74 / 113
第74話 裁きの光
しおりを挟む
研究所から5km地点。
僕はツインレッグの上で、あるTWを装備していた。
それは――巨大なスナイパーライフル。
銃身の長さは10mを超え、重さは800kgを超える。腕では支えきれないのでバイポッドのような5本の支柱に支えられている。さらに僕の背後にある巨大な筐体からは無数の導線がライフルに繋がれている。
「これこそ! チャチャさんとイヴりんの共作! 超長距離スナイパーライフル、『レイ・オブ・サンクション』!! 射程19.5km! 1発毎に30分のチャージと42個の部品交換が必要な最悪燃費品だけども、その弾速と破壊力は流星の如く!!!」
僕の左に立ってチャチャさんは言う。
「1発きりって、やっぱりきつくないか。高速で動く宇宙船を、こんなロングレンジで撃ち抜くなんて馬鹿げてるぞ。試し撃ちもしてないしな」
僕の右横からイヴさんは言う。
「問題ありません。必ずやり遂げます」
僕が言うと、チャチャさんはイヴさんの背中を叩き、
「ささ! チャチャさん達は退散、退散」
「なんで? 近くでサポートした方がいいだろ」
「ダメだよ。いいかいイヴりん、シキっちょはね。ボッチスナイパーなんだよ。1人で居る時が1番強いのさ。チャチャさん達が近くにいると十分な力を発揮できない」
「うっ……ボッチスナイパーと言われるのはアレですけど、仰る通りではあります。すみません、イヴさん。ここは1人にしてください」
これだけの長距離狙撃、少しでも集中力は高めたい。
「わ、わかった。後は任せるぞ、シキ」
「はい!」
イヴさんとチャチャさんの気配が消える。
(こんなロングレンジの狙撃はしたことない。シミュレーションは何度もしたけど、実際に持つとやはり感覚も違う。銃口を1mm動かすだけで狙いが大きくズレるんだ。扱い、難しい。けど、外す気はしない)
少し残念な気持ちはある。
ニコさんとクレナイさん、レンさんで何の苦戦も無く研究所を押さえられた。つまり、その程度ということだ。
(……ヒューマノイドにインストールされたアビリティデータ、アレの元となった人はきっと研究所にはいなかった。居たらここまで簡単に制圧されていない)
アビリティデータはどこかで買ったのかな。
心のどこかで僕は、僕らの作戦を上回る強い人が出てくることを望んでいた。でも残念ながら『予想外』は起きなかった。
まぁいいや。超長距離射撃ができるなら僕は十分に満足できる。これまでの労力の見返りは十分に得られる。
(ナドラさん。あなたはイヴさんを馬鹿にしていたけれど、それだけの規模の研究所を作ってる時点で、あなたもかなりこのゲームにのめり込んでいる)
いま、あなたは焦っているはずだ。積み上げた物がゼロになろうとしているのだから。それだけの力を手に入れるのに半年、下手したら数年かかったはず。
「……せめてもの情けです。完膚なきまでに、撃ち滅ぼしてあげますよ」
あなたの、理解の及ばない力でね。
(来た)
宇宙船が研究所から打ち上がる。
サイズが大きい。スペースガールだけでなく、大量の荷物を入れているに違いない。ロケットタイプの宇宙船だ。
(耳から音が消える。見なくとも、聞かずとも、周囲の景色が頭に浮かぶ。指先の感覚が尖り、口角に僅かに涎が溜まる。体が瞬きを忘れて、遥か先が目の前に見える……)
宇宙船は数分で宇宙まで到達するだろうね。つまり30秒と待たず射程外へ消える。
(熱源ロック、主電源サーチ完了。照準操作を手動誘導から脳波誘導に移行。飛行ルート予測確定。全機関フルオープン、オールグリーン。高度7.6――)
僕は引き金を引く。
「さよなら」
ライフルから青白い光が放たれ、まるで流星の如く飛び、宇宙船を高度7.6km地点で貫く。
主電源を撃ち抜かれた宇宙船は爆発し、空に黒煙をまき散らす。
「寸分狂いなし」
こうして、ナドラさんは監獄へと送還された。ついでに僕の懐にナドラさんの手持ちチップの半分であろう――3億チップが入った。
僕はツインレッグの上で、あるTWを装備していた。
それは――巨大なスナイパーライフル。
銃身の長さは10mを超え、重さは800kgを超える。腕では支えきれないのでバイポッドのような5本の支柱に支えられている。さらに僕の背後にある巨大な筐体からは無数の導線がライフルに繋がれている。
「これこそ! チャチャさんとイヴりんの共作! 超長距離スナイパーライフル、『レイ・オブ・サンクション』!! 射程19.5km! 1発毎に30分のチャージと42個の部品交換が必要な最悪燃費品だけども、その弾速と破壊力は流星の如く!!!」
僕の左に立ってチャチャさんは言う。
「1発きりって、やっぱりきつくないか。高速で動く宇宙船を、こんなロングレンジで撃ち抜くなんて馬鹿げてるぞ。試し撃ちもしてないしな」
僕の右横からイヴさんは言う。
「問題ありません。必ずやり遂げます」
僕が言うと、チャチャさんはイヴさんの背中を叩き、
「ささ! チャチャさん達は退散、退散」
「なんで? 近くでサポートした方がいいだろ」
「ダメだよ。いいかいイヴりん、シキっちょはね。ボッチスナイパーなんだよ。1人で居る時が1番強いのさ。チャチャさん達が近くにいると十分な力を発揮できない」
「うっ……ボッチスナイパーと言われるのはアレですけど、仰る通りではあります。すみません、イヴさん。ここは1人にしてください」
これだけの長距離狙撃、少しでも集中力は高めたい。
「わ、わかった。後は任せるぞ、シキ」
「はい!」
イヴさんとチャチャさんの気配が消える。
(こんなロングレンジの狙撃はしたことない。シミュレーションは何度もしたけど、実際に持つとやはり感覚も違う。銃口を1mm動かすだけで狙いが大きくズレるんだ。扱い、難しい。けど、外す気はしない)
少し残念な気持ちはある。
ニコさんとクレナイさん、レンさんで何の苦戦も無く研究所を押さえられた。つまり、その程度ということだ。
(……ヒューマノイドにインストールされたアビリティデータ、アレの元となった人はきっと研究所にはいなかった。居たらここまで簡単に制圧されていない)
アビリティデータはどこかで買ったのかな。
心のどこかで僕は、僕らの作戦を上回る強い人が出てくることを望んでいた。でも残念ながら『予想外』は起きなかった。
まぁいいや。超長距離射撃ができるなら僕は十分に満足できる。これまでの労力の見返りは十分に得られる。
(ナドラさん。あなたはイヴさんを馬鹿にしていたけれど、それだけの規模の研究所を作ってる時点で、あなたもかなりこのゲームにのめり込んでいる)
いま、あなたは焦っているはずだ。積み上げた物がゼロになろうとしているのだから。それだけの力を手に入れるのに半年、下手したら数年かかったはず。
「……せめてもの情けです。完膚なきまでに、撃ち滅ぼしてあげますよ」
あなたの、理解の及ばない力でね。
(来た)
宇宙船が研究所から打ち上がる。
サイズが大きい。スペースガールだけでなく、大量の荷物を入れているに違いない。ロケットタイプの宇宙船だ。
(耳から音が消える。見なくとも、聞かずとも、周囲の景色が頭に浮かぶ。指先の感覚が尖り、口角に僅かに涎が溜まる。体が瞬きを忘れて、遥か先が目の前に見える……)
宇宙船は数分で宇宙まで到達するだろうね。つまり30秒と待たず射程外へ消える。
(熱源ロック、主電源サーチ完了。照準操作を手動誘導から脳波誘導に移行。飛行ルート予測確定。全機関フルオープン、オールグリーン。高度7.6――)
僕は引き金を引く。
「さよなら」
ライフルから青白い光が放たれ、まるで流星の如く飛び、宇宙船を高度7.6km地点で貫く。
主電源を撃ち抜かれた宇宙船は爆発し、空に黒煙をまき散らす。
「寸分狂いなし」
こうして、ナドラさんは監獄へと送還された。ついでに僕の懐にナドラさんの手持ちチップの半分であろう――3億チップが入った。
10
あなたにおすすめの小説
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します
miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。
そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。
軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。
誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。
毎日22時投稿します。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
無表情ドールマスター
けんはる
ファンタジー
無表情少女香月 ゆずが姉に誘われて始めたVRMMO〈Only Fantasy〉で十天聖の一人に選ばれてしまうが
そんなことは関係なく自由に行動していく物語
良ければ
誤字・脱字があれば指摘してください
感想もあれば嬉しいです
小説を書こうでも書いてます
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
兄貴のお嫁さんは異世界のセクシー・エルフ! 巨乳の兄嫁にひと目惚れ!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
ファンタジー
夏休み前、友朗は祖父の屋敷の留守を預かっていた。
その屋敷に兄貴と共に兄嫁が現れた。シェリーと言う名の巨乳の美少女エルフだった。
友朗はシェリーにひと目惚れしたが、もちろん兄嫁だ。好きだと告白する事は出来ない。
兄貴とシェリーが仲良くしているのを見ると友朗は嫉妬心が芽生えた。
そして兄貴が事故に遭い、両足を骨折し入院してしまった。
当分の間、友朗はセクシー・エルフのシェリーとふたりっきりで暮らすことになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる