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しおりを挟むチチ…、チ…
夜明けを迎え、小鳥の囀ずりが柔らかな陽射しと共に室内に入ってくる。
「――――!!――!!―ぐっぅっ!!」
布越しのくぐもった娘の悲鳴が満ちる。
「おや、お目覚めですか?
いくら泣いても構いませんよ。誰も助けてはくれませんし、その痛みはずっとついて回りますから…
泣いたところで、痛みは無くなりませんよ」
「ふぅう、うっ、うっ!ううっ!うぅ…」
しゃくりあげ、呼吸も苦しげになっている。
「仕方がありませんねぇ…。あまり小さな子には多用したくはないのですがね」
そう言うと、夜の内に並べたのであろう棚の薬瓶を取り出す。
「ほんの少し…
あぁ、蜂蜜と混ぜてあげましょうか」
言いながら、トロリとした蜜にドロリとした液体をほんの少し混ぜて匙ですくう。
喉の奥から絞り出すように泣きつづける少女の枕元に立ち、汗で貼り付く髪を撫で上げる。
「しぃ…
ちょっと泣くのを止めてもらって良いですか?痛み止めを上げますから。
泣いていては飲めませんよ。
痛いままでいいのですか?」
幼いながらに、痛みを取ってくれる…というのは魅力的な響きなのだろう。
ぐっ、ぐっ…としゃくりあげながら、なんとか泣くのを我慢しようと頑張っているようだ。
「はい、良い子ですね。
では、外しますよ」
口に噛ませていた布をそっと外し、乾いた唇を指先でなぞる。
「はい、あーん…
ね、甘いでしょう?じきに痛みは和らぎますよ」
甘い蜂蜜に混ぜられた秘密の薬。
口の中いっぱいに広がるその蜜をコクリと飲み込む。
「ふふ…、美味しいですか?」
すう…と目元を細め、蠱惑的な笑みを見せる。
中性的、とでもいうのだろうか?
優しげな色白な顔は、ともすれば表情が乏しくて。
彼女の痛がる姿など気にも止めていないようにすら見える。
「ふふ、良いでしょう?もう痛みはだいぶ感じないはずですよ」
ことりと首を傾げて尋ねると、少女はコクコクと仕掛け人形のように頷いた。
「それは良かった。さて、痛みのないうちに食事やら排泄やら…
お腹は空いていませんか?」
空腹よりも… 痛みが和らいだ今は、尿意が強く訴えかけてきていた。
もじもじと膝を擦り合わせ、じっと見つめ返していた。
売られて長い子は排泄に関する羞恥も薄いが、つい先日売られたばかりの彼女はまだ恥じらいが残されていた。
「どうしましたか?
ちゃんと言わないと分からないですよ」
綺麗な片眉を上げて、涼しい顔をしたままで聞く。
分かっているだろうに… 子供心に恨みがましく思いながら目に涙をいっぱいに溜めて真っ赤な顔をしている。
「どうしたいですか?」
ふるふると震えるのは、羞恥か怒りか…尿意のせいか。
「お…、しっこ…」
「はい?」
「おしっこ…したい、です…」
消え入りそうな声でようやく告げる。
「違います」
「え?」
違うとはどういうことなのか?
困り果て、いよいよ泣き出しそうなのと、はちきれそうな膀胱。
「貴女は、私に命令すればいいのです。
自分の下の世話をしなさい…と」
訳は分からない。
がしかし、そうせよと言われるならば、従うしかない。
「下の世話を…してください…」
「だから、違うと言っているではありませんか…
『世話をしなさい』です」
選択肢は既に残されてはいなかった。
「…私の、
下の世話っ、を、しなさいっ!」
「はい、お嬢様」
恭しく頭を下げると、滑らかな素早い動作で甲斐甲斐しく彼女の世話をした。
「さ、ここに…」
鍍金(めっき)が所々剥げた小さな盥に抱き上げられて用をたす。
迸り出たモノがたてる音とともに安堵の吐息を漏らす。
全て出尽くすと、柔らかな布で股間を綺麗に拭いてくれた。
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