MY異世界 ~創造神(僕)による、のんびり自由に”創り”ながらのスローライフ〜

本田成己

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8.はじめての創造

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 時間を止め、ひと悶着あった次の日の朝。
 今日も四方を本棚に囲まれてながら目覚めた。いやあ、最高だ。
 時計を見ると、まだ朝食の時間にはなっていない。
 時間もあるし何をしようか、と考えながら机に座ると、開きっぱなしのフリーノートが目に入った。

 「その羽ペンでフリーノートに書いたことは、本当になるよ!これが創造神の仕事。でもヨム君の自由にね」
 昨日、昼食が終わって部屋に戻るときに、シャラに小声でこう言われた。
 ちなみにあの後、互いに子どもであるときも神の時も敬語は使わず、また「ヨム」「シャラ」と呼び合うことにした。しゃべり方よくわからないし、大変だったから。

 僕はノートが入っていた箱の中から羽ペンを手にとり、白いページを開いて書いてみることにした。

 

 ……思いつかない。何を書けばいいんだ。毎日、何かしら考えているはずではあるんだけど、いざ書こうとすると何も出てこない。
 しばらくボーっと白いページを眺めた後、書き足せばいいやと思い、ノートを最初からじっくり読むことにした。

 ページをパラパラ戻し一旦ノートを閉じ、ふと表紙を見る。
 「FREE NOTE フリーノティア 1」
 名前、ダサいな。何も考えずそのままつけたもんな。
 これを使って世界を創る(?)んだし、せっかくならかっこいい本にしよう。

 しばらく考えた末、すぐ後ろの本棚から一冊の本を取り出す。ぱっと開いた場所を見ながら、羽ペンでノートの真ん中に大きく
 ≪オメテオトル≫
 と書いた。神話の創造神の名前だ。

 いや待て、これこそ人に見せたら笑われる……と思ったけど、今あいつらはここにいないことに気づく。……良かった。それにまあ、気に入ってるし、いいか。ここ僕の世界だし。
 
 無事タイトルを書き終え、一ページ目を開いた。
 「フリーノティア」の大きな文字。下には地図のようなものが書かれていた。といっても、楕円だえんのような図形が一つだけ。そのなかにいくつか直線が雑に引かれており、「ノベルノ王国」と名付けられた区画の中に、今いるノートン村があった。隣には「プリト村」という村もある。
 ……だけ。今この世界には、王国一つと村二つしかない。

 「少なっ」と思わず声が出た。これでは寂しすぎる。場所はいっぱい無いとだめだろう。とりあえず、スカスカのノベルノ王国内や何も書かれていない区画の中に、文字を書き入れていった。
 (うーん……そうだな、『ディーク』に『ヒシルス』、『シリョン』……)
 
 今書いた時点で、その国や村はもうフリーノティアに存在するってことになるのか。
 「書いたことは、本当になるよ!」……不思議な感覚だ。


 しばらく地図を埋めた後、ページをめくった。
 今度は上の方に「シナリオ」と書かれている。下には文章が三行だけあった。


 ・≪主人公≫Yomuwriteヨムライトは、森で一人。
 ・ある日ツノシシに襲われたところを勇者に助けられ、孤児院でくらすことに。
 ・勇者に憧れた彼は孤児院で仲間を作り、≪魔王≫を倒す。


 こんなゲームのシナリオみたいなのを僕は作ってたのか。ていうかこれ、序盤の僕じゃん。なぜか僕が≪主人公≫ってことになってる。でもこの達筆な名前、明らかに僕の字ではない。まだ主人公の名は決まってなかったはず……だから僕になったのか?よくわからないけど。

 あと、昔は考えてたのかもしれないが、今の僕は≪魔王≫とやらを知らないし、勇者にも別に憧れてない。
 結局は平和に暮らせたらなんでもいいだろう。
 そう思い、僕は一番最後の文の上にビーッとまっすぐ線を引いた。するとそこはみるみるうちにインクが薄くなっていき、消えてしまった。消すときはこうすればいいんだな。

 
 またページをめくった。
 僕の名前の下に、レーダーチャートのようなものが書いてあった。
 書いた覚えはないが、これってもしやステータス?異世界にはよくあるものだけど、今の今まで全然気にしなかったな。早速確認。


 レベル ∞
  HP ∞
 APアタックパワー ∞
 MPマジックパワー ∞
 SPシールドパワー ∞
 年齢 9
 スキル 全部!


 しばらく口を開いたまま固まった。
 
 チートじゃん!!!
 やばいって全部無限なの意味わからんて!!!どおりで森にいた時から体が全然疲れないと思ったわ!!!なんで年齢はちゃんと決まってるんだ??
 そして「全部!」って何?!具体的には何?!やったのシャラだろこれ!!!

 心の中でツッコみながら、横の余白に走り書きをした。
 

 ←これはバレない 絶対に
  人には正常な数値にみえる。
  (平均よりちょっと上)


 ……ひとまずこれでよし。こんなの目立ちまくるに決まってるからな。
 バレるとやばいものは隠さないと。
 あ、この本オメテオトルもまずいな……

 「よむらいとおにーちゃーん!」
 声に振り向くと、入り口に小さい子が立っていた。
 「なにしてるのー?あさごはんだよ」
 その子は駆け足でこちらに向かってきた。
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