愛なんて。~寂しくて、辛くて、時に素晴らしい~

巴瀬 比紗乃

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好きなのに

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「で?今度はどんな対策とったって?」


  私は、彼氏と長続きしない。


「着信画面をエズラにした」


  エズラとは海外の俳優さんだ。


「前の彼氏に何て言われたんだっけ?」


  友達はジュースをすすりながら聞いてくる。


「電話に出るときテンションが低い。俺からの電話迷惑なんだろ?」


  なんで自ら傷をえぐるようなことを口にしなければならないのだろう。
  何で友達はそんなことをわざわざ確認するのだろう。
  そう思うと、一段と声が低くなった。


「で?エズラにした理由は?」


  テーブルの上には食べかけのオムライスがある。
  友達が行きたいと言ったカフェはとても人気で、こうして悠長に話している間も、店先の列は伸びていた。


「エズラは写真を見るだけでテンションが上がるの。最初にエズラの顔見たらテンションが低いなんてまずないから」


  だから、元カレに指摘された問題は解決されたはずだった。
  現にテンションは常にアップ。相手を不愉快にさせるようなことはなかったはずだった。


「で?今度は何て言ってふられた?」


  今度はデザートのアイスを、口に運びながら聞いてくる。
  質問攻めで、私はデザートまでたどり着けてないというのに。


「電話に出るのが遅い。なにかやましいこと隠してんだろ?」


  友達に対する苛立ちからか、彼氏の口振りを真似る形になってしまった。
  そのせいで、後悔が2倍になった。
  エズラに見入っていたのは仕方ない。だって、好きなんだもん。それでも5コールまでには出ると決めていたし、実際、5コール目に出ていた。たまに越えることはあったかもしれないけど。
  なのに今度は、不愉快は不信感に変わり、私と彼氏を遠ざけた。


「今度はどんな策を練ればいいの!?」


  頭を抱えてうなだれる。
  オムライスの美味しそうな匂いも、食欲をそそらずに胸焼けを誘う。
  どうしてこうもうまく行かないのだろう。
  彼氏がいないなんて考えられないのに。
  甲高く、スプーンが置かれる音がした。


「てか、そういう問題じゃないって気づけ、そろそろ」


  好きなのに。
  私の愛情は伝わりにくい。
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