【神回】最高神 暇になったので降臨してみた ＃1

第一下界人 発見

ハレール山を下りアヌは今うっそうと茂る森の中を進んでいた

いろいろと見てまわるのもいいが、目的がある方が具体的な計画も立てやすいだろう
そう考えたアヌは降臨する前に軽く流し読みした資料に出てきた＜冒険者＞になってみようと考えていた

確か冒険者とは剣や魔法を使って魔物という生物を狩ることを生業とする職業だと書いてあった
冒険者は皆普通の人間よりも強くトップの冒険者ともなれば人を超越した力を持っているという説明を見た時に
アヌはこれだと思う。
冒険者ならばどんな力を使おうがそれは当たり前の事でうまく人間社会に溶け込めるハズだ、と
だからこそアヌは最初に降り立つ場所をハレール山の麓にしたのだ
なぜならばハレール山の近くに＜王都チーザ・ホルン＞と呼ばれる国があり
その場所は別名＜冒険者の都＞という程多くの冒険者の集う場所だからだ


「しかしここはえらく静かな森だなあ。まさか先ほどの竜の様に皆怖がっているのか？もう神力は切ったし怖がる
理由が分からん。」
そういったそばから一羽の小鳥が目の前を横切る

「＜なあそこのお前、この森は普段からこんなにも静かなのか？何か面白いものとかないか？＞」


「＜ンン？もしかしてボク！？（何でこの人間僕たちの言葉を話せるの････？まあいいや）
先に質問された方から答えると普段は色んな動物とか、怖い魔物とかがいるから結構騒がしいよ。
で、次の質問の答えだけど僕が今来た方向にずっと進むと人間たちが戦ってるんだよ。面白いか分からないけど人間同士だから面白いんじゃないの？僕らは巻き込まれたくないから逃げるけどねー＞」

「＜成程。その人間たちがいるから今この森は静かって事か？＞」


「＜せいかーい。それじゃあボクはもう行くね！バイバーイ＞」

「＜うむ！達者でな！＞」
小鳥に教えて貰った人間たちの争いごとか･･･気になるな。少し寄り道してみようか」





－－「クッ！！姑息････な････！！」

「ククク････かの有名なB級冒険者の＜銀姫＞も俺たち＜ヴァニス教＞からすればこんなものか！
おいお前ら！銀姫ちゃんは＜奴隷紋＞で遂に俺様のモノになった！使いたければ１回１０万ゴールドだ！！」

「アニキ！！２０万出すんで１日貸して下さいよ！！」

「１回だ！使わせてやるだけ感謝しやがれ！！」



「おら、銀姫早速ご主人様の命令だ服を脱げ！」

「や･･･やめ・・・・！！！」
自分の意志とは裏腹に体は奴隷紋の影響で勝手に動き命令を忠実に遂行してゆく
鎧を外しインナーを脱ぐと遂に残るは下着１枚のみとなる。
ヴァニス教と名乗る男たちは屈辱と羞恥に苦しむ女の姿に興奮しもっとやれと煽りだす
下着の留め具を外し誰も来ないと知りながらもついつい言葉にしてしまう

「誰か助けて」


「ギャハハハ！！！！乙女だなぁ銀姫！もしかして白馬の王子様が来てくれると思っちゃったのかなあ！？」



「そうか、では助けよう」


「－－－－－あ？」

音も無く表れたのは謎の白髪の青年。恐ろしく整った顔立ちをしており女の自分から見ても美しいと一目で感じる程の美貌。
もしや私の願望が生んだ幻なのでは？と


「いつの世もどの世界でも一定数ろくでもない心の持ち主というのはどうしても存在してしまう。それは均衡を保つという意味では致し方ない部分もある」

「はぁ、おいおいぼくちゃん迷子？何かよくわかんねえ事言ってるけどよぉ...」
ジロジロと値踏みするように上から下までアニキと呼ばれた男が見てくる
やがて結論が出たのかにたりと口端を上げる

「お前らこいつ捕まえろ。俺の経験からこいつは結構な金額で捌けるぜ！！」

「うす！へへ...今日はツイてますねアニキ！俺ら神に祝福されてるんじゃないすか！？」

「かもなぁ！！おぃお前ら！俺は今から銀姫とお楽しみの時間だからな、終わるまでに捕まえとけよ！！」
こい！と銀姫と呼んでいる白銀の美しい髪を持つ女性に命令し裏の茂みへと男は消えてゆく