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「あの火傷がひどかったおばあさんの息子さんですよ。」
「……お前、今まで『あれ』とか『赤いの』とかしか言わなかった癖に、どうした。」
急に人間に格上げして、と訝しげに倖が言う。
人間に格上げ。
そんなつもりはなかったが、無意識のうちに指示詞になっていたらしい。
りんは眉を下げて答えを探す素振りをする。しかし、探すまでもないのは自分でわかっていた。
彼の、本来の姿を視てしまったからだ。
隣で、でろん、と座る倖を見る。
火事場に飛び込んで水を触ったり家の中をあちこち駆けずり回っていたせいか、倖の制服は全体的にひどく汚れ、よれている。
それと同じ格好を、同じ制服を、彼も着ていた。
ただの、気持ちの悪い幽霊だったのに。
あの学校に通っていた、自分達と同じ高校生だったのだと、強く認識してしまった。
かつてはあの商店から、まだ若かったおばあさんに見送られて元気に学校に通っている光景までをも思い描いてしまい、ひどく胸が痛かった。
無表情に黙り込んでしまったりんを訝しげに見ながら倖が、で?と先を促す。
「……中に入ったら、脱衣所で倒れたおばあさんを、ギュッて、してたんです。」
ぽつりと零すように言うと、何を考えているのかわからない表情で、母親だもんな、と倖もぽつりと零した。
「……人を恨むよりも、母親をそばで守りたかった、とか、ですかね。」
良いように考えたら、な、と倖が言った。
「じゃあ、中々家ん中から出てこなかったのも、あいつのせいか?」
りんはこくりと頷いた。
「火傷の姿じゃなくて、生きてたときのそのまんまの姿になっていたのでびっくりしちゃって。」
倖くんと同じ制服着てました、とチラリと隣を見た。倖も自分の制服を見下ろしながら、なるほど、と呻く。
「ということは、そいつ成仏したってことか?」
「え?」
思ってもみなかった倖の言葉にりんは驚いた。
成仏?
本来の姿に戻ったから、成仏したのだろうか?
「……ちょっと、よくわかりません。」
「こう、キラキラ~ッて消えたりしなかったのか。」
「しませんでした。なんか、泣きそうな顔で土下座されました。」
「……土下座?どういう状況だ。」
「外を指差していたので、おばあさんをよろしく、てことなのかなぁて思ったんですけど。」
「あぁ、なるほど。……てことはやっぱ成仏ルートにのったんじゃね?」
「成仏ルート、って何ですか。」
そんな適当に無責任なゲームみたいなことを言って、とじとりと睨むと倖は肩を竦めてそっぽを向いた。
「……お前、今まで『あれ』とか『赤いの』とかしか言わなかった癖に、どうした。」
急に人間に格上げして、と訝しげに倖が言う。
人間に格上げ。
そんなつもりはなかったが、無意識のうちに指示詞になっていたらしい。
りんは眉を下げて答えを探す素振りをする。しかし、探すまでもないのは自分でわかっていた。
彼の、本来の姿を視てしまったからだ。
隣で、でろん、と座る倖を見る。
火事場に飛び込んで水を触ったり家の中をあちこち駆けずり回っていたせいか、倖の制服は全体的にひどく汚れ、よれている。
それと同じ格好を、同じ制服を、彼も着ていた。
ただの、気持ちの悪い幽霊だったのに。
あの学校に通っていた、自分達と同じ高校生だったのだと、強く認識してしまった。
かつてはあの商店から、まだ若かったおばあさんに見送られて元気に学校に通っている光景までをも思い描いてしまい、ひどく胸が痛かった。
無表情に黙り込んでしまったりんを訝しげに見ながら倖が、で?と先を促す。
「……中に入ったら、脱衣所で倒れたおばあさんを、ギュッて、してたんです。」
ぽつりと零すように言うと、何を考えているのかわからない表情で、母親だもんな、と倖もぽつりと零した。
「……人を恨むよりも、母親をそばで守りたかった、とか、ですかね。」
良いように考えたら、な、と倖が言った。
「じゃあ、中々家ん中から出てこなかったのも、あいつのせいか?」
りんはこくりと頷いた。
「火傷の姿じゃなくて、生きてたときのそのまんまの姿になっていたのでびっくりしちゃって。」
倖くんと同じ制服着てました、とチラリと隣を見た。倖も自分の制服を見下ろしながら、なるほど、と呻く。
「ということは、そいつ成仏したってことか?」
「え?」
思ってもみなかった倖の言葉にりんは驚いた。
成仏?
本来の姿に戻ったから、成仏したのだろうか?
「……ちょっと、よくわかりません。」
「こう、キラキラ~ッて消えたりしなかったのか。」
「しませんでした。なんか、泣きそうな顔で土下座されました。」
「……土下座?どういう状況だ。」
「外を指差していたので、おばあさんをよろしく、てことなのかなぁて思ったんですけど。」
「あぁ、なるほど。……てことはやっぱ成仏ルートにのったんじゃね?」
「成仏ルート、って何ですか。」
そんな適当に無責任なゲームみたいなことを言って、とじとりと睨むと倖は肩を竦めてそっぽを向いた。
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