『勘違い殿下の逆恨みは、鉄壁の公爵家に砕け散る~聖女と元婚約者が手を取り合った結果~』

ふわふわ

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第28話 ソニアの幸せ

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 第28話 ソニアの幸せ

結婚式から数ヶ月が経った秋の日。

レーヴェント公爵屋敷の東別邸は、穏やかな日常を取り戻していた。

イセッタとルクシオは、新婚旅行から戻り、北と南の領地を往復しながら、王国再建に尽力していた。  
二人の仲は、ますます深まり、家臣たちから「公爵夫妻は、いつも手を繋いでいる」とからかわれるほどだった。

そんなある日、別邸の庭園で、ソニアが一人、ベンチに座っていた。

彼女は、白い聖女のローブではなく、淡いピンクのドレスを纏っていた。  
金色の髪を優しく風が揺らし、頰には、幸せの紅が差している。

結婚式で花束をキャッチした日から、ソニアの周囲は、少し変わっていた。

貴族の青年たちが、次々とアプローチを始めたのだ。

「聖女様、ティーパーティーに」  
「散歩にご一緒させてください」  
「私の領地の教会を、ぜひご視察を」

ソニアは、最初は戸惑っていた。

「私……平民で、聖女になったばかりなのに……」

しかし、イセッタが優しく言った。

「あなたは、もう『奇跡の聖女』よ。  
誰よりも、多くの人を救った。  
好きになった人がいたら、素直になって」

その言葉に、勇気をもらった。

そして、今――

庭園の小道から、一人の青年が近づいてきた。

ノルドハイム私兵団の若き騎士、アラン。

黒髪に青い瞳、誠実な笑顔が印象的な青年。

戦場で、ソニアの治療を受けた一人だった。

「ソニア様」

アランが、緊張した様子で立っていた。

手には、小さな花束。

野に咲く白い花――ソニアが好きな、癒やしの花。

「これ……お持ちしました」

ソニアが、顔を赤らめて受け取った。

「ありがとう……アランさん」

アランは、深呼吸をして、膝をついた。

「ソニア様」

声は震えていたが、目はまっすぐだった。

「私は、戦場で貴女の光を見ました。  
あの白い癒やしの光が、私の命を救ってくれました」

ソニアが、目を丸くする。

「でも、それだけじゃありません。  
貴女の優しさ、笑顔、みんなを思う強さ……  
すべてに、惹かれました」

彼は、懐から小さな箱を取り出した。

開けると、銀のペンダント。

中央に、癒やしの魔石が輝いている。

「私のような、ただの騎士で……  
貴女にふさわしいかどうかは、わかりません」

アランは、俯いた。

「でも、一生、貴女を守りたい。  
貴女の傍で、貴女を幸せにしたい」

ソニアの瞳に、涙が浮かんだ。

「アランさん……」

彼女は、優しく微笑んだ。

「私も……あなたが好きです」

アランが、顔を上げる。

「戦場で、あなたがいつも私の傷を心配してくれたこと、覚えています。  
『生きて帰ってください』って、言ってくれたこと……  
それが、私の支えでした」

ソニアは、アランの手に、自分の手を重ねた。

「私、聖女として、これからもみんなを癒やしたい。  
でも……あなたと、一緒にいたい」

アランが、涙を浮かべて立ち上がり、ソニアを抱きしめた。

「ありがとう……!  
一生、幸せにします!」

二人は、庭園で、優しくキスをした。

秋の風が、花びらを舞い上げ、二人の周りを祝福するように。

その様子を、屋敷の窓から、イセッタとルクシオが見守っていた。

「ソニア……よかったね」

イセッタが、目を潤ませる。

ルクシオが、妻を抱き寄せた。

「ああ。  
あの騎士は、いい男だ。  
俺の部下だから、よく知ってる」

イセッタが、くすりと笑った。

「花束トス、効果あったわね」

二人は、笑い合った。

夕刻、別邸の応接室。

ソニアが、イセッタとルクシオの前に座っていた。

頰は赤く、目は輝いている。

「イセッタ様、ルクシオ公爵様……  
私、アランさんと……婚約しました」

イセッタが、すぐに抱きついた。

「おめでとう!  
本当に、よかった!」

ルクシオが、優しく言った。

「結婚式は、俺たちの聖堂でやろう。  
盛大に、祝福する」

ソニアが、涙を拭いながら笑った。

「ありがとう……  
私、こんなに幸せでいいのかな……」

イセッタが、ソニアの手を取った。

「いいのよ。  
あなたは、たくさん頑張ったんだから」

三人は、固く手を重ねた。

その夜、別邸のバルコニー。

ソニアは、アランと並んで、星を見上げていた。

「これから……一緒に、生きていこう」

アランが、ソニアを抱きしめた。

「ええ。  
貴女の聖女の仕事を、俺が守る」

ソニアは、幸せに微笑んだ。

戦場で出会った二人の愛は、  
平和な時代に、花開いた。

ソニアの幸せは、  
イセッタたちの祝福に包まれ、  
静かに、しかし確実に、始まった。

王国は、英雄たちの愛で、  
さらに輝きを増していた。

秋の月が、二人の未来を、優しく照らしていた。

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