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初陣編
#8 皆生城の築城
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ー福原貞俊ー
わしは若と共に尼子家へ来て暫くが経って交友もそれなりに広げていたがそれよりも若と共に皆生の地の内政に勤しんでいた。その中で思い知ったのが家臣不足。皆生6万石は破格と言えば破格だが裏を返せばわしと家虎さま二人だけでは内政の行き足りない石高だった。しかも、兵役となれば初陣だが若は1000兵を超える兵を率いる可能性も否めなかった。だが、唯一羽振りが違ったのは毛利家の民たちと違って皆生の民たちは警戒心が薄く忠誠心の高い民たちなのだ。若とも気さくに話して城の築城にも手伝ってくれると言ってくれた。若はそれに加え屯田兵制度と言うものを領内に浸透させている。戸主以外で二十歳以上の者たちは日頃は農業に勤しみ戦の時には駆け付ける制度だ。上限は50歳と定めている。それ以降は志願制らしい。皆生の民たちの性質を上手いこと利用した制度だった。若はそれを導入する代わりに戦を行って居る間は築城を止めることを宣言した。
そんな感じで若と二人三脚で政務や九郎様の特訓に若が付きあう日々明け暮れる中築城中の儂らの屋敷に二人ほどの来訪者が現れた。
若は快くそれを中に入れると若が自ら名を名乗った後自ら茶を点てるとその二人に渡し名を聞いた。
「私は吉川元春が家臣湯原春綱と申します。」
「私は小早川隆景が家臣乃美宗勝と申します。我が主の隆景さまに皆生殿を支えるよう申し伝えられここに参りました。」
「同じく元春さまより同じ命を受けて参りました。」と聞くと家虎さまの顔が思案顔になったのが分かった。
それを見た湯原殿が元春さま・隆景さま連判の文を差し出した。
家虎さまはそれを手に取り読んでしばらくの間瞑目すると
「お主らがここに来た訳は承知した。だが、お主等はどうなのだ?」と言うと意味を計り兼ねたのか乃美殿が
「皆生殿、お言葉ですがそれはどういう意味で?」と問い返されたので家虎さまが改めてと前置きして
「お主たちが自分たちの意志でここに来ているのかと言う話だ。ここは尼子領内だ。私含め毛利家が何かをすれば真っ先に命を狙われる場所だ。そこに飛び入る覚悟がお主等にあるのかそして今我らは途方も無い家臣不足故家臣として来るなら死に物狂いで働いて貰わねばならん。兄上たちの命令だからと割り切ってここに来ているのなら家臣不足と言えども帰って貰わねばならん。そうで無ければ皆生の民たちに申し訳が立たぬわ。」と家虎さまが言い放つと乃美殿は躊躇う素振りを見せるも湯原殿は躊躇おうともせず家虎さまに平伏すると
「皆生殿が我が主に負けず劣らずの逸物であるのは分かり申した。この皆生の地で死に物狂いで働くことを誓いましょう!ぜひともこの湯原春綱を家臣の一端をお加え下さいますよう。」と湯原殿は平伏為されてしまった。
家虎さまはこう言う経験が無い為驚いていたが湯原殿の瞳を見定めるように見ると力強い瞳で湯原殿を見ると
「お主がそこまで言うなら我らに異議は無い故受け入れるとしよう、春綱。」と言うと湯原殿は
「はっ!宜しゅうお願い致します、家虎さま…?」とどうやらどう呼んで良いのか迷っているようだった。
「家虎さまで良い。殿と呼ばれるような規模でも全く無いし貞俊がそう呼んでおる故統一した方が良かろう。」と言って微笑んだ。
家虎さまは本当に人の心をつかむのが上手いと思う。わしだって家虎さまで無ければ此処まで来ることは無かっただろう。
そして、家虎さまは視線を乃美殿に移すと
「乃美殿、直ぐにここを去れとは言いません。ゆっくり見て行って下さい。ただし、我らはやることが多いので居る以上は手伝ってもらうがな。ただでは食わさんぞ。」とコロコロと笑うと湯原殿がうっとりとした表情を浮かべていた。
「はっ、では見学させて頂きます。」と乃美殿の返事を聞くと湯原殿に扇子を向けると
「では、二人共木綿の服を着ているから分かると思うが明日から倹約。そして、春綱は明日から皆生の地に城を建てるべく設計を我らと一緒に務めて貰うからな。」と言うと湯原殿は
「はっ、お任せ下され!」と威勢良く平伏した。
貞俊さん目線の湯原春綱さん乃美宗勝さんと家虎君の出会いの話になります。春綱さんは家虎君の家臣となり貞俊さんに次ぐ忠臣となって行きます。宗勝さんはどうなるでしょうか。
なお、春綱さんは今現在吉川家の家臣でもありませんがこの物語の都合上吉川家家臣として扱わせて頂きます。
次回もよろしくお願いします。
わしは若と共に尼子家へ来て暫くが経って交友もそれなりに広げていたがそれよりも若と共に皆生の地の内政に勤しんでいた。その中で思い知ったのが家臣不足。皆生6万石は破格と言えば破格だが裏を返せばわしと家虎さま二人だけでは内政の行き足りない石高だった。しかも、兵役となれば初陣だが若は1000兵を超える兵を率いる可能性も否めなかった。だが、唯一羽振りが違ったのは毛利家の民たちと違って皆生の民たちは警戒心が薄く忠誠心の高い民たちなのだ。若とも気さくに話して城の築城にも手伝ってくれると言ってくれた。若はそれに加え屯田兵制度と言うものを領内に浸透させている。戸主以外で二十歳以上の者たちは日頃は農業に勤しみ戦の時には駆け付ける制度だ。上限は50歳と定めている。それ以降は志願制らしい。皆生の民たちの性質を上手いこと利用した制度だった。若はそれを導入する代わりに戦を行って居る間は築城を止めることを宣言した。
そんな感じで若と二人三脚で政務や九郎様の特訓に若が付きあう日々明け暮れる中築城中の儂らの屋敷に二人ほどの来訪者が現れた。
若は快くそれを中に入れると若が自ら名を名乗った後自ら茶を点てるとその二人に渡し名を聞いた。
「私は吉川元春が家臣湯原春綱と申します。」
「私は小早川隆景が家臣乃美宗勝と申します。我が主の隆景さまに皆生殿を支えるよう申し伝えられここに参りました。」
「同じく元春さまより同じ命を受けて参りました。」と聞くと家虎さまの顔が思案顔になったのが分かった。
それを見た湯原殿が元春さま・隆景さま連判の文を差し出した。
家虎さまはそれを手に取り読んでしばらくの間瞑目すると
「お主らがここに来た訳は承知した。だが、お主等はどうなのだ?」と言うと意味を計り兼ねたのか乃美殿が
「皆生殿、お言葉ですがそれはどういう意味で?」と問い返されたので家虎さまが改めてと前置きして
「お主たちが自分たちの意志でここに来ているのかと言う話だ。ここは尼子領内だ。私含め毛利家が何かをすれば真っ先に命を狙われる場所だ。そこに飛び入る覚悟がお主等にあるのかそして今我らは途方も無い家臣不足故家臣として来るなら死に物狂いで働いて貰わねばならん。兄上たちの命令だからと割り切ってここに来ているのなら家臣不足と言えども帰って貰わねばならん。そうで無ければ皆生の民たちに申し訳が立たぬわ。」と家虎さまが言い放つと乃美殿は躊躇う素振りを見せるも湯原殿は躊躇おうともせず家虎さまに平伏すると
「皆生殿が我が主に負けず劣らずの逸物であるのは分かり申した。この皆生の地で死に物狂いで働くことを誓いましょう!ぜひともこの湯原春綱を家臣の一端をお加え下さいますよう。」と湯原殿は平伏為されてしまった。
家虎さまはこう言う経験が無い為驚いていたが湯原殿の瞳を見定めるように見ると力強い瞳で湯原殿を見ると
「お主がそこまで言うなら我らに異議は無い故受け入れるとしよう、春綱。」と言うと湯原殿は
「はっ!宜しゅうお願い致します、家虎さま…?」とどうやらどう呼んで良いのか迷っているようだった。
「家虎さまで良い。殿と呼ばれるような規模でも全く無いし貞俊がそう呼んでおる故統一した方が良かろう。」と言って微笑んだ。
家虎さまは本当に人の心をつかむのが上手いと思う。わしだって家虎さまで無ければ此処まで来ることは無かっただろう。
そして、家虎さまは視線を乃美殿に移すと
「乃美殿、直ぐにここを去れとは言いません。ゆっくり見て行って下さい。ただし、我らはやることが多いので居る以上は手伝ってもらうがな。ただでは食わさんぞ。」とコロコロと笑うと湯原殿がうっとりとした表情を浮かべていた。
「はっ、では見学させて頂きます。」と乃美殿の返事を聞くと湯原殿に扇子を向けると
「では、二人共木綿の服を着ているから分かると思うが明日から倹約。そして、春綱は明日から皆生の地に城を建てるべく設計を我らと一緒に務めて貰うからな。」と言うと湯原殿は
「はっ、お任せ下され!」と威勢良く平伏した。
貞俊さん目線の湯原春綱さん乃美宗勝さんと家虎君の出会いの話になります。春綱さんは家虎君の家臣となり貞俊さんに次ぐ忠臣となって行きます。宗勝さんはどうなるでしょうか。
なお、春綱さんは今現在吉川家の家臣でもありませんがこの物語の都合上吉川家家臣として扱わせて頂きます。
次回もよろしくお願いします。
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