楽に生きたい平民なのに一癖ある伯爵どころかその他大勢にも気に入られてしまい困っています

花田トギ

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秘密の関係

忍び込んだアデリア

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 ザックスが傷心している事なんて知る由もないアデリアは、こっそりとスチュアートの部屋へ侵入を試みていた。
 ザックスが盗んだモノクルを元の場所に戻すためだ。
 スチュアートに渡せばいいのだが、できるだけ接触を避けたいし小言を貰うことも避けたい。いつのまにかザックスが戻しに来ていた、ということにすれば全て上手くいくはずだ。
「それにしても、すごい数。高級品なのに……」
 部屋の質素さとモノクルの高級感が乖離している。
 それに、身につけているものは良い品なのに、ベッドにかかる布はぼろぼろだ。スチュアートのイメージとも合わない。
「あれ……?これだけ凄く古い……?」
 ピカピカに磨かれたモノクルが並ぶ中、中央に置かれたひとつが異様に年月を感じさせている。このモノクルも美しく磨かれてはいるが、細かな傷や経年劣化で変色があったりと、かなり古いもの思えた。
「気になります?」
「まあ、こんなに高いものをこんなにたくさん揃えるのも不思議だし、これだけなんだか古いのもーーっ?!ええ?!スチュアートさん!?」
 斜め後ろから飛んできた問いかけに素直に答え始めたアデリアは、声の主の正体に慄いた。
 ぱくぱくと声を発せられずにいるアデリアに、スチュアートは小さく笑う。
「勝手に人の部屋に入るなんて頂けませんね。夜這いにしては、まだ日が高いですよ?」
「よ、よば、夜這い?!」
「ああ、伯爵の体が戻って1人で眠るのが寂しいのですか?私で良ければ……抱いて眠って差しあげましょうかね?」
「……なっ、なっ……!」
「もちろん、ただ抱きしめるという意味で取らないでくださいね」
 アデリアの顔の右側に通せんぼするように手をついた。左はモノクルを飾る棚がある為、右にも左にも逃げられない。
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