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42話
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「ヘィブラザー、いらっしゃい」
靴屋の嘉門剛平が俺の来店を歓迎してくれる。
いつもは閑古鳥が鳴いているのに、珍しく先客がいた。
「あ~えっと……」
「油科だよ、やっぱりボクの名前なんて覚えてないよね」
そうだ思い出した。儀保裕之にギターを作ったヤツ。
たしか玩具の加護をもつ油科輝彦だ。
「いや、珍しい組み合わせだなと思ってさ」
ごまかせたかな?
「俺が呼んだんだよ。油科の加護は玩具だろ、だったら大人のおもちゃは作れないのかなって」
「ちょっとくわしく聞こうか」
俺は身を乗り出して二人の会話に入る。
店内には、靴を履き替えるときに座れるよう膝丈の低い椅子が置いてある。
俺たちはその椅子に座り、話を始めた。
「錬金術の連城君に材料を作ってもらったから電池が作れるようになったんだ」
「電池だとっ!! なんて魅力的な単語なんだ」
ちょっと興奮してしまった。
電気のない村に光明が差した気がする。
「夢が広がるだろっ、ブラザー」
「まさか、連城はシリコーンも作れるのかね?」
「その質問にはイエスと答えよう」
俺と嘉門剛平はハイタッチした。
「それで油科は俺たちの望むブツが作れるのかね?」
「加護はね、リストにないモノも作れるんだけど、それには確かなイメージが必要なんだ。具体的にイメージできないと失敗する」
「なるほど、未知なモノは作れないんだ」
「そこで俺たちの出番だ。詳細な構造を油科に教えようぜ」
「乗った!」
俺たちは、あ~でもない、こ~でもないと言いながら詳細な仕様を検討する。
新しいものを自分たちで考えて作る。これは思いのほか楽しかった。
サイズ、材質、動作、動力。
考えられる構造を紙に書き込む。
「――こんなもんだろ、まずはひとつ作ってみようぜ」
「うん」
油科輝彦は目を閉じて意識を集中させる。
彼は人差し指でおでこを触るとより集中できるようだ。
ポンとソレが空中で具現化し、彼の手のひらに落ちる。
しかし、バランスを崩し、ソレを床に落としてしまった。
入口のドアが開くと、茶道部の才賀小夜が入ってきた。
床に落ちたソレが彼女の足元までコロコロと転がり。
さらにソレのスイッチが偶然オンになる。
うぃん、うぃん、うぃん、うぃん――。
男性の性器を模したソレは俗にバイブと呼ばれていた。
――終わったーーーー!!!
委員長に伝わり、すぐにクラス会議、そして村からの追放。
俺たちの顔から一瞬で血の気がひく。
アワアワと声にならない呻きがクチから洩れる。
彼女はドアを閉めると落ちているバイブを拾った。
そして何事もなかったかのように冷静にスイッチをオフにした。
「うひっ、始めてみたぁ、これ誰が作ったのぉ?」
男の団結が生まれる。
「拾ったんだよ」
「うん、拾った」
「落ちてたんだよ」
彼女は悪戯っ子のようにクスクス笑う。
「じゃあ落とし主を見つけるために委員長に渡してくるねぇ」
「待ってください才賀さん、落とし主は知ってるんだ。俺たちが届けるよ」
「わたしもぉコレ欲しいから注文したいんだぁ」
「なんですと?」
彼女はバイブをブンブン振っている。
「わたしの趣味しってるでしょぉ~、薄い本なんだよぉ、コレもよく登場するんだぁ~」
そうだった。コイツは二見朱里と腐女子友達してたわ。
「もしかして、自分で使うの?」
「嘉門君はエッチだなぁ、わたしは処女だよ、使うわけないじゃん」
――いやいや! 処女はバイブを振り回さないだろ!
「男子はいいよねぇ、こ~ゆぅ~話、誰とでもできるもん、わたしは朱里だけだったからさぁ~、いなくなって寂しいんだよねぇ~」
友人関係か――。
探求部隊が出発したことで村の人数が減った。
それは友人関係にも影響を及ぼしている。
牧瀬遙は新垣沙弥香と由良麻美がいなくなってボッチ。
だけど、幼馴染の儀保裕之がいるからいいだろう。
連城敏昭は才原優斗と狛勝人がいなくなったのでボッチ。
けど、亀ケ谷暁子がアプローチ中なので寂しくないだろう。
潘英樹の友人は嘉門剛平。
だが、俺やSM仲間の片倉澄夏がいるので大丈夫。
出水涼音の友人は片倉澄夏と両津朱莉。
二人は仲良しなので問題なし。
探求部隊ではないが、狛勝人に曽木八重乃がついて行ったので友人である鬼頭日香莉がボッチ。
そんなわけで鬼頭日香莉と才賀小夜《腐女子》が寂しい思いをしている。
ふむ、心に空いた寂しさを埋めるのは俺の役目か?
「下ネタでいいなら俺や嘉門が話し相手になれるよ」
「違うんだなぁ~、男子はオッパイが大きいとかぁパンツ見えたとかぁ、そのレベルでしょ」
「まあね」
「女子はね、もっとディープなんだよ、たとえばぁ、彼氏はどんなプレイが好きとかぁ、アレをどう触ると喜ぶとかぁ、そんな感じぃ」
「マジで?」
「わたしは千坂君の性感帯はだいたい知ってるよぉ」
クスクス笑っている。
「ボクはアイツの友達だけど性感帯なんて知らないよ」
「教えてあげよっかぁ?」
「いやいやいや、知りたくない!」
またクスクス笑っている。
俺たちをからかって遊んでいるんだな。
「嘉門、この二人ならアレ見せてもいいんじゃね?」
「ブラザー、俺も同じことを考えてたぜ」
俺たちは二人を連れて奥の倉庫へ入る。
そこには彼が作ったSMグッズが大量に保管されていた。
前にきたときよりも品数が増えている。
片倉澄夏とのプレイで制作意欲に火がついたのだろう。
「うっわぁ~なにこれ」
「うひっ、いいね、いいねぇ」
二人とも興味津々でSMグッズを見ている。
「この部屋の存在は秘密だぞ」
「もちろんだよ、誰にも話さない」
「うひっ、言わないからさぁ、わたしも欲しいなぁ」
彼女はそういいながら、壁にかかっていた革製の首輪をひとつ取り、首につける。
俺たちにそれを見せつけ、二コリと笑う。
「おっ、興味ある?」
「わたしはSでもMでもないけどぉ、楽しそうだよねぇ~、一度は使ってみたい」
「どれでも好きなのもってって」
「ありがとぉ~、じゃあ全部」
「全部?」
「だってぇくわしくないし~、どれがいいかわからない」
嘉門剛平が困った表情になった。
「あげるのはいいけど、他の人に見つかりそうで怖いな」
「そうだねぇ~、じゃあコレとコレ」
彼女が選んだのは、手首と足首用の拘束具だ。
「いったい誰に使うの?」
「ふひっ、ひみつぅ~っ、あ、コレもちょうだい」
彼女の手には、まだバイブが握られていた。
「いいよ」
「ありがとぉ~、じゃ、またねぇ~」
それらのブツを紙袋に入れ、笑顔で店から出ていった。
彼女は靴屋になにしにきたのだろう?
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
「いらっしゃい、あれ? 珍しいね、苦瓜が儀保といっしょにいないなんて」
薬屋を訪れた俺に財前哲史が明るく話しかけてくる。
「鍛冶屋に牧瀬が入り浸っているからな」
牧瀬遙は儀保裕之の幼馴染だ。
派手系女子グループが事実上の解散なので寂しいのだろう。
「そうか、彼も苦労してるね」
「苦労?」
「だって……、いや、この話はやめよう」
なんだか引っかかる物言いだな……。
「それで、何を取にきたのかな? 避妊薬?」
「俺に彼女がいないの知ってるだろ」
「好きな子はいるだろ?」
「まさか、オマエまで」
「鬼頭さんに告白しないのかい?」
イケメンが優しい笑顔で俺を見てくる。
「俺ってそんなにわかりやすい?」
「教室にいたころは気づかなかったよ。でもね、村にきてからのキミは本性を出し始めた。昼行燈を演じていたんだね、さずが演劇部だよ」
「買い被りだ」
「キミの魅力に気づいた人はいるだろ。たとえば委員長とか筒井さん」
二人はメンタルケアのスキルで好感度が上がっているだけだ。
と、説明できないのがつらい。
「なぜその二人なんだ?」
「村に残る理由にキミの名前をだしていただろ」
「からかわれているだけさ」
「そうは見えないよ」
コイツも俺をからかっているのか?
しかし、そんな雰囲気じゃない。
あまり冗談をいうヤツじゃないしな。
「ちなみに、イケメンの財前様、俺が鬼頭さんに告白したらどうなると思う?」
「百パーフラれるね」
「やっぱり俺じゃあ無理か」
「あ、誤解しないでね、不釣り合いって意味じゃないから。キミは城野さんの彼氏で、ドラゴンから助け出すと宣言した英雄なんだ。誰だってキミの告白を本気とは思わないよ」
「あ~なるほど……。告白するには、まずアイツを助けないとダメなのか」
なぜか財前哲史が驚いた。
「本気? てっきりクラスメイトを安心させるためのウソだと思ってた。あんな化け物を倒すなんて非現実的だよ」
「いつになるかわからないけど、助けにいくぞ」
「見直した、というか、尊敬するよ」
「財前に褒められるとくすぐったいな」
俺は恥ずかしくなり、照れ笑いしてしまう。
「ところで、薬局にはなんの用なんだい?」
「ローションって作れる?」
「フフッ、ついさっき同じ質問をされたところだよ」
「まさか才賀さん?」
「あれ? 知ってたの?」
「いや、ここにくる前にちょっと、ね」
「ふぅ~ん。材料がないから作れないと答えたんだけど」
「錬金術の連城が材料を作れるそうだから確認して欲しい」
「いいよ」
後日、薬屋の店頭にローションが並ぶようになった。
俺は何本かもらい、水使いの三門志寿に渡す。
もちろん筒井卯月とのレズカップルに使ってもらうためだ。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
筒井卯月と三門志寿はいつものように銭湯でデートをしている。
俺は姿を消して二人を観察中だ。
浴槽にはまだ水が入っていない。そこに裸になった二人が座っている。
ローションを手にたっぷりつけると、お互いの体を触り始めた。
テラテラと光る体は、ふだん見ることのできない独特なイヤラシさを感じる。
レズ用語にはタチとネコがある。
簡単に説明すると、タチはリードする側、ネコはリードされる側を指す。
筒井卯月がタチ、三門志寿がネコだ。
タチがネコの背後にまわり、両手で胸を愛撫しはじめる。
ぬらぬらとテカリながら胸の形が変化する。
「んっ……」
タチは手を開くと、胸の前で手を振った。
わずかに乳首にあたる距離を四本の指が往復する。
突端を連続でタップされる感覚。
「ああっ!」
思わずネコは甘い声を漏らす。
タチは親指と人差し指で乳首を捕まえようとする。
しかしローションのぬるぬるで指が滑った。
弾かれた感覚にネコが反応する。
「んんっ!!」
こんどは手のひらで乳房を鷲掴みにすると、人差し指と中指のあいだに乳首を挟む。
逃げられない乳首を上下に揺らし、弄ぶ。
「あぁぁぁっ……」
タチの手はネコの体の上をぬるりと滑りながら下がっていく。
ローションがたっぷりとついた手がネコの股間で蠢いている。
十本の指が、まるで生き物のように複雑に動いていた。
「んんんんっ!!!」
快楽に耐えられなくなったネコは浴槽の底に前のめりで倒れてしまう。
股間はタチに掴まったまま。お尻がもち上がる体勢になる。
タチは片腕と抜くと背後から股間を責める。
前後から股間を愛撫され、ネコはさらなる高みへと昇り始めた。
「はあっ、あっ、あっ、あっ!!!」
ネコの腰は快感から逃れようとうねうねと動いている。
「ダメッ、卯月ちゃん、もう、ダメッ」
限界に近いのだろう、けれどタチの責めは止まらない。
「あっ、あっ、いっくぅぅっっっっ!!」
ネコが激しく痙攣した。
「どう? 初めて使ったローション、よかった?」
「卯月ちゃんの手がエッチ過ぎて、覚えてないよ」
「なら感想が言えるまでつづけようか?」
「ダメッ、こんどはわたしが触るばんだよ」
タチとネコが交代し、第二ラウンドが開始される。
俺には刺激が強すぎた。
鼻血が出そうなので急いで銭湯から脱出したのだった。
靴屋の嘉門剛平が俺の来店を歓迎してくれる。
いつもは閑古鳥が鳴いているのに、珍しく先客がいた。
「あ~えっと……」
「油科だよ、やっぱりボクの名前なんて覚えてないよね」
そうだ思い出した。儀保裕之にギターを作ったヤツ。
たしか玩具の加護をもつ油科輝彦だ。
「いや、珍しい組み合わせだなと思ってさ」
ごまかせたかな?
「俺が呼んだんだよ。油科の加護は玩具だろ、だったら大人のおもちゃは作れないのかなって」
「ちょっとくわしく聞こうか」
俺は身を乗り出して二人の会話に入る。
店内には、靴を履き替えるときに座れるよう膝丈の低い椅子が置いてある。
俺たちはその椅子に座り、話を始めた。
「錬金術の連城君に材料を作ってもらったから電池が作れるようになったんだ」
「電池だとっ!! なんて魅力的な単語なんだ」
ちょっと興奮してしまった。
電気のない村に光明が差した気がする。
「夢が広がるだろっ、ブラザー」
「まさか、連城はシリコーンも作れるのかね?」
「その質問にはイエスと答えよう」
俺と嘉門剛平はハイタッチした。
「それで油科は俺たちの望むブツが作れるのかね?」
「加護はね、リストにないモノも作れるんだけど、それには確かなイメージが必要なんだ。具体的にイメージできないと失敗する」
「なるほど、未知なモノは作れないんだ」
「そこで俺たちの出番だ。詳細な構造を油科に教えようぜ」
「乗った!」
俺たちは、あ~でもない、こ~でもないと言いながら詳細な仕様を検討する。
新しいものを自分たちで考えて作る。これは思いのほか楽しかった。
サイズ、材質、動作、動力。
考えられる構造を紙に書き込む。
「――こんなもんだろ、まずはひとつ作ってみようぜ」
「うん」
油科輝彦は目を閉じて意識を集中させる。
彼は人差し指でおでこを触るとより集中できるようだ。
ポンとソレが空中で具現化し、彼の手のひらに落ちる。
しかし、バランスを崩し、ソレを床に落としてしまった。
入口のドアが開くと、茶道部の才賀小夜が入ってきた。
床に落ちたソレが彼女の足元までコロコロと転がり。
さらにソレのスイッチが偶然オンになる。
うぃん、うぃん、うぃん、うぃん――。
男性の性器を模したソレは俗にバイブと呼ばれていた。
――終わったーーーー!!!
委員長に伝わり、すぐにクラス会議、そして村からの追放。
俺たちの顔から一瞬で血の気がひく。
アワアワと声にならない呻きがクチから洩れる。
彼女はドアを閉めると落ちているバイブを拾った。
そして何事もなかったかのように冷静にスイッチをオフにした。
「うひっ、始めてみたぁ、これ誰が作ったのぉ?」
男の団結が生まれる。
「拾ったんだよ」
「うん、拾った」
「落ちてたんだよ」
彼女は悪戯っ子のようにクスクス笑う。
「じゃあ落とし主を見つけるために委員長に渡してくるねぇ」
「待ってください才賀さん、落とし主は知ってるんだ。俺たちが届けるよ」
「わたしもぉコレ欲しいから注文したいんだぁ」
「なんですと?」
彼女はバイブをブンブン振っている。
「わたしの趣味しってるでしょぉ~、薄い本なんだよぉ、コレもよく登場するんだぁ~」
そうだった。コイツは二見朱里と腐女子友達してたわ。
「もしかして、自分で使うの?」
「嘉門君はエッチだなぁ、わたしは処女だよ、使うわけないじゃん」
――いやいや! 処女はバイブを振り回さないだろ!
「男子はいいよねぇ、こ~ゆぅ~話、誰とでもできるもん、わたしは朱里だけだったからさぁ~、いなくなって寂しいんだよねぇ~」
友人関係か――。
探求部隊が出発したことで村の人数が減った。
それは友人関係にも影響を及ぼしている。
牧瀬遙は新垣沙弥香と由良麻美がいなくなってボッチ。
だけど、幼馴染の儀保裕之がいるからいいだろう。
連城敏昭は才原優斗と狛勝人がいなくなったのでボッチ。
けど、亀ケ谷暁子がアプローチ中なので寂しくないだろう。
潘英樹の友人は嘉門剛平。
だが、俺やSM仲間の片倉澄夏がいるので大丈夫。
出水涼音の友人は片倉澄夏と両津朱莉。
二人は仲良しなので問題なし。
探求部隊ではないが、狛勝人に曽木八重乃がついて行ったので友人である鬼頭日香莉がボッチ。
そんなわけで鬼頭日香莉と才賀小夜《腐女子》が寂しい思いをしている。
ふむ、心に空いた寂しさを埋めるのは俺の役目か?
「下ネタでいいなら俺や嘉門が話し相手になれるよ」
「違うんだなぁ~、男子はオッパイが大きいとかぁパンツ見えたとかぁ、そのレベルでしょ」
「まあね」
「女子はね、もっとディープなんだよ、たとえばぁ、彼氏はどんなプレイが好きとかぁ、アレをどう触ると喜ぶとかぁ、そんな感じぃ」
「マジで?」
「わたしは千坂君の性感帯はだいたい知ってるよぉ」
クスクス笑っている。
「ボクはアイツの友達だけど性感帯なんて知らないよ」
「教えてあげよっかぁ?」
「いやいやいや、知りたくない!」
またクスクス笑っている。
俺たちをからかって遊んでいるんだな。
「嘉門、この二人ならアレ見せてもいいんじゃね?」
「ブラザー、俺も同じことを考えてたぜ」
俺たちは二人を連れて奥の倉庫へ入る。
そこには彼が作ったSMグッズが大量に保管されていた。
前にきたときよりも品数が増えている。
片倉澄夏とのプレイで制作意欲に火がついたのだろう。
「うっわぁ~なにこれ」
「うひっ、いいね、いいねぇ」
二人とも興味津々でSMグッズを見ている。
「この部屋の存在は秘密だぞ」
「もちろんだよ、誰にも話さない」
「うひっ、言わないからさぁ、わたしも欲しいなぁ」
彼女はそういいながら、壁にかかっていた革製の首輪をひとつ取り、首につける。
俺たちにそれを見せつけ、二コリと笑う。
「おっ、興味ある?」
「わたしはSでもMでもないけどぉ、楽しそうだよねぇ~、一度は使ってみたい」
「どれでも好きなのもってって」
「ありがとぉ~、じゃあ全部」
「全部?」
「だってぇくわしくないし~、どれがいいかわからない」
嘉門剛平が困った表情になった。
「あげるのはいいけど、他の人に見つかりそうで怖いな」
「そうだねぇ~、じゃあコレとコレ」
彼女が選んだのは、手首と足首用の拘束具だ。
「いったい誰に使うの?」
「ふひっ、ひみつぅ~っ、あ、コレもちょうだい」
彼女の手には、まだバイブが握られていた。
「いいよ」
「ありがとぉ~、じゃ、またねぇ~」
それらのブツを紙袋に入れ、笑顔で店から出ていった。
彼女は靴屋になにしにきたのだろう?
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「いらっしゃい、あれ? 珍しいね、苦瓜が儀保といっしょにいないなんて」
薬屋を訪れた俺に財前哲史が明るく話しかけてくる。
「鍛冶屋に牧瀬が入り浸っているからな」
牧瀬遙は儀保裕之の幼馴染だ。
派手系女子グループが事実上の解散なので寂しいのだろう。
「そうか、彼も苦労してるね」
「苦労?」
「だって……、いや、この話はやめよう」
なんだか引っかかる物言いだな……。
「それで、何を取にきたのかな? 避妊薬?」
「俺に彼女がいないの知ってるだろ」
「好きな子はいるだろ?」
「まさか、オマエまで」
「鬼頭さんに告白しないのかい?」
イケメンが優しい笑顔で俺を見てくる。
「俺ってそんなにわかりやすい?」
「教室にいたころは気づかなかったよ。でもね、村にきてからのキミは本性を出し始めた。昼行燈を演じていたんだね、さずが演劇部だよ」
「買い被りだ」
「キミの魅力に気づいた人はいるだろ。たとえば委員長とか筒井さん」
二人はメンタルケアのスキルで好感度が上がっているだけだ。
と、説明できないのがつらい。
「なぜその二人なんだ?」
「村に残る理由にキミの名前をだしていただろ」
「からかわれているだけさ」
「そうは見えないよ」
コイツも俺をからかっているのか?
しかし、そんな雰囲気じゃない。
あまり冗談をいうヤツじゃないしな。
「ちなみに、イケメンの財前様、俺が鬼頭さんに告白したらどうなると思う?」
「百パーフラれるね」
「やっぱり俺じゃあ無理か」
「あ、誤解しないでね、不釣り合いって意味じゃないから。キミは城野さんの彼氏で、ドラゴンから助け出すと宣言した英雄なんだ。誰だってキミの告白を本気とは思わないよ」
「あ~なるほど……。告白するには、まずアイツを助けないとダメなのか」
なぜか財前哲史が驚いた。
「本気? てっきりクラスメイトを安心させるためのウソだと思ってた。あんな化け物を倒すなんて非現実的だよ」
「いつになるかわからないけど、助けにいくぞ」
「見直した、というか、尊敬するよ」
「財前に褒められるとくすぐったいな」
俺は恥ずかしくなり、照れ笑いしてしまう。
「ところで、薬局にはなんの用なんだい?」
「ローションって作れる?」
「フフッ、ついさっき同じ質問をされたところだよ」
「まさか才賀さん?」
「あれ? 知ってたの?」
「いや、ここにくる前にちょっと、ね」
「ふぅ~ん。材料がないから作れないと答えたんだけど」
「錬金術の連城が材料を作れるそうだから確認して欲しい」
「いいよ」
後日、薬屋の店頭にローションが並ぶようになった。
俺は何本かもらい、水使いの三門志寿に渡す。
もちろん筒井卯月とのレズカップルに使ってもらうためだ。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
筒井卯月と三門志寿はいつものように銭湯でデートをしている。
俺は姿を消して二人を観察中だ。
浴槽にはまだ水が入っていない。そこに裸になった二人が座っている。
ローションを手にたっぷりつけると、お互いの体を触り始めた。
テラテラと光る体は、ふだん見ることのできない独特なイヤラシさを感じる。
レズ用語にはタチとネコがある。
簡単に説明すると、タチはリードする側、ネコはリードされる側を指す。
筒井卯月がタチ、三門志寿がネコだ。
タチがネコの背後にまわり、両手で胸を愛撫しはじめる。
ぬらぬらとテカリながら胸の形が変化する。
「んっ……」
タチは手を開くと、胸の前で手を振った。
わずかに乳首にあたる距離を四本の指が往復する。
突端を連続でタップされる感覚。
「ああっ!」
思わずネコは甘い声を漏らす。
タチは親指と人差し指で乳首を捕まえようとする。
しかしローションのぬるぬるで指が滑った。
弾かれた感覚にネコが反応する。
「んんっ!!」
こんどは手のひらで乳房を鷲掴みにすると、人差し指と中指のあいだに乳首を挟む。
逃げられない乳首を上下に揺らし、弄ぶ。
「あぁぁぁっ……」
タチの手はネコの体の上をぬるりと滑りながら下がっていく。
ローションがたっぷりとついた手がネコの股間で蠢いている。
十本の指が、まるで生き物のように複雑に動いていた。
「んんんんっ!!!」
快楽に耐えられなくなったネコは浴槽の底に前のめりで倒れてしまう。
股間はタチに掴まったまま。お尻がもち上がる体勢になる。
タチは片腕と抜くと背後から股間を責める。
前後から股間を愛撫され、ネコはさらなる高みへと昇り始めた。
「はあっ、あっ、あっ、あっ!!!」
ネコの腰は快感から逃れようとうねうねと動いている。
「ダメッ、卯月ちゃん、もう、ダメッ」
限界に近いのだろう、けれどタチの責めは止まらない。
「あっ、あっ、いっくぅぅっっっっ!!」
ネコが激しく痙攣した。
「どう? 初めて使ったローション、よかった?」
「卯月ちゃんの手がエッチ過ぎて、覚えてないよ」
「なら感想が言えるまでつづけようか?」
「ダメッ、こんどはわたしが触るばんだよ」
タチとネコが交代し、第二ラウンドが開始される。
俺には刺激が強すぎた。
鼻血が出そうなので急いで銭湯から脱出したのだった。
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