托卵平民娘は悪事を企(托卵)んでる。婚約破棄?愚かすぎる王子は自滅しました。

ふわふわ

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第6章 女帝の黎明

セクション3 「対比」

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セクション3 「対比」

 初夏の陽光が降り注ぐ帝都。
 市場には色鮮やかな布が並び、香辛料の香りが漂い、笑い声が絶えなかった。
 帝国の民は豊かな暮らしを享受していた。

「見て、この布! こんな上等なものが庶民でも買えるなんて」
「皇后陛下のおかげだ。新しい税制で、商人が活発に動けるようになったからな」
「子どもが学舎に通えるようになったんだ。……あの子は、将来は商人になるかもしれない」

 人々の会話には、自然と「皇后陛下」という言葉が混じっていた。
 もはやそれは、未来と繁栄の象徴だった。



 同じ頃、王国。

 荒れ果てた農地に干からびた作物が並び、街道には疲れ切った旅人が行き交っていた。
 王都の市場は閑散とし、税吏が容赦なく取り立てを行う。

「……これで最後だ。家畜まで売り払った」
「子どもに食わせる米も残っていない」

 人々の顔には絶望が浮かび、そこには笑顔の欠片すらなかった。

 広場では、酔った王子アレックスが演説をしていた。
「私は愛を信じた! 愛こそ国を救うのだ!」

 だが民は冷ややかに嘲笑するだけ。
「その愛とやらで領地を失ったくせに」
「我らの苦しみなど見向きもしない王子が、何を語る?」

 彼の声は空虚に響き渡り、やがて石を投げられる始末だった。



 一方、帝国の学舎。
 小さな子供たちが並んで文字を習っていた。
 黒板に「商」「兵」「民」と書かれ、それを声に出して読む。

 そこへ、視察に訪れたファミマリアが現れると、子供たちは一斉に立ち上がり、
「皇后陛下!」
と声を上げた。

 彼女は微笑み、子供たちの頭を撫でる。
「学ぶことは力です。知識を持てば、未来を変えられます。……皆、しっかり励むのですよ」

 子供たちは瞳を輝かせて頷いた。



 再び王国。
 貴族たちは贅沢を維持しようとする一方で、領民を搾り取っていた。
 王都の裏通りでは盗賊が横行し、飢えた子供たちが道端に座り込んでいる。

 だが、国王は病に伏し、王子は酒に溺れ、誰も民を救わない。
 そんな国に未来を信じる者はほとんどいなかった。

「いっそ帝国へ逃げよう……あちらなら暮らせると聞いた」
「皇后陛下が難民を受け入れてくださるそうだ」

 こうして王国の民は次々と国境を越え、帝国へと流れ込んでいった。


 帝国の街道。
 新たに受け入れられた難民が兵士の指導を受け、畑を耕し、家を建てている。
 子供たちは笑い、母親たちは安堵の涙を流していた。

「ここなら……生きられる……!」
「皇后陛下、本当に感謝します……!」

 その声は自然と人々の心に定着していった。
 帝国の繁栄はもはや偶然ではなく、確実に築かれた秩序と政策の結果であると。



 夜。宮殿の高みから帝都を見下ろすファミマリア。
 ジークフリードが隣に立ち、静かに言葉をかける。
「帝国と王国の差は、もはや誰の目にも明らかだな」

 ファミマリアは冷たい微笑を浮かべる。
「ええ。王国は過去、帝国は未来。……いずれ歴史書に記されるでしょう。“王国の衰退と、帝国の黎明は、ある一人の女の手によってもたらされた”と」

 その瞳は冷徹でありながらも、どこか誇らしげに輝いていた。

(私は民を守り、未来を築く。――それこそが皇后としての私の使命)

 月光が彼女を照らし、その姿を神々しく浮かび上がらせた。
 帝国の繁栄と王国の衰退、その対比は決定的なものとなり、やがて歴史を揺るがす大転換へと繋がっていくのだった。

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