実家ですら、永遠の生き恥と呼ぶくらいには見損なっている。

「ギリギリまで近づいたら、エリシアたちのいる部屋に目くらましに魔法を使います。強い光で照らすので、直視しないように気を付けてください」

 この屋敷は全体的に暗い。晴れた日中でも、窓に差す光は少ない。長らく放置されて蔓延った草木が光を遮っており、屋敷を飲み込むように覆っているのだ。
 下手に薬を使うと同じ部屋にいるエリシアにも被害が及ぶ。目くらましなら、少しの間だけ視界が不便になるだけで、時間とともに回復する。
 シンたちはぎりぎりまで部屋に近づく。レニは無詠唱で光を灯す魔法を最大光力で作り、まだ騒いでいる部屋に投げ込んだ。

「きゃあ!?」

「うわぁ!」

「ぐ……っ!」

 部屋中が真っ白な光で埋め尽くされ、三者三様に悲鳴が上がる。
 シンたちはレニの警告通り、光源を直視しないようにしていたので無事である。
 光が収まるのを確認し、走り出すのはリヒターだ。さすが現役騎士だけあり、その走りは早く力強い。あっという間にごろつきに近づき、光で目がくらんだごろつきは闇雲にナイフを振り回すが、弾かれる。大した抵抗もできず、鞘で強く打ちつけられて転がった。
 次はジャニスのはずだったが、眩しさに驚いて転んだらしい。運悪く、床に散らばった木材でも踏んだのかもしれない。
 
「ごろつきは私が縛るから、二人はジャニスを縛ってくれ」

 リヒターの言葉にシンとレニはうなずく。
 そして、部屋の中で不安そうにしていたエリシアに気づいた。床にへたり込んではいるが、怪我はないようである。

「はい! ごめん、もうちょっと待っててエリシア!」

「こいつらを捕縛したらすぐそちらに向かいます!」

 エリシアはシンとレニの声に、すごい勢いで顔を挙げた。
 だが、まだ視界が利かないらしい、何度もまばたきしながら、顔をしかめている。

「やっぱりシンとレニがいるの? 誰か貴方たちの名前を言っていたのは気のせいじゃなかったのね」

 その声には安堵が滲んでいる。先ほどまで威勢よく罵声を吐いて、誘拐犯と同じ部屋にいたのは恐ろしかったのだろう。味方が来てほっとしている。
 しかし、安心できたのは一瞬だった。バタバタと足音がしたと思ったら、ビャクヤが部屋に走ってきた。

「ごろつき連中が、何人かこっち来とる! 出くわさんように移動するで!」

 エリシアとジャニスが騒いでいたので、様子を見に来たようだ。シンたちは顔を見合わせて、うなずき合った。
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