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第三章 大団円
【透也~焦燥の魔王、静かなる咆哮~】
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円佳にそっぽを向かれた。
猫が生き物をなぶるような追い詰め方は彼女の気にいらないのだ。
……彼女が僕の処罰に対して介入してくるのは、想定内。
今回は、公爵の裏をかいてやれたし『容疑者』として引きずり回してやったから彼の王侯貴族としての矜持を傷つけたろう。
公妹もおイタをすれば、灸を据えられると学んだはず。
僕としては物足りないが、どの程度であれば円佳に嫌われないかを心得ている。
なのに彼女は今頃、だしに使われたとむくれているかな。
なによりも大事な円佳を貶め傷つけた兄妹に対して温情を見せてやった僕を褒めて欲しいくらいなのに。
円佳は自分が僕よりも力がないと思っている。弱いと考えている。
それでも。
『透也君は私が守る』
『私の前では泣いてもいいんだよ』
と両手を広げて僕を抱きしめようとしてくれる。
さっきだって一国の支配者たる兄妹に僕のために立ち向かってくれた。
『透也君は私のものだ』と宣言してくれた。
……円佳は、僕がどれだけ嬉しくて彼女を愛おしく思ったか知らない。
あの瞬間、兄妹に恩赦を与えそうになった。
完敗だ。
惚れた弱みで、円佳の意に沿わないことをしたくないのだから。
円佳は僕に対しての自分の影響力を理解していなすぎる。
彼女に愛想を尽かされたくないなら、僕が譲歩するしかない。
スタッフに『貴方は甘い。冷徹になりきれない』と嘆息される所以だ。
僕を仕えるべき破壊神と思い定めて手下に降ったスタッフのなかには失望して去った者もいる。
仕方ない、去るものは円佳以外は追わない主義だ。
敵に回るなら手の内を知られている分、遠慮なく叩き潰す。
僕の下――というより円佳を警護――にいたほうがスリリングな人生を送れると知れば戻ってくる。それだけのことだ。
が。
『透也様、円佳様と殿下が第七船倉に閉じ込められましたッ』
船内電話から報告があったとき、兄妹への仕置きなんて些細なことは吹き飛んだ。
円佳!
体にナイフを刺されたようだ。
……僕の幻痛など無視。即座に行動を指示した。
「医務室の人間を第七船倉前に待機させろ。船長、『マスターモード』スイッチは通常、『ローカル操作』だ」
開閉システムの主導権はオーレリアから取り戻したから、操舵室で操作できるはずだ。
各扉は手動操作可能な仕組みを組み込みんである。
非常時には扉のどちら側からでも手動で開けることができねばならない。
が、航海士から悲痛な声がした。
「第七船倉のみ、反応しません!」
刹那、血が逆流するかと思った。
「オーレリア……! この期に及んで、まだなにか仕掛けたか」
公妹が事前に仕込んだ『花火』は全てスタッフが掌握していた。
捕まる時間を長引かせる為の小細工をしたのだろう。
おそらく、籠城しているうちに兄が外交ガードを切れるようにするための時間稼ぎ。
それがなんらかのトラブルを誘発した。
円佳の発作が出なければいい。
祈るような気持ちでノートパソコンを開くと、彼女の心拍数を映し出すモニターは『圏外』の表示。
円佳!
心臓が絞られたように痛い。お願いだ、耐えて
「透也様」
「透也、すまない。奥方を巻き添えにした」
僕とガード達の会話に、公爵が割り込んできた。
……ふん。
この男が真剣な表情をしているのをはじめて見たな。
僕が兄妹について知悉しているように、奴も僕のことを調べている。
公爵は円佳の閉所恐怖症についても確信を持っているのだろう。
失敗したと悟った瞬間、公爵は兄妹であらんかぎりの侮蔑をした相手である円佳に赦しを乞うた。
自分の性格を利用されていることに気づいた円佳はマティアスに軽蔑の眼差しをしたが、それもプライド高い奴には屈辱だったはずだ。
だが、円佳と公妹が閉じ込められたのは僕とマティアス双方にとって想定外だった。
「なにか私に出来ることは」
「邪魔だ」
斬り捨てた僕の言葉に、マティアスは唇を噛みしめた。
両親を外訪中のテロで亡くした公爵はオーレリアをとても可愛がっている。
妹を絶対安全圏に確保して悪戯するのが奴の流儀。
今回のことはさぞや肝を冷やしているだろう。
「……君に頼める筋合いではないのは承知している。だが、お願いだ。透也、妹を助けてくれ」
マティアスの懇願に怒りが沸き起こる。
ふざけるな。
「公爵はことのほか忘却能力が優れていらっしゃるようだ」
円佳が辛い目に遭ってるのは誰のせいだと思っているのか。
「憶えておくがいい。円佳になにかあったら、貴君の妹も含めて国ごと滅ぼす」
僕の言葉に公爵の体が揺れた。
「陛下を鄭重に部屋までお送りしろ」
マティアスを監視の者に命じて部屋まで護送させる。
彼が扉の外に消えてから執事が声をかけてきた。
「透也様」
「公爵よりも誰よりも、自分に対して怒っている。僕達夫婦を囮にした僕のせいだ」
「最上の策かと」
執事をにらんだ。
「こうなることを僕は予想していなければならなかった。円佳を止めなかった僕が悪い。……だが、己を罰するのは彼女を救出してからだ」
僕の罪科は彼女を救出してから生涯をかけて贖う。
床を元に戻そうとしていたスタッフに声をかける。
「第七船倉の水密扉のシステムにとりかかってくれ。船長、配線図を」
オーレリアは第七船倉に配線のどこかで細工した。突き止めて、水密扉のローカルモードを復活させる。
「透也様、我々は」
僕のガード達が声をかけてきた。
……そうだ。僕には彼らがいる。
冷静になれ。
「船倉に一緒に持ち込んでいるだろうが、公妹の持ち物を洗い出せ」
今回の全要図、パスワード。あの天才児が事前計画書を残してるとは思えないが、手がかりがほしい。
「は」
マティアスを囲んでいた者達やオーレリアの仕掛けを撃破した者達に混じっていた『乗客』達が僕の前に進み出てきた。
「我が主。不遜ですが、面白そうなんで手伝わせてください」
ワクワクした表情を隠しもせずに僕の許に集まってきた。
彼らは円佳が兄妹に立ち向かうのを見て、彼女への認識をあらためたに違いない。
円佳、君はまた信奉者を増やしたようだな。
「いいだろう」
我が奥方にとことん魅了されればいい。
僕から円佳を盗もうとしない限り、彼女の周りを囲ってしまうための人数は多いにこしたことはない。
「船長、システム操作が不可だった場合に備えて水密扉を焼き切りたい。道具を用意してほしい」
船長は苦渋の表情になった。
「……航行中に切断するとなると……」
開口部が閉じられず、水密を成さなくなる。
浸水もしくは火災した場合、第七船倉だけでは食い止められないことを意味する。
わかっている。
まだ、この難所を脱出できたわけではないのだ。
だが、円佳が倒れていたら。
ぎり……、と音がして手のひらに爪が食い込む。
円佳。
君がいなければ、僕は生きていけない。
「構わない、焼き切れ。円佳は持病を持っていて、発作をおこしかねない。彼女が心配だ。円佳になにかあったら君のクビ程度では僕の怒りはおさまらない」
「私は船を預かっております」
恫喝しても屈しない。震えてはいるが、任務を全うしようという覚悟は評価する。
僕は視線をやわらげた。
「船長、一人も死者を出さないと約束する」
「…………は……」
「透也様っ、直前の画像です!」
監視カメラを解析していたスタッフの声に、皆が集まる。
公妹が水密扉を閉めようとして、なにかを落とした。
扉が開く。
オーレリアが慌てて扉を閉めかけるが円佳が飛び込んだ。
彼女の足になにかがあたり、廊下を滑っていく。
「回収しろ」
「は」
やがて公妹のタブレットが発見されたと報告が入り、解析班とともに第七船倉へ急いだ。
「透也様、駄目です。解除には成功しましたがデバイスが必要なようです」
公妹のタブレットはいわば水密扉ロックの為の親機。
そして子機で開閉扉のシステムで操作しているとのこと。
子機を解除するにはオーレリアのタブレットからだが。
「子機はおそらく船倉内です」
「……無線は届かないか」
「最下層なだけあってここの厚みは、一メートル近くあるようです」
一刻の猶予もない。
「船長」
「……円佳様と殿下が心配ですし、やむをえません。シンガポールで新しい水密扉を調達できればいいのですが」
ようやく船長が決断した。
「英断、感謝する」
船長に握手を求めたあと、僕も第七船倉へと移動を開始する。
ブリッジに残すことにした執事に、後を采配するよう指示した。
歩きながら秘書に声をかける。
「船は最悪、ドック入りをさせなければならない。
安全審査を通すとなると航路は中止だろう。
メディア関連を頼む」
「は」
円佳の体調に問題がなければ、シンガポールで一週間ほど静養して飛行機で動けばいい。
処女航海でアクシデントとはケチがつくが、彼女が無事であれば問題はない。
第七船倉に着いた。
医療スタッフと扉を焼ききる為の道具も揃っている。
円佳のガードからインカムを受け取る。
酷いノイズ混じりだが、彼女の元気な声にほっとした。
スタッフに指示をだす。
「よし、始めてくれ」
ぎ……、と扉が鳴った。
はっとなって、扉にとびついた。あわててハンドルを回す。
がこぉぉぉん。
扉が開き、隙間からよろよろと円佳が姿を現した。
「円佳っ」
無事でいてくれた!
僕は夢中で彼女をかきいだいた。この瞬間、僕は円佳以外のことなど、意識できなかった。
「殿下が……」
つぶやくと、円佳は僕の腕の中で気を失った。
猫が生き物をなぶるような追い詰め方は彼女の気にいらないのだ。
……彼女が僕の処罰に対して介入してくるのは、想定内。
今回は、公爵の裏をかいてやれたし『容疑者』として引きずり回してやったから彼の王侯貴族としての矜持を傷つけたろう。
公妹もおイタをすれば、灸を据えられると学んだはず。
僕としては物足りないが、どの程度であれば円佳に嫌われないかを心得ている。
なのに彼女は今頃、だしに使われたとむくれているかな。
なによりも大事な円佳を貶め傷つけた兄妹に対して温情を見せてやった僕を褒めて欲しいくらいなのに。
円佳は自分が僕よりも力がないと思っている。弱いと考えている。
それでも。
『透也君は私が守る』
『私の前では泣いてもいいんだよ』
と両手を広げて僕を抱きしめようとしてくれる。
さっきだって一国の支配者たる兄妹に僕のために立ち向かってくれた。
『透也君は私のものだ』と宣言してくれた。
……円佳は、僕がどれだけ嬉しくて彼女を愛おしく思ったか知らない。
あの瞬間、兄妹に恩赦を与えそうになった。
完敗だ。
惚れた弱みで、円佳の意に沿わないことをしたくないのだから。
円佳は僕に対しての自分の影響力を理解していなすぎる。
彼女に愛想を尽かされたくないなら、僕が譲歩するしかない。
スタッフに『貴方は甘い。冷徹になりきれない』と嘆息される所以だ。
僕を仕えるべき破壊神と思い定めて手下に降ったスタッフのなかには失望して去った者もいる。
仕方ない、去るものは円佳以外は追わない主義だ。
敵に回るなら手の内を知られている分、遠慮なく叩き潰す。
僕の下――というより円佳を警護――にいたほうがスリリングな人生を送れると知れば戻ってくる。それだけのことだ。
が。
『透也様、円佳様と殿下が第七船倉に閉じ込められましたッ』
船内電話から報告があったとき、兄妹への仕置きなんて些細なことは吹き飛んだ。
円佳!
体にナイフを刺されたようだ。
……僕の幻痛など無視。即座に行動を指示した。
「医務室の人間を第七船倉前に待機させろ。船長、『マスターモード』スイッチは通常、『ローカル操作』だ」
開閉システムの主導権はオーレリアから取り戻したから、操舵室で操作できるはずだ。
各扉は手動操作可能な仕組みを組み込みんである。
非常時には扉のどちら側からでも手動で開けることができねばならない。
が、航海士から悲痛な声がした。
「第七船倉のみ、反応しません!」
刹那、血が逆流するかと思った。
「オーレリア……! この期に及んで、まだなにか仕掛けたか」
公妹が事前に仕込んだ『花火』は全てスタッフが掌握していた。
捕まる時間を長引かせる為の小細工をしたのだろう。
おそらく、籠城しているうちに兄が外交ガードを切れるようにするための時間稼ぎ。
それがなんらかのトラブルを誘発した。
円佳の発作が出なければいい。
祈るような気持ちでノートパソコンを開くと、彼女の心拍数を映し出すモニターは『圏外』の表示。
円佳!
心臓が絞られたように痛い。お願いだ、耐えて
「透也様」
「透也、すまない。奥方を巻き添えにした」
僕とガード達の会話に、公爵が割り込んできた。
……ふん。
この男が真剣な表情をしているのをはじめて見たな。
僕が兄妹について知悉しているように、奴も僕のことを調べている。
公爵は円佳の閉所恐怖症についても確信を持っているのだろう。
失敗したと悟った瞬間、公爵は兄妹であらんかぎりの侮蔑をした相手である円佳に赦しを乞うた。
自分の性格を利用されていることに気づいた円佳はマティアスに軽蔑の眼差しをしたが、それもプライド高い奴には屈辱だったはずだ。
だが、円佳と公妹が閉じ込められたのは僕とマティアス双方にとって想定外だった。
「なにか私に出来ることは」
「邪魔だ」
斬り捨てた僕の言葉に、マティアスは唇を噛みしめた。
両親を外訪中のテロで亡くした公爵はオーレリアをとても可愛がっている。
妹を絶対安全圏に確保して悪戯するのが奴の流儀。
今回のことはさぞや肝を冷やしているだろう。
「……君に頼める筋合いではないのは承知している。だが、お願いだ。透也、妹を助けてくれ」
マティアスの懇願に怒りが沸き起こる。
ふざけるな。
「公爵はことのほか忘却能力が優れていらっしゃるようだ」
円佳が辛い目に遭ってるのは誰のせいだと思っているのか。
「憶えておくがいい。円佳になにかあったら、貴君の妹も含めて国ごと滅ぼす」
僕の言葉に公爵の体が揺れた。
「陛下を鄭重に部屋までお送りしろ」
マティアスを監視の者に命じて部屋まで護送させる。
彼が扉の外に消えてから執事が声をかけてきた。
「透也様」
「公爵よりも誰よりも、自分に対して怒っている。僕達夫婦を囮にした僕のせいだ」
「最上の策かと」
執事をにらんだ。
「こうなることを僕は予想していなければならなかった。円佳を止めなかった僕が悪い。……だが、己を罰するのは彼女を救出してからだ」
僕の罪科は彼女を救出してから生涯をかけて贖う。
床を元に戻そうとしていたスタッフに声をかける。
「第七船倉の水密扉のシステムにとりかかってくれ。船長、配線図を」
オーレリアは第七船倉に配線のどこかで細工した。突き止めて、水密扉のローカルモードを復活させる。
「透也様、我々は」
僕のガード達が声をかけてきた。
……そうだ。僕には彼らがいる。
冷静になれ。
「船倉に一緒に持ち込んでいるだろうが、公妹の持ち物を洗い出せ」
今回の全要図、パスワード。あの天才児が事前計画書を残してるとは思えないが、手がかりがほしい。
「は」
マティアスを囲んでいた者達やオーレリアの仕掛けを撃破した者達に混じっていた『乗客』達が僕の前に進み出てきた。
「我が主。不遜ですが、面白そうなんで手伝わせてください」
ワクワクした表情を隠しもせずに僕の許に集まってきた。
彼らは円佳が兄妹に立ち向かうのを見て、彼女への認識をあらためたに違いない。
円佳、君はまた信奉者を増やしたようだな。
「いいだろう」
我が奥方にとことん魅了されればいい。
僕から円佳を盗もうとしない限り、彼女の周りを囲ってしまうための人数は多いにこしたことはない。
「船長、システム操作が不可だった場合に備えて水密扉を焼き切りたい。道具を用意してほしい」
船長は苦渋の表情になった。
「……航行中に切断するとなると……」
開口部が閉じられず、水密を成さなくなる。
浸水もしくは火災した場合、第七船倉だけでは食い止められないことを意味する。
わかっている。
まだ、この難所を脱出できたわけではないのだ。
だが、円佳が倒れていたら。
ぎり……、と音がして手のひらに爪が食い込む。
円佳。
君がいなければ、僕は生きていけない。
「構わない、焼き切れ。円佳は持病を持っていて、発作をおこしかねない。彼女が心配だ。円佳になにかあったら君のクビ程度では僕の怒りはおさまらない」
「私は船を預かっております」
恫喝しても屈しない。震えてはいるが、任務を全うしようという覚悟は評価する。
僕は視線をやわらげた。
「船長、一人も死者を出さないと約束する」
「…………は……」
「透也様っ、直前の画像です!」
監視カメラを解析していたスタッフの声に、皆が集まる。
公妹が水密扉を閉めようとして、なにかを落とした。
扉が開く。
オーレリアが慌てて扉を閉めかけるが円佳が飛び込んだ。
彼女の足になにかがあたり、廊下を滑っていく。
「回収しろ」
「は」
やがて公妹のタブレットが発見されたと報告が入り、解析班とともに第七船倉へ急いだ。
「透也様、駄目です。解除には成功しましたがデバイスが必要なようです」
公妹のタブレットはいわば水密扉ロックの為の親機。
そして子機で開閉扉のシステムで操作しているとのこと。
子機を解除するにはオーレリアのタブレットからだが。
「子機はおそらく船倉内です」
「……無線は届かないか」
「最下層なだけあってここの厚みは、一メートル近くあるようです」
一刻の猶予もない。
「船長」
「……円佳様と殿下が心配ですし、やむをえません。シンガポールで新しい水密扉を調達できればいいのですが」
ようやく船長が決断した。
「英断、感謝する」
船長に握手を求めたあと、僕も第七船倉へと移動を開始する。
ブリッジに残すことにした執事に、後を采配するよう指示した。
歩きながら秘書に声をかける。
「船は最悪、ドック入りをさせなければならない。
安全審査を通すとなると航路は中止だろう。
メディア関連を頼む」
「は」
円佳の体調に問題がなければ、シンガポールで一週間ほど静養して飛行機で動けばいい。
処女航海でアクシデントとはケチがつくが、彼女が無事であれば問題はない。
第七船倉に着いた。
医療スタッフと扉を焼ききる為の道具も揃っている。
円佳のガードからインカムを受け取る。
酷いノイズ混じりだが、彼女の元気な声にほっとした。
スタッフに指示をだす。
「よし、始めてくれ」
ぎ……、と扉が鳴った。
はっとなって、扉にとびついた。あわててハンドルを回す。
がこぉぉぉん。
扉が開き、隙間からよろよろと円佳が姿を現した。
「円佳っ」
無事でいてくれた!
僕は夢中で彼女をかきいだいた。この瞬間、僕は円佳以外のことなど、意識できなかった。
「殿下が……」
つぶやくと、円佳は僕の腕の中で気を失った。
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