OH MY CRUSH !!

文月 七

文字の大きさ
133 / 135

しおりを挟む
 まぁ、でも。
 血で染まる唇ってのも、なかなか。
 これはこれで、そそるかも。
 倖が思わずゴクリと喉をならす。
「俺があげたリップはどうした。使ってないのか?」
 りんはうろうろと視線を彷徨わすと、おうちにあります、と呟いた。
 倖が半眼になり、なんで、と問う。
「初めて、と、友達から貰ったものなので、開けるのが何か、勿体なくて。」
 飾ってたら持ってくるの忘れてしまいました、と照れて笑うりんに、友達、ね、と倖が視線を逸らした。
 そうしてポケットから使いかけのリップを取り出すと、やるから使え、とりんの手を取り押しつけた。
 りんはギョッとして慌ててそれを倖に突き返す。
「そういう意味じゃありません!ちゃんとお家にあるの開けますから、それは倖くんが使って下さい。」
「んじゃあ、とりあえず、今使え。」
「結構です。」
「つ、か、え!」
「だ、大丈夫です!」
「あぁもう、うるさい。よし俺がつけちゃる。」
 と、倖がリップを構えると、りんは2、3歩先まで走って逃げる。
「……おい。」
 これだけ嫌がられると地味に傷つく。
「ち、血が、ついちゃうから、」
 だから大丈夫です、と困ったように小さく言った。
「……血、ついてもいいから、つけろ。」
 そう言うなり倖はりんにリップを放った。
 キャッチし損ねて転がるそれを、りんはラーメン屋の看板の前でやっと捕まえる。
 しゃがんだまま手にしたリップを見つめるりんに再度倖が、つけろ、と凄んだ。
 わかりました、と観念したように立ち上がるとペロリとりんが唇を、舐めた。
 おさげの眼鏡の女子高生が制服で。
 伏し目がちに唇を舐める。
 指で何度も出血を確認しながら。
 ラーメン屋の赤い提灯に照らされた、その朱色の舌が、とても綺麗だった。
 血を舐めとっているのはわかるが、そういう仕草が男にとって扇情的にうつることもあると、りんは知っているだろうか。
 知らないだろうな。
 きっと、それを見ている倖がどんな気持ちでそれを眺めているかなんて、思いもしないはずだ。
 できれば至近距離で眺めたい、と倖は心中で呟いた。
 りんは更にハンカチで念入りに血を拭き取ると躊躇うことなく、キュッとリップを唇にのせた。
 そのハンカチでリップの頭をキュッキュッと拭き上げると蓋を閉め倖に差し出してくる。
「毎度毎度すみません、倖くん。ありがとうございました。」
 そのリップを受け取りながら、躊躇いもなく塗りやがって、と倖はじっとりとりんを睨みつける。
 普通こういう場合、やぁだ間接キスになっちゃうじゃん、とか。
 頬を赤らめ照れながら、躊躇いつつもゆっくりとリップを使う、とか。
 女子の一般的な反応といったら、こうじゃないのか。
 前回といい今回といい。
 全く男として意識されていないんじゃないか、俺。
「な、なんですか?本当におかしいですよ?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

おもいでにかわるまで

名波美奈
青春
失恋した時に読んで欲しい物語です。 高等専門学校が舞台の王道純愛青春ラブストーリーです。 第一章(主人公の水樹が入学するまで)と第二章(水樹が1年生から3年生まで)と第三章と第四章(4年生、5年生とその後)とで構成されています。主人公の女の子は同じですが、主に登場する男性が異なります。 主人公は水樹なのですが、それ以外の登場人物もよく登場します。 失恋して涙が止まらない時に、一緒に泣いてあげたいです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

処理中です...