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盥を持ち、部屋から出て行った凱をベッドの上からぼんやりと見つめていた。
自分がこれからどうなるのか、漠然とした不安は有るものの、今の自分を庇護し世話してくれるのは彼しかいない…ということは理解していた。
少ししたら、盆に食べ物を乗せて凱が戻って来た。
「さあ、少しでも食べなければ…
体を起こしますよ」
枕とクッションを背に当て、ベッドの上で身を起こしてくれる。
「さ、お口に合うと良いのですが」
そう言いながら、ふぅふぅと冷ました匙を口元に運んでくれた。
肉も野菜もとろとろになるまで煮込まれたそれは少し薬臭い味もしたが、食べやすくコクリと飲み込めた。
口の端についたものを綺麗に拭いながら、ゆっくりと椀の中から掬っては口に運んでくれる。
「綺麗に食べましたね」
そう言って頭を撫でられると、なんだか嬉しくなってしまう。
食べ終わったものを片付け、さっきとは別の盥に湯を満たして持ってくると腕捲りをした凱が衣服を脱がしていく。
「これから毎日、貴女を生まれながらの姫君にしていきます」
「え?」
「ふふ…、そう難しいことではありません。私の言うことを良く聞いて、私のすることを受け入れていただければ間違いはありません。
いいですね?」
柔らかな物言いではあるが、否やと言えない重さはある。
ましてやこの状況において、彼女が首を横に振ることはできようはずもない。
「聞き分けが良くて良かったです。では体を拭きますね」
頷く彼女を見て満足げに微笑む。
湯の中にトロリと香油のようなものを垂らし、柔らかな絹を浸して固く絞り全身を隈無く拭き上げる。
甘く花のような香りが広がり、うっとりと目を閉じてされるがままに。
彼女の幼い秘花の襞の隅々までも丁寧に優しく拭いていく。
「いいですか?私相手に恥ずかしいとか思う必要は全くありません。私は貴女の変わりに貴女のすべきことをする者です。遠慮などしてはいけませんよ」
「ん…」
「ふふ、眠くなってしまいましたか?いいですよ、おやすみください」
眠ってしまった彼女に服を着せ、部屋に柔らかな香を焚く。
「これで薬が切れても幾分痛みは楽でしょう…
それにしても…
思った以上に、良い『お嬢様』のようですね」
確か…
食い詰めた子沢山の仕立て屋の娘と聞いていた。
腕は良いのに、馬鹿な賭博にはまって借金が山のように出来た父親が、器量よしと評判の妻も娘達も売ったのだという。
「愚かですよね…」
思い出し、心底嫌そうに眉を顰める。
「まぁ、そのおかげで私はこの方に会えたのですが」
喉の奥でクツクツと笑いながら、彼女の絹のような髪を撫でる。
「…なるのですよ、必ず。国一番の美姫に。
私の最高傑作になってくださいね」
自分がこれからどうなるのか、漠然とした不安は有るものの、今の自分を庇護し世話してくれるのは彼しかいない…ということは理解していた。
少ししたら、盆に食べ物を乗せて凱が戻って来た。
「さあ、少しでも食べなければ…
体を起こしますよ」
枕とクッションを背に当て、ベッドの上で身を起こしてくれる。
「さ、お口に合うと良いのですが」
そう言いながら、ふぅふぅと冷ました匙を口元に運んでくれた。
肉も野菜もとろとろになるまで煮込まれたそれは少し薬臭い味もしたが、食べやすくコクリと飲み込めた。
口の端についたものを綺麗に拭いながら、ゆっくりと椀の中から掬っては口に運んでくれる。
「綺麗に食べましたね」
そう言って頭を撫でられると、なんだか嬉しくなってしまう。
食べ終わったものを片付け、さっきとは別の盥に湯を満たして持ってくると腕捲りをした凱が衣服を脱がしていく。
「これから毎日、貴女を生まれながらの姫君にしていきます」
「え?」
「ふふ…、そう難しいことではありません。私の言うことを良く聞いて、私のすることを受け入れていただければ間違いはありません。
いいですね?」
柔らかな物言いではあるが、否やと言えない重さはある。
ましてやこの状況において、彼女が首を横に振ることはできようはずもない。
「聞き分けが良くて良かったです。では体を拭きますね」
頷く彼女を見て満足げに微笑む。
湯の中にトロリと香油のようなものを垂らし、柔らかな絹を浸して固く絞り全身を隈無く拭き上げる。
甘く花のような香りが広がり、うっとりと目を閉じてされるがままに。
彼女の幼い秘花の襞の隅々までも丁寧に優しく拭いていく。
「いいですか?私相手に恥ずかしいとか思う必要は全くありません。私は貴女の変わりに貴女のすべきことをする者です。遠慮などしてはいけませんよ」
「ん…」
「ふふ、眠くなってしまいましたか?いいですよ、おやすみください」
眠ってしまった彼女に服を着せ、部屋に柔らかな香を焚く。
「これで薬が切れても幾分痛みは楽でしょう…
それにしても…
思った以上に、良い『お嬢様』のようですね」
確か…
食い詰めた子沢山の仕立て屋の娘と聞いていた。
腕は良いのに、馬鹿な賭博にはまって借金が山のように出来た父親が、器量よしと評判の妻も娘達も売ったのだという。
「愚かですよね…」
思い出し、心底嫌そうに眉を顰める。
「まぁ、そのおかげで私はこの方に会えたのですが」
喉の奥でクツクツと笑いながら、彼女の絹のような髪を撫でる。
「…なるのですよ、必ず。国一番の美姫に。
私の最高傑作になってくださいね」
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