皆さんは◆にます。ー箱庭の中の教室ー

麻木香豆

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第二話

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「まだ着かないのかなぁ……寝ちゃおうかなぁ」
「おい、騒いでた女子たちが寝てるぞ」

 そんな呟きが聞こえる頃には、車内の空気も少しずつ落ち着き始めていた。

 つい先ほどまであれほど賑やかだった声が、いつの間にかまばらになり、話しながらもあくびをする者が増えていく。

 バスは順調に進んでいた。速度は速すぎることもなく、道が空いているおかげで揺れも少ない。けれど、外の景色はいつの間にか変わっていた。
 さっきまで青空が広がっていたはずなのに、いつの間にか灰色の雲が空を覆い始めている。

 長旅の疲れからか、学生たちは一人、また一人と眠りについていった。

 車体が揺れるたびに、寝落ちそうな学生たちがかすかに身体を傾ける。誰かの肩にもたれかかったり、窓に頭を預けたりしながら、そのまま静かに夢の世界へと落ちていく。
 あれほど賑やかだったバスの中は、あっという間に静寂に包まれた。今は、エンジンの低い振動音と空調のかすかな唸りだけが、車内に響いている。

 それでも、陸馬ハルキはまだ目を閉じることができずにいた。
 うとうとと意識が遠のきそうになりながらも、眠りの深い場所まで落ちていくことができない。

 前日、就活のスケジュールを確認しながら、この旅の準備をしていたせいだろうか。あるいは、それだけではないのだろうか。

 ――何かが引っかかる。

 そう思った瞬間、車内が突然暗くなった。

「……トンネル……か……」

 ハルキはぼんやりとつぶやく。

 バスは長いトンネルに入ったようだ。窓の外には、闇と点滅するライトの光だけが交互に流れていく。白い光の筋が一定の間隔で通り過ぎるのを見ながら、ハルキは何となしに前方へと視線を向けた。

 そこで――奇妙なものを見た。

 運転席の男。

 運転手の姿が、黒い帽子と分厚いマスクに覆われていた。

 さっきまで、こんな格好をしていただろうか。

 そのマスクは普通のものではなかった。何かの装置につながっているのか、一定の間隔で「シュコー……シュコー……」と機械的な呼吸音を立てている。
 その様子に、ハルキはぞくりとした寒気を覚えた。

 ――おかしい。

 直感的にそう思った。

 しかし、それ以上考える間もなく、ハルキの意識は突然、闇へと沈んでいった。

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