ずっと隣に

をよよ

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桃の章

プロポーズ〜一仁視点〜

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 入学式前日の夜、頼んでいたネックガードが結構ギリギリになってしまった。明日唯にあげるつもりだ。どうせなら大勢のαの前でやるのがいいだろう。でもいつがいいか、、。

「ねぇ長谷川、明日の入学式前に、人が沢山集まる時ってあるかな? 登校時くらいしかないかな?」

 ベッドに寝転がってスマホをいじってるルームメイトに聞いてみる。

「ん?、うーん、登校時で人が多いのはやっぱ早めかなー。あとは直前の講堂前とか?会長様達と距離詰めようってΩやβが多いんだよなー、いつも早く入れって思うな。」

 唯は多分朝はギリギリだから無理だな。となると、講堂前か、αもそれなりにいるだろう。ちょうどいい。

「なるほど、ありがとう。」

「おー。渋滞回避か?、頑張れよー。」

 明日を楽しみにして眠りに着いた。





 入学式の朝、やっぱり唯はギリギリで登校した。ネクタイがぐちゃぐちゃなので結び直してあげる。

「一仁は人のネクタイまでこんな綺麗にできるのか。」

 ん?、自分のをやるのと何も変わらないと思ったけど唯の同室の子を見ると控えめにドヤ顔をされた。なるほど、この子は素晴らしく配慮のできる子だ。
 朝ごはんも与える。僕の手からサンドイッチを食べる唯は何よりも可愛い。ずっとこうしていたいが式も始まるので程々にして唯と別れる。

「あんなこと言ってよかったの?」

「ん?、どれのこと?」

「明日から早起き頑張れって、お前は早起きしないで貰った方がいいんじゃねぇの?」

「あぁ、大丈夫だよ。一日二日で変わるものじゃないから。きっと明日もギリギリでくる。」

「なるほどな。」

 そういうことだ。
 一度教室に行きすぐに大講堂へ行き、唯を見つけて駆け寄る。唯の白い首には何も着いていない。もちろんだ、僕が今からつけるのだから。唯の首にネックガードをつけ抱き寄せる。きっと唯はαからΩへのネックガードの意味を知らない。だけど唯が意味を知らなくても唯が僕の番なのは決まっている。ふふ、幸せだ。少し強めにフェロモンが出てしまっているので唯を強めに抱き鼻を塞ぐ…。ずっとこうしていたいけどやっぱり入学式が始まるので渋々はなれた。

 新入生代表の挨拶も程々に済ませる。演説台から離れたところで唯がおどろいた顔をしているのを見つけてつい顔が綻ぶ。放課後に教師からフェロモンを無闇矢鱈に振りまくなと注意された、生徒会長の藤宮先輩も一緒に。僕のは仕方がないと思う、無意識なのだから。




「凄かったなあのプロポーズ、いいなー羨ましい。」

 夜、部屋で長谷川に言われた。うん、やっぱり周りの奴らはちゃんと意味をわかっていようで良かった。明日は一日中唯と一緒にいよう、唯の同室の子は多分僕の味方だ…名前聞いたはずだけど忘れた、、名前を呼ぶことになるとは思ってなかったから、、、また今度聞いておこう。浮ついた気持ちで僕は眠りについた。


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