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果実 13
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久しぶりの早番だった。あれから一週間経って土曜日。この日を迎えた。緊張でトイレが近くなる。内臓が圧迫されている気がする。
この勤務が終わったら、舞衣と飲みに行くことになっている。その時間が、刻一刻と迫ってきていた。
あの日以降、千秋に対して後ろめたいような気がして、製造所での滞在時間が知らず知らず、短くなっていた。しかし、それも今日で終わる。もう、今日が終われば、千秋に後ろめたいことなどくなる。
そもそも、舞衣と何かあるわけなどないのだから、後ろめたくはないはずなのだが。今日はきっと、清々しい気持ちで千秋に会えるに違いない。
開店準備で九時半に出勤して、終わるのは九時間後。夕飯の時間にはちょうど良かった。食べてから製造所に行けばいい。どうせ、自宅からは歩いてもいける距離なのだから。そんなことを考えながら、今日もレジ打ちに果実の準備をせっせとした。
「そろそろ時間だね。いいよ、もう上がって」
時間の少し前、次郎が切り出した。
「いいんですか?」
「大学の同期と飲み会なんだろ? いいよ。楽しんできなさい」
お言葉に甘えて、上がらせてもらうことにした。同期と飲み会と言って遅番を早番に変わって貰った上に、実際は舞衣と二人きりだ。心苦しさはあるが、恩人である次郎に、本当のことは言いづらかった。
ドアを出ようとすると、ちょうど客が来そうな気配がしたので、ドアの横にのいた。
「こんにちはー。あれ? 東くん、今日はもう上がるの?」
光の肩にかかった鞄を見て、そう言ったのは二宮だった。
「こんにちは。はい、今日はもう」
「そっかー。色々話聞いてもらいたかったのに。じゃいいや。ねぇ、店長、ちょっと聞いてよ」
レジカウンターの中にいる店長にお辞儀して、光は店を後にした。
電車に乗れば、待ち合わせのターミナル駅はすぐそこだ。給料日の二十五日は日曜だったため、昨日既に振込がされていた。懐は温かい。多少の見栄は張れる。
ただ、一度フラれている相手に対して何か期待することは間違っているし、千秋に対する裏切りになる気もしていたから、財布に入れるお金は、敢えて制限していた。
次郎が早く上げてくれたため、待ち合わせの時間には、想定よりも早く着いた。少し待つことになるだろうが、それでも遅刻するよりはマシだ。
寒空の下。待ち合わせは交番の前にしていた。ここを目印に待ち合わせをする人は多い。開けた場所にあるし、繁華街において、交番の前よりも安心な場所はないからかもしれない。とにかく、人は多かった。
店はぬかりなく予約しておいた。舞衣にみっともないところは見せたくない。どうしても、虚栄心が働いてしまうのだ。
それは大学の頃、冴えない自分に優しくしてくれた女性に対して、自分を低く見られたくないという気持ちのためか。それとも、小学生の時の初恋の相手に、かっこいいところを見せたいという自己顕示欲か、そのどちらかは分からなかった。
約束の時間になった。しかし、舞衣はまだ来ない。トラウマが蘇りそうになる。クリスマス・イブ、約束の場所に来なかった人が、どうして約束の場所に来るわけがある。来ないに違いない。そうだ、舞衣を信じちゃいけないんだ。そう思った時だった。携帯が震えた。
『ごめーん。もうちょっとで着きます』
舞衣からだった。上がりきっていた血圧が、すっと下がっていくのを感じた。あの頃の舞衣とは違うのだろうか。そんなことを思わされながら十分ほど待っていると、舞衣が手を振りながら歩いてきた。
「おまたせ。ごめんね、寒いのに待たせちゃって」
「いや、いいよ」
「ありがと、やっぱ優しいね、光くんは」
などと言って笑顔を向けられると、顔を赤くせざるをえなかった。
「えっと、お店ってどっちなのかな?」
予め、待ち合わせの前に店のサイトのURLを送っておいた。連れて行って店の前で、ここでは嫌だなどと言われては堪らないと思って送ったのだが、今の舞衣には、それは杞憂だったように思われる。
「こっちだよ」
先導して自分が歩く。こうしていると、舞衣をリードできているような気がして、自分の虚栄心が満たされていくのを感じた。
店に到着して、コートを脱いで着席した。先に座った舞衣が屈んで、胸の谷間が見える。思わず目を逸らしたが、もう一度、マジマジと確認したい気がした。
大学の頃はこんなに大きかっただろうかと、光は首をかしげる。この年でも成長するものなのだろうか。
店は肩肘を張るほど高級ではないが、それでもオシャレで若い女性が好みそうな店を選んだ。イタリアンの店だ。安直だとは思ったが、舞衣にはこれくらい分かりやすい方がいいのではないかと予測した。
「わー、なんかオシャレだね。こういうとこに女の子連れてきてるの?」
「いやいや、まさか。普段は全然」
千秋とも、図書館以外は喫茶店にしか行ったことがない。
「じゃ、私が初めて?」
「うん、そうなるけど」
「そっか、嬉しいな」
その何気ない一言が、光の心を揺らした。千秋には、絶対に言ってもらえない言葉だ。
それから、お酒を嗜みつつ、運ばれてくる食事を楽しんだ。会話は弾む。思った以上に弾んだ。千秋の会社の愚痴を聞いたり、悩みを聞いたり、能動的に会話を繰り広げてくれるから、光にとっては楽だった。
あまりとりえがあると自分では思えないのに些細なことを褒めてくれ、それがお世辞だと分かっていても、嬉しくないわけはなかった。
「でもね、ほんと私、彼氏できなくてさ。寂しいんだよね。ほら、早い子だとそろそろ結婚し始めるしさ、旦那さんと出会うのの平均の年って、ちょうど私達くらいらしいよ」
「ふうん、そうなんだ」
光はあまり結婚に感心があるとは言えなかった。前に見た次郎と冬美の仲睦まじさを思うと、それを羨ましく感じなくもない、という程度だ。何せ、今好きな相手は果実なのだ。結婚なんて、考えるわけがない。
「だから、私もそろそろ出会うのかなって。ね、光くんは、今、彼女いるの?」
「いや、俺は……」
千秋のことは彼女と言えるのだろうか。迷ってすぐに答えを出せない。
「いないなら、私が立候補しちゃおうかなぁ、なんて、こういうのベタ? あはは」
酔っているのだろうか。上気した顔で、上機嫌に笑う。
「でも、こんなに楽しいの久しぶりぃ。ねぇ、今度また、一緒にご飯食べたりしようよ。いいでしょ?」
「え、あぁ、うん」
「じゃ、これからも連絡するから!」
それからまた少し杯を重ねて、その日はお開きになった。舞衣は顔を赤くしてほろ酔いになり、色っぽくなっていたが、きちんと改札の向こうに消えていった。
光は吐いたり記憶が飛ぶようなことはなさそうだが、頭痛の気配がする。最後の一杯を飲まずに自重しておけよと、自分に小言を言いたくなる。
電車に乗って、自宅の最寄り駅に着いた。ここから家までは歩いて十分だが、製造所までは二十分かかる。
「どうしよ……」
今日はもう、風呂に入って横になりたい。しかし、千秋のところに行かなければ。だが、酒が入っている以上、製造所に行くのはまずい気がした。
一応あそこは、自分の職場なのだ。仕方がない。そう自分に言い聞かせて、光は千秋が製造機に入って以来初めて、中で眠る千秋に会わずに帰った。
それからもう一度、光は舞衣と飲みに行った。今度は飲み過ぎないようにと気をつけたが、やはり最後の一杯を多く飲んでしまって、結局その日も光は製造所に行くことをやめてしまった。これで二回目だ。
強い罪悪感を感じていた。次の日千秋の様子を見に行くと、千秋はまた成長していて、それが罪悪感に拍車を掛ける。製造機の小窓が開くのが、怖くなるくらいに。
そうしている間に一月も最終週に入り、千秋が帰ってくるまであと二週間と少しになった。千秋が帰ってきたら、舞衣とはどうするのだろう。
舞衣はほとんど毎日のように連絡をしてくるし、もう次の約束もしてしまった。千秋が帰ってきたら、もう舞衣とは会わないのだろうか。日に日に、考えこむ時間が増えていった。
時々上の空になりながら仕事をして、時刻は夕刻を過ぎ、夜になっていた。
昨日二宮はやってこなかったが、今日はどうするのだろうか。そういえば、そろそろあの果実も期限だったな、などと考えていると、噂をすれば影とはまた少し違うが、二宮が店に飛び込んできた。
巨体でドアを開け放って入ってくるものだから、光は車でも突っ込んできたのかと、腰を抜かしそうになった。
「東くん! 店長は? 店長はどこに行ったの?」
ほとんど叫び声を上げながら、二宮がすがりついてきた。体格差がありすぎて、光は後ろに倒れそうになるのを既のところで堪えて、レジカウンターに手をついて耐えた。
「ちょっと、二宮さん?」
「二宮くんかな?」
次郎はバックヤードから出てきた。二宮の様子にも、慌てた様子は一切ない。
「店長! 大変なんだ! 桃香が! 桃香の期限が来ちゃったんだ! 助けて、助けてよ。僕の桃香を助けてよ!」
二宮の買って行った果実、桃香の期限がきてしまったらしい。光は自分の目にじんわりと涙が滲んでいることに気がついた。他人事とは思えない。自分にも、覚えがある光景だった。
次郎なら、二宮と桃香を助けることができる。千秋が入っている製造機の並びには五機あって、そのうちの一機はまだ空いていた。桃香を助けることはできるはず。
「……そんなこと、できるわけないだろう?」
次郎が言い放った一言に、光は絶句した。
「社長、ちょ――」
「君は黙っていなさい」
声を荒立てたわけでもないのに、その一言だけで、金縛りにあったように動けなくなった。誰にも漏らしていけない秘密だと、そう約束したのを思い出す。
「店長……助けてよ……店長は果実のプロじゃないか……僕の気持ちは本物なのに」
「いつも言っているだろう。期限がきてしまった果実はもう仕方がないんだ。あと君にできることは、果実をおいしく食べてあげることだけだ」
次郎は優しく諭すように言った。
「くそ! くそ! もういいよ! こんな店、もう二度と来るもんか!」
地団駄を踏みながら、二宮は入ってきた時のような、突進する猪の速度でドアをぶち開けて出て行った。反動で揺れるドアのガラスが割れないかとヒヤヒヤしながら、光はドアに駆け寄った。
二宮が出て行った後の店内は、嵐が過ぎ去ったように静かだ。果実たちも驚き、ショーケースの中でなるべく二宮から離れようと店の奥の方へと移動していた。それが一斉に、ぞろぞろと戻っていく。ひそひそと話し声が上がったが、それはすぐに止んだ。
「……社長」
聞いていいのか、迷う。しかし、聞かずにはいられなかった。
「なんだい?」
声に、光に対する怒りなどは感じなかった。だから、言葉を続けることができる。
「どうして助けてあげなかったんですか?」
「それは、東くんにもすぐに分かるよ」
それ以上、聞ける気はしなかった。すぐに分かるというのなら、その時を待とう。次郎と気まずくなるのも嫌だった。
無駄口は叩かず、黙々と働いた。穏やかな次郎に話しかけられないというのは、初めての経験で、どうしたら空気を取り繕えるのかが分からずに、ただただ口をつぐんでいるしかなかった。
翌日も出勤だった。遅番だったが、どんな顔をして店に入っていけばいのだろう。別に次郎に対して悪感情があるわけではないのだが、果実にもう会えないと分かって困っている人を、助ける力があるのに見過ごすというのは、光には理解できなかった。
「おはようございます」
初めての憂鬱な出勤。いつもより重く感じる扉をゆっくりと開いた。
「おはよう」
光に答えたのは、鳳だった。
「あれ? おはようございます」
「あれって何よ、あれって」
「すいません。今日は早いんですね。お買い求めですか?」
「今日は休みだったからね。店長におすそ分け。そうだ、君にもあげるよ。一人暮らしかな?」
「あ、はい。一人暮らしですけど。おすそ分けですか?」
「そ、これ」
鳳が光の前に、タッパを差し出した。そこには、煮付けのようなものが入っていた。
「えっと、これは?」
「果実の煮付けよ。苦手?」
「いや、好きですけど。どうしたんですか? 急に」
「いつものことなんだけどね。果実の期限がきたからさ、バシバシ料理してるんだけど、六十キロ以上あるのにさ、一人で食べられるわけないじゃん。だから、こうして料理して、おすそ分けしてるわけ。私の使用後じゃご不満?」
「いやいや、そんなことは、喜んでいただきます」
夕食のおかず代がこれで浮いた。それに、自分の料理の参考になる。
利用後とはいっても、そもそも他の、例えば豚や牛なら、もっと衛生的でない環境で育っているわけで、果実が使用後だからといって、それを気にするような人はいない。
食べる時は果皮、つまり果実の皮膚は剥かれているし、火も通っているので、気にするとしたら、タッパがちゃんと洗わているかどうかだとか、そちらの方だろう。鳳に関して、そんなことを気にしなければならないとは思わない。
「おはよう、東くん。鳳さんの煮付けは美味いんだよ。これは、今夜のおつまみだね」
「おはようございます。その手もありますね」
鳳が間に入っていたおかげで、次郎と自然に話しだすことができた。鳳がいたことに、光は感謝した。
「まだまだあるからさ、今度また持ってくるよ。またね」
「お待ちしてます」
鳳は手をひらひらと振って、出て行った。
「彼女の果実に対する態度は、正しいね。模範的だよ。われわれとは違って。彼女は果実を物として扱っているけれど、しかし、大切にしてくれる。それが、一番正しいんだよ」
次郎の顔に、どこか影が差したような気がした。
「さ、東くん、今日も張り切って働こうね」
次郎は自分で影を振り払うように、ことさらに明るく言った。
「はい!」
光もそれに合わせて、自分の憂いも吹き払うために、常になく元気に答えた。
二宮の一件から、数日が経った。これまでほとんど毎日のように店を訪れていたものだから、来たら来たで面倒くさく思うが、来なければ来ないで物足りない。煩わしさもまた、一日のリズムに取り込まれていたようだ。
平日アイドルタイムに入り、光は資格試験のテキストを読んでいた。覚えることはたくさんある。果実文化に果実の歴史、果実衛生など、多岐にわたるのだ。
別に満点を取る必要はないが、満点を取るつもりで試験に臨まなければ。もし落ちてしまったら、次郎に申し訳ない。勤務時間に勉強している以上、これも勤務のうちなのだから。
集中が波に乗ってきたころ、それを邪魔するように、店のドアが開かれた。控えめに、中の様子を窺うように。そういうお客さんは、たまに見かけた。大体新規のお客さんで、果実を買うのも初めてなのだろうな、というのが伝わってくる。
自分もこんな感じだったのだろうか。そう思いながら、ゆっくり開かれるドアに向かって、光は身構えた。
「いらっしゃいませ」
威嚇しない程度に元気に、しかし萎えた青菜のような声にならないように。
「……ども」
顔を出したのは二宮だった。
「あ、二宮さん」
光は戸惑った。まさかあんな剣幕で店を飛び出していった二宮が再び店に来るとは思いもしなかった。
「いらっしゃい、二宮さん」
バックヤードから次郎が出てきた。急いで出てきたのか、夕刊をそのまま手に持っている。
「あ、店長、また来ちゃいました」
二宮は頭を掻き、はにかんだ様子で、大きな体を縮こまらせていた。
「待ってましたよ」
それから、二宮はまた、果実を選んだ。前回よりは抑え目の値段の果実を買って、それでもいい買い物ができたと、満足気に帰っていった。その様子に光は唖然とした。
前回の果実、桃香が死んで、あれほど取り乱していたというのに、二宮はもう、桃香のことを忘れて次の果実に手を出している。光には、それが理解できなかった。自分は今でも千秋のことを待っているのに、二宮にはもう、そんな様子はない。
「いいかい、東くん」
二宮を見送ると、次郎が口を開いた。
「果実に対する態度としては、我々よりも、彼の方がずっと正しいんだ」
「……二宮さんは、いつもあぁなんですか?」
「そうだよ。果実を買って、自慢して、それで果実が死んだらここで喚き散らして、それでまた、しばらくするとここに戻ってくる。彼はそれでワンセットなんだよ。いつものことなんだ、これが。君には彼の行動は冷たく見えるかもしれない。けれど、あれでいいんだ」
「二宮さんは、桃香をどうしたんでしょうか? 鳳さんはちゃんと料理してたみたいですけど」
「彼は捨てているよ、生ごみとして」
光は絶句した。桃香が死んで、あれだけ取り乱していたのに、それを生ごみとして捨てることなんて、できるのだろうか。にわかには信じがたい。
「本当だよ。彼はいつもそうだ。初めてここで彼が取り乱した時、私は彼のマンションまで、果実をどうしているのか確認しにいったことがある。私だって、鬼じゃないからね。人の言葉を信じたいとは思っているから。
そうしたらね、彼はゴミ袋に果実を入れて、生ごみとして捨てていたよ。その次もそうだった。だから、彼は毎回そうしてるんじゃないかな」
次郎はこんなことで嘘をついたりはしないだろう。それは信じられる。
二宮のあの態度が正しくて、自分の態度は正しくない。二宮だけではない。鳳の態度も、次郎は正しいと言っていた。自分と二人の違いは。光は考える。
答えはすぐに分かった。結局のところ、二人は果実を、きちんと物として扱っているのだ。
鳳ははっきりと口で果実を所詮物だと言った。だけど、彼女は果実を物としては大切に扱ってくれているようだ。果実は解体するだけでも大変なのに、それをきちんと料理して食べている。
一方、二宮は口では果実のことを大事といい、まるで人間みたいに扱ってはいたけれど、それが機能しなくなれば、ゴミとして扱うことができてしまう。ゴミ袋に入れて捨てるなど、光には想像も及ばなかったことだ。そんなことをするという発想が、まずもってない。
果実を本当に、物としてではなく、人格のある人間もしくはそれと同等のものとして考えている自分とは、根本的に考え方が異なるのだ。
「これで分かっただろう? 自分が異端なのだということが。これが、果実と生きていくということなんだよ」
「……はい」
光はなんだか急に、千秋に会いたい気分になった。今日はゆっくり、千秋のところで過ごそう。そう決めて、光は重い体を動かして、二宮が買い求めていった果実がいた場所を掃除し、衣装ケースを整理しなおした。
この勤務が終わったら、舞衣と飲みに行くことになっている。その時間が、刻一刻と迫ってきていた。
あの日以降、千秋に対して後ろめたいような気がして、製造所での滞在時間が知らず知らず、短くなっていた。しかし、それも今日で終わる。もう、今日が終われば、千秋に後ろめたいことなどくなる。
そもそも、舞衣と何かあるわけなどないのだから、後ろめたくはないはずなのだが。今日はきっと、清々しい気持ちで千秋に会えるに違いない。
開店準備で九時半に出勤して、終わるのは九時間後。夕飯の時間にはちょうど良かった。食べてから製造所に行けばいい。どうせ、自宅からは歩いてもいける距離なのだから。そんなことを考えながら、今日もレジ打ちに果実の準備をせっせとした。
「そろそろ時間だね。いいよ、もう上がって」
時間の少し前、次郎が切り出した。
「いいんですか?」
「大学の同期と飲み会なんだろ? いいよ。楽しんできなさい」
お言葉に甘えて、上がらせてもらうことにした。同期と飲み会と言って遅番を早番に変わって貰った上に、実際は舞衣と二人きりだ。心苦しさはあるが、恩人である次郎に、本当のことは言いづらかった。
ドアを出ようとすると、ちょうど客が来そうな気配がしたので、ドアの横にのいた。
「こんにちはー。あれ? 東くん、今日はもう上がるの?」
光の肩にかかった鞄を見て、そう言ったのは二宮だった。
「こんにちは。はい、今日はもう」
「そっかー。色々話聞いてもらいたかったのに。じゃいいや。ねぇ、店長、ちょっと聞いてよ」
レジカウンターの中にいる店長にお辞儀して、光は店を後にした。
電車に乗れば、待ち合わせのターミナル駅はすぐそこだ。給料日の二十五日は日曜だったため、昨日既に振込がされていた。懐は温かい。多少の見栄は張れる。
ただ、一度フラれている相手に対して何か期待することは間違っているし、千秋に対する裏切りになる気もしていたから、財布に入れるお金は、敢えて制限していた。
次郎が早く上げてくれたため、待ち合わせの時間には、想定よりも早く着いた。少し待つことになるだろうが、それでも遅刻するよりはマシだ。
寒空の下。待ち合わせは交番の前にしていた。ここを目印に待ち合わせをする人は多い。開けた場所にあるし、繁華街において、交番の前よりも安心な場所はないからかもしれない。とにかく、人は多かった。
店はぬかりなく予約しておいた。舞衣にみっともないところは見せたくない。どうしても、虚栄心が働いてしまうのだ。
それは大学の頃、冴えない自分に優しくしてくれた女性に対して、自分を低く見られたくないという気持ちのためか。それとも、小学生の時の初恋の相手に、かっこいいところを見せたいという自己顕示欲か、そのどちらかは分からなかった。
約束の時間になった。しかし、舞衣はまだ来ない。トラウマが蘇りそうになる。クリスマス・イブ、約束の場所に来なかった人が、どうして約束の場所に来るわけがある。来ないに違いない。そうだ、舞衣を信じちゃいけないんだ。そう思った時だった。携帯が震えた。
『ごめーん。もうちょっとで着きます』
舞衣からだった。上がりきっていた血圧が、すっと下がっていくのを感じた。あの頃の舞衣とは違うのだろうか。そんなことを思わされながら十分ほど待っていると、舞衣が手を振りながら歩いてきた。
「おまたせ。ごめんね、寒いのに待たせちゃって」
「いや、いいよ」
「ありがと、やっぱ優しいね、光くんは」
などと言って笑顔を向けられると、顔を赤くせざるをえなかった。
「えっと、お店ってどっちなのかな?」
予め、待ち合わせの前に店のサイトのURLを送っておいた。連れて行って店の前で、ここでは嫌だなどと言われては堪らないと思って送ったのだが、今の舞衣には、それは杞憂だったように思われる。
「こっちだよ」
先導して自分が歩く。こうしていると、舞衣をリードできているような気がして、自分の虚栄心が満たされていくのを感じた。
店に到着して、コートを脱いで着席した。先に座った舞衣が屈んで、胸の谷間が見える。思わず目を逸らしたが、もう一度、マジマジと確認したい気がした。
大学の頃はこんなに大きかっただろうかと、光は首をかしげる。この年でも成長するものなのだろうか。
店は肩肘を張るほど高級ではないが、それでもオシャレで若い女性が好みそうな店を選んだ。イタリアンの店だ。安直だとは思ったが、舞衣にはこれくらい分かりやすい方がいいのではないかと予測した。
「わー、なんかオシャレだね。こういうとこに女の子連れてきてるの?」
「いやいや、まさか。普段は全然」
千秋とも、図書館以外は喫茶店にしか行ったことがない。
「じゃ、私が初めて?」
「うん、そうなるけど」
「そっか、嬉しいな」
その何気ない一言が、光の心を揺らした。千秋には、絶対に言ってもらえない言葉だ。
それから、お酒を嗜みつつ、運ばれてくる食事を楽しんだ。会話は弾む。思った以上に弾んだ。千秋の会社の愚痴を聞いたり、悩みを聞いたり、能動的に会話を繰り広げてくれるから、光にとっては楽だった。
あまりとりえがあると自分では思えないのに些細なことを褒めてくれ、それがお世辞だと分かっていても、嬉しくないわけはなかった。
「でもね、ほんと私、彼氏できなくてさ。寂しいんだよね。ほら、早い子だとそろそろ結婚し始めるしさ、旦那さんと出会うのの平均の年って、ちょうど私達くらいらしいよ」
「ふうん、そうなんだ」
光はあまり結婚に感心があるとは言えなかった。前に見た次郎と冬美の仲睦まじさを思うと、それを羨ましく感じなくもない、という程度だ。何せ、今好きな相手は果実なのだ。結婚なんて、考えるわけがない。
「だから、私もそろそろ出会うのかなって。ね、光くんは、今、彼女いるの?」
「いや、俺は……」
千秋のことは彼女と言えるのだろうか。迷ってすぐに答えを出せない。
「いないなら、私が立候補しちゃおうかなぁ、なんて、こういうのベタ? あはは」
酔っているのだろうか。上気した顔で、上機嫌に笑う。
「でも、こんなに楽しいの久しぶりぃ。ねぇ、今度また、一緒にご飯食べたりしようよ。いいでしょ?」
「え、あぁ、うん」
「じゃ、これからも連絡するから!」
それからまた少し杯を重ねて、その日はお開きになった。舞衣は顔を赤くしてほろ酔いになり、色っぽくなっていたが、きちんと改札の向こうに消えていった。
光は吐いたり記憶が飛ぶようなことはなさそうだが、頭痛の気配がする。最後の一杯を飲まずに自重しておけよと、自分に小言を言いたくなる。
電車に乗って、自宅の最寄り駅に着いた。ここから家までは歩いて十分だが、製造所までは二十分かかる。
「どうしよ……」
今日はもう、風呂に入って横になりたい。しかし、千秋のところに行かなければ。だが、酒が入っている以上、製造所に行くのはまずい気がした。
一応あそこは、自分の職場なのだ。仕方がない。そう自分に言い聞かせて、光は千秋が製造機に入って以来初めて、中で眠る千秋に会わずに帰った。
それからもう一度、光は舞衣と飲みに行った。今度は飲み過ぎないようにと気をつけたが、やはり最後の一杯を多く飲んでしまって、結局その日も光は製造所に行くことをやめてしまった。これで二回目だ。
強い罪悪感を感じていた。次の日千秋の様子を見に行くと、千秋はまた成長していて、それが罪悪感に拍車を掛ける。製造機の小窓が開くのが、怖くなるくらいに。
そうしている間に一月も最終週に入り、千秋が帰ってくるまであと二週間と少しになった。千秋が帰ってきたら、舞衣とはどうするのだろう。
舞衣はほとんど毎日のように連絡をしてくるし、もう次の約束もしてしまった。千秋が帰ってきたら、もう舞衣とは会わないのだろうか。日に日に、考えこむ時間が増えていった。
時々上の空になりながら仕事をして、時刻は夕刻を過ぎ、夜になっていた。
昨日二宮はやってこなかったが、今日はどうするのだろうか。そういえば、そろそろあの果実も期限だったな、などと考えていると、噂をすれば影とはまた少し違うが、二宮が店に飛び込んできた。
巨体でドアを開け放って入ってくるものだから、光は車でも突っ込んできたのかと、腰を抜かしそうになった。
「東くん! 店長は? 店長はどこに行ったの?」
ほとんど叫び声を上げながら、二宮がすがりついてきた。体格差がありすぎて、光は後ろに倒れそうになるのを既のところで堪えて、レジカウンターに手をついて耐えた。
「ちょっと、二宮さん?」
「二宮くんかな?」
次郎はバックヤードから出てきた。二宮の様子にも、慌てた様子は一切ない。
「店長! 大変なんだ! 桃香が! 桃香の期限が来ちゃったんだ! 助けて、助けてよ。僕の桃香を助けてよ!」
二宮の買って行った果実、桃香の期限がきてしまったらしい。光は自分の目にじんわりと涙が滲んでいることに気がついた。他人事とは思えない。自分にも、覚えがある光景だった。
次郎なら、二宮と桃香を助けることができる。千秋が入っている製造機の並びには五機あって、そのうちの一機はまだ空いていた。桃香を助けることはできるはず。
「……そんなこと、できるわけないだろう?」
次郎が言い放った一言に、光は絶句した。
「社長、ちょ――」
「君は黙っていなさい」
声を荒立てたわけでもないのに、その一言だけで、金縛りにあったように動けなくなった。誰にも漏らしていけない秘密だと、そう約束したのを思い出す。
「店長……助けてよ……店長は果実のプロじゃないか……僕の気持ちは本物なのに」
「いつも言っているだろう。期限がきてしまった果実はもう仕方がないんだ。あと君にできることは、果実をおいしく食べてあげることだけだ」
次郎は優しく諭すように言った。
「くそ! くそ! もういいよ! こんな店、もう二度と来るもんか!」
地団駄を踏みながら、二宮は入ってきた時のような、突進する猪の速度でドアをぶち開けて出て行った。反動で揺れるドアのガラスが割れないかとヒヤヒヤしながら、光はドアに駆け寄った。
二宮が出て行った後の店内は、嵐が過ぎ去ったように静かだ。果実たちも驚き、ショーケースの中でなるべく二宮から離れようと店の奥の方へと移動していた。それが一斉に、ぞろぞろと戻っていく。ひそひそと話し声が上がったが、それはすぐに止んだ。
「……社長」
聞いていいのか、迷う。しかし、聞かずにはいられなかった。
「なんだい?」
声に、光に対する怒りなどは感じなかった。だから、言葉を続けることができる。
「どうして助けてあげなかったんですか?」
「それは、東くんにもすぐに分かるよ」
それ以上、聞ける気はしなかった。すぐに分かるというのなら、その時を待とう。次郎と気まずくなるのも嫌だった。
無駄口は叩かず、黙々と働いた。穏やかな次郎に話しかけられないというのは、初めての経験で、どうしたら空気を取り繕えるのかが分からずに、ただただ口をつぐんでいるしかなかった。
翌日も出勤だった。遅番だったが、どんな顔をして店に入っていけばいのだろう。別に次郎に対して悪感情があるわけではないのだが、果実にもう会えないと分かって困っている人を、助ける力があるのに見過ごすというのは、光には理解できなかった。
「おはようございます」
初めての憂鬱な出勤。いつもより重く感じる扉をゆっくりと開いた。
「おはよう」
光に答えたのは、鳳だった。
「あれ? おはようございます」
「あれって何よ、あれって」
「すいません。今日は早いんですね。お買い求めですか?」
「今日は休みだったからね。店長におすそ分け。そうだ、君にもあげるよ。一人暮らしかな?」
「あ、はい。一人暮らしですけど。おすそ分けですか?」
「そ、これ」
鳳が光の前に、タッパを差し出した。そこには、煮付けのようなものが入っていた。
「えっと、これは?」
「果実の煮付けよ。苦手?」
「いや、好きですけど。どうしたんですか? 急に」
「いつものことなんだけどね。果実の期限がきたからさ、バシバシ料理してるんだけど、六十キロ以上あるのにさ、一人で食べられるわけないじゃん。だから、こうして料理して、おすそ分けしてるわけ。私の使用後じゃご不満?」
「いやいや、そんなことは、喜んでいただきます」
夕食のおかず代がこれで浮いた。それに、自分の料理の参考になる。
利用後とはいっても、そもそも他の、例えば豚や牛なら、もっと衛生的でない環境で育っているわけで、果実が使用後だからといって、それを気にするような人はいない。
食べる時は果皮、つまり果実の皮膚は剥かれているし、火も通っているので、気にするとしたら、タッパがちゃんと洗わているかどうかだとか、そちらの方だろう。鳳に関して、そんなことを気にしなければならないとは思わない。
「おはよう、東くん。鳳さんの煮付けは美味いんだよ。これは、今夜のおつまみだね」
「おはようございます。その手もありますね」
鳳が間に入っていたおかげで、次郎と自然に話しだすことができた。鳳がいたことに、光は感謝した。
「まだまだあるからさ、今度また持ってくるよ。またね」
「お待ちしてます」
鳳は手をひらひらと振って、出て行った。
「彼女の果実に対する態度は、正しいね。模範的だよ。われわれとは違って。彼女は果実を物として扱っているけれど、しかし、大切にしてくれる。それが、一番正しいんだよ」
次郎の顔に、どこか影が差したような気がした。
「さ、東くん、今日も張り切って働こうね」
次郎は自分で影を振り払うように、ことさらに明るく言った。
「はい!」
光もそれに合わせて、自分の憂いも吹き払うために、常になく元気に答えた。
二宮の一件から、数日が経った。これまでほとんど毎日のように店を訪れていたものだから、来たら来たで面倒くさく思うが、来なければ来ないで物足りない。煩わしさもまた、一日のリズムに取り込まれていたようだ。
平日アイドルタイムに入り、光は資格試験のテキストを読んでいた。覚えることはたくさんある。果実文化に果実の歴史、果実衛生など、多岐にわたるのだ。
別に満点を取る必要はないが、満点を取るつもりで試験に臨まなければ。もし落ちてしまったら、次郎に申し訳ない。勤務時間に勉強している以上、これも勤務のうちなのだから。
集中が波に乗ってきたころ、それを邪魔するように、店のドアが開かれた。控えめに、中の様子を窺うように。そういうお客さんは、たまに見かけた。大体新規のお客さんで、果実を買うのも初めてなのだろうな、というのが伝わってくる。
自分もこんな感じだったのだろうか。そう思いながら、ゆっくり開かれるドアに向かって、光は身構えた。
「いらっしゃいませ」
威嚇しない程度に元気に、しかし萎えた青菜のような声にならないように。
「……ども」
顔を出したのは二宮だった。
「あ、二宮さん」
光は戸惑った。まさかあんな剣幕で店を飛び出していった二宮が再び店に来るとは思いもしなかった。
「いらっしゃい、二宮さん」
バックヤードから次郎が出てきた。急いで出てきたのか、夕刊をそのまま手に持っている。
「あ、店長、また来ちゃいました」
二宮は頭を掻き、はにかんだ様子で、大きな体を縮こまらせていた。
「待ってましたよ」
それから、二宮はまた、果実を選んだ。前回よりは抑え目の値段の果実を買って、それでもいい買い物ができたと、満足気に帰っていった。その様子に光は唖然とした。
前回の果実、桃香が死んで、あれほど取り乱していたというのに、二宮はもう、桃香のことを忘れて次の果実に手を出している。光には、それが理解できなかった。自分は今でも千秋のことを待っているのに、二宮にはもう、そんな様子はない。
「いいかい、東くん」
二宮を見送ると、次郎が口を開いた。
「果実に対する態度としては、我々よりも、彼の方がずっと正しいんだ」
「……二宮さんは、いつもあぁなんですか?」
「そうだよ。果実を買って、自慢して、それで果実が死んだらここで喚き散らして、それでまた、しばらくするとここに戻ってくる。彼はそれでワンセットなんだよ。いつものことなんだ、これが。君には彼の行動は冷たく見えるかもしれない。けれど、あれでいいんだ」
「二宮さんは、桃香をどうしたんでしょうか? 鳳さんはちゃんと料理してたみたいですけど」
「彼は捨てているよ、生ごみとして」
光は絶句した。桃香が死んで、あれだけ取り乱していたのに、それを生ごみとして捨てることなんて、できるのだろうか。にわかには信じがたい。
「本当だよ。彼はいつもそうだ。初めてここで彼が取り乱した時、私は彼のマンションまで、果実をどうしているのか確認しにいったことがある。私だって、鬼じゃないからね。人の言葉を信じたいとは思っているから。
そうしたらね、彼はゴミ袋に果実を入れて、生ごみとして捨てていたよ。その次もそうだった。だから、彼は毎回そうしてるんじゃないかな」
次郎はこんなことで嘘をついたりはしないだろう。それは信じられる。
二宮のあの態度が正しくて、自分の態度は正しくない。二宮だけではない。鳳の態度も、次郎は正しいと言っていた。自分と二人の違いは。光は考える。
答えはすぐに分かった。結局のところ、二人は果実を、きちんと物として扱っているのだ。
鳳ははっきりと口で果実を所詮物だと言った。だけど、彼女は果実を物としては大切に扱ってくれているようだ。果実は解体するだけでも大変なのに、それをきちんと料理して食べている。
一方、二宮は口では果実のことを大事といい、まるで人間みたいに扱ってはいたけれど、それが機能しなくなれば、ゴミとして扱うことができてしまう。ゴミ袋に入れて捨てるなど、光には想像も及ばなかったことだ。そんなことをするという発想が、まずもってない。
果実を本当に、物としてではなく、人格のある人間もしくはそれと同等のものとして考えている自分とは、根本的に考え方が異なるのだ。
「これで分かっただろう? 自分が異端なのだということが。これが、果実と生きていくということなんだよ」
「……はい」
光はなんだか急に、千秋に会いたい気分になった。今日はゆっくり、千秋のところで過ごそう。そう決めて、光は重い体を動かして、二宮が買い求めていった果実がいた場所を掃除し、衣装ケースを整理しなおした。
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