隣に越してきた配信者にぺろりと食べられる俺の話

縫(ぬい)

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本編

他界待ったなしでは?

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 お隣さん、全然青髪じゃないじゃないか!

 買い物を終えて家に帰り、もらった水のラベルを眺めながら考え事をする。

 いや、絵と同じだと思ってたわけじゃないけど! けど全然いかつくなかった。
 これは、ちょっと配信の音が……と直接言っても大丈夫なのでは!?


「……でもなんか、俺のこと心配してくれてたよな。優しくしてもらった後にそんなこと言うの、ちょっと良心が……」

 痛い……。

 やっぱり言えない。俺はどうしたらいいんだ。途中解約して引っ越すなんて勿体無いこともできないし。

 その後、届いた防音シートを貼ろうと無心で作業しているうちに夜になってしまった。





 もう配信とか見ない! 無理やり寝る! と思ったのにも関わらず、つい動画配信アプリを開く。癖って怖い。ここ最近のことなのに。

 安い防音シートでも思ったより音は遮断できているっぽい。漏れ聞こえる声はあるけど、許容範囲だ。いい買い物をした!


「ん? 今日、ゲームじゃないじゃん。雑談?」

 ゲームしかしないのかと思ってた。リスナーもそこそこいそうだし雑談配信しても、まあ、人は集まるか。

 睡眠用BGMにでもしようかな、とベッドに潜り込みながら比較的小さい音で配信を流すことに決める。



『……それで俺、一目惚れしちゃったみたいで』

「…………………………えっ!?!?!」



 一目惚れ!? 恋バナ!? 配信者が!?



 うとうとしていたところにぶち込まれた爆弾発言にぱっちりと目が覚めた。

 えっ配信者って自分の現在進行形の恋愛話とかすんの!? だってなんか……ガチ恋とかいるよね!?
 しかも配信見てる限り、この人のリスナー女性っぽい人多かったけど!?

 思わず配信のコメントを確認すると、リスナーは困惑したり草を生やしたりしていた。それはそうだろう。


『近くに住んでる人で、今までも実はちょくちょく見かけてたんだけど今日初めて話して……。近くで見たらもうめっちゃくちゃ可愛いの! 声がちょっとハスキーなのがたまらんかったな~。……はあ、一目惚れってどうやって関係進めたらいいんだろ』

 近所? じゃあ俺とも近所ってことだ。
 声がちょっとハスキーな可愛い女の子なんてこの辺に住んでたっけ……。

 大学二年の頃から住んでるからこの階の住民とは結構顔を合わせてるけど、該当の人が思い浮かばない。そもそも女の子がいた気がしない。


『作り過ぎちゃったんですけどってお裾分けする? あーね、よくあるやつね! とりあえず挨拶から始める……まあそうだよね~』

 お裾分けできる距離なのか?
 この人の隣の部屋……と思うけど、俺しかいないわ。彼、角部屋だし。
 まさかとは思うけど作り話?

 考えても考えても思い付かないので諦めて目を閉じる。
 彼の配信者人生にこんな配信があっていいのかとちょっと心配にはなったけど俺はどうすることもできない。
 具合の悪い俺に水くれるくらいには優しい人っぽいから、彼のリスナーに批判的なコメントをされないことをささやかに願っておいた。
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