【神回】最高神 暇になったので降臨してみた #1

文字の大きさ
9 / 9

決着

しおりを挟む
-「な!?貴様は昨日の白髪!?どうやって城に....送り付けた暗殺者共は何をして!!!!」

今俺が来ている場所は領主ドン・ジェルビンの立てた城だ。元々の領主が立てた領主館を完全に取り壊し建てられた城は外観からして趣味が悪く無駄に凝った装飾など必要のない場所に大量の金がつぎ込まれているのがすぐわかる。
前の領主は非常に倹約家だったそうで必要なことにしかお金を使わず、その分取り立てる税金の殆どをインフラの整備や身寄りのない子供たちを保護する教会への支援などに使っていたようで国民からの信頼も厚かったそうだ

今や見る影もない品性の無い調度品に囲まれた廊下を進むと一か所だけ両開きの扉が付けられた部屋があり、中から女の嬌声が聞こえてきたのでドン・ジェルビンの寝室だろうとすぐに分かった

部屋の中に入ると案の定けばけばしい女と情事に耽っている最中だったが俺が入っていったことで無理やり中断させる形となり今に至る。



「暗殺者?ああ何だか黒い服の集団が俺を襲ってきたな。返り討ちにしたがな」
正確に言えばノエリアと少女の傍に置いておいた分身体が今まさに返り討ちにしている最中なのだがもう最後の一人を倒し終わるし間違ってはない。


「何だと!?クソ!!あいつら高い金を要求した割に使えない奴らだ!!おいエドモンド!!さっさと来い!!」
すぐそばで控えていたのかグングニルを持ったエドモンドがドン・ジェルビンを守る形で前に立ちふさがる。


「この白髪を殺せ!!」

「-ッツ.......」

「何をしている?命令に背けばどうなるか.....分かっているだろう?」

「....仰せの....ままに...」

一瞬の躊躇いが見えたがエドモンドが俺に攻撃を仕掛けてくる。ただしエドモンドも俺に勝てない事は悟っているのだろう。苦悶の表情で攻撃の手を緩めない。
しかしその攻撃も俺には届かない。俺が最高神であること以前に攻撃に殺意が伴っていないからだ
この攻撃は俺を殺す為ではなく何かを必死に守ろうとしている故のものだ。それは今目の前にいるドン・ジェルビンではない。ならば何から?
エドモンドはあの時一瞬だが神力に耐えて見せた。少し見させてもらうぞ

「エドモンドとやら、耐えてみよ」

「?何.....を!?!?」

神力を開放しエドモンドの記憶の断片を読み取る。

「-ドン・ジェルビン!貴様俺の妹をどこに!!」

「-ククク....様だろうがクズが。妹の死に顔に会いたいのか?ん」

「--クソ....今日もピリカの手がかりは無しか....俺はいつまであんな男に....」

理解した。エドモンドが何を守っているのかを
この男、強いではないか。妹を救うためここまでの苦痛に身を晒している。そろそそ報われねばな。
神力で記憶を読み取られたエドモンドは片膝を付き、持っていた槍を杖代わりにゼーゼーと荒い息をしている。
今度は意識を飛ばさず耐えたか。凄い人間だ。
「エドモンドとやら....よくぞ耐えたな。俺はお主のような人間の力になってやりたいと思っているんだ」

エドモンドが顔だけをこちらへ動かし何のことだと言いたげな表情を浮かべている。
「お前が聞くべきはその男の声ではない。他にいるだろう?聞けるといいな」

返事は来ないがエドモンドは期待をしてしまった。まさか、この男は知っているのか?ならばもしかしたら少し状況が変わるかも知れない。そんな期待を



エドモンドの顔が涙で濡れる。

「お兄ちゃん!!」



「おっと、意外に早く聞けたな」

「お前....いや、あなたはどうやって....?」
そんなことは些末なことだ。実はエドモンドの妹、ピリカを見つけた時は俺も驚愕したからな。
人間の持つ愛の力とは時として神をこえる強さを持っているのかも知れないな。


「エド...エドエドエドエド、エドモンド!!!!貴様!!早くその男をころせええええええ!!」
エドモンドを従える為妹を使って脅していたわけだがその妹が今エドモンドの手に渡った。
これによりエドモンドを縛り詰めるモノはもうない。

「口を閉じろ下郎!このお方を殺したくばこのエドモンド・シール・バウハスターが相手になってやる!!」



-こうして領主のドン・ジェルビンは捕まり後の調べで本来来るはずの後任の領主を暗殺し、領主の座を奪ったことが明るみになった。
この事についに民衆達の怒りが爆発しドン・ジェルビンは死罪となり、のちに新しい領主が着任したことで奴隷制度は廃止され、税金も元の納税額へ戻される事になった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...