ずっと隣に

をよよ

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プロローグ

幼き日

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 僕も小さい頃は夢を持ってた。

 「ゆい、大きくなったら2人で世界一の会社作ろ」

 「うん、僕とかずくんなら世界一に間違いないよ」


 一仁とは物心ついた時からずっと一緒だった。幼稚園でも、家に帰ってからも、小学校に入学してからもずっと。
 小学校は家の近くの所に通っていて家に帰ったら毎日のように一仁の家で一緒に遊んでいた。一仁の家は僕の家の隣だ。

 僕達は小学生ながら顔もよく運動も勉強もよくできた。周りにはβが多かったけどαやΩも少しはいた。他のαのことも普通に仲良くしていたけどやっぱり一仁が1番話が合う気がしてずっと一緒にいた。

 一仁のお家はホテルとかいっぱい経営してるとっても大きな会社。僕の家は古くからある大きな病院。父様はαで母様はΩ。αとΩの子供なんてほとんどαだ。だから僕達は周りからαに間違いないってとっても大事にされた。

 僕も自分と一仁は特別でなんだってできるって本気で思ってた。

 11歳になるまでは。



 僕達は5年生になった。

 小学校の勉強が簡単だったから中学校の内容の学習に入っていた。少しは難しくなったが僕達は普通に理解していった。

 頭も良くて運動もできる僕達は女の子にモテた。でも僕は一仁との夢のことしか考えてないので寄ってくる女の子たちは少しウザかった。

 6月下旬、学校でバース検査があった。先生が封筒を開けずに親に渡せと言ったから僕達は言われた通りに家まで開けずに持ち帰った。中には教室で開けてる子もいたけど僕達はα以外ありえないと思っていたから見向きもしなかった。

 その日は学校帰りに一仁の家には行かず家で両親と検査結果を確認した。両親が封筒の中を確認している間僕は隣で呑気にケーキを食べていた。

 両親から僕がαで、だろうなという反応が来るのを待っていたが実際は両親は固まったまましばらく動かなかった。

 診断結果がΩだったから。

 それから僕は父様の病院で何度も検査された。でも全部結果はΩだった。

 僕は頭が真っ白になった。

 僕がΩじゃ一仁との夢を叶えられない
 一仁は僕の代わりの優秀なαを見つけるかも
 僕は一仁の隣にずっと居られないかもって。

 僕の気持ちはどん底だった。
 でも母様が励ましてくれて少し立ち直れた。

 Ωでも今までこれだけ優秀だったんだから大丈夫よ、これからも努力を続ければ唯ならなんだってできるよって。

 僕は次の日学校に行く前に一仁にだけΩであることを伝えた。一仁はもちろんαだったって。でも一仁は僕から離れないで今まで通り一緒にいてくれた。だから僕は自分の性を受け入れられた。











トラウマ作りなのでサクッといきます


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