30 / 32
【第30話 王都の裁き】
しおりを挟む
【第30話 王都の裁き】
王都。
重厚な石造りの建物。
王国裁判所。
今日は珍しく、傍聴席まで人で埋まっていた。
理由はただ一つ。
被告人。
元王太子カルディオン。
彼は中央に立たされていた。
かつて王太子だった男。
だが今は、ただの被告人だ。
法官が読み上げる。
「被告カルディオン」
「クレスト公爵領への不法侵入」
「公爵令嬢誘拐未遂」
「港での逃走」
法廷は静まり返る。
貴族たちが小声で囁く。
「信じられない」
「元王太子が誘拐未遂」
「王家の恥だ」
カルディオンは黙っていた。
だがその目には怒りがある。
法官が言う。
「弁明はありますか」
カルディオンはゆっくり口を開いた。
「俺は」
声が低く響く。
「婚約者を迎えに行っただけだ」
法廷がざわつく。
法官が言う。
「婚約は破棄されています」
カルディオンは叫ぶ。
「違う!」
「誤解だ!」
だが法官は冷静だった。
「公開の場での婚約破棄」
「証人多数」
「記録あり」
カルディオンは黙る。
沈黙が落ちる。
その時。
扉が開いた。
貴族たちが振り向く。
入ってきたのは――
クレスト公爵令嬢。
私だった。
法廷がざわつく。
「アリアベル様」
「本物だ」
私は静かに歩く。
証言席へ。
法官が言う。
「証言を」
私は頷く。
そして言った。
「婚約は」
「確かに破棄されました」
カルディオンが叫ぶ。
「アリアベル!」
私は彼を見ない。
「私はその場で追放されました」
法官が記録する。
「被告はあなたを迎えに来たと言っています」
私は少し考えた。
そして答えた。
「私は」
「望んでいません」
沈黙。
その一言で十分だった。
法官が言う。
「証言終了」
私は席を離れる。
カルディオンが私を見る。
目には怒りと絶望。
「アリアベル」
私は振り返らない。
そして。
判決の時間が来た。
法官の声が響く。
「被告カルディオン」
「有罪」
傍聴席がざわめく。
法官は続ける。
「王族であるため死刑は適用せず」
「爵位剥奪」
「王都追放」
カルディオンの目が見開かれる。
「……何?」
法官は最後に言った。
「国外追放」
槌が落ちる。
裁判は終わった。
王都の外。
馬車が待っている。
兵士に囲まれたカルディオン。
彼は振り返る。
王宮の塔が遠くに見える。
「……アリアベル」
だが。
もう誰も彼を見ていない。
その頃。
北方港。
私は海を見ていた。
アシュレイが隣に立つ。
「裁判は終わった」
私は聞く。
「結果は?」
アシュレイは答える。
「国外追放」
私は小さく頷いた。
「そうですか」
海風が吹く。
船がゆっくり港へ入ってくる。
港は今日も賑やかだ。
アシュレイが言う。
「これで」
「本当に終わったな」
私は微笑んだ。
「ええ」
そして空を見る。
「ようやく」
長かった因縁が。
完全に終わったのだった。
王都。
重厚な石造りの建物。
王国裁判所。
今日は珍しく、傍聴席まで人で埋まっていた。
理由はただ一つ。
被告人。
元王太子カルディオン。
彼は中央に立たされていた。
かつて王太子だった男。
だが今は、ただの被告人だ。
法官が読み上げる。
「被告カルディオン」
「クレスト公爵領への不法侵入」
「公爵令嬢誘拐未遂」
「港での逃走」
法廷は静まり返る。
貴族たちが小声で囁く。
「信じられない」
「元王太子が誘拐未遂」
「王家の恥だ」
カルディオンは黙っていた。
だがその目には怒りがある。
法官が言う。
「弁明はありますか」
カルディオンはゆっくり口を開いた。
「俺は」
声が低く響く。
「婚約者を迎えに行っただけだ」
法廷がざわつく。
法官が言う。
「婚約は破棄されています」
カルディオンは叫ぶ。
「違う!」
「誤解だ!」
だが法官は冷静だった。
「公開の場での婚約破棄」
「証人多数」
「記録あり」
カルディオンは黙る。
沈黙が落ちる。
その時。
扉が開いた。
貴族たちが振り向く。
入ってきたのは――
クレスト公爵令嬢。
私だった。
法廷がざわつく。
「アリアベル様」
「本物だ」
私は静かに歩く。
証言席へ。
法官が言う。
「証言を」
私は頷く。
そして言った。
「婚約は」
「確かに破棄されました」
カルディオンが叫ぶ。
「アリアベル!」
私は彼を見ない。
「私はその場で追放されました」
法官が記録する。
「被告はあなたを迎えに来たと言っています」
私は少し考えた。
そして答えた。
「私は」
「望んでいません」
沈黙。
その一言で十分だった。
法官が言う。
「証言終了」
私は席を離れる。
カルディオンが私を見る。
目には怒りと絶望。
「アリアベル」
私は振り返らない。
そして。
判決の時間が来た。
法官の声が響く。
「被告カルディオン」
「有罪」
傍聴席がざわめく。
法官は続ける。
「王族であるため死刑は適用せず」
「爵位剥奪」
「王都追放」
カルディオンの目が見開かれる。
「……何?」
法官は最後に言った。
「国外追放」
槌が落ちる。
裁判は終わった。
王都の外。
馬車が待っている。
兵士に囲まれたカルディオン。
彼は振り返る。
王宮の塔が遠くに見える。
「……アリアベル」
だが。
もう誰も彼を見ていない。
その頃。
北方港。
私は海を見ていた。
アシュレイが隣に立つ。
「裁判は終わった」
私は聞く。
「結果は?」
アシュレイは答える。
「国外追放」
私は小さく頷いた。
「そうですか」
海風が吹く。
船がゆっくり港へ入ってくる。
港は今日も賑やかだ。
アシュレイが言う。
「これで」
「本当に終わったな」
私は微笑んだ。
「ええ」
そして空を見る。
「ようやく」
長かった因縁が。
完全に終わったのだった。
5
あなたにおすすめの小説
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
元婚約者のあなたへ どうか幸せに
石里 唯
恋愛
公爵令嬢ローラは王太子ケネスの婚約者だったが、家が困窮したことから、婚約破棄をされることになる。破棄だけでなく、相愛と信じていたケネスの冷酷な態度に傷つき、最後の挨拶もできず別れる。失意を抱いたローラは、国を出て隣国の大学の奨学生となることを決意する。
隣国は3年前、疫病が広がり大打撃を受け、国全体が復興への熱意に満ち、ローラもその熱意に染まり勉学に勤しむ日々を送っていたところ、ある日、一人の「学生」がローラに声をかけてきて―――。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる