少女と幼女のVRMMOディストピア蹂躙 死亡すると黒幕に違法改造されてよくないらしいので、死亡は厳禁で!

わさびねぎ魔

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0日目 プロローグ HELLO UNDERWORLD

The Heaven Phase 1

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 「なにこれ?」

 その熊の死体を見て、私はそれに気づいた。
その熊の死体の奇っ怪さの中にあって目立たず、
されど不思議と注目せずにはいられないそれ。

「これは、花かな?」

 そう、そこには熊の背中に生えた棘を持つ花が。
そしてその花は、今にも剥がれそうに熊の背中に張り付く様に生える、赤い花弁の湿潤地帯などに良くある大きな花だったのである。
本来植物の棘とは、砂漠などの植物に適さない環境下で発現した外敵から身を守るための手段だ。
故に、砂漠とは正反対の湿潤地帯に生息する花が棘を持つことは本来、ないのだ。
そのいかにも怪しい花に私以外興味を持たない。
それもそうだ、私もこの花があり得ないかたちであることを知らなければここまで注視する事もない。
その花には棘が付いている。数種類のものがという
注釈は付くが。調べなければわからないことだが、
実は植物の棘には種類がある。
機能も様々で、憶測だが多くの機能がある。
葉から蒸発する成分を抑えるための変異とも、
外敵から身を守る為の防御機構ともされる。
また、その中には蟻酸をも持つものもあり、
鹿などの動物から踏まれるのを避ける役目もある。
それらの中にも種類があり、茎や枝から変異した鋭い枝である茎針、葉から変異した葉針、茎に生じる
突起物である棘状突起物などがあり、更にそれらの
中でも返しのあるものを芒刺ともいう。
それらが絶妙に入り交じった珍妙な姿だがしかし、
一般人が容易に気付く類いのものではないのだ。
その花をしばらく見ていると、ふと気付く。

 その花は、一見して普通だが可笑しな花だった。
しかし、それ以上に妙なものをみてしまったのだ。
その脈打つように移り変わる、濃い蒼の模様に。

「ッ!」

 私はそれに気づいたと同時、全力で物陰へと転がり込むように侵入。
それと同時に身を伏せる。身体を晒さないように、
気を付けてリーン―覗き込み―を敢行。
私の突然の行動に驚く観衆。そして、

「ビョルォルォルォルォルゥゥッ!」
 奇っ怪な音―恐らくあの花の鳴き声―と共に、
周囲に蒼っぽい液体が飛ぶ。
それは恐らくその色から、酸素の不足した血液、
または感染した体液だろうか。
その、蒼っぽい液体は花の上部、雄しべから飛ぶ。

「うおっ!」
「キャッ!」
「うっわぁ」
「え?なに、これ?」
「うっそ最悪~!マジできたないですけどぉ!?」

 周囲から悲鳴が上がる。
ただ、誰一人として何も恐れていない。
この異常事態を理解しようとしていないのだ。
呑気に彼氏らしき人物に抱き付いているのもいる。

「死ね!」

 観衆の一人から、不幸を祈る言葉がかかる。
安心してほしい、すぐにその願いは叶うだろう。
先ほどの雄しべからは蒼っぽい液体が飛び出したのに対して、いつの間にか周囲に白っぽい粉が充満、
ほんの一瞬空のような青空のような光景が広がる。
粉が液体に触れると、液体は瞬く間に赤に染まる。
それからは、血の匂いがした。
そして身体に液体がかかっていた人達は、
体表が緑に染まり、顔は弾け飛び茎針のある翠の
茎でできた頭部に、巨大な一つ目の碧眼を持つ、
化け物へと変わっていた。

「キャルォルォルォルォウッ!」
「キャリッキャリッ」
「ギチギチギチ!ピヒャー!」

 その化け物は、口などないのにも関わらずに、
不快な鳴き声のようなものをあげると、周りの
プレイヤーに襲いかかる。

「クソッタレ!ッ!?」

 一人の男が化け物を引き倒し捉えた。
しかし、化け物は植物の頭を伸ばすと、
その中に男を包み込んだ。

「ウガアァァァァッ」

 そして、次の瞬間には棘のような頭部をした、
某処刑者的化け物へと成り果てていた。
そんな物が目玉の怪物の腹を割って産まれ出す。
そして私は、安全圏から観察していたからこそ
とてつもない事実に顔をしかめる。
なんと割れた腹には口が付いており、棘の怪物が
産まれ出した時にその鋭い頭で服を切り裂き、
目玉の怪物の腹部を晒したのだ。
しかし、大事なのはそんなことではない。
本当に大事なのは、腹の中で今でも二つの人間の
頭部が血管を浮き上がらせ、顔の皮膚を腫れ上がらせながらも、まだ生体反応らしきものを行っている
その光景こそ、私の顔をしかめさせたのだ。
顔は芋虫のような物体に繋がっており、
その物体は人間の頭部に糸を巻き付け、その糸に
自信も絡まる様にくるまる。その様子から、
どちらかというと芋虫より蚕の生態に近いようだ。
その繭が羽化すると、仲からは長い外骨格に覆われ
沢山のふしくれだった刺のような突起物を持つ脚、
蚕のような横に長い複眼、蝶のようで、蛾のようでもある羽を持つ、人面の昆虫が産まれ出した。

「運営、趣味悪すぎでしょ!」
「ウゥゲッオェッゴボッゲロゲロ」
「ちょっと嘘!これ吐き気も再現してるの!?」

 このゲームは第二の現実。当然、抜かりはない。
このゲームは吐き気どころか、そのゲーム性から
細菌や病原菌、バクテリアやアルコールを再現するため、元素から現実を元にして作られた頭のネジが
もとから付いてないようなイカれた具合の、イカしたイカれた世界。きっとゲロの成分まで再現しているだろう。その証拠に、足元に広がる吐瀉物はいっさいの消化物を含んでいない。

「「「キュリリリリリリィギチャギチャジュルジュル!!!」」」

 そしてその人面の化け物は、周囲のプレイヤーを
口吻を使って刺し殺し、しっかりと脚でホールドし突き刺した部位から皮以外の内容物を吸い取り、
卵を産み付ける。
そして、その人面の化け物は残る一人の、つまりは今度は私をターゲットに飛来してきたのだ。
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