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第5章 ザマア展開
セクション4:王宮舞踏会での完全勝利
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王宮大舞踏会。
煌びやかなシャンデリアが光を放ち、無数の貴族たちが宝石のような衣装に身を包み集まっている。
だが、会場の空気はどこか張り詰めていた。噂がすでに広まり、誰もが「マリアンヌ」について囁き合っているからだ。
俺――蘭堂龍子は、真紅のドレスを纏い、堂々と会場中央へ進み出た。
ざわつく空気がぴたりと止まり、全員の視線が集まる。
「皆の衆、ちょいと耳を貸してくれ」
極道調子の声が響く。
だが周囲の連中には「ローラ嬢の気品ある挨拶」としか聞こえていない。
――この世界の認識のズレには、もう慣れちまった。利用できるもんは利用する。
「マリアンヌについて、面白え話がある」
場が一気にざわめいた。
当のマリアンヌは涼しい顔で立っていたが、その指先は小刻みに震えていた。
「こいつはな……女じゃねえ。マルクス・ノーランドって男だ」
その瞬間、会場が凍りついた。
驚愕、疑念、そして好奇心――すべての視線がマリアンヌへと突き刺さる。
「な、なにを……根拠もないことを!」マリアンヌが声を上げた。
「根拠なら山ほどあるぜ」
俺は指を鳴らした。
智が進み出て、帳簿や筆跡鑑定を広げて見せる。
「ノーランド家が裏金を動かしていた証拠です。そして……こちらは筆跡。マルクス本人のものと、マリアンヌが使う署名は完全に一致しています」
ざわめきが大きくなる。
さらに竜が性別変化薬の購入記録を掲げた。
「マルクス・ノーランド名義で、大量の薬を買っていやした」
「そ、それは……!」
追い詰められたマリアンヌの顔から化粧が剥がれるように余裕が消えていく。
俺は最後の切り札を切った。
「智、やれ」
「承知しました」
智が手を掲げ、魔法陣を展開する。
淡い光がマリアンヌを包み――その姿がぐにゃりと歪んだ。
ドレスの中から現れたのは、逞しい青年の体。
金髪の美女ではなく、確かにノーランド侯爵の息子、マルクスだった。
「な、なぜバレた!?」
会場は騒然となり、貴族たちの非難の声が飛び交う。
「観念しろ、マルクス。完璧な犯罪なんて存在しねえんだよ」
俺が冷たく言い放つと、マルクスは崩れ落ち、震える声を漏らした。
「くそ……俺の計画が……」
---
その場にいたエドワード王子は青ざめていた。
「マリアンヌ……いや、君は男だったのか……」
そして、ローラに向かって頭を下げる。
「ローラ……すまなかった。僕は間違えていた。どうか、復縁を――」
「断る」
俺は即座に切り捨てた。
会場中が息を呑む。
「一度失った信頼は、二度と戻らねえ。……それが筋ってもんだ」
そう言って振り返り、視線を向けたのはアレクサンダー。
焚き火の夜に見せた真剣な瞳が、今も変わらず俺を見つめ返している。
「アレクサンダー」
「はい」
「俺と結婚してくれ」
一瞬の沈黙の後、彼は深く頷き、穏やかに微笑んだ。
「喜んで」
大広間に歓声が湧き上がった。
そして俺は確信する。
――これが完全勝利だ、と。
煌びやかなシャンデリアが光を放ち、無数の貴族たちが宝石のような衣装に身を包み集まっている。
だが、会場の空気はどこか張り詰めていた。噂がすでに広まり、誰もが「マリアンヌ」について囁き合っているからだ。
俺――蘭堂龍子は、真紅のドレスを纏い、堂々と会場中央へ進み出た。
ざわつく空気がぴたりと止まり、全員の視線が集まる。
「皆の衆、ちょいと耳を貸してくれ」
極道調子の声が響く。
だが周囲の連中には「ローラ嬢の気品ある挨拶」としか聞こえていない。
――この世界の認識のズレには、もう慣れちまった。利用できるもんは利用する。
「マリアンヌについて、面白え話がある」
場が一気にざわめいた。
当のマリアンヌは涼しい顔で立っていたが、その指先は小刻みに震えていた。
「こいつはな……女じゃねえ。マルクス・ノーランドって男だ」
その瞬間、会場が凍りついた。
驚愕、疑念、そして好奇心――すべての視線がマリアンヌへと突き刺さる。
「な、なにを……根拠もないことを!」マリアンヌが声を上げた。
「根拠なら山ほどあるぜ」
俺は指を鳴らした。
智が進み出て、帳簿や筆跡鑑定を広げて見せる。
「ノーランド家が裏金を動かしていた証拠です。そして……こちらは筆跡。マルクス本人のものと、マリアンヌが使う署名は完全に一致しています」
ざわめきが大きくなる。
さらに竜が性別変化薬の購入記録を掲げた。
「マルクス・ノーランド名義で、大量の薬を買っていやした」
「そ、それは……!」
追い詰められたマリアンヌの顔から化粧が剥がれるように余裕が消えていく。
俺は最後の切り札を切った。
「智、やれ」
「承知しました」
智が手を掲げ、魔法陣を展開する。
淡い光がマリアンヌを包み――その姿がぐにゃりと歪んだ。
ドレスの中から現れたのは、逞しい青年の体。
金髪の美女ではなく、確かにノーランド侯爵の息子、マルクスだった。
「な、なぜバレた!?」
会場は騒然となり、貴族たちの非難の声が飛び交う。
「観念しろ、マルクス。完璧な犯罪なんて存在しねえんだよ」
俺が冷たく言い放つと、マルクスは崩れ落ち、震える声を漏らした。
「くそ……俺の計画が……」
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その場にいたエドワード王子は青ざめていた。
「マリアンヌ……いや、君は男だったのか……」
そして、ローラに向かって頭を下げる。
「ローラ……すまなかった。僕は間違えていた。どうか、復縁を――」
「断る」
俺は即座に切り捨てた。
会場中が息を呑む。
「一度失った信頼は、二度と戻らねえ。……それが筋ってもんだ」
そう言って振り返り、視線を向けたのはアレクサンダー。
焚き火の夜に見せた真剣な瞳が、今も変わらず俺を見つめ返している。
「アレクサンダー」
「はい」
「俺と結婚してくれ」
一瞬の沈黙の後、彼は深く頷き、穏やかに微笑んだ。
「喜んで」
大広間に歓声が湧き上がった。
そして俺は確信する。
――これが完全勝利だ、と。
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