愛なんて。~寂しくて、辛くて、時に素晴らしい~

巴瀬 比紗乃

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再会に思う。

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「久しぶりね」

「ああ」


 改札の前で待ち合わせをしたのは、高校の同級生だ。
 彼がこちらに転勤になり、5年ぶりに会うことになった。SNSでイイネしあう仲だったとはいえ、面と向かいあえば少しは緊張するかなと思ったのだが、そんなことはなかったと手短な挨拶に思う。
 緊張感こそなかったものの、彼がじっと無表情を向けてくるものだから、少し怖くなった。


「何?」


 恐る恐る聞いてみると、「何でもない」とか「いや」と言って、視線をそらされた。


「まさか男でもできたと思ってる?」


 先に進む彼の顔を覗く。改装で新しくなった駅の階段を、並んで下る。私はスカートを摘まんで、軽く持ち上げた。
 女は男で変わるなんて、まるで女は男次第と言われているようで好きじゃない。が、一般的にはそう思われることが多い。とくに田舎にいた頃、周囲の大人たちは変化を見つけては口々にそういった。彼だって、きっと、その考えに侵されているに違いない。


「女だって、友達に感化されることもあるんだから」


 彼は私を見下げ、逡巡しているようだ。


「負けず嫌いなんじゃなくて?」


 白い丸印の上に立ち、電車を待つ。彼の言葉にまた田舎のにおいを感じた。
 これは女は張り合うものと思っているな。おじいちゃんに良く言われたなーなんて、思い出す。全く外れてはいない、か。しかし、でも、と強く頷く。


「今回は違う。可愛かったの。だから良いなって思って、私も着てみたの」


 ロングスカート。最近はヒョウ柄が流行りらしくて、ショップ店員さんが着ていたヒラヒラに心奪われた。甘めに仕上げていた店員さんとは対照的に、トップスにパーカーを持ってきて少しカジュアル感を出してみた。


「どう?」


 スカートの両端を摘まんで、軽く持ち上げる。


「そうだな」


 向き合うと、彼は顎に手を当てて黙った。なんだか考えているふりをして、時間を稼がれているような気がする。
 可愛らしく見せようとした両手を下ろし、私は線路の方に体を向けた。


「彼女にしたくなる、かな」


 上からふってきた言葉に、一瞬喉をつまらせる。
 下を向いて、上を向いて、目を閉じて。
 口だけ開く。


「ねえ、その捉えようのない褒め方やめて」

「どういう意味?」


 首をかしげる彼を盗み見て、私は肩を落とした。


「褒めてるのは分かるけど、どう捉えて良いのか分からない謎の褒め言葉は止めて」


 それでも分からないと顎に手をあて考えこむ彼に、私は嫌気がさしたのかもしれない。


「もういい。可愛いって言って」


 ああ、昔はこんなこと、口にするのもおぞましかったのに。
 すんなり出てきた例題に、彼は笑った。


「服のおかげで女性らしくなった?」

「もとより女だわー」


 だらしなく口をでた言葉は、さらに彼を笑わせた。

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