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第107話 初めての友達(雪視点)
しおりを挟む今日は日曜日。
辰君にいよいよ会える日。
辰君と言ったって見た目は真っ白い子猫。
私が辰君(ホロちゃん)の言葉が分かっている事も伝えていない。
比奈ちゃんが井川さんと前みたいに仲良く話せる様に仲直りする日でもある。
まあ、喧嘩した訳ではないけど、あれから比奈ちゃん、井川さんの家に全然行けていないらしかったから......。
私にもなにか手伝えるかな?
私はこの世界で、この星で、生きていく為、知識を得る為、数人の友達は居る。
だけど、私は元々、この星の生物では無いし、深く仲良くなったとして、心通わせるくらい、必要になったとしても別れなくてはならない時が来る。
だから必要以上に私は仲が良い友達を作らない様にしていた。
まあ、辰君は別なんだけどね......。
そんな事、関係ないと思ってしまうくらい、大事な存在になってしまったから。
元々私は、自分の星でも、あまり友達とか、親友とか作らない様にしていた。
昔から、自分は周りのモノ達より感情の波が激しくて、私の星での決まり事【感情を抑制する】事が、大事な存在を作ってしまうと難しくなる。
私は不器用だから皆みたいに上手くできない。
そう思って、周囲の人と距離を置いていた。
ずっと弟の事を助けたいという思いもあったし、大事な存在ができれば、それだけ自分のコントロールも難しくなる。
そんな余計なモノはいらないと思っていた。
この星に来て辰君に出逢って、感情を知った。
そう言ったけど......。
それは知ったというよりも、抑えていた気持ちを思い出し、そして爆発した。
と、いう方が正しいのかも知れない。
それに、ココは私の星ではない。
辰君の側で、ありのままの自分でいる事は私にとって、初めて地上に出て息をすうのと同じくらい、それぐらい心地良い事だった。
なんだか話がどんどん逸れてきてしまったが、先日、目の前で思い切り私の前で感情をさらけ出して泣いてくれた比奈ちゃん。
そんな彼女の事を私は応援したいと心から思った。
まあ、プディ王女が何をしたいのかを探る為、比奈ちゃんと仲良くなる必要があったのだけど......。
幼い辰君の側でクウロとして、過ごしていた時、辰君の家には漫画の本がいっぱいあった。
私はこの世界の知識を得る為、辰君が学校に行っている時、漫画の本を読むことが日課になっていた。
部屋に落ちていた漫画の本を幼い辰君のベッドの下に持ち込んで、自分のパワーを少しずつ使いながら読んでいた。
始めは内容を理解するのに苦労した。
私の星とはあまりに考え方も、何もかもが違いすぎたから。
私は漫画の中の人物達の感情の豊さに憧れを抱いた。
本当の友達、愛情というものに憧れを抱いた。
人間、雪になってから、幼かった辰君の成長した姿を間近で見て、さらに自分の胸が感情が高なっていくのを感じた。
私はこの星のモノではないから、あの漫画の中の人達みたいに自分にもこんなに感情の変化があるなんて知らなかった。
そして、比奈ちゃんは、感情の波が激しく、表情豊な所、ちょっと辰君に似てた。
クルクル変わる表情で、悩みもいっぱい相談された。
私も彼女にひっぱられて、いっぱいいっぱい笑っていた。
私、もしかして、初めて『友達』ができたのかもしれない。
インターフォンを押そうとした私の腕にすがりついて待ってと言う比奈ちゃん。
腕から振動や鼓動が伝わってくる。
緊張してるよね?
私もだよ。
昨夜、何故だか分からないけど、辰君と繋がった。
熊のぬいぐるみの辰吉から辰君(ホロちゃん)の声が聞こえたの。
辰君は私をこの星の人間から、元の星の姿に戻す為の光線を浴びてしまった。
そして、私の星のモノの姿になってしまった。
子猫なのはパワーが少ない証。
もしくはパワーを自分の力で抑制しているかだ。
この前、抱き上げた時、お腹がふっくらしてきた気がした。
てっきり井川さんが必要以上に食べさせ過ぎたのだと思ったけど......。
も、もしかして、プディ王女が辰君に何か、しているの?
辰君にもパワーが貯まってしまっているの?
もう、既に巻き込んでしまっているの?
私も比奈ちゃんと同じくらい緊張しながら、井川さんの玄関のドアを見つめていた。
応援ありがとうございます!
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