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第2章「籠の中の子供達」
十八話「琉詩の『蕾初め』②」
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いつの間にか出入り口に、浴衣姿の木己島が腕を組んで寄りかかり、飛び跳ねる琉詩を見ていた。
「あ」
琉詩は木己島に気が付き、すぐにジャンプを止めて、ベッドの上に正座した。
声が出せない母親と生活していた時、少しでも手助けが出来るよう外出時、なるべくお行儀良くしていた。
家の中でも、あまり我が儘を言わない琉詩だったが、特撮ヒーローものの番組を観た後などは、悪の軍団と闘う正義のヒーローに成り切って、ベッドの上でジャンプしたり転がったり、アクションの真似事をして燥いでしまうことがあった。
ついつい、やり過ぎてしまうと「こらっ!いい加減にしなさい!ベッドが壊れちゃうでしょ!」と何度か、母親から手話で怒られていたのだ。
「どう?ベッド?琉詩君、こんな大きなベッドで寝たことある?」
真顔の木己島が、静かな声音で尋ねる。
「…ううん。ぼく、はじめて」
ちょっと緊張しながら、琉詩は左右に首を振る。
「……」
「…?」
答えたものの、琉詩の顔を見つめるだけの木己島。
「そう!初めてかあ」
急に、思い切り笑顔になり、歩き出す。
「そうか、そうか。琉詩君は初めてか…」
右手には缶ビール。左手には、琉詩が映画を観る前に手渡した、一輪の黒薔薇。木己島は笑顔で頷きながら、ベッドの足側の通路を通って行く。
キングサイズのベッドを通過しても未だ余裕の在る空間に、象牙細工の花模様が表面に施された、円形の木製テーブル。それを挟んで、向かい合わせに配置された二脚の竹編み椅子。
その先は大開口の窓。窓からは、ウッドデッキのバルコニーが続き、夜空に見えるのは近くの樹木と遠くの山のシルエット、周囲に他の客室建物が存在することさえ忘れてしまうほどの、隔絶された静寂。
木己島は缶ビールと薔薇をテーブルに置くと、竹編み椅子に敷かれたクッションマットに腰を下ろした。「プシュゥ」とプルトップを開け、窓の外に目を遣りながら、缶ビールを持つ手を上げ下げして、ゆっくりと喉を潤している。
「ジャンプ遊びを注意される」と思っていた琉詩は、怒っていない様子の木己島に「ホッ」とし、正座していた両足を崩した。
今までベッドの大きさしか目に入っていなかったが、よくよく周りを見ると、色々な物が飾られていることに琉詩は気付く。
ベッドの左側、出入り口近くの壁際に組み立てられた雛壇。段毎に御祝儀袋、熨斗が巻かれた包装箱や酒瓶などが見映え良く配置されている。
ベッドの右側、窓まで続く壁際に設置されたフラワースタンド。その上に、丸みを帯びたブルーグレーの陶器の花瓶。大きな口縁を窮屈に埋め尽くすほどの束で活けられ、この特別な日に合わせて、生き生きと咲き乱れた漆黒の薔薇。
「んっ、そうだ」
木己島は思い付いたように声を出し、缶ビールをテーブルに置く。そして薔薇を取ると、ラッピングから抜き取った。
刺を全て落とされ、無防備になった薔薇の茎を、木己島が握る。
「琉詩君」
木己島は笑みを浮かべ、琉詩に向かって手招きする。
「はぁい」
琉詩は立ち上がり、ベッドの左端まで行くと「ピョン」と下りて、木己島のそばへ駆け寄る。
「なぁに?ジミー?」
「手を出して」
「手ぇ?」
足を組んで座る木己島の前に、琉詩が右手の平を上にして差し出す。
すると、木己島は重なり合う黒い花弁の一枚に触れ、「プチッ」と摘んで見せた。
「あっ」
思わず、琉詩が声を上げる。
摘んだ一枚を、驚く琉詩の小さな手の平に落とす。
「琉詩君。この花弁をこうしてね…」
「プチッ」と摘み、また落とす。
「ベッドに撒いちゃってよ」
「え?ベッドに?」
「そう。あの枕やシーツに、こうやってね…」
木己島が右腕を上げて、左右に撒く振りをする。
「…いいの?あとで、おこられたりしないかなぁ?」
「良いんだよ。ここは、ジミーがちゃあんとお金を払って泊まってるんだから。どんな使い方をしても、ジミーの自由なんだ。ほら。お風呂の浴槽に薔薇の花弁を浮かべて入ったりするの、テレビとかで見たことないかい?あれと同じさ。ベッドも薔薇の花弁で飾ったら、どんな感じになるか見てみたいんだ。頼むよ、琉詩君」
そう言って木己島が薔薇を、琉詩に手渡す。
「…ふぅん、わかったぁ。やってみる」
琉詩はベッドに戻って立ち、まず右手の中にある花弁を落とす。それから薔薇の花弁を「プチッ」と一枚摘んで、指から離した。
真っ白なシーツに、「ヒラヒラ」と黒い花弁が舞い落ちる。
琉詩は木己島の顔を確認する。木己島は微笑み、大きく頷いた。
プチッ、プチッ、プチッ、プチッ、プチッ、プチッ、プチッ…
シーツの上をあちこち歩き、花弁を撒いてゆく琉詩を肴にして、木己島は悠々と缶ビールを飲み続ける。
「ジミー。ぜんぶ、やったよ」
琉詩が木己島に知らせる。
一枚残さず花弁を撒き終え、たった一輪だけでも妖しい美しさを醸し出していた黒薔薇は、貧相な姿に様変わりしてしまった。その代わり、ベッドには黒い花弁が疎らに散らばっている。
「ああ。ありがとう、琉詩君。上出来だよ」
薔薇で美しく飾るなら、この広過ぎるベッドに一輪分の花弁だけでは効果は薄いが、木己島は満足したようだ。
飲み干した缶ビールをテーブルに置いて立ち上がり、ベッドに近付いて行く。
「さっ、琉詩君。そろそろ寝ようか」
「あ、うん」
「それ、もらうよ」
「はぁい」
木己島は手を伸ばして、花芯と茎だけになった薔薇を受け取り、空のゴミ箱に「ストン」と捨てた。
「琉詩くぅん。引っ張ってくれないかぁ?」
今度は両腕を真っ直ぐ伸ばして、甘えるように言う。
「うんっ。いくよ?…うんしょっ」
琉詩は素直に両手を繋ぎ、力いっぱい引っ張って、木己島をベッドに上げた。その反動で、琉詩は尻餅を突く。
「ほ~ら、捕まえたぞっ」
そこへ膝立ちの木己島が前に倒れ込み、「ガシッ」と琉詩に抱き付いた。
「あはははっ」
琉詩は無邪気に笑う。
それから木己島は琉詩から体を離して、シーツの上に寝っ転がり、枕に頭を預けて仰向けになった。
「ハァ~…。やっぱり此処に来ると、落ち着くなぁ…。おいで」
木己島は左腕を上げて、琉詩の体を抱き寄せて寝かせる。そして捲れた布団も手繰り寄せて、自分達に掛けた。
腕枕をされて、木己島の方へ横向きになる琉詩。
「琉詩君に会うとね、仕事の疲れも吹っ飛ぶよ…」
「おしごと、たいへん?」
「そうだなぁ…。朝起きたら、先ずはメールのチエックだろ?出社したら会議が何件も入ってるし、夜は仕事関係の人達と食事会…。ハハハ。睡眠時間も普段は三、四時間ってとこかな」
「わぁ…。それじゃあ、つかれちゃうね」
「ああ…、疲れちゃうよ。だから…こうやって、琉詩君と過ごせる時間は…、ジミーにとって…大切なんだ…」
ウトウトしながら喋っていた木己島が、両瞼を閉じて「スゥー、スゥー」と寝息を立て始めた。
琉詩は木己島の左腕に頭を乗せたまま、首を上げて見る。明らかに、木己島は眠っている。
「……」
琉詩も両眼を瞑る。
こうしていると、現在よりももっと幼い頃、いつも大きな肩や腕を枕にして眠っていたのを、感覚的に想い出される。
母親も腕枕をしてくれたけれど、その華奢な肩や腕に長く頭を乗せるのは、琉詩にも抵抗があった。
比べて、力仕事をしていた逞しい厚みのある父親の腕枕。ずっと肩や腕に頭を乗せていられる、揺るぎない安心感。
そんな、懐かしい温かさに包まれながら、琉詩は眠りに就いてゆくーーー。
『ーーー…え?なんか、かおにつく。いろんなとこ、くっついてくる。おでこ、…ほっぺ、…くちびる。〈か〉?〈か〉が、とんでるのかな?でも…「ブ~ン」って、とんでる音しない。ちがう虫?なんの虫かなぁ?…耳、…くび、……あれ?パジャマ…?』
虫は、胸の方へ移動している。パジャマを着ているはずなのに、素肌にくっ付いてくる。
琉詩は両瞼を開く。腕枕が無くなり、木己島もいない。
それから、下を向く。
見えるのは、木己島の頭頂部。パジャマのボタンは全て外され、露になった琉詩の肌。
仰向けになった琉詩の上に乗り、胸やお腹に木己島が口付けしている。
「チュウ」なら、父親や母親ともしていた。「お早う」の「チュウ」。「行ってきます」の「チュウ」。「お帰りなさい」の「チュウ」。「お休みなさい」の「チュウ」。「大好き」の「チュウ」。おでこや、ほっぺや、唇に毎日。
『でも…なんで、ジミーは〈おなか〉にも、「チュウ」するのかなぁ…?』
「ビクッ」と琉詩の体が動く。
「?」
琉詩のお腹を、木己島の舌が這っている。
「……?」
その舌は徐々に胸へと移動して行く。
「???」
舌が胸から離れて、木己島の顔が琉詩の目の前に現れる。
「ジミー、なにしてるの?」と聞こうとした瞬間、琉詩の唇が、木己島の唇に塞がれた。木己島の舌が、琉詩の口内にまで侵入してくる。
『「チュウ」はパパとママとしてる。でも、これーーー』
暫くして、木己島の舌は出て行った。が、この後に琉詩はもう、「ジミー、なにしてるの?」と、聞くことは出来なかったーーー。
(続)
「あ」
琉詩は木己島に気が付き、すぐにジャンプを止めて、ベッドの上に正座した。
声が出せない母親と生活していた時、少しでも手助けが出来るよう外出時、なるべくお行儀良くしていた。
家の中でも、あまり我が儘を言わない琉詩だったが、特撮ヒーローものの番組を観た後などは、悪の軍団と闘う正義のヒーローに成り切って、ベッドの上でジャンプしたり転がったり、アクションの真似事をして燥いでしまうことがあった。
ついつい、やり過ぎてしまうと「こらっ!いい加減にしなさい!ベッドが壊れちゃうでしょ!」と何度か、母親から手話で怒られていたのだ。
「どう?ベッド?琉詩君、こんな大きなベッドで寝たことある?」
真顔の木己島が、静かな声音で尋ねる。
「…ううん。ぼく、はじめて」
ちょっと緊張しながら、琉詩は左右に首を振る。
「……」
「…?」
答えたものの、琉詩の顔を見つめるだけの木己島。
「そう!初めてかあ」
急に、思い切り笑顔になり、歩き出す。
「そうか、そうか。琉詩君は初めてか…」
右手には缶ビール。左手には、琉詩が映画を観る前に手渡した、一輪の黒薔薇。木己島は笑顔で頷きながら、ベッドの足側の通路を通って行く。
キングサイズのベッドを通過しても未だ余裕の在る空間に、象牙細工の花模様が表面に施された、円形の木製テーブル。それを挟んで、向かい合わせに配置された二脚の竹編み椅子。
その先は大開口の窓。窓からは、ウッドデッキのバルコニーが続き、夜空に見えるのは近くの樹木と遠くの山のシルエット、周囲に他の客室建物が存在することさえ忘れてしまうほどの、隔絶された静寂。
木己島は缶ビールと薔薇をテーブルに置くと、竹編み椅子に敷かれたクッションマットに腰を下ろした。「プシュゥ」とプルトップを開け、窓の外に目を遣りながら、缶ビールを持つ手を上げ下げして、ゆっくりと喉を潤している。
「ジャンプ遊びを注意される」と思っていた琉詩は、怒っていない様子の木己島に「ホッ」とし、正座していた両足を崩した。
今までベッドの大きさしか目に入っていなかったが、よくよく周りを見ると、色々な物が飾られていることに琉詩は気付く。
ベッドの左側、出入り口近くの壁際に組み立てられた雛壇。段毎に御祝儀袋、熨斗が巻かれた包装箱や酒瓶などが見映え良く配置されている。
ベッドの右側、窓まで続く壁際に設置されたフラワースタンド。その上に、丸みを帯びたブルーグレーの陶器の花瓶。大きな口縁を窮屈に埋め尽くすほどの束で活けられ、この特別な日に合わせて、生き生きと咲き乱れた漆黒の薔薇。
「んっ、そうだ」
木己島は思い付いたように声を出し、缶ビールをテーブルに置く。そして薔薇を取ると、ラッピングから抜き取った。
刺を全て落とされ、無防備になった薔薇の茎を、木己島が握る。
「琉詩君」
木己島は笑みを浮かべ、琉詩に向かって手招きする。
「はぁい」
琉詩は立ち上がり、ベッドの左端まで行くと「ピョン」と下りて、木己島のそばへ駆け寄る。
「なぁに?ジミー?」
「手を出して」
「手ぇ?」
足を組んで座る木己島の前に、琉詩が右手の平を上にして差し出す。
すると、木己島は重なり合う黒い花弁の一枚に触れ、「プチッ」と摘んで見せた。
「あっ」
思わず、琉詩が声を上げる。
摘んだ一枚を、驚く琉詩の小さな手の平に落とす。
「琉詩君。この花弁をこうしてね…」
「プチッ」と摘み、また落とす。
「ベッドに撒いちゃってよ」
「え?ベッドに?」
「そう。あの枕やシーツに、こうやってね…」
木己島が右腕を上げて、左右に撒く振りをする。
「…いいの?あとで、おこられたりしないかなぁ?」
「良いんだよ。ここは、ジミーがちゃあんとお金を払って泊まってるんだから。どんな使い方をしても、ジミーの自由なんだ。ほら。お風呂の浴槽に薔薇の花弁を浮かべて入ったりするの、テレビとかで見たことないかい?あれと同じさ。ベッドも薔薇の花弁で飾ったら、どんな感じになるか見てみたいんだ。頼むよ、琉詩君」
そう言って木己島が薔薇を、琉詩に手渡す。
「…ふぅん、わかったぁ。やってみる」
琉詩はベッドに戻って立ち、まず右手の中にある花弁を落とす。それから薔薇の花弁を「プチッ」と一枚摘んで、指から離した。
真っ白なシーツに、「ヒラヒラ」と黒い花弁が舞い落ちる。
琉詩は木己島の顔を確認する。木己島は微笑み、大きく頷いた。
プチッ、プチッ、プチッ、プチッ、プチッ、プチッ、プチッ…
シーツの上をあちこち歩き、花弁を撒いてゆく琉詩を肴にして、木己島は悠々と缶ビールを飲み続ける。
「ジミー。ぜんぶ、やったよ」
琉詩が木己島に知らせる。
一枚残さず花弁を撒き終え、たった一輪だけでも妖しい美しさを醸し出していた黒薔薇は、貧相な姿に様変わりしてしまった。その代わり、ベッドには黒い花弁が疎らに散らばっている。
「ああ。ありがとう、琉詩君。上出来だよ」
薔薇で美しく飾るなら、この広過ぎるベッドに一輪分の花弁だけでは効果は薄いが、木己島は満足したようだ。
飲み干した缶ビールをテーブルに置いて立ち上がり、ベッドに近付いて行く。
「さっ、琉詩君。そろそろ寝ようか」
「あ、うん」
「それ、もらうよ」
「はぁい」
木己島は手を伸ばして、花芯と茎だけになった薔薇を受け取り、空のゴミ箱に「ストン」と捨てた。
「琉詩くぅん。引っ張ってくれないかぁ?」
今度は両腕を真っ直ぐ伸ばして、甘えるように言う。
「うんっ。いくよ?…うんしょっ」
琉詩は素直に両手を繋ぎ、力いっぱい引っ張って、木己島をベッドに上げた。その反動で、琉詩は尻餅を突く。
「ほ~ら、捕まえたぞっ」
そこへ膝立ちの木己島が前に倒れ込み、「ガシッ」と琉詩に抱き付いた。
「あはははっ」
琉詩は無邪気に笑う。
それから木己島は琉詩から体を離して、シーツの上に寝っ転がり、枕に頭を預けて仰向けになった。
「ハァ~…。やっぱり此処に来ると、落ち着くなぁ…。おいで」
木己島は左腕を上げて、琉詩の体を抱き寄せて寝かせる。そして捲れた布団も手繰り寄せて、自分達に掛けた。
腕枕をされて、木己島の方へ横向きになる琉詩。
「琉詩君に会うとね、仕事の疲れも吹っ飛ぶよ…」
「おしごと、たいへん?」
「そうだなぁ…。朝起きたら、先ずはメールのチエックだろ?出社したら会議が何件も入ってるし、夜は仕事関係の人達と食事会…。ハハハ。睡眠時間も普段は三、四時間ってとこかな」
「わぁ…。それじゃあ、つかれちゃうね」
「ああ…、疲れちゃうよ。だから…こうやって、琉詩君と過ごせる時間は…、ジミーにとって…大切なんだ…」
ウトウトしながら喋っていた木己島が、両瞼を閉じて「スゥー、スゥー」と寝息を立て始めた。
琉詩は木己島の左腕に頭を乗せたまま、首を上げて見る。明らかに、木己島は眠っている。
「……」
琉詩も両眼を瞑る。
こうしていると、現在よりももっと幼い頃、いつも大きな肩や腕を枕にして眠っていたのを、感覚的に想い出される。
母親も腕枕をしてくれたけれど、その華奢な肩や腕に長く頭を乗せるのは、琉詩にも抵抗があった。
比べて、力仕事をしていた逞しい厚みのある父親の腕枕。ずっと肩や腕に頭を乗せていられる、揺るぎない安心感。
そんな、懐かしい温かさに包まれながら、琉詩は眠りに就いてゆくーーー。
『ーーー…え?なんか、かおにつく。いろんなとこ、くっついてくる。おでこ、…ほっぺ、…くちびる。〈か〉?〈か〉が、とんでるのかな?でも…「ブ~ン」って、とんでる音しない。ちがう虫?なんの虫かなぁ?…耳、…くび、……あれ?パジャマ…?』
虫は、胸の方へ移動している。パジャマを着ているはずなのに、素肌にくっ付いてくる。
琉詩は両瞼を開く。腕枕が無くなり、木己島もいない。
それから、下を向く。
見えるのは、木己島の頭頂部。パジャマのボタンは全て外され、露になった琉詩の肌。
仰向けになった琉詩の上に乗り、胸やお腹に木己島が口付けしている。
「チュウ」なら、父親や母親ともしていた。「お早う」の「チュウ」。「行ってきます」の「チュウ」。「お帰りなさい」の「チュウ」。「お休みなさい」の「チュウ」。「大好き」の「チュウ」。おでこや、ほっぺや、唇に毎日。
『でも…なんで、ジミーは〈おなか〉にも、「チュウ」するのかなぁ…?』
「ビクッ」と琉詩の体が動く。
「?」
琉詩のお腹を、木己島の舌が這っている。
「……?」
その舌は徐々に胸へと移動して行く。
「???」
舌が胸から離れて、木己島の顔が琉詩の目の前に現れる。
「ジミー、なにしてるの?」と聞こうとした瞬間、琉詩の唇が、木己島の唇に塞がれた。木己島の舌が、琉詩の口内にまで侵入してくる。
『「チュウ」はパパとママとしてる。でも、これーーー』
暫くして、木己島の舌は出て行った。が、この後に琉詩はもう、「ジミー、なにしてるの?」と、聞くことは出来なかったーーー。
(続)
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