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第10話 王都で広がる“彼女の死”の噂
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王立学院の庭園に、冷たい風が吹き抜けた。
冬枯れのバラが枝を揺らし、そのたびに赤い花弁が一枚、また一枚と凍った噴水の縁に落ちていく。
セリアは毛皮のショールを羽織りながら足を止めた。
彼女の後ろでは数人の貴族令嬢が小声で囁いている。
「ねぇ聞いた? レインフォード公爵令嬢、とうとう……らしいのよ」
「ええ、本当に? 国外で病に倒れたとか」
「王太子殿下も、すっかり吹っ切れたようですわね。セリア様、一安心ですわ!」
セリアは微笑を貼りつけたまま、それらの声を背中で聞いていた。
笑みは柔らかく、頬の筋肉は完璧に整っている。
けれどその奥底では、心が波立っていた。
「国外で……死んだ、ですって?」
ひときわ大きな声を出したのは、宰相の娘のひとり。
セリアに取り入ろうといつも尻尾を振る令嬢だった。
「ええ、そうなの。辺境で魔力暴走を起こして果てたと。まったく、因果応報というものね」
「…………」
噴水の音が耳に残る。
セリアの指先がショールの中で震えた。
――死人が、口をきかないのなら安心なのに。
ほっとした瞬間、奥歯を強く噛んで自分を抑える。
口の中に鉄の味が広がった。
セリア=ロウレンス。
彼女が王太子の婚約者となってすでに半年が過ぎていた。
だが今もなお、その足元には「影」がついて回る。
断罪の夜。社交界の貴族たちは「レインフォード公爵令嬢の悲劇」を酒の肴に語り、
王宮内でもその余韻は消えなかった。
どれほど時間がたとうと、あの美貌の令嬢と王太子が見せていた理想的な婚約姿――
それを超える絵など、誰も描けなかったのだ。
「……殿下は、どちらにおられますの?」
「陛下と共に議会の間に。もうじき戻られるかと」
侍女の言葉に頷き、セリアはゆっくりと屋内に戻った。
廊下を歩くたび、鏡に映る自分の姿を見て確認する。
隙はない。完璧だ。
肌も、笑みも、すべて作られた理想の婚約者の顔。
なのに、レオンハルトは最近よそ見ばかりしている。
夜会でも、執務室でも。
彼が窓の外を見つめるその視線の先に、まるで“誰か”がいるようでたまらなかった。
王太子私室の前に立ち、深呼吸をしてから扉をノックする。
「セリアです」
「……入れ」
短い返事が返り、彼女は静かに扉を開いた。
室内では、レオンハルトが書類を睨みつけていた。
金の髪が乱れ、疲労の影が濃い。
彼はちらりと彼女を見ただけで、何も言わなかった。
「殿下。お加減がよろしくないようで……」
「問題ない」
「ですがお顔色が……」
「セリア」
名を呼ばれた瞬間、背筋がぴんと伸びた。
彼は机上の書簡をひとつ掴み、無造作に彼女の前に投げ出した。
「お前、これを見ろ」
見ると、それは辺境軍より届いた報告書だった。
封蝋は既に切られている。
セリアは手を震わせながら一枚目を開いた。
『第七辺境区にて、王都の亡命者と思しき女死亡。身元は不明なれど、金髪・青眼の特徴を有す。当地の治癒師により埋葬済み』
息が止まりそうになる。
「……この“王都の亡命者”とは」
「誰だと思う?」
レオンハルトの声は冷ややかだった。
「まさか……アイリス様が……?」
「そう報告が来ている」
静かな言葉だった。
報告を受けて、彼がどう感じているのか、セリアには分からなかった。
ただその横顔には、悲しみではなく空虚な影があった。
「……これで全て、終わったわけですね」
「終わり?」
「ええ、殿下を欺いた女はもういない。これからは、殿下の御心のままに――」
「違う」
かすかな声だったが、鋭く響いた。
セリアは思わず顔を上げる。
レオンハルトはゆっくりと立ち上がり、窓の外を見つめていた。
「何が“終わった”だ。俺は何も終えてなどいない」
「……殿下?」
「証拠もなく、噂だけで裁きを下した。彼女を……愛していたというのに」
その呟きに、セリアの胸が冷たく締めつけられる。
つまり殿下は、まだ――。
「殿下、どうか……」
歩み寄ろうとした腕を、彼は無言で制した。
「セリア。俺は王家の義務を果たしただけだ。だが、その義務が人を殺したなら……どうすべきだろうな」
「……」
彼女は何も言えなかった。
レオンハルトは深く息を吐き、手を握りしめる。
「辺境軍の統帥権を握るヴァーミリオン将軍に確認を取る。もし、もし彼女がまだ生きているなら――俺は……」
そこまで言いかけて、言葉を飲み込んだ。
「殿下!」
セリアが声を上げる。
「もうそんな噂に惑わされてはなりません!彼女は貴族社会を裏切り、殿下を欺いた罪人ですわ!」
「黙れ」
即座に、冷たい声。
空気が凍る。
「俺が決めることを、お前が口にするな」
セリアは息を呑む。
彼が自分を真っすぐに見たのは、久しぶりだった。
その瞳の中には、怒りと苦悩が混ざり合っている。
「殿下……なぜ……そんなに、あの女に囚われるのですか」
「俺も分からん。だが、彼女が死んだと聞いて、ようやく自分の心が凍っているのに気づいた」
あの夜、城を去る彼女の背中が脳裏を離れない。
涙すら見せなかった誇り高い背中。
あの一瞬を、どうして自分は見送ってしまったのか。
「……俺は、王太子などになるべきではなかったのかもしれない」
その言葉に、セリアの表情が崩れた。
あの断罪の夜、勝ち取った栄光の座。
それを支えてきた努力と野心。
それらが、今この男の一言で砂のように崩れていく。
「……殿下。お言葉が過ぎます。もし陛下に聞かれたら――」
「構わん」
振り返った彼の眼差しには、もはや以前の冷たさはなかった。
ただ一人の男として、自らの罪に向き合う覚悟だけがあった。
セリアは何も言えなかった。
ただ、自分の喉の奥で鳴るすすり泣きの音を抑える。
彼女が望んだはずの未来が、まるで別の形に変わっていく。
そして王都の片隅で、もうひとつの噂が流れ始めていた。
――辺境の地で“癒しの聖女”が現れたらしい。
亡くなったとされる公爵令嬢に似た金髪の女が、人々を救っていると。
この噂が王宮に届くまで、あと数日だった。
窓の外では、灰色の雲が低く垂れこめている。
雪が舞い始め、王城の尖塔を覆い隠していった。
続く
冬枯れのバラが枝を揺らし、そのたびに赤い花弁が一枚、また一枚と凍った噴水の縁に落ちていく。
セリアは毛皮のショールを羽織りながら足を止めた。
彼女の後ろでは数人の貴族令嬢が小声で囁いている。
「ねぇ聞いた? レインフォード公爵令嬢、とうとう……らしいのよ」
「ええ、本当に? 国外で病に倒れたとか」
「王太子殿下も、すっかり吹っ切れたようですわね。セリア様、一安心ですわ!」
セリアは微笑を貼りつけたまま、それらの声を背中で聞いていた。
笑みは柔らかく、頬の筋肉は完璧に整っている。
けれどその奥底では、心が波立っていた。
「国外で……死んだ、ですって?」
ひときわ大きな声を出したのは、宰相の娘のひとり。
セリアに取り入ろうといつも尻尾を振る令嬢だった。
「ええ、そうなの。辺境で魔力暴走を起こして果てたと。まったく、因果応報というものね」
「…………」
噴水の音が耳に残る。
セリアの指先がショールの中で震えた。
――死人が、口をきかないのなら安心なのに。
ほっとした瞬間、奥歯を強く噛んで自分を抑える。
口の中に鉄の味が広がった。
セリア=ロウレンス。
彼女が王太子の婚約者となってすでに半年が過ぎていた。
だが今もなお、その足元には「影」がついて回る。
断罪の夜。社交界の貴族たちは「レインフォード公爵令嬢の悲劇」を酒の肴に語り、
王宮内でもその余韻は消えなかった。
どれほど時間がたとうと、あの美貌の令嬢と王太子が見せていた理想的な婚約姿――
それを超える絵など、誰も描けなかったのだ。
「……殿下は、どちらにおられますの?」
「陛下と共に議会の間に。もうじき戻られるかと」
侍女の言葉に頷き、セリアはゆっくりと屋内に戻った。
廊下を歩くたび、鏡に映る自分の姿を見て確認する。
隙はない。完璧だ。
肌も、笑みも、すべて作られた理想の婚約者の顔。
なのに、レオンハルトは最近よそ見ばかりしている。
夜会でも、執務室でも。
彼が窓の外を見つめるその視線の先に、まるで“誰か”がいるようでたまらなかった。
王太子私室の前に立ち、深呼吸をしてから扉をノックする。
「セリアです」
「……入れ」
短い返事が返り、彼女は静かに扉を開いた。
室内では、レオンハルトが書類を睨みつけていた。
金の髪が乱れ、疲労の影が濃い。
彼はちらりと彼女を見ただけで、何も言わなかった。
「殿下。お加減がよろしくないようで……」
「問題ない」
「ですがお顔色が……」
「セリア」
名を呼ばれた瞬間、背筋がぴんと伸びた。
彼は机上の書簡をひとつ掴み、無造作に彼女の前に投げ出した。
「お前、これを見ろ」
見ると、それは辺境軍より届いた報告書だった。
封蝋は既に切られている。
セリアは手を震わせながら一枚目を開いた。
『第七辺境区にて、王都の亡命者と思しき女死亡。身元は不明なれど、金髪・青眼の特徴を有す。当地の治癒師により埋葬済み』
息が止まりそうになる。
「……この“王都の亡命者”とは」
「誰だと思う?」
レオンハルトの声は冷ややかだった。
「まさか……アイリス様が……?」
「そう報告が来ている」
静かな言葉だった。
報告を受けて、彼がどう感じているのか、セリアには分からなかった。
ただその横顔には、悲しみではなく空虚な影があった。
「……これで全て、終わったわけですね」
「終わり?」
「ええ、殿下を欺いた女はもういない。これからは、殿下の御心のままに――」
「違う」
かすかな声だったが、鋭く響いた。
セリアは思わず顔を上げる。
レオンハルトはゆっくりと立ち上がり、窓の外を見つめていた。
「何が“終わった”だ。俺は何も終えてなどいない」
「……殿下?」
「証拠もなく、噂だけで裁きを下した。彼女を……愛していたというのに」
その呟きに、セリアの胸が冷たく締めつけられる。
つまり殿下は、まだ――。
「殿下、どうか……」
歩み寄ろうとした腕を、彼は無言で制した。
「セリア。俺は王家の義務を果たしただけだ。だが、その義務が人を殺したなら……どうすべきだろうな」
「……」
彼女は何も言えなかった。
レオンハルトは深く息を吐き、手を握りしめる。
「辺境軍の統帥権を握るヴァーミリオン将軍に確認を取る。もし、もし彼女がまだ生きているなら――俺は……」
そこまで言いかけて、言葉を飲み込んだ。
「殿下!」
セリアが声を上げる。
「もうそんな噂に惑わされてはなりません!彼女は貴族社会を裏切り、殿下を欺いた罪人ですわ!」
「黙れ」
即座に、冷たい声。
空気が凍る。
「俺が決めることを、お前が口にするな」
セリアは息を呑む。
彼が自分を真っすぐに見たのは、久しぶりだった。
その瞳の中には、怒りと苦悩が混ざり合っている。
「殿下……なぜ……そんなに、あの女に囚われるのですか」
「俺も分からん。だが、彼女が死んだと聞いて、ようやく自分の心が凍っているのに気づいた」
あの夜、城を去る彼女の背中が脳裏を離れない。
涙すら見せなかった誇り高い背中。
あの一瞬を、どうして自分は見送ってしまったのか。
「……俺は、王太子などになるべきではなかったのかもしれない」
その言葉に、セリアの表情が崩れた。
あの断罪の夜、勝ち取った栄光の座。
それを支えてきた努力と野心。
それらが、今この男の一言で砂のように崩れていく。
「……殿下。お言葉が過ぎます。もし陛下に聞かれたら――」
「構わん」
振り返った彼の眼差しには、もはや以前の冷たさはなかった。
ただ一人の男として、自らの罪に向き合う覚悟だけがあった。
セリアは何も言えなかった。
ただ、自分の喉の奥で鳴るすすり泣きの音を抑える。
彼女が望んだはずの未来が、まるで別の形に変わっていく。
そして王都の片隅で、もうひとつの噂が流れ始めていた。
――辺境の地で“癒しの聖女”が現れたらしい。
亡くなったとされる公爵令嬢に似た金髪の女が、人々を救っていると。
この噂が王宮に届くまで、あと数日だった。
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