愛なんて。~寂しくて、辛くて、時に素晴らしい~

巴瀬 比紗乃

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好きよりも先に。

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「どうやって告れば、オーケーしてくれると思う?」


 マクドに寄って語り合うのは、お決まりの帰宅コースだ。

 柱の横で窓を背にして、シェイクをすすりながらカズナは問うた。真剣な面持ちのカズナに、同じ学生服を着た3人は目を向ける。

 向かいに座る、ハルカが答える。


「花束で押す」

「高校生でそれはレベルが高い」


 睨み付けてカズナは却下した。ハルカは「ああ、そう」と軽い返事をする。カズナはポテトを食らうコタロウを見た。次はお前の番だと、訴えている。コタロウはポテトをとる手を止めて、考える。ハルカにポテトを奪われても、目を瞑った。


「前にいる女子の手をつかんで振り向かせて、目を見て好きですは?」

「どこで?」

「校舎?」

「恥ずかしいわ!」


 却下されたショックに、コタロウはハルカのナゲットを奪った。取りすぎだと、ポテトを一掴みまた持っていかれる。そんな2人のやり取りを、カズナは恨めしそうに見つめていた。その視線の鋭さに、ハルカとコタロウは手を止める。お互いポテトとナゲットを手に、情けない格好だ。


「でも目を見て好きだは絶対だろ?」

「呼び出せば?」

「定番じゃ、確率低いんだよ。ちょっとでも自分を良く見せたいんだよ! 告白は最後の自分磨きだろ!」

「スゲー自論」


 話に加わらず、1人スマートに雑誌を見ていたスバルが突っ込む。3人はスバルを一瞬だけ見やったが、すぐに視線を反らした。3人は目を合わせる。さっきよりも真剣な面持ちだ。


「屋上から叫ぶ」

「恥ずかしい上に嫌われるわ!」

「後ろから抱きつく?」

「変態か!」

「バレンタインにチョコで告白」

「待てねぇよ! てか、それは女子の特権だろ!」


 激論するわりに大した案が出てこない。3人は視線を落とした。

 3人に成功例はない。成功例がないということは、正解も出てこない。カズナは仕方がないと、ぎこちない振り向き方をしてスバルを見やった。ファッション紙を片手に気だるげなこの男は、4人の中で唯一、成功例を持っている。


「おい、お前はどうやって告白したんだよ」

「一緒に帰ったときに、好きだって言った」

「さすが、女子と話せる奴は違うな」


 血反吐でも吐くかのような声音で、カズナは呟く。それ以上に返せる言葉はなく、沈黙が生まれた。3人はシェイクを飲み、ポテトを貪り、ナゲットを頬張る。まるで虚しさを埋めているようだ。

 そんな租借音のBGMに痺れを切らせたのは、スバルだった。


「てかさ、女子は好きな奴に告られなきゃトキめかないって話だぞ」


 ここにきて雑誌の受け売りかと、3人は冷ややかな視線を向ける。


「冷てぇな、お前」


 ぼそりと、コタロウが言った。スバルは見向きもしない。


「カノジョが言ってた」

「リア充が!!」


 立ち上がる勢いで、3人の声が重なった。

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