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第29話 祝福される二人
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ルクレイス王城の大広間に光が差し込んでいた。
厚い雲を割って差し込む朝日は、どこまでも澄んで美しい。
一夜明け、リリアナとアルヴェンが新王アレクシスと交わした密約は、両国を繋ぎ直す最終調整へと進んでいた。
血と復讐を超えた「理による新秩序の制定」。それが交渉の核心だった。
だがその日――リリアナにとっては、もっと別の意味を持つ朝だった。
前夜、アルヴェンは彼女の髪を撫でながら、静かに言ったのだ。
「過去も、国も、痛みも全部背負って、明日を迎えよう。君と、正式に。」
王国の重臣たちが見守る中、リリアナは大理石の階段を上り、祭壇の前に立った。
その腰には薄金の帯、背にはヴェルディア宰相家の紋章を象徴する青いマント。
彼女の立ち姿は、もはや政治の女ではなかった。信念の証そのものだった。
アレクシス王が玉座から降り、剣を掲げる。
「我が手により、ヴェルディアとの盟約をここに成立とする。
そして此度の婚約をもって、アルヴェン・クロスフォード、リリアナ・フォン・エルディンを両国の象徴として祝福する!」
静かな轟きのように拍手が広がっていった。
ルクレイスの廷臣も、ヴェルディアからの使節も、皆が二人を称えた。
理と愛がようやく調和を得た瞬間――それは、かつて何よりも遠い夢だった。
リリアナは深く礼を取る。
その視線の先、いつのまにか彼の姿があった。
アルヴェンは黒衣の軍装に身を包み、刀剣を静かに納めながら、彼女を見つめていた。
「アルヴェン・クロスフォード。」
王が名を呼ぶ。
「貴殿の忠義と理、そして愛をもってこの盟約を成したことを称える。
ヴェルディアより新しい封爵の申し出が届いている。“連盟顧問公”の称号を、ここに授ける」
「謹んでお受けします。理と民のために、そしてただ一人のために」
その言葉に王は目を細め、笑みを見せた。
「……“一人のために”とは、また大胆だな」
「私の理には、もう彼女が含まれています」
アルヴェンの声は堂々としていた。
リリアナもまた一歩踏み出し、王へ告げた。
「陛下、この国が戦の絶望に戻ることはありません。理を忘れない限り、私たちは虚無に沈まずにすむ。
そして私は、愛する人とともに、それを証明していきます」
広間が静まり返った。
長い年月の恨みや疑念が、今この瞬間だけは止んだ。
アレクシスは椅子に戻ると、驚くほど柔らかな笑みを浮かべた。
「ようやくこの国にも、本物の理がやってきたらしいな。おまえたちを祝福しよう」
音もなく扉が開き、天窓から光が差し込む。
王宮の奏楽が流れ、まるで運命を祝うように柔らかな旋律が広間を満たしていく。
アルヴェンはリリアナに歩み寄り、片膝をついて右手を差し出した。
「リリアナ・フォン・エルディン。戦も悲しみも越えて、君の隣で生きたい。
理を超えた誓いを、この手で」
「それは“愛の誓い”かしら」
「いや、“永遠の理”だ」
「なら……共に歩きましょう」
彼女はその手を握った。
柔らかな掌と掌が重なり、光の中で一つになる。
愛でも義でもない、ただ互いの魂だけが結ばれていた。
静けさを破ったのは、拍手ではなく、祈りだった。
跪いた民が、二人を見上げ、誰からともなく声を上げた。
「理よ、愛よ、我らの王国に加護を――」
その声に続くように、鐘が鳴る。
ルクレイスとヴェルディア、二つの国の長い歴史が交わる音だった。
◆
式が終わってからしばらくして、王城の庭園に二人の姿があった。
昼の柔らかな陽光が花を照らし、噴水の水がさざめく。
リリアナが木陰のベンチに座り、アルヴェンが隣で肩を寄せる。
祭服の金糸が太陽に輝き、風が溶けるように二人を包む。
「これで本当に終わったのね」
リリアナの声は穏やかだが、どこか信じ難そうだった。
「いや、始まりだ。理と愛は、終わりからしか生まれない」
「また難しいことを言うわね」
「君に似ただけだ」
「まさか、私より面倒な理屈屋になったとは思わなかったわ」
「うれしいだろう?」
「うれしいと思うわ。最高に、ね」
リリアナは笑いながら、アルヴェンの肩に頭を預けた。
彼は静かにその手を取り、小さく囁く。
「君に出会ってから、理が優しくなった。数字や言葉じゃなく、血と涙の重みで出来ている。
だから、君を愛することは俺にとって、“思考”の延長だ」
「それ、告白になってるの?」
「なっていないなら、今する」
リリアナが顔を上げる。
アルヴェンはその瞳を見つめ、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「――君を愛している。理があってもなくても、命が尽きても、この思いは揺るがない」
「……泣かせないで」
「泣かせていい。泣くということは、まだ何かを信じている証だ」
「本当にずるい人」
彼女は肩を震わせながら微笑み、彼の唇に手を触れた。
陽光が二人の間を照らす。
「私は、“この国のために生きる”と最初に誓った。でも今は、貴方が生きる世界のために生きたい」
「それで充分だ。君がいれば、世界そのものが変わる」
遠くで風に花弁が舞う。
噴水がひときわ高く水を上げ、太陽の光を反射した。
祝福のように、白い虹が二人の背にかかる。
アルヴェンはリリアナの手を握り、低く囁いた。
「リリアナ、この光景をいつか、君が疲れたときに思い出してほしい。
世界の理が裏切っても、俺がいるということを」
「……逃げ場のない誓いね」
「君がいる限り、逃げたくない」
彼女は短く息を呑み、微笑んだ。
風が二人を包み、時が止まる。
それは、理が愛を赦し、愛が理を讃える瞬間だった。
幾多の涙を越えて、ようやく届いた安らぎ――そして永遠の始まり。
リリアナは彼の胸に顔を埋め、そっと囁いた。
「アルヴェン……貴方という理に、永遠を誓うわ」
彼は静かに頷き、彼女の髪に唇を落とした。
「君の永遠は、俺の未来だ」
庭園の鐘が高く鳴り、鳥が青空へと飛び立つ。
その瞬間、誰もが二人の幸福を祈った。
理と愛の国、ヴェルディアとルクレイス。
すべての戦は終わり、真の平和が訪れる――誰もがそう信じていた。
けれど、終わりはまだ遠くにあった。
運命の歯車は静かに回り続け、二人の誓いを試す新たな時が近づいていた。
続く
厚い雲を割って差し込む朝日は、どこまでも澄んで美しい。
一夜明け、リリアナとアルヴェンが新王アレクシスと交わした密約は、両国を繋ぎ直す最終調整へと進んでいた。
血と復讐を超えた「理による新秩序の制定」。それが交渉の核心だった。
だがその日――リリアナにとっては、もっと別の意味を持つ朝だった。
前夜、アルヴェンは彼女の髪を撫でながら、静かに言ったのだ。
「過去も、国も、痛みも全部背負って、明日を迎えよう。君と、正式に。」
王国の重臣たちが見守る中、リリアナは大理石の階段を上り、祭壇の前に立った。
その腰には薄金の帯、背にはヴェルディア宰相家の紋章を象徴する青いマント。
彼女の立ち姿は、もはや政治の女ではなかった。信念の証そのものだった。
アレクシス王が玉座から降り、剣を掲げる。
「我が手により、ヴェルディアとの盟約をここに成立とする。
そして此度の婚約をもって、アルヴェン・クロスフォード、リリアナ・フォン・エルディンを両国の象徴として祝福する!」
静かな轟きのように拍手が広がっていった。
ルクレイスの廷臣も、ヴェルディアからの使節も、皆が二人を称えた。
理と愛がようやく調和を得た瞬間――それは、かつて何よりも遠い夢だった。
リリアナは深く礼を取る。
その視線の先、いつのまにか彼の姿があった。
アルヴェンは黒衣の軍装に身を包み、刀剣を静かに納めながら、彼女を見つめていた。
「アルヴェン・クロスフォード。」
王が名を呼ぶ。
「貴殿の忠義と理、そして愛をもってこの盟約を成したことを称える。
ヴェルディアより新しい封爵の申し出が届いている。“連盟顧問公”の称号を、ここに授ける」
「謹んでお受けします。理と民のために、そしてただ一人のために」
その言葉に王は目を細め、笑みを見せた。
「……“一人のために”とは、また大胆だな」
「私の理には、もう彼女が含まれています」
アルヴェンの声は堂々としていた。
リリアナもまた一歩踏み出し、王へ告げた。
「陛下、この国が戦の絶望に戻ることはありません。理を忘れない限り、私たちは虚無に沈まずにすむ。
そして私は、愛する人とともに、それを証明していきます」
広間が静まり返った。
長い年月の恨みや疑念が、今この瞬間だけは止んだ。
アレクシスは椅子に戻ると、驚くほど柔らかな笑みを浮かべた。
「ようやくこの国にも、本物の理がやってきたらしいな。おまえたちを祝福しよう」
音もなく扉が開き、天窓から光が差し込む。
王宮の奏楽が流れ、まるで運命を祝うように柔らかな旋律が広間を満たしていく。
アルヴェンはリリアナに歩み寄り、片膝をついて右手を差し出した。
「リリアナ・フォン・エルディン。戦も悲しみも越えて、君の隣で生きたい。
理を超えた誓いを、この手で」
「それは“愛の誓い”かしら」
「いや、“永遠の理”だ」
「なら……共に歩きましょう」
彼女はその手を握った。
柔らかな掌と掌が重なり、光の中で一つになる。
愛でも義でもない、ただ互いの魂だけが結ばれていた。
静けさを破ったのは、拍手ではなく、祈りだった。
跪いた民が、二人を見上げ、誰からともなく声を上げた。
「理よ、愛よ、我らの王国に加護を――」
その声に続くように、鐘が鳴る。
ルクレイスとヴェルディア、二つの国の長い歴史が交わる音だった。
◆
式が終わってからしばらくして、王城の庭園に二人の姿があった。
昼の柔らかな陽光が花を照らし、噴水の水がさざめく。
リリアナが木陰のベンチに座り、アルヴェンが隣で肩を寄せる。
祭服の金糸が太陽に輝き、風が溶けるように二人を包む。
「これで本当に終わったのね」
リリアナの声は穏やかだが、どこか信じ難そうだった。
「いや、始まりだ。理と愛は、終わりからしか生まれない」
「また難しいことを言うわね」
「君に似ただけだ」
「まさか、私より面倒な理屈屋になったとは思わなかったわ」
「うれしいだろう?」
「うれしいと思うわ。最高に、ね」
リリアナは笑いながら、アルヴェンの肩に頭を預けた。
彼は静かにその手を取り、小さく囁く。
「君に出会ってから、理が優しくなった。数字や言葉じゃなく、血と涙の重みで出来ている。
だから、君を愛することは俺にとって、“思考”の延長だ」
「それ、告白になってるの?」
「なっていないなら、今する」
リリアナが顔を上げる。
アルヴェンはその瞳を見つめ、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「――君を愛している。理があってもなくても、命が尽きても、この思いは揺るがない」
「……泣かせないで」
「泣かせていい。泣くということは、まだ何かを信じている証だ」
「本当にずるい人」
彼女は肩を震わせながら微笑み、彼の唇に手を触れた。
陽光が二人の間を照らす。
「私は、“この国のために生きる”と最初に誓った。でも今は、貴方が生きる世界のために生きたい」
「それで充分だ。君がいれば、世界そのものが変わる」
遠くで風に花弁が舞う。
噴水がひときわ高く水を上げ、太陽の光を反射した。
祝福のように、白い虹が二人の背にかかる。
アルヴェンはリリアナの手を握り、低く囁いた。
「リリアナ、この光景をいつか、君が疲れたときに思い出してほしい。
世界の理が裏切っても、俺がいるということを」
「……逃げ場のない誓いね」
「君がいる限り、逃げたくない」
彼女は短く息を呑み、微笑んだ。
風が二人を包み、時が止まる。
それは、理が愛を赦し、愛が理を讃える瞬間だった。
幾多の涙を越えて、ようやく届いた安らぎ――そして永遠の始まり。
リリアナは彼の胸に顔を埋め、そっと囁いた。
「アルヴェン……貴方という理に、永遠を誓うわ」
彼は静かに頷き、彼女の髪に唇を落とした。
「君の永遠は、俺の未来だ」
庭園の鐘が高く鳴り、鳥が青空へと飛び立つ。
その瞬間、誰もが二人の幸福を祈った。
理と愛の国、ヴェルディアとルクレイス。
すべての戦は終わり、真の平和が訪れる――誰もがそう信じていた。
けれど、終わりはまだ遠くにあった。
運命の歯車は静かに回り続け、二人の誓いを試す新たな時が近づいていた。
続く
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