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第6章 真の愛の成就
セクション1:結婚準備と完全な真実告白
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王宮舞踏会での公開断罪からひと月。
ノーランド家は失墜し、マルクスは投獄。エドワード王子は失態の責任を問われ、政治の表舞台から退いた。
……あの日から、世間の視線は完全に変わった。
「フェリシア公爵令嬢ローラ、逆境を乗り越えた気高き薔薇」
そんな称号で呼ばれるようになったが――中身は相変わらず、極道のお嬢・蘭堂龍子のままだ。
だが今は、別の大仕事に追われていた。
――結婚式の準備だ。
---
公爵邸の広間。
侍女や職人たちがせわしなく動き回り、テーブルにはドレスや装飾品の見本が山のように並べられている。
「お嬢様、こちらのヴェールは王都で一番の職人が織った最高級品でございます」
「いや、もっと派手にしろ。結婚式だろ? “お嬢の門出はド派手に”ってのが筋だ」
俺の一言に侍女たちは「さすがローラ様の華やかな美意識」と感心して頷いた。
……いやいや、これ極道のノリなんだけどな。
そんな喧騒の中、アレクサンダーがやって来た。
いつも通り凛々しいが、今日はどこか柔らかな雰囲気を纏っている。
「ローラ様、準備は順調ですか?」
「おう、なんとか形にはなりそうだ。だが……ちょっと話がある」
俺は彼を自室へと誘った。
---
静かな部屋に二人きり。
心臓がやけにうるさい。これまで何度も修羅場をくぐってきた俺だが、こんなに緊張するのは初めてだった。
「アレクサンダー。……俺には秘密がある」
彼は真剣な顔で頷いた。
「……聞かせてください」
深く息を吸い、すべてを打ち明けた。
――俺は蘭堂龍子、異世界から来た極道の娘であること。
外見は変わっていないのに、この世界の人間には“公爵令嬢ローラ”にしか見えないこと。
唯一、若衆たちだけが俺を本当の姿で認識できること。
そして、婚約破棄から今日までのすべて。
アレクサンダーは一言も遮らず、最後まで耳を傾けた。
「……全部話した。これが俺の正体だ。嫌になったか?」
沈黙。
心臓が早鐘を打つ。
だが、彼の口から返ってきたのは、穏やかな声だった。
「――だからこそ、あなたは強いのですね」
俺は思わず目を見開いた。
「……は?」
「異世界から来たことも、極道の世界で生きてきたことも。すべてが、今のあなたを形作っている。私は、その全部を愛しています」
真っ直ぐな瞳に射抜かれ、胸の奥が熱くなった。
ああ、この人は本物だ。
俺という存在を、どんな過去ごと受け入れてくれる。
「……ったく。お前ってやつは……」
堪えきれず笑いが漏れた。
「筋を通すにも程があるぜ。だが……ありがとな」
アレクサンダーはそっと手を伸ばし、俺の手を握った。
その温もりに、これまで感じたことのない安心感が宿る。
「ローラ……いや、龍子。共に歩んでいきましょう」
「ああ、任せとけ。俺たちの新しい人生の始まりだ」
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ノーランド家は失墜し、マルクスは投獄。エドワード王子は失態の責任を問われ、政治の表舞台から退いた。
……あの日から、世間の視線は完全に変わった。
「フェリシア公爵令嬢ローラ、逆境を乗り越えた気高き薔薇」
そんな称号で呼ばれるようになったが――中身は相変わらず、極道のお嬢・蘭堂龍子のままだ。
だが今は、別の大仕事に追われていた。
――結婚式の準備だ。
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……いやいや、これ極道のノリなんだけどな。
そんな喧騒の中、アレクサンダーがやって来た。
いつも通り凛々しいが、今日はどこか柔らかな雰囲気を纏っている。
「ローラ様、準備は順調ですか?」
「おう、なんとか形にはなりそうだ。だが……ちょっと話がある」
俺は彼を自室へと誘った。
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静かな部屋に二人きり。
心臓がやけにうるさい。これまで何度も修羅場をくぐってきた俺だが、こんなに緊張するのは初めてだった。
「アレクサンダー。……俺には秘密がある」
彼は真剣な顔で頷いた。
「……聞かせてください」
深く息を吸い、すべてを打ち明けた。
――俺は蘭堂龍子、異世界から来た極道の娘であること。
外見は変わっていないのに、この世界の人間には“公爵令嬢ローラ”にしか見えないこと。
唯一、若衆たちだけが俺を本当の姿で認識できること。
そして、婚約破棄から今日までのすべて。
アレクサンダーは一言も遮らず、最後まで耳を傾けた。
「……全部話した。これが俺の正体だ。嫌になったか?」
沈黙。
心臓が早鐘を打つ。
だが、彼の口から返ってきたのは、穏やかな声だった。
「――だからこそ、あなたは強いのですね」
俺は思わず目を見開いた。
「……は?」
「異世界から来たことも、極道の世界で生きてきたことも。すべてが、今のあなたを形作っている。私は、その全部を愛しています」
真っ直ぐな瞳に射抜かれ、胸の奥が熱くなった。
ああ、この人は本物だ。
俺という存在を、どんな過去ごと受け入れてくれる。
「……ったく。お前ってやつは……」
堪えきれず笑いが漏れた。
「筋を通すにも程があるぜ。だが……ありがとな」
アレクサンダーはそっと手を伸ばし、俺の手を握った。
その温もりに、これまで感じたことのない安心感が宿る。
「ローラ……いや、龍子。共に歩んでいきましょう」
「ああ、任せとけ。俺たちの新しい人生の始まりだ」
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