追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~

ふわふわ

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第21話 「王国の影が迫る」

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第21話 「王国の影が迫る」

アレストの“干渉しない自信がない”宣言から数日。
二人の距離は、誰が見ても明らかに変わっていた。

エテルナはまだ戸惑いながらも、
心のどこかでその変化を受け入れ始めていた。

だが──穏やかな時間は長く続かなかった。


---

◆怪しい報せ

朝食後、ルシアンが緊迫した表情で執務室へ入ってきた。

「アレスト様、報告があります」

「何だ?」

「王国が……不穏な動きを見せております」

エテルナの手がぴたりと止まった。

「……私の、元いた国……ですか?」

「はい」

ルシアンは文書を広げる。

「最近、王国側の使者が国境付近で情報収集を行っているとのこと。
目的は“エテルナ様の所在確認”の可能性が高いです」

「私の……?」

エテルナの胸がざわりと波立つ。

アレストは冷たい声で言った。

「……ようやく動いたか。
予想より早いな」

「理由は……考えられることが一つあります」

ルシアンが続ける。

「王国では、エテルナ様が“聖女のような力を持っている”
という噂が広まっているようです」

「っ……!」

エテルナの心に、恐怖と混乱の影が差す。

「ま、また……あの国が私に……?」

過去、功績を奪われ、心を踏みにじられた記憶が甦る。

アレストが静かにエテルナを見た。

「安心しろ。
君を国に戻すつもりは、欠片もない」

その断言は、胸に深く響いた。

(……守ってくれる。
そんなふうに誰かに言われる日が来るなんて……)


---

◆王国の暴走とリーザの煽動

同じ頃、王都の王太子宮では──

「エテルナが聖女扱い!?
そんなの、認めませんわ!!」

リーザが絶叫していた。

アレクシオン王太子はうんざりした顔で言う。

「リーザ……少し落ち着け」

「落ち着けませんわ!
今すぐエテルナを取り返してください!!
このままでは、私の立場がありませんの!!」

(※あなたの立場はあなたの言動で崩れている)

侍女たちは全員、心の中でツッコんでいた。

リーザはさらに続ける。

「“元婚約者だから保護する”って言えばいいんですの!
エテルナはきっと戻ってきますわ!」

(戻ってこない)

侍女総ツッコミ。


---

◆アレスト、公爵領の守りを固める

ルシアンの報告を聞いたアレストは、すぐに的確な指示を出した。

「国境の警備を二倍に増やせ。
王国の使者は一切通すな」

「承知しました!」

「それと──」

アレストはエテルナをふと見る。

「……君の護衛も増やす」

「えっ、そんな……私は狙われるような価値は……」

「ある。
君の力は、この領地だけでなく、
この国にとっても大切だ」

エテルナは言葉を失った。

(……大切……)

その一言が、何よりも心に沁みた。

ミーナがそっとエテルナの背中をさする。

「奥様、旦那様は本気であなたを守る気でいますから、
どうかご自分を責めないでください」

「ミーナ……ありがとうございます……」


---

◆エテルナの小さな決意

アレストが部屋を出たあと、
エテルナはひとり窓辺に立った。

外では、公爵領の兵士たちが真剣な表情で訓練している。

「……私のせいで、皆を巻き込んでしまう」

呟いたその声には、罪悪感が滲む。

けれど──

心の奥底には、別の小さな感情もあった。

(……でも。
私は戻りたくない。
ここに……アレスト様のそばにいたい)

胸がきゅっと締め付けられた。

自分でも気づかないほどの、
やわらかな想いが芽を出していた。


---

◆アレストの本音(本人は気づいていない)

その頃、執務室に戻ったアレストは、
珍しく机を軽く叩きながらつぶやいた。

「……エテルナを……二度と奪われてたまるか」

ルシアン
(※旦那様、無自覚に“愛の宣誓”してますよ……)

アレスト
「何か言ったか?」

ルシアン
「いえ、何も聞こえませんでした」

(……これが、恋の自覚ゼロ公爵である)


---

こうして王国の影は刻一刻と近づき、
隣国の平穏が揺らぎ始めるのだった。
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