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6話目
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少し寒さを感じる夕方、今日も魔法の練習をしていた。よく来る丘の上は、冷たい風が吹いていた。もう冬が近いのかもしれない。日はだんだん短くなってきている。
いつものように胡座をかき、目を瞑り、呼吸をする。今日いつもと違うのは、ラジーも隣で瞑想しているということだ。2人並んで座っている。静寂の時間もつかの間、集中がきれたラジーはそのまま後ろに倒れ込んだ。
「あー! 疲れたー!! ルシーお前も!」
そう言うと僕の腰を掴み引っぱってきた。耐えきれず、後ろに倒れてしまう。勢い余ってラジーの胸に倒れ込んでしまった。「お、おい、ちょっと!近いって!」そう言って、焦って体を離そうとするものだから思わず笑ってしまう。
「あはははっ! 焦りすぎだって! 慌てんなよ」
そのまま胸をペシペシ叩くと微妙な顔で見てきた。気にせず頭を少し動かし、腕枕の状態にする。その状態で空を見上げた。柔らかいオレンジ色の空が広がっていた。風に吹かれた木の葉がかさかさと心地よい音を立てている。
「ねえラジー、今日はもう仕事は大丈夫なの?」
「ああ、今日は祭りの準備があるからな。他のみんなも今日は仕事がないはずだ」
「祭り? 何それ?」
「……アダム達から聞いてないのか? 明日は生誕祭だろ、みんなで祝うんだよ」
「生誕祭って長老の?」
「違う、ウラノス様だ。明日はウラノス様が生まれた日で、タナトスを封印した日だ。それを毎年じゃなくて10年置きに祝うんだ」
「へえー、楽しそうだね。屋台とか出るのかな」
そう言うと、ラジーは頭をこちらに向けてきた。それにならって僕も彼を見つめる。ラジーは少し緊張した面持ちで口を開いた。
「明日、一緒に行くか? 屋台が出るんだ。余興もある。一緒に周らないか?」
「え、行く行く! ラジーと一緒なら安心だねえ、楽しみ!」
興奮してしまい、子供のように頬が赤く染まった。興奮気味のまま話す。
「屋台って何が売ってるのかな、美味しいものあるかなあ。余興も何をやるんだろうね、楽しみだなあ。ね、ラジーは周りたい所ある?」
横を見ると、彼はこちらを凝視していた。疑問に思って彼を見つめ返す。もしかして子供みたいにはしゃいでいたのが良くなかったのだろうか。少し恥ずかしくなって俯いた。
「ご、ごめん……思わずはしゃいじゃった」
「あ、ああ、いや、そう言うのじゃなくって……いや、悪い。その、そんなに喜んでくれると思わなくって、かわいかっ…いや嬉しかったから」
「う、うん? そっか」
「あ、ああ。それで俺の周りたいところだっけ?特にないな。明日適当に周ろうぜ」
「そうだね、それがいい。じゃあ楽しみにしてるね」
「おう、朝迎えに行くな。それじゃ今日はも帰るわ、祭りの準備してくる」
「分かった! また明日ね」
いつも通り頬に口づけてから飛んでいった。僕もそのまま家に帰る。
家に着くと、珍しくアダムとイヴがいた。
「ねえお母さん。明日祭りなの?」
「そうよ、言っていなかったかしら。」
「そうだよ! 今日ラジーに言われて初めて知ったんだ。明日はラジーと一緒に行ってくるね」
「ラジーってラジエルかしら。彼と一緒に?」
「そうだよ、誘われたんだ」
そう言うと、イヴは驚いてこちらを見てきた。「誘われたですって……!」そう呟き、どこかへ走り去ってしまった。
「え、お母さん…?」
祭りに行くのがまずかったのだろうか。予想外の反応にあたふたしていると、「ルシー!お前ラジーに誘われたのか?!」そう叫びながらアダムが走ってきた。
「そうだけど……何かまずかった?」
気まずくなり、俯き加減で見上げる。
「ルシー、いいか。お前にはまだ早い。明日行かなくていいぞ。そうだっ! 明日は家族で家に居よう! それがいい!」
「え、でももう約束しちゃったし……」
アダムが僕の肩を掴み、揺さぶりながら言う。
「だいたいルシーとラジエルはそんなに仲がいいのか? 天使の寿命は長いんだぞ。もう少し時間が経ってもだな、」
「あなた、いいじゃないですか。ラジエルも最近よく働いていると聞きます。ルシーを預けても問題ないわよ。ラシー、今日は早く寝なさい。明日はおめかしするわよ」
「う、うん。分かった……おやすみなさい」
うーん、何かまずかったのだろうか。「ラジエルめ、私の可愛い息子に手を出しやがって」後ろからアダムが何か言っているのが聞こえた。どうやらただの祭りではないらしい。
考えてもきりがないので、早めにベットに潜る。
祭りか……前世でもたくさん行っていたっけな。弟と一緒にかき氷とかわたあめとかよく食べてたっけ。友達と花火も見に行った気がする。
少し寂しくなってしまい、前世のことを考えるのは止めた。そのまま明日のことを考える。いつの間にか眠りについていた。
いつものように胡座をかき、目を瞑り、呼吸をする。今日いつもと違うのは、ラジーも隣で瞑想しているということだ。2人並んで座っている。静寂の時間もつかの間、集中がきれたラジーはそのまま後ろに倒れ込んだ。
「あー! 疲れたー!! ルシーお前も!」
そう言うと僕の腰を掴み引っぱってきた。耐えきれず、後ろに倒れてしまう。勢い余ってラジーの胸に倒れ込んでしまった。「お、おい、ちょっと!近いって!」そう言って、焦って体を離そうとするものだから思わず笑ってしまう。
「あはははっ! 焦りすぎだって! 慌てんなよ」
そのまま胸をペシペシ叩くと微妙な顔で見てきた。気にせず頭を少し動かし、腕枕の状態にする。その状態で空を見上げた。柔らかいオレンジ色の空が広がっていた。風に吹かれた木の葉がかさかさと心地よい音を立てている。
「ねえラジー、今日はもう仕事は大丈夫なの?」
「ああ、今日は祭りの準備があるからな。他のみんなも今日は仕事がないはずだ」
「祭り? 何それ?」
「……アダム達から聞いてないのか? 明日は生誕祭だろ、みんなで祝うんだよ」
「生誕祭って長老の?」
「違う、ウラノス様だ。明日はウラノス様が生まれた日で、タナトスを封印した日だ。それを毎年じゃなくて10年置きに祝うんだ」
「へえー、楽しそうだね。屋台とか出るのかな」
そう言うと、ラジーは頭をこちらに向けてきた。それにならって僕も彼を見つめる。ラジーは少し緊張した面持ちで口を開いた。
「明日、一緒に行くか? 屋台が出るんだ。余興もある。一緒に周らないか?」
「え、行く行く! ラジーと一緒なら安心だねえ、楽しみ!」
興奮してしまい、子供のように頬が赤く染まった。興奮気味のまま話す。
「屋台って何が売ってるのかな、美味しいものあるかなあ。余興も何をやるんだろうね、楽しみだなあ。ね、ラジーは周りたい所ある?」
横を見ると、彼はこちらを凝視していた。疑問に思って彼を見つめ返す。もしかして子供みたいにはしゃいでいたのが良くなかったのだろうか。少し恥ずかしくなって俯いた。
「ご、ごめん……思わずはしゃいじゃった」
「あ、ああ、いや、そう言うのじゃなくって……いや、悪い。その、そんなに喜んでくれると思わなくって、かわいかっ…いや嬉しかったから」
「う、うん? そっか」
「あ、ああ。それで俺の周りたいところだっけ?特にないな。明日適当に周ろうぜ」
「そうだね、それがいい。じゃあ楽しみにしてるね」
「おう、朝迎えに行くな。それじゃ今日はも帰るわ、祭りの準備してくる」
「分かった! また明日ね」
いつも通り頬に口づけてから飛んでいった。僕もそのまま家に帰る。
家に着くと、珍しくアダムとイヴがいた。
「ねえお母さん。明日祭りなの?」
「そうよ、言っていなかったかしら。」
「そうだよ! 今日ラジーに言われて初めて知ったんだ。明日はラジーと一緒に行ってくるね」
「ラジーってラジエルかしら。彼と一緒に?」
「そうだよ、誘われたんだ」
そう言うと、イヴは驚いてこちらを見てきた。「誘われたですって……!」そう呟き、どこかへ走り去ってしまった。
「え、お母さん…?」
祭りに行くのがまずかったのだろうか。予想外の反応にあたふたしていると、「ルシー!お前ラジーに誘われたのか?!」そう叫びながらアダムが走ってきた。
「そうだけど……何かまずかった?」
気まずくなり、俯き加減で見上げる。
「ルシー、いいか。お前にはまだ早い。明日行かなくていいぞ。そうだっ! 明日は家族で家に居よう! それがいい!」
「え、でももう約束しちゃったし……」
アダムが僕の肩を掴み、揺さぶりながら言う。
「だいたいルシーとラジエルはそんなに仲がいいのか? 天使の寿命は長いんだぞ。もう少し時間が経ってもだな、」
「あなた、いいじゃないですか。ラジエルも最近よく働いていると聞きます。ルシーを預けても問題ないわよ。ラシー、今日は早く寝なさい。明日はおめかしするわよ」
「う、うん。分かった……おやすみなさい」
うーん、何かまずかったのだろうか。「ラジエルめ、私の可愛い息子に手を出しやがって」後ろからアダムが何か言っているのが聞こえた。どうやらただの祭りではないらしい。
考えてもきりがないので、早めにベットに潜る。
祭りか……前世でもたくさん行っていたっけな。弟と一緒にかき氷とかわたあめとかよく食べてたっけ。友達と花火も見に行った気がする。
少し寂しくなってしまい、前世のことを考えるのは止めた。そのまま明日のことを考える。いつの間にか眠りについていた。
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