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第五章 前世の記憶
第37話 俺は害? (リュウ視点)
しおりを挟む俺は今、何をした?
俺は目の前に出てきた犬から変化した魔物をただ倒そうとしただけだ。
だけど結果的には何故だかその魔物をショウが庇い。
つまり俺の魔力を含んだ剣が、魔法が、魔物とショウに当たってしまった。
そして傷を負ったショウと魔物は俺の前から姿を消した。
一瞬の出来事だった。
消えた窓、散らかった施術室。
何気に入ってきた店長が部屋の様子を見て呆然としている。
俺はショウを自分の手で傷つけてしまった。
また……キズツケテシマッタ……。
そう思ったら急激に頭が痛くなり俺はその場に蹲り倒れてしまった。
※※※※※※
ココは一体、何処だろう?
一体、何があったんだっけ?
その時、俺の中で映像が駆け巡った。
俺、リュウとしての今までと、そのもっと前、龍鬼としての生涯の記憶……。
俺は幼い時、将之と過ごした日々を思い出した。
後悔しかない前世の記憶が戻った。
俺は思い出してすぐショウが将之だと確信した。
成長した二人の姿はまるで違うがそりゃ食べ物が違えば成長度合いも変わる。
幼い時の二人はそっくりだし、何より俺自身が将之をショウだとそう思ったんだ。
そして今世でもまた俺は……自分の手で将之を、ショウを傷つけてしまった。
『何を落ち込んでいるの? こんなに加護をつけたって言うのにちっとも役に立たないわね。私がダーリンに怒られちゃうじゃない』
そう声をかけてきたのは美少女な見た目のオカマというかニューハーフと言ったら良いだろうか?
顔は可愛いのに声が低い。
なんだかその見た目にその声は違和感でしかない。
『何、失礼な事、言っちゃってんの? 私はこの世界を作った神様なんだからね! 私の気持ち一つであんたの運命なんてどうにでもなるんだから!』
そう叫んだ所でそのオカマの神様が頭を押さえて蹲った。
『いっ、痛ーい! ダーリンからアンタの所為で怒られちゃったじゃない!』
それは俺の所為なのか?
『まあ、私の魔力のあり方とか細かな設定の爪が甘かったからこの世界が危機になっているのは確かかもしれないけど、ダーリンがバランスを取るためにあの少年に加護をつけた事も分かっているけど……私が悪いかもだけど……分かんなかったんだもん! 星を作るの初めてだったし、間違える事もあるわ』
コイツは一体、何が言いてーんだ?
意味が分からんくてイライラしてきた。
俺はこんな事している暇はねーんだ!
ショウを傷つけちまった。
だけどまだ、あの時みたいに死んでしまった訳ではないかもしれない。
俺の心臓がドクドクと大きく鳴り響く。
夢の中なのか、ココは何処なのか分からない。
だけどこんな所から早く抜け出てショウを助けに行かないと……。
もうあの時みたいな後悔はしたくない!
『まあ、ちょっと話を聞きなさいよ。そのまま戻っても良い事は無いわよ! 勇者って呼ばれていい気になっているかもしれないけど、そのまま戻っても私の作ったあの世界に、アナタは害にはなっても良い事なんか一つもないわ』
その神様を名乗っているオカマはよく意味が分からない事を言っている。
害になる?
俺が害になるというのか?
『私のつけた加護は強力よ!使いこなせばとても便利なモノだとは思う。だけど、その源となる魔力は負の感情からなっているの』
だからなんだと言うんだ?
力が強くてどうしていけない?
『負の感情が溜まってしまった事で、星全体の空気が濁ってしまったの……まあ、私の加護の魔力の源を負の感情にしてしまった私の責任でもあるんだけど』
空気が濁って何が悪い?
そんな星を救えとかなんとかは……俺はもう聞き飽きたんだ。
俺はショウとずっと一緒に居る事が出来たらそれで良いんだ。
後の事なんて知らねーよ。
『まあ話をちゃんと聞きなさいよ! 私もダーリンに、おんぶに抱っこ状態なんて嫌なのよ! 貴方の考え方が変われば貴方の魔力そのものの質を変えられるかもしれない。貴方はそのままだったらこの星を滅ぼす原因になるかもしれないのよ!』
どういう事だよ!
俺は星を滅ぼすなんて、面倒な事をするつもりなんてねーよ。
『するつもりがなくたって、それぐらい力が膨大すぎて、今のままの貴方の力じゃ貴方の元々の魔力じゃ貴方自身も止められないのよ。自分の中に何かとてつもないモノが眠っているって貴方自身も分かっているでしょ?』
じゃーどうすりゃいんだよ!
『貴方もダーリンに加護をつけてもらうのよ! でも今の貴方のままじゃ、ダーリンと相性が悪すぎるの、貴方自身が変わらないと駄目なのよ』
変わるって、どうしたら変われるんだよ!
『ショウさんは死んでいないわ。貴方と同じ、覚醒の準備をしているの。ちゃんと思いだして、ちゃんと自分の気持ちに向き合わないと力を発揮できないから……。それは貴方も、同じ……自分が何をどんな風に後悔したかしっかり思い出して、ちゃんと反省したら、負の感情を減らす事が出来たら貴方もダーリンの加護を受ける事が可能になるから……』
そう言う低い声が耳の奥で遠のくのと一緒に俺の意識も消えていった。
気がつくとそこは前世の世界。
前世の時の感情を肌に感じる。
あの、後悔しかない感情を胸くそ悪い感情を……。
後悔しかないあの時の自分と向き合って、負の感情を減らせる事なんて……出来るだろうか?
反省なんて出来るのだろうか?
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