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初陣編
#6 毛利家へ及ぼした影響
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郡山城 小早川隆景
私は同母弟の虎寿が父上に追放を言い渡され已む無く父上への決別を宣言し傅役の貞俊と共に毛利家を去ってから3日私や兄上たちや私は多くの文を虎寿に送った。その文からは虎寿の筆跡で尼子殿に気に入られた事や姓名を変えて皆生家虎と名乗ることになった事も書かれて居たが帰って来た手紙によっては虎寿の涙が滴っている物もあって見るのも憎いような酷いものだった。私たち毛利家にも虎寿が追放された事実は大いに影響を及ぼした。まず、父上が人を信頼しなくなった事で毛利家の未来を憂いている者が増えたこと。それに比例して隆元兄上も生きている感じがしない。よって、毛利家の政務は私が軍事行動は全て元春兄上が請け負っているが間違いなく人手が足りていない。
宿老の志道の爺は父上に虎寿を連れ戻すなり和解する様促しているが一本筋縄では行っていない。
虎寿…これ下手したら毛利家滅亡するかも知れないぞ…。だが、唯一の救いは虎寿の唯一の遺産とも言える尼子と毛利を結んでくれたお陰で影では操っていても直接毛利に攻め込んで来る事が無くなったことぐらいだな。それ以外は凶報だらけだ。せめて、大友攻めは辞めにしたいが父上は執着して居るし虎寿が居るのに尼子を攻めると言い始めるし…。
私が頭を抱えて居ると隣で戦で負け続きの元春兄上が
「又四郎、虎寿って偉大だな。」と呟いた。
まさか…自刃する気か…と思い元春兄上を見ると私の顔から意味を悟ったのか
「このままじゃ遅かれ早かれそうだろうな。だが、いざとなれば幸鶴丸と弟たちだけは俺が命を懸けて逃がす。勿論、その中には又四郎。お前も含まれる。」と神々しいまでの笑みを見せる元春兄上に最早何も言えなかった。
月山富田城 皆生家虎
私はあの日からかれこれ3日が経ち殿の家臣方から皆生殿と称されることも増えた。だが、皆生の地には本拠地となる城がなく築城を少しずつやらねばならないが民との仲を温めねば出来ぬと考え皆生の長たちと話した結果先ずは減税をして集める年貢を少なくした。そして、私と貞俊は月山富田城に出仕する服を一着だけ残し後は木綿の服に袴と質素な服を着るようになった。そんな努力の甲斐もあり少しずつ民たちの注目度も増してきた中殿から明日息子たちと会わせると言われた為兄上たちの手紙を返し終わり貞俊と月明かりと水を持って今までの事を話していた。
「貞俊、私は本当に明日尼子の人間になるんだな。皆生家虎として。」と言うと貞俊は私を抱き寄せると
「貴方様が尼子の人間になった以上わしも尼子の人間になりますな。…大丈夫、尼子の人間になるのは貴方様だけでは無いですよ。」
「それにしても父上は毛利家の運命はどうなるのだろう?このままじゃ毛利家は尼子に滅亡に追い込まれずとも大友に家臣たち共々殺されるだろうな。もし、滅亡の時が近づいたら貞俊に毛利家の家臣たちの調停を頼もうと思ってるからよろしく頼むよ。」と言うと貞俊がフフフと笑った。
「お優しい事です。ですが、兄上方はよろしゅうて?」
「助けられぬだろうよ。兄上たちの性格からして死を選ぶだだろうよ。まぁ、頼まれたらぐらいにしとけ。」と言うと私の頬には一筋の涙が滴った。
隆元兄上、元春兄上、隆景兄上。出来ることなら私をこんなに早く置いて逝かないで下さい。最期まで生き切ってくれたなら私は最後ぐらい毛利家の為に尽くしましょう。
この回は隆景さんと元春さんによる毛利家を取り巻く状況語りと家虎君と貞俊さんによる未来話になりました。彼らを待ち構える運命とは如何に。次回もよろしくお願いします。
私は同母弟の虎寿が父上に追放を言い渡され已む無く父上への決別を宣言し傅役の貞俊と共に毛利家を去ってから3日私や兄上たちや私は多くの文を虎寿に送った。その文からは虎寿の筆跡で尼子殿に気に入られた事や姓名を変えて皆生家虎と名乗ることになった事も書かれて居たが帰って来た手紙によっては虎寿の涙が滴っている物もあって見るのも憎いような酷いものだった。私たち毛利家にも虎寿が追放された事実は大いに影響を及ぼした。まず、父上が人を信頼しなくなった事で毛利家の未来を憂いている者が増えたこと。それに比例して隆元兄上も生きている感じがしない。よって、毛利家の政務は私が軍事行動は全て元春兄上が請け負っているが間違いなく人手が足りていない。
宿老の志道の爺は父上に虎寿を連れ戻すなり和解する様促しているが一本筋縄では行っていない。
虎寿…これ下手したら毛利家滅亡するかも知れないぞ…。だが、唯一の救いは虎寿の唯一の遺産とも言える尼子と毛利を結んでくれたお陰で影では操っていても直接毛利に攻め込んで来る事が無くなったことぐらいだな。それ以外は凶報だらけだ。せめて、大友攻めは辞めにしたいが父上は執着して居るし虎寿が居るのに尼子を攻めると言い始めるし…。
私が頭を抱えて居ると隣で戦で負け続きの元春兄上が
「又四郎、虎寿って偉大だな。」と呟いた。
まさか…自刃する気か…と思い元春兄上を見ると私の顔から意味を悟ったのか
「このままじゃ遅かれ早かれそうだろうな。だが、いざとなれば幸鶴丸と弟たちだけは俺が命を懸けて逃がす。勿論、その中には又四郎。お前も含まれる。」と神々しいまでの笑みを見せる元春兄上に最早何も言えなかった。
月山富田城 皆生家虎
私はあの日からかれこれ3日が経ち殿の家臣方から皆生殿と称されることも増えた。だが、皆生の地には本拠地となる城がなく築城を少しずつやらねばならないが民との仲を温めねば出来ぬと考え皆生の長たちと話した結果先ずは減税をして集める年貢を少なくした。そして、私と貞俊は月山富田城に出仕する服を一着だけ残し後は木綿の服に袴と質素な服を着るようになった。そんな努力の甲斐もあり少しずつ民たちの注目度も増してきた中殿から明日息子たちと会わせると言われた為兄上たちの手紙を返し終わり貞俊と月明かりと水を持って今までの事を話していた。
「貞俊、私は本当に明日尼子の人間になるんだな。皆生家虎として。」と言うと貞俊は私を抱き寄せると
「貴方様が尼子の人間になった以上わしも尼子の人間になりますな。…大丈夫、尼子の人間になるのは貴方様だけでは無いですよ。」
「それにしても父上は毛利家の運命はどうなるのだろう?このままじゃ毛利家は尼子に滅亡に追い込まれずとも大友に家臣たち共々殺されるだろうな。もし、滅亡の時が近づいたら貞俊に毛利家の家臣たちの調停を頼もうと思ってるからよろしく頼むよ。」と言うと貞俊がフフフと笑った。
「お優しい事です。ですが、兄上方はよろしゅうて?」
「助けられぬだろうよ。兄上たちの性格からして死を選ぶだだろうよ。まぁ、頼まれたらぐらいにしとけ。」と言うと私の頬には一筋の涙が滴った。
隆元兄上、元春兄上、隆景兄上。出来ることなら私をこんなに早く置いて逝かないで下さい。最期まで生き切ってくれたなら私は最後ぐらい毛利家の為に尽くしましょう。
この回は隆景さんと元春さんによる毛利家を取り巻く状況語りと家虎君と貞俊さんによる未来話になりました。彼らを待ち構える運命とは如何に。次回もよろしくお願いします。
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