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第18話 溶けるような口づけ
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真夜中の塔で交わされた言葉から、ひと月が過ぎた。
季節はゆるやかに春へと向かい、ヴェルディアの街には柔らかな陽光が差していた。
改革法が施行され、地方の役人たちが王都へ視察に訪れるようになった。
王も満足げに微笑み、宰相府は連日活気にあふれている。
だが――その中心で懸命に走り回る私の心だけが、どこか落ち着きを失っていた。
アルヴェンはあの夜以降、言葉を探すように私を見つめるだけで、もう深く踏み込んでこようとはしなかった。
まるで約束を胸の奥に封じ込めたかのように、ただ穏やかな距離を保って。
けれどその静けさが、かえって苦しかった。
触れない優しさは、時にいちばん人を切り裂く。
「リリアナ様、少し休憩を」
セリーヌが湯の入ったカップを差し出す。
「ありがとうございます。……私は平気よ」
「嘘です。本当は眠れていないでしょう。最近、目が赤いです」
図星を突かれ、思わず小さく笑う。
「少し考え事が多かっただけ」
「考え事……あの方のことでしょう?」
「セリーヌ、貴方って本当に鋭いのね」
「お嬢様の侍女ですから。そろそろご自身の気持ちを整理して下さいな。あの方、きっと待っておいでですよ」
「待っている……」
その言葉を反芻しながら、私は昼下がりの光に目を細めた。
◆
王が開いた晩餐会の夜。
改革の成功を祝うため、各地方から官吏や商人が招かれた。
音楽と笑い声が宮廷の広間に満ち、燭台の光が豪奢な絨毯を照らす。
ドレスの裾の音が絶え間なく響き、誰もが未来の安定を語っていた。
私もその一角に立っていた。
周囲の視線は穏やかで、かつてのような嘲りはもうない。
それでも胸の奥には小さな穴が開いたままだった。
「人ごみの中にいても、孤独を感じる時がある」
背後から静かな声がした。
振り返ると、そこにアルヴェンがいた。
彼もまた、黒の礼装に金の縁が入った正装――相変わらず、凛として隙がない。
「仕事の顔より柔らかいですね」
「今夜は仕事ではなく、祝宴ですから」
「それでも、貴方は人を観察している目をしている」
「職業病だな」
微かに笑うその声が、胸に沁みた。
「貴女こそ、本当はここを逃げ出したいのでは?」
「ええ、少し。賑やかすぎて息が詰まりそう」
「なら、少し外に出ましょう」
彼の言葉にうなずき、二人で庭園に出た。
夜風が頬を撫で、遠くの噴水が月光を受けてきらめく。
人のざわめきが消え、静寂が降りた。
「この国が、やっと変わりましたね」
「君が変えたと言っていい」
「私一人の力じゃないわ」
「だが、君がいなければ始まりもしなかった」
「……その評価を信じてもいいのかしら」
「信じてほしい。君にだけは嘘をついたことがない」
その一言で、心がほどけるように揺れた。
私は視線を逸らし、噴水の方へ歩いた。
月明かりの中、水面が波打ち、白い霧のような湯気が立ちのぼる。
「月が綺麗ですね」
「ええ。でもそれ以上に、君が綺麗だ」
「また口が上手い」
「本心です」
彼が近づいてくるのがわかった。
足音が草を踏み、私と彼の距離はほんの数歩。
肩が触れるか触れないか、その境界の空気が熱を帯びる。
「リリアナ」
名前が低く響く。
「君がいなければ、私は理性の檻から出られなかった」
「そんなこと、ないわ」
「ある。私はずっと、“計算”の中でしか自分を見てこなかった。
けれど君は、自分の痛みを嘘にせず、それを光に変えた。
私は……それに惹かれた」
一瞬、世界が静止した。
鼓動の音が風に溶ける。
彼の瞳は、真剣そのもので、冗談も迷いもなかった。
「……あの夜の約束、覚えていますか?」
「塔の上での?」
「君が務めを終えたら、再び答えをくれると言った」
「ええ、覚えているわ」
「もうその時だ」
言葉の隙間に、彼の手が伸びた。
指先が私の頬に触れる。
一瞬で全身が熱くなる。
逃げる術も、逃げたい気持ちもなかった。
「答えを、聞かせてほしい」
その低い声が、胸の奥を震わせる。
私は唇を噛みながらゆっくり息を吸い、そして首を振った。
「違うの。聞かせるんじゃないわ。……感じて」
その瞬間、距離が消えた。
唇が触れた――驚くほど静かに、穏やかに。
溶けるような温度が、ゆっくりと体中を満たしていく。
冬の氷が解け、春の水が流れ出すような感覚だった。
彼の手が頬から髪へと滑り、片腕でそっと抱き寄せる。
拒む理由を見つけようとしても、理性はすでに彼に預けられていた。
聞こえるのは、自分でも信じられないほど静かな鼓動。
どれくらいそうしていただろう。
唇が離れる頃には、夜風の音が戻っていた。
アルヴェンは微かに息を吐き、額を私の額に触れさせた。
「……これが、私の“理”の終わりです」
「じゃあ、これが“私の”始まりね」
「リリアナ」
「はい?」
「君を愛している」
その直球の言葉に、逃げ場はなかった。
優しさも計算もなく、ただまっすぐに真実として。
私は彼の胸に手を置き、笑った。
「そんなふうに言われたら、仕事ができなくなるわ」
「それなら、今夜だけでいい」
「夜が明けたら、また宰相補佐と顧問。……そうでしょう?」
「ええ、でもこの夜がある限り、私は何度でも立ち上がれる」
「アルヴェン様」
「ん?」
「私も愛しています。――貴方の理性ごと、すべて」
互いに目を閉じ、再び唇を重ねた。
今度は言葉ではなく、誓いとして。
噴水の音が静かに包み込み、夜が少しずつ溶けていく。
遠くで鐘が鳴る。
都の夜が明けようとしていた。
二人の影が、朝の光に溶けながら一つになる。
その瞬間、誰も知らない約束が結ばれた。
それは、政治でも立場でもない――人としての、ただひとつの愛の契約だった。
続く
季節はゆるやかに春へと向かい、ヴェルディアの街には柔らかな陽光が差していた。
改革法が施行され、地方の役人たちが王都へ視察に訪れるようになった。
王も満足げに微笑み、宰相府は連日活気にあふれている。
だが――その中心で懸命に走り回る私の心だけが、どこか落ち着きを失っていた。
アルヴェンはあの夜以降、言葉を探すように私を見つめるだけで、もう深く踏み込んでこようとはしなかった。
まるで約束を胸の奥に封じ込めたかのように、ただ穏やかな距離を保って。
けれどその静けさが、かえって苦しかった。
触れない優しさは、時にいちばん人を切り裂く。
「リリアナ様、少し休憩を」
セリーヌが湯の入ったカップを差し出す。
「ありがとうございます。……私は平気よ」
「嘘です。本当は眠れていないでしょう。最近、目が赤いです」
図星を突かれ、思わず小さく笑う。
「少し考え事が多かっただけ」
「考え事……あの方のことでしょう?」
「セリーヌ、貴方って本当に鋭いのね」
「お嬢様の侍女ですから。そろそろご自身の気持ちを整理して下さいな。あの方、きっと待っておいでですよ」
「待っている……」
その言葉を反芻しながら、私は昼下がりの光に目を細めた。
◆
王が開いた晩餐会の夜。
改革の成功を祝うため、各地方から官吏や商人が招かれた。
音楽と笑い声が宮廷の広間に満ち、燭台の光が豪奢な絨毯を照らす。
ドレスの裾の音が絶え間なく響き、誰もが未来の安定を語っていた。
私もその一角に立っていた。
周囲の視線は穏やかで、かつてのような嘲りはもうない。
それでも胸の奥には小さな穴が開いたままだった。
「人ごみの中にいても、孤独を感じる時がある」
背後から静かな声がした。
振り返ると、そこにアルヴェンがいた。
彼もまた、黒の礼装に金の縁が入った正装――相変わらず、凛として隙がない。
「仕事の顔より柔らかいですね」
「今夜は仕事ではなく、祝宴ですから」
「それでも、貴方は人を観察している目をしている」
「職業病だな」
微かに笑うその声が、胸に沁みた。
「貴女こそ、本当はここを逃げ出したいのでは?」
「ええ、少し。賑やかすぎて息が詰まりそう」
「なら、少し外に出ましょう」
彼の言葉にうなずき、二人で庭園に出た。
夜風が頬を撫で、遠くの噴水が月光を受けてきらめく。
人のざわめきが消え、静寂が降りた。
「この国が、やっと変わりましたね」
「君が変えたと言っていい」
「私一人の力じゃないわ」
「だが、君がいなければ始まりもしなかった」
「……その評価を信じてもいいのかしら」
「信じてほしい。君にだけは嘘をついたことがない」
その一言で、心がほどけるように揺れた。
私は視線を逸らし、噴水の方へ歩いた。
月明かりの中、水面が波打ち、白い霧のような湯気が立ちのぼる。
「月が綺麗ですね」
「ええ。でもそれ以上に、君が綺麗だ」
「また口が上手い」
「本心です」
彼が近づいてくるのがわかった。
足音が草を踏み、私と彼の距離はほんの数歩。
肩が触れるか触れないか、その境界の空気が熱を帯びる。
「リリアナ」
名前が低く響く。
「君がいなければ、私は理性の檻から出られなかった」
「そんなこと、ないわ」
「ある。私はずっと、“計算”の中でしか自分を見てこなかった。
けれど君は、自分の痛みを嘘にせず、それを光に変えた。
私は……それに惹かれた」
一瞬、世界が静止した。
鼓動の音が風に溶ける。
彼の瞳は、真剣そのもので、冗談も迷いもなかった。
「……あの夜の約束、覚えていますか?」
「塔の上での?」
「君が務めを終えたら、再び答えをくれると言った」
「ええ、覚えているわ」
「もうその時だ」
言葉の隙間に、彼の手が伸びた。
指先が私の頬に触れる。
一瞬で全身が熱くなる。
逃げる術も、逃げたい気持ちもなかった。
「答えを、聞かせてほしい」
その低い声が、胸の奥を震わせる。
私は唇を噛みながらゆっくり息を吸い、そして首を振った。
「違うの。聞かせるんじゃないわ。……感じて」
その瞬間、距離が消えた。
唇が触れた――驚くほど静かに、穏やかに。
溶けるような温度が、ゆっくりと体中を満たしていく。
冬の氷が解け、春の水が流れ出すような感覚だった。
彼の手が頬から髪へと滑り、片腕でそっと抱き寄せる。
拒む理由を見つけようとしても、理性はすでに彼に預けられていた。
聞こえるのは、自分でも信じられないほど静かな鼓動。
どれくらいそうしていただろう。
唇が離れる頃には、夜風の音が戻っていた。
アルヴェンは微かに息を吐き、額を私の額に触れさせた。
「……これが、私の“理”の終わりです」
「じゃあ、これが“私の”始まりね」
「リリアナ」
「はい?」
「君を愛している」
その直球の言葉に、逃げ場はなかった。
優しさも計算もなく、ただまっすぐに真実として。
私は彼の胸に手を置き、笑った。
「そんなふうに言われたら、仕事ができなくなるわ」
「それなら、今夜だけでいい」
「夜が明けたら、また宰相補佐と顧問。……そうでしょう?」
「ええ、でもこの夜がある限り、私は何度でも立ち上がれる」
「アルヴェン様」
「ん?」
「私も愛しています。――貴方の理性ごと、すべて」
互いに目を閉じ、再び唇を重ねた。
今度は言葉ではなく、誓いとして。
噴水の音が静かに包み込み、夜が少しずつ溶けていく。
遠くで鐘が鳴る。
都の夜が明けようとしていた。
二人の影が、朝の光に溶けながら一つになる。
その瞬間、誰も知らない約束が結ばれた。
それは、政治でも立場でもない――人としての、ただひとつの愛の契約だった。
続く
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