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今日はアリエルの父、長老の家に来ていた。この家には前からずっと読みたかった本がある。家を訪ねると書斎に通され、「好きなのを持っていくといい」と言われたので、興味がある本もいくつか取った。
しばらく物色したあとお目当ての本を探し始めた。本棚を見渡すと、赤い革の本を見つける。これだ、そう思い埃かぶった本を手に取った。赤い革には金色の文字で「はじまりのはなし」と書かれてあった。この本は、世界の誕生から現在までの全てが書かれている。言わば歴史書だ。しばらく滞在していいと言われたので、近くにある椅子に腰を掛け、本を開いた。
──この世界はすべてが混沌だった。白も黒も、光も闇もない空間に2つの力だけが存在していた。その力は互いにぶつかり合い、離れ合い、渦巻き合いながら何もない混沌をただ動き回っていた。ある時、いつものようにぶつかり合っていたとき、突然生き物がふたつ生まれた。創造の神ウラノスと破壊の神タナトス。自身の誕生に驚いた2人だが、何よりも喜び仲良く暮らしていた。
何万年か経ったある日、ウラノスは2人しかいない世界を寂しく思った。変化がほしい、そう思った彼は混沌の中、力の破片をかき集め大地を作った。そして、自らの力を流し込み最初の生き物を創造した。それが天使と呼ばれる生き物である。
その後、天使だけでは大地が寂しいと、ウラノスはまた、生き物を創造した。始めは1種族だったが、多様に進化していった。それが後の人間、獣人、エルフそして魔族となる。
初代の特徴を最も受け継いでいるものがエルフと魔人。だから彼らは媒介を通さなくとも魔法が使える。そして、人間と獣人はそれぞれ独特に進化した。
はじめはどの種族も力を補い助け合って生きてきた。しかし、それを見た破壊の神タナトスが人間の若者を誘惑する。
「おまえは今のままで満足か?もっと力が欲しくないのか?」
タナトスはウラノスの関心を奪った存在に嫉妬したのだ。その誘いに惑わされ、人間は他の種族を虐げ始めた。それを見た他の種族も、自分たち以外を見下すようになった。そして世界は荒れ果てた。暴力には暴力を、殺しには殺しを。それが当時の常識だった。それぞれの生き残りがあと数十人となったとき、荒れ果てた様子に気が付いたウラノスは大変嘆き悲しんだ。そこで大地を4つに分け、それぞれを隔離した。その後、全ての元凶となったタナトスを死闘の末、地の奥底に封印することに成功したのだ。
そして自らを「世界を統べるもの」と名乗り、また同じ過ちを繰り返さぬよう世界を見守ることにした。
争いの間、タナトスに囚われていた天使たちは、助けてくれたウラノスに感謝と敬意を払い、今後自分の一族はいかなるときもウラノスと共に進むことを誓った。そんな天使にウラノスは特別な加護を与え、共に世界を統治していった。
……とまあ要約すると、こんな感じらしい。
前世の神話に似てなくもないが、やはりどの世界も神話は似通うものなのか?
この本には魔法についても書かれてある。
ウラノスとタナトスはいわゆる創造魔法が使えるが、それぞれ使えない属性が1つだけあるらしい。それが、光と闇。光魔法は回復と治癒に特化したもので、タナトスはこれを使えない。逆に闇魔法は全てを破壊する魔法でウラノスは使えない。
下界においても、ウラノスはたまに他の種族に加護を与えるから光魔法を使える人はまあまあいる。しかし、タナトスは封印されたため、闇魔法は誰にも使えない。
他の種族は、火、風、土、水、光の5属性の魔法を使う。人間は主に1つの属性の魔法が使える。エルフや魔族はほとんど2属性以上適正があって、獣人には適正がない。代わりに強靭な肉体を持つそうだ。
僕たち天使族は、ウラノス直々に強い加護をもらっているから、全属性を使いこなせる。
そうすると、魔法を使えない僕は何者なのだろう。異世界の魂は加護がつかないのだろうか。
まとまらない考えに悶々としていたが、すっかり暮れた外を見て帰ることにした。長老にお礼を言い、帰路につく。
僕の本質が天使でも、そうでなくとも、このまま魔法が使えないと消されてしまう。とにかく、今は魔法を習得しなくてはならないのだ。
すっかり暗くなった空を見上げると、いつもの満面の星空は雲に隠れて見えなかった。
しばらく物色したあとお目当ての本を探し始めた。本棚を見渡すと、赤い革の本を見つける。これだ、そう思い埃かぶった本を手に取った。赤い革には金色の文字で「はじまりのはなし」と書かれてあった。この本は、世界の誕生から現在までの全てが書かれている。言わば歴史書だ。しばらく滞在していいと言われたので、近くにある椅子に腰を掛け、本を開いた。
──この世界はすべてが混沌だった。白も黒も、光も闇もない空間に2つの力だけが存在していた。その力は互いにぶつかり合い、離れ合い、渦巻き合いながら何もない混沌をただ動き回っていた。ある時、いつものようにぶつかり合っていたとき、突然生き物がふたつ生まれた。創造の神ウラノスと破壊の神タナトス。自身の誕生に驚いた2人だが、何よりも喜び仲良く暮らしていた。
何万年か経ったある日、ウラノスは2人しかいない世界を寂しく思った。変化がほしい、そう思った彼は混沌の中、力の破片をかき集め大地を作った。そして、自らの力を流し込み最初の生き物を創造した。それが天使と呼ばれる生き物である。
その後、天使だけでは大地が寂しいと、ウラノスはまた、生き物を創造した。始めは1種族だったが、多様に進化していった。それが後の人間、獣人、エルフそして魔族となる。
初代の特徴を最も受け継いでいるものがエルフと魔人。だから彼らは媒介を通さなくとも魔法が使える。そして、人間と獣人はそれぞれ独特に進化した。
はじめはどの種族も力を補い助け合って生きてきた。しかし、それを見た破壊の神タナトスが人間の若者を誘惑する。
「おまえは今のままで満足か?もっと力が欲しくないのか?」
タナトスはウラノスの関心を奪った存在に嫉妬したのだ。その誘いに惑わされ、人間は他の種族を虐げ始めた。それを見た他の種族も、自分たち以外を見下すようになった。そして世界は荒れ果てた。暴力には暴力を、殺しには殺しを。それが当時の常識だった。それぞれの生き残りがあと数十人となったとき、荒れ果てた様子に気が付いたウラノスは大変嘆き悲しんだ。そこで大地を4つに分け、それぞれを隔離した。その後、全ての元凶となったタナトスを死闘の末、地の奥底に封印することに成功したのだ。
そして自らを「世界を統べるもの」と名乗り、また同じ過ちを繰り返さぬよう世界を見守ることにした。
争いの間、タナトスに囚われていた天使たちは、助けてくれたウラノスに感謝と敬意を払い、今後自分の一族はいかなるときもウラノスと共に進むことを誓った。そんな天使にウラノスは特別な加護を与え、共に世界を統治していった。
……とまあ要約すると、こんな感じらしい。
前世の神話に似てなくもないが、やはりどの世界も神話は似通うものなのか?
この本には魔法についても書かれてある。
ウラノスとタナトスはいわゆる創造魔法が使えるが、それぞれ使えない属性が1つだけあるらしい。それが、光と闇。光魔法は回復と治癒に特化したもので、タナトスはこれを使えない。逆に闇魔法は全てを破壊する魔法でウラノスは使えない。
下界においても、ウラノスはたまに他の種族に加護を与えるから光魔法を使える人はまあまあいる。しかし、タナトスは封印されたため、闇魔法は誰にも使えない。
他の種族は、火、風、土、水、光の5属性の魔法を使う。人間は主に1つの属性の魔法が使える。エルフや魔族はほとんど2属性以上適正があって、獣人には適正がない。代わりに強靭な肉体を持つそうだ。
僕たち天使族は、ウラノス直々に強い加護をもらっているから、全属性を使いこなせる。
そうすると、魔法を使えない僕は何者なのだろう。異世界の魂は加護がつかないのだろうか。
まとまらない考えに悶々としていたが、すっかり暮れた外を見て帰ることにした。長老にお礼を言い、帰路につく。
僕の本質が天使でも、そうでなくとも、このまま魔法が使えないと消されてしまう。とにかく、今は魔法を習得しなくてはならないのだ。
すっかり暗くなった空を見上げると、いつもの満面の星空は雲に隠れて見えなかった。
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