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第15話 冬の約束と、未来への一歩
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第15話 冬の約束と、未来への一歩
12月、キャンパスは冬の静けさに包まれていた。
木々の葉がすっかり落ち、朝の空気は頬を刺すように冷たい。図書館の窓からは、時折雪がちらつく景色が見える。2年生の悠人と1年生のあかりは、大学生活にもすっかり慣れ、毎日を一緒に過ごす中で、自然と未来の話を増やしていた。
悠人は3年生になる来年、ゼミの本格的な研究が始まる。就活か大学院進学か、まだ迷っている時期だった。あかりは1年生ながら、フランス文学の授業にどっぷりハマり、将来は翻訳や出版に関わる仕事がしたいと思い始めていた。
ある雪の降る夕方。
最後の授業が終わって、二人はいつものように図書館で並んで勉強していた。外の窓に雪が積もり始め、キャンパスが白く染まる。ジャズのBGMが小さく流れ、暖房の効いた室内は心地よい。
悠人が本を閉じて、あかりを見た。
「あかりちゃん、ちょっと話したいことあるんだけど」
「うん? どうしたの?」
悠人は少し照れくさそうに、ノートを片付けながら続けた。
「俺、来年就活するか、院に行くか迷ってるんだけど……あかりちゃんの意見、聞きたいんだ」
あかりはペンを置いて、悠人の目をまっすぐ見た。
「悠人くんは、どっちがやりたいの?」
「研究は楽しいよ。フランス文学もっと深く勉強したい気持ちもある。でも、翻訳の仕事とか、社会に出てすぐやりたい気持ちもあって。親とも話したんだけど、まだ決めきれなくて」
あかりは少し考えて、優しく微笑んだ。
「私、どっちでも応援するよ。でも、悠人くんが一番輝ける方を選んでほしい。研究で幸せなら院、仕事でワクワクするなら就活」
悠人はあかりの手を取って、
「ありがとう。やっぱり、あかりちゃんに話すと、気持ち整理できるよ。……一緒に考えてくれて、嬉しい」
二人は少しの間、手を握りしめて黙っていた。外の雪が静かに降り続ける。
図書館を出て、雪のキャンパスを歩いた。
雪がしんしんと降り、足跡が残る。二人の息が白く混じる。
「クリスマス、もうすぐだね」
あかりが呟くと、悠人が頷いた。
「うん。今年は、ちゃんと一緒に過ごせる。特別な日にしよう」
去年のクリスマスは遠距離で、少し切なかった。今年は違う。毎日一緒にいるからこそ、特別に感じる。
12月24日、イブ。
二人はキャンパス近くの小さなイタリアンレストランを予約した。イルミネーションが輝く街を、コートを着込んで歩いて店へ。
窓際の席で、キャンドルの灯りが優しく揺れる。コース料理を食べながら、ワイングラスを軽く合わせた。
「大学入って、毎日一緒にいられるようになって、ほんと幸せだよ。あかりちゃんがいると、勉強もサークルも全部楽しい」
悠人がグラスを傾けながら言う。
「私も。遠距離のとき、辛かったけど、今思うと、あれがあったから今がより嬉しい。毎日朝一緒に登校して、図書館で待っててくれるの、当たり前だけど、宝物みたい」
デザートが出る頃、悠人が小さな箱を取り出した。
「クリスマスプレゼント。去年に続いて、今年も」
中には、星のモチーフのイヤリング。ネックレス、ブレスレットに続いて、シリーズのよう。
「いつも一緒にいてほしいから。俺も、お揃いのピンつけるよ」
あかりは目を潤ませて、イヤリングを着けてみた。
「ありがとう……大好き。綺麗」
悠人も胸に小さな星のピンを付けていた。
「似合うよ。あかりちゃん、ほんと綺麗」
食事が終わって、外に出る。
雪が少し積もった街を、手を繋いで歩く。イルミネーションがきらきら反射して、まるで星空の下みたい。
近くの公園のベンチに座って、ライトアップされたツリーを見上げる。
「あかりちゃん」
悠人が少し真剣な顔で、
「これからも、ずっと一緒にいよう。卒業しても、仕事始まっても、どんな未来でも」
あかりの胸が熱くなった。
「うん。もちろん。私、悠人くんと一緒に未来描きたい。どんな道を選んでも、一緒に」
悠人はあかりを抱き寄せて、キスをした。
雪が舞う中、温かくて優しいキス。少し長く、離れがたく。
「いつか、フランス一緒に旅行しよう。サンテグジュペリの足跡巡りとか、パリで本屋巡りとか」
「うん! 絶対行こう。夏休みとか、長期休みで」
「結婚とかも……そのうち、ちゃんと話そうか」
突然の言葉に、あかりはどきっとしたけど、自然と頷いた。
「うん……いつか、ね」
二人は顔を見合わせて、くすっと笑った。
またキスを交わして、雪の夜を歩き始めた。
アパートに戻って、暖かい部屋で寄り添う。
「今日、ほんとに幸せだった」
「私も。来年も、再来年も、こんなクリスマス過ごしたい」
雪が窓を叩く音を聞きながら、二人は眠りについた。
キャンパスの冬は、静かで温かい。
12月、キャンパスは冬の静けさに包まれていた。
木々の葉がすっかり落ち、朝の空気は頬を刺すように冷たい。図書館の窓からは、時折雪がちらつく景色が見える。2年生の悠人と1年生のあかりは、大学生活にもすっかり慣れ、毎日を一緒に過ごす中で、自然と未来の話を増やしていた。
悠人は3年生になる来年、ゼミの本格的な研究が始まる。就活か大学院進学か、まだ迷っている時期だった。あかりは1年生ながら、フランス文学の授業にどっぷりハマり、将来は翻訳や出版に関わる仕事がしたいと思い始めていた。
ある雪の降る夕方。
最後の授業が終わって、二人はいつものように図書館で並んで勉強していた。外の窓に雪が積もり始め、キャンパスが白く染まる。ジャズのBGMが小さく流れ、暖房の効いた室内は心地よい。
悠人が本を閉じて、あかりを見た。
「あかりちゃん、ちょっと話したいことあるんだけど」
「うん? どうしたの?」
悠人は少し照れくさそうに、ノートを片付けながら続けた。
「俺、来年就活するか、院に行くか迷ってるんだけど……あかりちゃんの意見、聞きたいんだ」
あかりはペンを置いて、悠人の目をまっすぐ見た。
「悠人くんは、どっちがやりたいの?」
「研究は楽しいよ。フランス文学もっと深く勉強したい気持ちもある。でも、翻訳の仕事とか、社会に出てすぐやりたい気持ちもあって。親とも話したんだけど、まだ決めきれなくて」
あかりは少し考えて、優しく微笑んだ。
「私、どっちでも応援するよ。でも、悠人くんが一番輝ける方を選んでほしい。研究で幸せなら院、仕事でワクワクするなら就活」
悠人はあかりの手を取って、
「ありがとう。やっぱり、あかりちゃんに話すと、気持ち整理できるよ。……一緒に考えてくれて、嬉しい」
二人は少しの間、手を握りしめて黙っていた。外の雪が静かに降り続ける。
図書館を出て、雪のキャンパスを歩いた。
雪がしんしんと降り、足跡が残る。二人の息が白く混じる。
「クリスマス、もうすぐだね」
あかりが呟くと、悠人が頷いた。
「うん。今年は、ちゃんと一緒に過ごせる。特別な日にしよう」
去年のクリスマスは遠距離で、少し切なかった。今年は違う。毎日一緒にいるからこそ、特別に感じる。
12月24日、イブ。
二人はキャンパス近くの小さなイタリアンレストランを予約した。イルミネーションが輝く街を、コートを着込んで歩いて店へ。
窓際の席で、キャンドルの灯りが優しく揺れる。コース料理を食べながら、ワイングラスを軽く合わせた。
「大学入って、毎日一緒にいられるようになって、ほんと幸せだよ。あかりちゃんがいると、勉強もサークルも全部楽しい」
悠人がグラスを傾けながら言う。
「私も。遠距離のとき、辛かったけど、今思うと、あれがあったから今がより嬉しい。毎日朝一緒に登校して、図書館で待っててくれるの、当たり前だけど、宝物みたい」
デザートが出る頃、悠人が小さな箱を取り出した。
「クリスマスプレゼント。去年に続いて、今年も」
中には、星のモチーフのイヤリング。ネックレス、ブレスレットに続いて、シリーズのよう。
「いつも一緒にいてほしいから。俺も、お揃いのピンつけるよ」
あかりは目を潤ませて、イヤリングを着けてみた。
「ありがとう……大好き。綺麗」
悠人も胸に小さな星のピンを付けていた。
「似合うよ。あかりちゃん、ほんと綺麗」
食事が終わって、外に出る。
雪が少し積もった街を、手を繋いで歩く。イルミネーションがきらきら反射して、まるで星空の下みたい。
近くの公園のベンチに座って、ライトアップされたツリーを見上げる。
「あかりちゃん」
悠人が少し真剣な顔で、
「これからも、ずっと一緒にいよう。卒業しても、仕事始まっても、どんな未来でも」
あかりの胸が熱くなった。
「うん。もちろん。私、悠人くんと一緒に未来描きたい。どんな道を選んでも、一緒に」
悠人はあかりを抱き寄せて、キスをした。
雪が舞う中、温かくて優しいキス。少し長く、離れがたく。
「いつか、フランス一緒に旅行しよう。サンテグジュペリの足跡巡りとか、パリで本屋巡りとか」
「うん! 絶対行こう。夏休みとか、長期休みで」
「結婚とかも……そのうち、ちゃんと話そうか」
突然の言葉に、あかりはどきっとしたけど、自然と頷いた。
「うん……いつか、ね」
二人は顔を見合わせて、くすっと笑った。
またキスを交わして、雪の夜を歩き始めた。
アパートに戻って、暖かい部屋で寄り添う。
「今日、ほんとに幸せだった」
「私も。来年も、再来年も、こんなクリスマス過ごしたい」
雪が窓を叩く音を聞きながら、二人は眠りについた。
キャンパスの冬は、静かで温かい。
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