追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~

ふわふわ

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第27話 王国より“エテルナ奪還要求”――旦那様、静かに怒る

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◆第27話 王国より“エテルナ奪還要求”――旦那様、静かに怒る

 その日の午後。

 アウレリオの執務室に、重苦しい空気が流れていた。
 王宮からの緊急書状――それを運んできた外交官が、蒼白な顔で立っている。

 アウレリオは封を切り、冷たい視線で文面を追った。

 そして、わずかに眉を動かす。

「……なるほど。
 “エテルナ・フェリシールの身柄を王国へ返還せよ”……か」

 外交官は唇を震わせた。

「は、はい……王太子殿下のご命令で……
 “追放は誤解であり、保護するために迎えたい”との……」

 その言葉を聞いた瞬間――
 執務室の空気が、氷のように冷えた。

 アウレリオはゆっくりと書状を机に置き、低く告げる。

「追放したのは、そちらの都合だろう。
 その責任を“保護”という言葉にすり替えるな」

 外交官は震えながら頭を下げる。

「わ、我々は命を受けているだけで……!」

「王国に伝えろ」

 アウレリオの声は静かだった。
 しかし、静かすぎて恐ろしい。

「私の妻に指一本触れさせるつもりはない」

 外交官は大きく目を開いた。

「……つ、妻……!?」

 アウレリオは書状を指先で押し返す。

「エテルナは、正式に私の妻だ。
 あの日、国境で死にかけていた彼女を救ったのは、このアウレリオ・ヴァルステッド。
 その責任を果たす。それ以外は認めない」

 外交官はうなだれ、逃げるように退出していった。


 ---

 ◆◆廊下で聞いてしまったエテルナ

 その後ろ姿を見送っていたのは――
 偶然そばを通りかかったエテルナだった。

(わ、わたくしの……身柄を、返還……?)

 胸の奥がざわつく。

 そして、扉の隙間から聞こえた旦那様の言葉。

『私の妻に指一本触れさせるつもりはない』

(……旦那様……)

 エテルナは胸を押さえた。

 全身が熱い。

(どうしましょう……胸が……苦しい……?)

 それが恋の痛みであることを、彼女はまだ知らない。


 ---

 ◆◆アウレリオ、自室で独りごつ

 外交官が去った後。

 アウレリオは額に手を当てた。

(……王国め。
 都合がよすぎる。
 手放した女がこんなにも価値あると分かって、今さら取り戻そうとは)

 ペン先が折れるほど力が入った。

(エテルナを戻すつもりなど、最初からない。
 あの国に渡すくらいなら――私は……)

 そこで思考が途切れた。

 アウレリオは深く息を吐く。

(……干渉しない結婚のはずだった)

 それでも。

(だが……彼女を奪われるのは、耐えられない)

 胸の奥に沈む、得体の知れない熱。

 アウレリオはそれを否定せず、静かに受け入れ始めていた。


 ---

 ◆◆アウレリオ、エテルナを探しに行く

 しばらくして、屋敷の使用人から報告が入った。

「旦那様、奥様がお姿を見せられません」

「……何?」

 胸がざわつく。

(書状の内容を聞いて、動揺しているのか?
 ならば……放ってはおけない)

 アウレリオは立ち上がった。

「馬車の準備は不要だ。私が探しに行く」

 使用人たちはざわつく。

「旦那様自ら……!」

「やはり奥様に夢中……!」

 アウレリオは軽く睨んだが、誰も引かなかった。


 ---

 ◆◆庭園にて――二人、向き合う

 庭の大樹の下で、ひとり佇むエテルナ。

 アウレリオは近づく。

「……エテルナ」

 エテルナは振り向いた。

「旦那様……」

 風が二人の間を抜け、沈黙が落ちた。

 アウレリオは静かに言った。

「……聞いていたのか」

「……はい。
 わたくしのことで……ご迷惑を……」

 エテルナはうつむく。

 アウレリオはその肩にそっと手を置いた。

「迷惑などではない。
 むしろ――」

 エテルナが顔を上げる。

 アウレリオは少しだけためらいながら言った。

「……私は、君がここにいることを……喜んでいる」

「っ……!」

 その瞬間、エテルナの目が潤んだ。

 アウレリオは言葉を続ける。

「王国など気にする必要はない。
 君は、ここにいていい」

 エテルナの心に、温かいものが満ちていった。


 ---

 ◆◆屋敷の影から、ひそひそ声が

「見て……! 旦那様が奥様の肩に触れてらっしゃる……!」

「これはもう……白い結婚、解散では!?」

「新婚の香りが漂ってきたぁ……!」

 エテルナは真っ赤に。

 アウレリオは小さくため息をついた。

(……もう誰も止められん)


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