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モンスターペアレント
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モンスターペアレントっていうのは、モンスターにとりつかれた親だっていう話を知っている? 一般的な意味は学校や教師に文句をつける親をモンスターペアレントというの。クレーマーだから、まるでモンスターみたいで怖いという意味でつけられたらしいの。ところがこの中学校の保護者がモンスターという妖怪にとりつかれてしまったらしくて、城山先生に相談されたんだ。城山先生が担任しているクラスの親が最近様子がおかしいっていうの。
「タイジとレイカちゃんがいると心強いよ。僕は見えるだけの能力で、何もできないから、札を持つ二人にお願いしたいと思って。最近、学校に文句ばかり言ってくるし、僕のクラスの生徒も最近親が怖くて、何も言えないって言うんだ」
「現代妖怪なのか?」
「多分現代妖怪だとは思うよ。妖気を感じるんだ」
「それで、妖怪にとりつかれたおばさんはどこだ?」
「また文句を言いに来るようで、こっちに向かっているらしい」
「職員室じゃ、消滅技使えないだろ」
「生徒の親なんだからお手柔らかに頼むぞ」
城山先生は少し心配そうだ。
「学校の外でそれらしき人が来たら、校舎裏に呼んで、妖怪と話し合いでもしようか」
私が提案した。
「タイジ。札の使い手が二人になって、妖力が上がったからって、やたら消滅技使うのやめてくれよな。困ったときは霊棒を使え。念のためにわたしておく」
城山先生が万が一のために霊棒を渡す。
「そうだよ、タイジは最初カウンセラー名乗っていたんだから一応話し合いは必要だよ。極悪な妖怪は消滅させるしかないだろうけれど……」
「一寸の虫にも五分の魂っていうでしょ」
私たちは、急いで職員室を後にした。
アスファルトに照り付ける日差しがまぶしく感じる放課後。熱を帯びた道路は日光を浴びて反射するかのようにまぶしく感じる。触ったらやけどしそうなくらい、アスファルトは熱を吸収して照り焼き状態だ。
学校の外でモンスターを探していると、ビンビン妖気が伝わってくる。それは、普通のお母様にとりついている悪魔のような邪悪な妖気だった。
「こんにちは、妖怪にとりつかれたおばさん、校舎裏で城山先生が待っているってさ」
タイジは歯に衣着せぬ物言いだ。
「そんな言い方、だめですよ」
とモフスケがささやくが、お母様に聞こえることはない。
「はぁっ? なんざますの?」
お金持ち風の格好をした上品なお母様だが、体格が良く鼻息は荒い。この人の性格は、元々クレーマー体質なのかもしれない。波長が合うから、とりつくのには楽なのだろう。そして、現代妖怪モンスターがとりついたのだろう。
校舎裏に誘導した。タイジが声をかけた。
「モンスターさん、こんにちは」
「はあ?」
お母様から妖怪は出てこようとしない。仕方ないので、うまくおびき寄せようとしていたのだが……。
妖怪は、勝ち目がないと思ったのか、すっと逃げた。すぐそばにお母様の息子がいたので、その息子に取り憑いたようだ。
「そうか、息子にとりついたのか。じゃあ無理にでも札を使って消滅させるぞ」
タイジが札を出し、光が少年に刃のようにおそいかかった。すると、クレーマーの母親が、突然息子の元へ飛び込んだのだ。息子の位置がずれたため、光が校舎の一部を破壊した。それって結構まずいんじゃない? タイジは最近消滅技を使いはじめたばかりで、力加減に慣れていないのだ。
「あなた、息子に何するんでございますの?」
「いやいや、俺は息子さんにとりついた妖怪を消滅させようと……」
「何を言っているんでございますか?」
たしかに、このお母様の言っていることはまともだ。妖怪を消滅って意味がわからないし、変な光を息子に浴びせられたらたまったものではない。このお母様はきっと息子を愛しているのだ。子供には愛情があるゆえのクレーマーなのだろう。
すると、妖怪が今度は母親のほうへ移動する。母親を攻撃しようとすると、息子がかばう。美しい親子愛だ。でも、これだとなかなか封印もできない。
「レイカ、妖怪がのりうつる一瞬、時間を止めてくれ」
「結構難しいけど、妖怪のスピード結構速いし」
私は、血眼になって妖怪の動きをじっと観察した。一瞬だけ、でもその一瞬が難しい。
窮鼠猫を噛むという状態で、追い詰められたモンスター妖怪は、他人の体を使ってクレーマーとなった。
「だいたい、おまえたち、何様のつもりだ。妖怪を倒す義務でもあるのか? 私は人間の心が生み出した妖怪だ。攻撃される筋合いはない」
「学校の先生たちが困っているんだよ。おとなしく、人間の中に住みつかないなら見逃すが」
「わかった、もう悪いことなんてしないよ」
ずるがしこい妖怪が謝るときほど、疑いの目を持つべきだと思う。妖怪との口約束ほど不確かなものはない。妖怪が息子に乗り移ろうとした瞬間、レイカが時間を止めた。やっぱり、この妖怪、心底謝っていない。ならば、容赦はしないわ。
「停止!!」
母と子は驚いて妖怪のほうを見つめたが、何も見えてはいない。
「封印!!」
タイジが札を持って封印した。妖怪は封印され、消滅は、この親子がいなくなってから、ということになった。封印などの技を一般の人に見られることは、リスクが高い。どちらかというと、変な人だと勘違いされそうだ。独り言を叫ぶ危ない人だとか。それにしても、親子愛というのは他人には計り知れないほど深いものがある。
「すいません。演劇の練習相手になっていただき、ありがとうございました」
私が適当なことを言ってみる。
すると、妖怪の支配から解放された親子は、何があったのかわからない様子だった。きょとん顔とはこのことだろう。
「なんで私、学校に来たのかしらねぇ?」
と母親が理解が追い付かないようで、2人はそのまま帰宅してしまった。
少年も何が起きたのか理解できないでいた。とりつかれていた時間は記憶がないので、とぎれとぎれにしか記憶がないようだ。
そして、申し訳なさそうにタイジが手を合わせて頭を下げた。
「レイカ、修復の技で校舎直してくれ」
「仕方ない。貸しは高くつくわよ」
と言いながら、私は校舎を修復した。
タイジは剣士のようなあでやかな剣さばきで、霊棒を使って切り裂き、消滅させる。今回は転生させずに消滅させたようだ。
「タイジとレイカちゃんがいると心強いよ。僕は見えるだけの能力で、何もできないから、札を持つ二人にお願いしたいと思って。最近、学校に文句ばかり言ってくるし、僕のクラスの生徒も最近親が怖くて、何も言えないって言うんだ」
「現代妖怪なのか?」
「多分現代妖怪だとは思うよ。妖気を感じるんだ」
「それで、妖怪にとりつかれたおばさんはどこだ?」
「また文句を言いに来るようで、こっちに向かっているらしい」
「職員室じゃ、消滅技使えないだろ」
「生徒の親なんだからお手柔らかに頼むぞ」
城山先生は少し心配そうだ。
「学校の外でそれらしき人が来たら、校舎裏に呼んで、妖怪と話し合いでもしようか」
私が提案した。
「タイジ。札の使い手が二人になって、妖力が上がったからって、やたら消滅技使うのやめてくれよな。困ったときは霊棒を使え。念のためにわたしておく」
城山先生が万が一のために霊棒を渡す。
「そうだよ、タイジは最初カウンセラー名乗っていたんだから一応話し合いは必要だよ。極悪な妖怪は消滅させるしかないだろうけれど……」
「一寸の虫にも五分の魂っていうでしょ」
私たちは、急いで職員室を後にした。
アスファルトに照り付ける日差しがまぶしく感じる放課後。熱を帯びた道路は日光を浴びて反射するかのようにまぶしく感じる。触ったらやけどしそうなくらい、アスファルトは熱を吸収して照り焼き状態だ。
学校の外でモンスターを探していると、ビンビン妖気が伝わってくる。それは、普通のお母様にとりついている悪魔のような邪悪な妖気だった。
「こんにちは、妖怪にとりつかれたおばさん、校舎裏で城山先生が待っているってさ」
タイジは歯に衣着せぬ物言いだ。
「そんな言い方、だめですよ」
とモフスケがささやくが、お母様に聞こえることはない。
「はぁっ? なんざますの?」
お金持ち風の格好をした上品なお母様だが、体格が良く鼻息は荒い。この人の性格は、元々クレーマー体質なのかもしれない。波長が合うから、とりつくのには楽なのだろう。そして、現代妖怪モンスターがとりついたのだろう。
校舎裏に誘導した。タイジが声をかけた。
「モンスターさん、こんにちは」
「はあ?」
お母様から妖怪は出てこようとしない。仕方ないので、うまくおびき寄せようとしていたのだが……。
妖怪は、勝ち目がないと思ったのか、すっと逃げた。すぐそばにお母様の息子がいたので、その息子に取り憑いたようだ。
「そうか、息子にとりついたのか。じゃあ無理にでも札を使って消滅させるぞ」
タイジが札を出し、光が少年に刃のようにおそいかかった。すると、クレーマーの母親が、突然息子の元へ飛び込んだのだ。息子の位置がずれたため、光が校舎の一部を破壊した。それって結構まずいんじゃない? タイジは最近消滅技を使いはじめたばかりで、力加減に慣れていないのだ。
「あなた、息子に何するんでございますの?」
「いやいや、俺は息子さんにとりついた妖怪を消滅させようと……」
「何を言っているんでございますか?」
たしかに、このお母様の言っていることはまともだ。妖怪を消滅って意味がわからないし、変な光を息子に浴びせられたらたまったものではない。このお母様はきっと息子を愛しているのだ。子供には愛情があるゆえのクレーマーなのだろう。
すると、妖怪が今度は母親のほうへ移動する。母親を攻撃しようとすると、息子がかばう。美しい親子愛だ。でも、これだとなかなか封印もできない。
「レイカ、妖怪がのりうつる一瞬、時間を止めてくれ」
「結構難しいけど、妖怪のスピード結構速いし」
私は、血眼になって妖怪の動きをじっと観察した。一瞬だけ、でもその一瞬が難しい。
窮鼠猫を噛むという状態で、追い詰められたモンスター妖怪は、他人の体を使ってクレーマーとなった。
「だいたい、おまえたち、何様のつもりだ。妖怪を倒す義務でもあるのか? 私は人間の心が生み出した妖怪だ。攻撃される筋合いはない」
「学校の先生たちが困っているんだよ。おとなしく、人間の中に住みつかないなら見逃すが」
「わかった、もう悪いことなんてしないよ」
ずるがしこい妖怪が謝るときほど、疑いの目を持つべきだと思う。妖怪との口約束ほど不確かなものはない。妖怪が息子に乗り移ろうとした瞬間、レイカが時間を止めた。やっぱり、この妖怪、心底謝っていない。ならば、容赦はしないわ。
「停止!!」
母と子は驚いて妖怪のほうを見つめたが、何も見えてはいない。
「封印!!」
タイジが札を持って封印した。妖怪は封印され、消滅は、この親子がいなくなってから、ということになった。封印などの技を一般の人に見られることは、リスクが高い。どちらかというと、変な人だと勘違いされそうだ。独り言を叫ぶ危ない人だとか。それにしても、親子愛というのは他人には計り知れないほど深いものがある。
「すいません。演劇の練習相手になっていただき、ありがとうございました」
私が適当なことを言ってみる。
すると、妖怪の支配から解放された親子は、何があったのかわからない様子だった。きょとん顔とはこのことだろう。
「なんで私、学校に来たのかしらねぇ?」
と母親が理解が追い付かないようで、2人はそのまま帰宅してしまった。
少年も何が起きたのか理解できないでいた。とりつかれていた時間は記憶がないので、とぎれとぎれにしか記憶がないようだ。
そして、申し訳なさそうにタイジが手を合わせて頭を下げた。
「レイカ、修復の技で校舎直してくれ」
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