『婚約破棄されたので北の港を発展させたら

ふわふわ

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【第13話 焦る王太子】

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【第13話 焦る王太子】

王宮の執務室。

カルディオン王太子は苛立って歩き回っていた。

机の上には山のような書類。

そのすべてが――

問題の報告だった。

「またか!」

彼は紙を机に叩きつけた。

「港の税収が半分?」

財務官が震えながら答える。

「はい……」

「北海商会が取引先を変更しました」

「どこへだ!」

「クレスト公爵領の新港でございます」

カルディオンは言葉を失った。

「……あの女」

まただ。

すべての話にその名前が出てくる。

アリアベル。

その時。

「殿下」

エルネスタが部屋に入ってきた。

今日は少し不安そうな顔をしている。

「どうしましたの?」

カルディオンは苛立って言った。

「問題ばかりだ!」

「商人も貴族も俺の言うことを聞かない!」

エルネスタは心配そうに近づく。

「きっと一時的なことです」

「そうか?」

「ええ」

彼女は優しく微笑む。

「殿下は王太子なのですから」

その言葉にカルディオンは少し落ち着いた。

「……そうだな」

しかしその時。

扉が勢いよく開いた。

騎士が飛び込んでくる。

「殿下!」

「何だ!」

「北方から報告です!」

「北方?」

カルディオンの顔が歪む。

「……またあの女か」

騎士は答える。

「クレスト公爵領の港が完成しました」

「完成?」

「はい」

「そして本日」

「最初の交易船が到着したそうです」

カルディオンは呆然とした。

「……そんな馬鹿な」

北方の港はまだ建設中のはずだった。

それなのに――

「貿易量は?」

「王都港の三割ほどです」

「三割!?」

カルディオンは叫んだ。

「まだ完成したばかりだろう!」

騎士はうなずく。

「今後さらに増える見込みです」

カルディオンは頭を抱えた。

王都港の税収。

それは王家の重要な収入源だ。

その三割が消える。

つまり――

王家の収入も減る。

「……あの女」

彼は低く呟いた。

「わざとやっているのか」

エルネスタは不安そうに言った。

「お姉様は昔から計算高い方でした」

「やはり殿下を困らせるつもりなのでは……」

カルディオンは怒りで拳を握る。

「許さない」

「俺をここまでコケにして!」

その頃。

北方の港。

大きな交易船が停泊していた。

私は桟橋に立ち、その様子を見ていた。

「見事です」

隣でアシュレイが言う。

「完成したばかりとは思えない」

私は少し笑う。

「準備はずっと前からしていました」

港は私の計画だった。

王都港に頼らない交易。

それを実現するためのもの。

「最初の取引は?」

アシュレイが聞く。

「北海商会」

私は答える。

「毛皮と鉄です」

アシュレイは頷いた。

「北方に合っている」

私は海を見つめる。

波が静かに揺れていた。

「王都は今、大変でしょうね」

アシュレイは短く答える。

「かなり」

私は肩をすくめる。

「私は何もしていません」

「ただ仕事をしているだけです」

アシュレイは小さく笑った。

「それが一番怖い」

「え?」

「あなたは」

彼は海を見ながら言った。

「王国の流れを変えている」

私は少し考えた。

そして言う。

「それは違います」

「違う?」

私は静かに答えた。

「私は」

「自分の領地を豊かにしているだけです」

海風が吹く。

港には新しい船が次々と入ってくる。

北方は今、活気に満ちていた。

そしてその裏で――

王太子の立場は、さらに追い詰められていく。
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